等身大の言葉で”生活”を感じる 信州木曽のオーダーメイド移住体験ツアー

長野県木曽地域移住体験ツアー レポート

信州木曽とは

名古屋から車で約1時間半、長野県南西部に位置する木曽地域。御嶽山や中央アルプスに囲まれ、面積の9割以上が森林を占める山深い木曽では、長い時間をかけて独自の文化が醸されてきました。

その背景には、急峻な谷の地形や豊かな自然資源だけではなく、木曽の中央をはしる江戸時代の五街道のひとつ”中山道”や山岳信仰のひとつ”御嶽信仰”などにより、多くの旅人が行き交ってきた歴史もあります。

閉ざされた地のようで、人や文化が交差してきた木曽地域。かつての知恵や文化を大切にしながら、新しい風が地域に入り続けています。その動きの1つが”移住”なのかもしれません。

木曽のリアルな生活を知る移住体験ツアー

木曽地域は、木曽町・上松町・南木曽町・木祖村・王滝村・大桑村の3町3村で構成されています。“木曽”と一言でいっても、3町3村、各地区ごとで生活様式は異なります。

移住が頭をよぎったとき、ただ訪問するだけでは、なかなかその地域のリアルな”生活”に触れることは難しいかもしれません。

オーダーメイド移住体験ツアーは、参加者の要望にあわせて特別に組まれた移住希望者向けのツアーです。行程には観光スポットを織り交ぜながらも、木曽で暮らす上で知っておきたい生活情報や場所が随所に盛り込まれています。通常のツアーでは出会えない地元の人や先輩移住者から、木曽のリアルな生活について話を聞くことができます。

今回は、実際に開催された移住体験ツアーの様子とともに、先輩移住者に出会えるスポットを紹介します。

地元案内人とともに木曽巡り

名古屋駅から電車で約1時間半。JR木曽福島駅から3分ほど歩くと到着する木曽町役場本庁舎が、本日のスタート地点です。朝の凛とした空気を感じていると、色づきはじめた山が視界にはいってきます。

木曽町を案内してくれたのは、自身も6年前に移住したという移住サポートセンターの木村耕紀さん。空き家バンクやシェアハウスなどの管理も行っている木村さんから、役場本庁舎や移住の情報を教えてもらいます。

▲地元の木材がふんだんに使われた役場本庁舎には、木育スペースも

移住前に利用したい田舎暮らし体験住宅や滞在型市民農園、コワーキングスペースなどの施設も見学。住む・働く拠点となる場所をみて、移住生活のイメージを膨らませていきます。

次に訪れたのが、上松町にあり森林セラピーの発祥の地として知られる赤沢自然休養林。かつて森林から木材を運び出していたトロッコ電車がはしっていて、お子様連れにも人気のスポットです。橋の上から小川を覗き込むと、川魚の泳いでいる姿が見ることもできました。

散策あとの小休止に、製糸工場の事務所だったという古民家を改修した和菓子屋「和心」へ。ここでは、上松町役場の浅井さんから町の支援制度などについて紹介してもらい、参加者からは質問が多く飛び交います。

夜は南木曽町の「ホステル結い庵(ゆいあん)」に移動。到着すると、先輩移住者でもあるオーナーの熊谷洋さんが出迎えてくれました。

熊谷さんは、古民家を自らリノベーションし、結い庵を開業。現在は、南木曽駅前にある一棟貸しの「MOUNTAinn Nagiso」なども運営しています。

夕飯前には、一輪挿しのワークショップにも参加。好きな天然木を選び、研磨をすると漂ってくる木の香りを楽しみながら、完成を目指します。結い庵では、ほかにも藍染や古材を使ったスツール作りなどを体験することができます。

▲夕飯後はスタッフさんとお喋りタイム

オーダーメイド移住ツアーで出会った先輩移住者たちは、等身大の言葉で、移住するまでの経緯や現在の生活について話をしてくれるのが印象的でした。

先輩移住者に出会えるスポット紹介

・大桑村 / 珈琲 刀 (カフェ)
木曽路の宿場のひとつ野尻宿にあるカフェ「珈琲 刀」は、2020年に開業したばかり。珈琲を淹れる店主の犾舘(えんだて)絵美さんは移住者の1人です。

「実は虫が苦手なんですよ」と笑顔で教えてくれた犾舘さんは、ライダーズカフェを持つのが夢で、色々な地域で物件探しをしていたそう。その中で、大桑村の物件情報を入手し、内覧にきた帰り道には、この地での開業と移住を決めたと言います。

「深く考えずに縁もなかった木曽に引っ越してきたんですよ。来てから分かったことですが、地域には、県外から嫁いできた人も多くいます。何事も強要はされないが、聞いたら教えてくれるくらいの距離感が私には心地よいですね」と地域での生活について話してくれました。

・上松町 / KINOTOCO(ギャラリー兼ワークスペース/準備中)
木曽地域の中でも林業を中心に発展してきた上松町で訪れたのは、木工に特化した地域おこし協力隊がオープン準備をしているスペース「KINOTOCO」。隊員らが作業をする工房とは別に、駅近くの3階建ての物件を改修し利用しています。

1階は来た人が、勉強をしたり飲食をしたりと自由に使えるスペースになる予定だそう。隊員らがつくった椅子や机が置かれていて、木曽らしい温もりがある空間になっています。

木曽は木材資源が豊富なだけではなく、木工を学べる上松技術専門校があったり、林業大学校があったり、木材を取り巻く環境が醸成されています。KINOTOCOでは、3階に共有の写真スタジオも準備中で、地域の木工作家たちが木工作品の撮影、発信をできるようにしたいと考えているそうです。

いま上松町地域おこし協力隊の木工関係のメンバーは7人おり、全員が移住者です。木工作家としてものづくりに励むだけではなく、小学校での木育の授業に出張したり、サウナ好きな隊員がテントサウナ事業を立ち上げたりと、地域内で幅広く活躍しています。

地域おこし協力隊1年目の葉山修一郎さんは「山登りが趣味で、大阪に住んでいた時はわざわざ通っていました。ここは山に抱かれた場所なので、木曽に住み始めてからは登山せずに満足しています。日々癒されています」と教えてくれました。

・木曽町 / ふらっと木曽(コワーキングスペース)
JR木曽福島駅から徒歩15分、商店街の中にあるコワーキングスペース「ふらっと木曽」は、1日だけの利用も可能で、オープンスペースや貸会議室、個室オフィスなどが備わっています。

ふらっと木曽にはシェアキッチンもついていて、今回のオーダーメイド移住ツアーでは、木曽地域内でイベント出店をしている「えりめし」のワンプレートランチとして台湾料理の魯肉飯(ルーローハン)が登場。

実は「えりめし」を提供する金田英里さんも先輩移住者の1人。祖父の家があったことをきっかけに、孫ターンとして5年前に移住されたそうです。

交流拠点にもなっているふらっと木曽では、定期的にイベントも開催されています。

木曽の伝統的な防寒着”ねこ”をつくる講座や金継教室、”きそだにマーケット”という無農薬野菜や木工品などが販売される小さなマーケットなどが開催されています。英里さんのようにイベント出店やワークショップを主催する先輩移住者も多くいます。

▲ふらっと木曽の運営メンバーは、移住者またはUターンの8人

木曽広域連合だからできる移住ツアーとは

木曽広域連合では、木曽郡3町3村が共同して広域消防やまちづくり、福祉事業などに取り組んでいます。木曽地域への移住を支援するための情報発信も行なっており、移住・定住ポータルサイトの「KISO KURASHi」では、移住者へのインタビュー記事や企業情報も掲載しています。

木曽地域と一言でいっても、3町3村、各地区ごとで違う特色を持っています。オーダーメイド移住体験ツアーでは、木曽広域連合が各地域の移住支援者などと連携しながら、参加者さんの要望に合わせた行程を組んでいきます。

自治体担当者から移住支援について話を聞いたり、先輩移住者と直接はなしたりすることで、おぼろげであった木曽生活の輪郭がすこしずつ浮き上がってきます。

あなたの要望に合わせてカスタマイズ

オーダーメイド移住体験ツアーでは、木曽への移住をお考えの方を対象に、参加者の要望にあわせて木曽郡内をご案内します。希望する日程の2週間前までにお申し込みください。

[要望をお伝えください]
● 空き家を見学してみたい
● 子育て環境について知りたい
● 起業した先輩移住者に会いたい

[移住ツアーの内容例]
● 公共施設の見学
● 移住者との交流
● 空き家見学
● 陶芸や農業などの体験
など

お問い合わせ先:(一社)木曽おんたけ観光局 TEL:0264-25-6000


Information

現在、木曽広域連合に移住相談をしていただいた方には、オリジナルの”イキルキソ”トートバッグ・小冊子をプレゼントしています(なくなり次第終了)。

木曽路を歩き、山にのぼり、人々に出会い、移住者の話を聞くなかでみえてきた「イキルキソ」。自分たちの足元にあるはずの「キソ」をみつけに、木曽を訪れてみませんか。

木曽広域連合では、Instagramでも情報発信を行っていますので、ぜひご覧ください。
https://www.instagram.com/kiso_kurashi_official/

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木曽郡への移住に関する総合窓口
木曽広域連合 地域振興課 TEL 0264-23-1050
オンラインでの移住相談も受け付けておりますのでお気軽にお問合せください
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文・坂下 佳奈

                   

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