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「踊り下駄」づくりを通して、郡上の森の大切さを伝える。
郡上藩江戸蔵屋敷 vol.1-1 レポート

「郡上藩江戸蔵屋敷」の第一回イベントとして、6/11(日)、東京北青山のGLOCAL CAFEで「踊り下駄をつくり郡上踊りを楽しむワークショップ」が行われました。

日本三大盆踊りにも数えられ、7月から9月にかけた開催期間は20万人が訪れるという『郡上踊り』。そんな郡上踊りに欠かせない”踊り下駄”をつくりながら、郡上産のヒノキに触れ、郡上の森についても知ってもらう参加型のイベントです。


会場に入るとまず目に飛び込んでくるのが、入り口に高く積まれた下駄の台と鼻緒。

下駄の台は郡上産のヒノキ、鼻緒はシルクスクリーンや藍染めなど、郡上産の材料のものからカラフルなリバティプリント柄までさまざまで、伝統的な柄から現代的な柄まで実にカラフルです。当日の参加者は40名。まず入り口で足に合った下駄の台と鼻緒を選びますが、女性が多いためかバリエーション豊富な柄の中からなかなか決められず、鼻緒の周りには人だかりができていました。

郡上産のヒノキで踊り下駄を

今回下駄づくりを教えてくれる講師は、郡上踊りで使われる下駄を企画・製作している『郡上木履』代表の諸橋有斗さん。

森に関心をもち、岐阜県立森林文化アカデミーで木工を学んでいたという諸橋さんは愛知県出身。全土の92%が森という環境でありながら、郡上踊りに使われる踊り下駄が他県で作られていることを知った諸橋さんは、郡上産のヒノキを使って下駄をつくり、森林資源の活用や下駄文化を発信していこうと、2014年に「郡上木履」を立ち上げました。以来、踊り下駄の魅力を知ってもらうために新しいデザインをもちこむなど、さまざまな試行錯誤を重ねています。

こうした諸橋さんの想いを聞いて、参加者も少し気が引き締まったようでした。

集中すること1時間。オリジナルの下駄が完成!

諸橋さんの手元を大きなスクリーンに映しながら、いよいよ下駄づくりが始まりました。

今回作るのは、激しい踊りでも歯が折れないよう台と歯を一つの材から削り出した下駄で、歯も長めのもの。それぞれ参加者が選んだお気に入りの鼻緒を、下駄の穴にさし込んでいく作業から進めていきます。鼻緒の先端の紐を板にくぐらせて引っ張っていくのですが、慣れない力作業に苦戦する女性も。

鼻緒を板の下で結んだら、足のサイズにフィットするように、前つぼと呼ばれる前の穴の部分で調整します。ぴったりの履き心地になったところで、鼻緒の裏を金具で留めて完成。行程はシンプルですが、すべてが手作業のため作成の所要時間は一時間ほど。ようやく完成した下駄がテーブルに並ぶ様はとてもカラフルです。

下駄が完成したところで休憩タイム。参加者の皆さんは完成したばかりの下駄を履いて、会場内を闊歩します。会場では岐阜県内産のトマトを100%使用した明宝トマトケチャップのクラッカーなども振る舞われ、リラックスしたブレイクタイムとなりました。

森が、水が、都会と郡上をつなぐ

イベントの締めくくりとして登壇したのは、もう一人のゲストの小森胤樹さん。

林業をやるために2004年に大阪から郡上に移住した小森さんは、郡上の木材を使用した「郡上割り箸」の製造、販売も手がけています。ステージでスライドに森の写真を投影しながら、参加者に「行ってみたい森、行きたくない森」の違いを問いかける小森さん。日本の国土の68%が森林であり、その4割は人が手を加えた人工林。小森さんは、参加者が「行きたくない、気持ち悪い、暗い」などと答えた写真の森のほとんどが、放置された人工林だと説明し、「木を伐ることは環境破壊じゃないんです」と、間伐や、木材の活用の必要性を説明してくれました。

放置されて荒れた山は、森に生息する動植物や微生物の生態系も破壊し、川や海の水を汚すことにも繋がる。これは都会に住む私たちにとっても他人事ではない。さまざまなアプローチで、都会の人にも森に対する関心をもってもらおうと活動している小森さんのお話で、イベントは修了しました。

水と踊りの町と言われる郡上市。都会に住む人たちが祭りや踊り下駄をきっかけに、郡上産の木とふれ合い、都会と郡上市が繋がっていることを再確認する。郡上と都会を結び、双方向に関わる人を増やすという「郡上江戸蔵屋敷」のコンセプトが実感できた一日でした。

(写真・文:坂本二郎)