宮崎といえば南国、南国といえば青い海というイメージから、宮崎の「里山」に目を向けないのはもったいない。宮崎市中心部から車で約1時間半ほどのところにある中山間地域は豊かな自然に囲まれながら暮らすことのできる場所。今回は里山の一つである「小林市」について紹介をしていきます。

小林市ってどんなところ?

人口約43,000人のまちで、夏は暑く冬は温暖多雨なことが特徴です。北部から南西部にかけては九州山地や霧島連山に囲まれているため、豊富な湧水から「水と食の宝庫」とも呼ばれており、多くのフルーツや野菜も生産されています。また、様々なプロモーションの取り組みを行っています。移住促進PRムービー「ンダモシタン小林」や高校生と協創した地域のテーマソング、お肉フリー素材サイトを公開するなどしてプロモーションを実施しています。

 

小林市地域おこし協力隊 池上翔さん

「当たり前を面白がる」という視点で、自分も地域の人も幸せになる池上さんのメインの仕事は動画での情報発信。「当たり前を面白がる」視点で発信することが、地域内外の人に、また自分にとっても、地元小林市に関わる喜びに繋がるのではと考え、さまざまな切り口で動画を発信している。

池上翔さん
小林市出身。地元の高校を卒業後、2年間カナダに留学。その後、東京でITサービス企業に就職し、趣味の音楽活動も精力的に行いながら15年の生活を経て、地元小林市にUターン。現在は地域おこし協力隊として、動画を使った情報発信を中心に活動している。

池上さんは15年、東京で生活したが「根をおろしている感覚がなかった」という。就職したITサービス企業でそれなりに頑張っていたが、人生の時間を費やしても良いと思えるものが欲しくて、地元に帰ることを決意した。Uターン後、現在は地域おこし協力隊に着任し、地元の魅力を動画で発信している。「地元で暮らすことに、今とてもアイデンティティを感じています」東京で働くよりも、地方ならではの仕事に精を出し、暮らしを築き上げていく方が、自分らしさを獲得できている充足感が大きいという。

そんな池上さんが今、最もオリジナリティを感じている活動がある。その名も「無駄イバーシティ」。「あまり人が注目していない『ムダ』にフォーカスを当てて面白がってみよう」という取り組みを行い、YouTubeチャンネルでその模様を配信している。

現在は「無駄イバーハウス」と名付けた「交流シェアハウス」も運営し、ちょっと不便で愉快な、地方の暮らしの魅力をお届けしている。「交流シェアハウスではみんなでDIYをしながら、自分らしい暮らし方をゆるく考えます。移住を検討している人も、そうでない人も、一度遊びに来て欲しい」池上さんが地元で掲げた「ムダ」という余白が、様々な人を巻き込みながら、真のダイバーシティへと向かっていく。


シェアハウスには薪ストーブがあり、池上さんは暖をとるための薪集めに苦労している。買えばすぐ手に入るが、ここではその苦労も楽しむ。


庭からは霧島山が望める。天候や時間帯によって移ろう山の表情を眺めながら、ここで暮らすことで自然と心にゆとりが生まれるという。


和風モダンなデザインの共有スペース。コワーキングスペースとしてはもちろん、イベントを開催したり、ふらっと寄って談笑を楽しんだり、さまざまな使い方ができる。

 

地元野菜の「おいしさ」と「たのしさ」を届ける 大角恭代さん

農家を生業としていた祖父母の影響で、小さい頃から「とにかく野菜が好き」だった大角さん。以前から「野菜に携わる何かをしたい」という思いがずっと頭にあった。地元にUターンしてから、趣味で始めた地元野菜の情報発信が本格的になり、徐々に活動の幅が広がって、今では大好きな「野菜」が大角さんの暮らしを支えている。

大角恭代さん
小林市出身。6年間株式会社ファーストリテイリングに務め、小林市へUターン。現在は野菜の魅力を発信するための執筆活動やワークショップ、また自ら商品企画・開発を手がけるなど、幅広い活動を行なっている。

 

大角さんが地元・小林市野尻町に戻ってきたのはちょうど10年前。それまでは東京で株式会社ファーストリテイリングに勤め、「365日24時間、企業理念を遂行すべく、仕事に明け暮れていた」という。仕事にはやりがいを感じていたが、自分が店長を務めていた店舗の閉店を機に、地元に戻ることを決意。Uターンしてからは一年間地元の印刷会社で働き、その後本格的に県内の農家を訪ねて回ったり、有機農法の勉強会に足を運んだりと、学びを深めながらブログなどで野菜の魅力を発信していた。最初は趣味程度だったが、徐々に本格的な仕事の依頼を受けるようになって活動の幅が広がっていき、現在は野菜ソムリエとして講演なども行なっている。

また、野菜に携わるようになってから「その時々の旬の野菜や、それを美味しくいただくためのいい調味料を自分で選び、季節にあった調理法を実践できる」ようになったことも日々の充足感につながっている。暮らしの大部分を支える「食」において、田畑をつくったり、品種や製法にこだわったりと、自身が納得できるライフスタイルを実現できるという点が、小林で暮らす大きなメリットだという。大角さんはこれからも、理想の暮らしが実現できる地元で、野菜の魅力を発信していく。


自宅の敷地内にある一反の畑。遮るものはなく、南国宮崎の太陽が惜しみなく降り注ぐ。大角さんは自宅でのライターの仕事の傍ら、この畑に出て野菜の手入れをしている。


畑で採れた地元野菜。地元固有の珍しい品種(在来作物)を育て収穫し、日々、美味しい食べ方などを研究して、そのノウハウを教え広めている。


暖かい日や天気が良い日には外に机を出して、ライティングの仕事をすることも。畑にも近く、大角さんにとってはここが最高の仕事場だ。

 

おすすめコンテンツの紹介

①宮崎牛
宮崎牛は、5年に1度開催される「和牛のオリンピック」ともに称される全国和牛能力共進会で、史上初となる3大会連続内閣総理大臣賞を達成。中でも宮崎県代表和牛28頭のうち11頭を輩出し、内閣総理大臣賞牛を送り出した小林市は、特に生産レベルの高い地域です。魅力ある宮崎牛を多くの方に楽しんでいただくため、世界初の「オンライン焼肉フェスUMMEONIC2020」を開催しました。

生駒高原
霧島連山のふもとに広がる小林市を代表する観光スポットのひとつ。秋には赤やピンク、白といった色とりどりの100万本のコスモスは訪れる方々を魅了します。また、コスモス以外にも春はポピー、夏にはサルビアなどが生駒高原を彩ります。2020年9月、以内の高校生などが連携しまちづくりの一環で制作した展望台を設置。生駒高原全体と小林のまちが一望できる展望台は、自分の影で時刻がわかる人間日時計としても楽しめます。

TENAMU交流スペース
2017年12月、小林市の中心市街地にまちなか複合施設「TENAMUビル」が完成しました。その2階にあるTENAMU交流スペースは、市民から寄贈された約3000冊の本を誰でも自由に読むことができるまちライブラリーが最初にお出迎え。この他、木製遊具がある木育スペース、調理器具などが完備された料理教室などの食のイベントでも活用できるフードラボがあります。毎月さまざまなイベントが開催されるTENAMU交流スペース。気軽に立ち寄りすべての世代の交流地点となる場所です。

 

小林市の食と人が繋がる「GUEST HOUSE HOTARU

料理人として地域おこし協力隊となった甲斐 崇悟さん。小林市の魅力をもっと知ってほしいという思いでお店をオープンすることにしました。料理はもちろんお酒も楽しんで頂きたいと考えたときに代行料金や移動方法を気にせずにゆっくりお過ごしいただけるには二階が宿泊施設だったらいいなと思い、そこで思いついたのが“泊まれるビストロ”でした。地元の方はもちろん、県外に出ている小林市出身の方、初めて小林市に来る方に地元の食材でちょっと贅沢なお食事を楽しんでいただいて、そのままゆっくり過ごされるもよし、繁華街で小林市の夜を楽しんでもらうもよし。小林市の食、人と密にかかわれるのがGUEST HOUSE HOTARUの魅力です。


GUEST HOUSE HOTARU
住所:宮崎県小林市細野1886-3
アクセス:吉都線 小林駅
電話番号:080-9566-3220(予約専用)

 

\オーナーからのメッセージ/

BISTRO HINATAオーナーシェフ甲斐崇悟(かい しょうご)さん

地方の田舎だからできる体験を楽しんでもらえるような場所を作りたくてGUEST HOUSE HOTARUを作りました。おいしい食材を使った食事はもちろんですが、他にも小林市ならではの文化があります。地元の人しか知らない絶景や、ディープな夜の街等々 語りつくせない魅力がある街なので、小林市にぜひ遊びに来てください!

 

泊まってお酒も楽しめる大人の遊び場「Guest house&Bar Loop

ゲストハウス「LOOP」ができたのは、オーナーの上岡さんが宮崎県小林市という地に足を踏み入れ、自然豊かなこの土地でカフェを始めたのがはじまりでした。お店を中心に面白い仲間が集まり、今度はその仲間達と一緒にゲストハウス&Cafe Barを作りたいと思い、2019年から少しづつ準備をしてきました。「LOOP」は、旧歯科医院を借りて自分たちでリノベーションをして作り上げたそうです。施設のコンセプトは「泊まってお酒も楽しめる大人の遊び場」小林市で最初に始めたカフェ「musumi]の意味は”結ぶように住まう“だったとか。そこで繋がった人たちと今度は輪”LOOP“になり、新たな物語がスタートしています。その輪を通して、たくさんの人達と関係をはぐくんでいるのです。

Guest house&Bar Loop
住所:宮崎県小林市細野145
アクセス:九州旅客鉄道吉都線「小林駅」から徒歩5分
電話番号:0984-47-4603
メール:info@musumi.jp
予約方法:info@musumi.jpにてメール、Instagramにて 「loop.kobayashi」で検索、直接メッセージをお願いします。
施設情報:個室4部屋(2人部屋×3 3人部屋×1)
café&bar:現在準備中(2021年4月オープン予定)

 

\オーナーからメッセージ/
Guest house & Bar LOOPオーナー上岡唯子さん

東京から小林へ移住&事業を始めて3年が経ちました。 地方の魅力は「挑戦できる機会」が無限大にあること。周りには応援してくれる人たちがたくさんいます。魅力的な地方で面白い事を一緒にやっていきましょう!

 

文:福森 勇次 撮影:永山 省吾

                   

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