郡上おどりの文化を学び、踊る。

郡上藩江戸蔵屋敷 vol.1-2 レポート

6/24(土)、真夏のような陽気の中「郡上藩江戸蔵屋敷」の連続講座「踊り下駄をつくり郡上おどりを楽しむワークショップ」の後編が、北青山のGLOCAL CAFÉにて行われました。

今回のワークショップは、郡上おどりの文化や哲学を学び知識を深めた上で、郡上おどりを実際に参加するという内容。この日は第24回「郡上おどりin青山」の開催日ということで、前回の講座で作ったマイ踊り下駄をカラコロと鳴らしながら、浴衣姿でお越しいただく方も多くいらっしゃり、お祭りムードが漂う賑やかな会となりました。
前回のワークショップで作ったオリジナルの踊り下駄

 

縁を結ぶ郡上のおどり

ゲストを務めたのは、郡上八幡に来るなり移住を決め、現在は郡上おどりの踊り子をされている国枝あつさん。
そして「ふるさと郡上会」の”コバケン”さんこと小林謙一さんが司会を務めました。「漫才でも見る気持ちで聞いてください」と、笑いを挟みつつテンポの良いトークセッションが始まりました。

「郡上おどり」は、7月頭の「おどり発祥祭」を皮切りに9月頭の「おどり納め」まで、約30日間続く日本一長い盆踊りとして知られていますが、あつさん曰く、郡上おどりは厳密には盆踊りではなく「縁日おどり」なのだそう。

「お宮に露店が並んでいるのが縁日だと思っていた方いませんか?今日から改めてくださいね〜」とあつさん。
郡上おどりで世界征服を狙っているという国枝あつさん

縁日とは、その土地での神仏にご縁がある日のことで、私たちと縁を結ぶ日なのだと語ります。そして郡上おどりと一言で言えど、郡上市には「白鳥おどり」をはじめ、地域ごとに多様な踊りがあり、中でも郡上八幡の旧市街地で行われる踊りの事を「郡上おどり」と呼ぶそうです。

その日配られた郡上おどりの日程表を見ると、「八坂神社天王祭」や「洞泉寺弁天七夕祭り」、「宗祇水神祭」など、各所でそれぞれ縁日踊りの名前があり、およそ30種の縁日が行われることが分かります。

お盆に行われる縁日「盂蘭盆会(うらぼんえ)」は、夜8時〜朝の4、5時まで夜通し踊ることから“徹夜踊り”と呼ばれ、特に盛り上がるメインイベントになっています。この日は県外からも数多くの参加者が集います。誰もが参加できる郡上おどりは、地元と外の人の縁を結ぶ日とも言えるのではないでしょうか。

 

見るおどりではなく、参加するおどり

「郡上おどりは見ててもつまらないです」

そう言い切ってしまうくらいに、郡上おどりは参加することが重要。地元の方と観光客が入り混じり、上手い下手、老若男女も関係なく、同じ輪の中で踊りを楽しむのが郡上踊りらしさの一つ。

江戸時代、「盆の間は身分の隔てなく無礼講で踊るがよい。」と藩主が郡上おどりを奨励したという歴史があり、その精神が今も脈々と受け継がれて、誰もが参加できるお祭りとして今も大勢の人に愛されているのだと思います。
「踊ったことないし、輪に入る勇気がない…」そんな方もいらっしゃるかもしれませんが、気が付けばそんな方も踊り出しているはずです。

というのも、コバケンさん曰く、郡上おどりは半強制的に参加させられる踊りなのだそう。
徹夜踊りは5万人あまりもの人たちが集まるので、路上は踊る人の波でいっぱいになります。移動しようにもその流れに乗らないと動けないので、踊りの輪の中に入らざるを得ません。踊る人の中、ただ歩いているのも変なので、見よう見まねで踊りながら歩いているうちに、あれ、踊れるぞ。となる訳です。

子供の頃は、東京での盆踊りがあまり好きではなかったというコバケンさんは、今やすっかり郡上おどりの虜

 

まるでラップバトル?即興の歌でコミュニケーション

参加型ということに加えて、郡上おどりの特徴に「生演奏」が挙げられます。

お囃子と歌は、観客の盛り上がり方や様子を見て演奏するそうです。曲も10種あり、「かわさき」「春駒」「三百」など、スローテンポからアップテンポまで多様な歌に合わせて踊ります。昔ながらの郡上のおどりは、お囃子がなく歌のみで踊っていたそう。そこでは歌で話しかけ、歌で返し、歌の上手い人が一目置かれる、そんな現代で言うところのラップバトルにも通じる文化があるように感じました。

歌い手の周りに踊りの輪ができ、他に誰かが歌えば、また新しい輪ができる…。そうやって、踊りの輪が複数になることも。
今も有志で運営されている「昔をどりの夕べ」の中では、そうした踊りを体験することができるそうです。行かれた際は、ぜひ唄にも挑戦していただきたいところです。

鮎の柄がポイント。郡上市オリジナルの浴衣

歌と踊りが密接な関係にある郡上の踊りですが、高齢化などで歌い手がいなくなったことで、残念ながら消えてしまう踊りもあります。

その中で、地元の小中学生が積極的に関わって、「寒水踊り」を復活させたエピソードを伺いました。
踊る大人を見て、格好いい!と子供が自主的に文化を引き継いでゆく。大人たちが踊りを本気で楽しんでいるのが、きっと子供たちにも伝わっているのでしょう。そんな地域の大人子供の間の関係性が印象的でした。

踊りのコツを伝授

郡上おどりについてのお話を伺った後は、あつさんによる踊りのワンポイントアドバイス。

上手く踊れなくても格好良く見せる“あつ流”のコツを教えていただきました。郡上おどりのイロハを知り、より郡上おどりへの理解を深めたところで、ワークショップの方は終了しました。この後、郡上八幡城主・青山家の菩提寺がある梅窓院(ばいそういん)に立ち寄り、「第24回 郡上おどりin青山」の会場へ向かったのでした。(ちなみに、青山という地名は郡上八幡城主・青山家に由来します。)


会場は思わず踊りだしたくなるような活気に溢れていました

きっと、今回ワークショップを経験したことで、参加者の皆様はより郡上おどりを楽しめたのではないのでしょうか。もっと郡上のことが知りたくなる・好きになる、そんなお話を沢山聞けた時間でした。

ご参加ありがとうございました!

(文:伊藤春華 写真:川島勇輝)

                   

人気記事

新着記事