ここは、岐阜県白川村。合掌造りの集落が有名な世界遺産地区であり、日本有数の観光地です。真っ白な積雪の中にかやぶき屋根の家がひょっこりと顔を出す冬景色を、皆さんも一度は写真や映像で見たことがあるかもしれません。
そんな白川村で、現在、新たな活動を始めているのが「白川郷ヒト大学」。ソーシャル大学として開校して、3年目を迎えています。今回は、白川郷ヒト大学の学長・柴原孝治さんにお話を伺ってみました。
「みんながありのままに生きられる社会を作りたい」
— まず、「白川郷ヒト大学」がスタートした背景とは?
現在では年間180万人もの観光客が訪れる白川村ですが、年々迫ってくる「高齢化」や「人口減少」の波は、他の中山間地域と同様に大きな課題になっています。
そんな中で「自分たちが住む村の未来をよりよくしよう」と考えたときに必要だと思ったのが、新たな世代のための学び舎や、地域の有益な情報が集まったプラットフォーム、年齢や立場に関係なく誰もが安心して発言できる優しいコミュニティであり、そこから生まれたのが「白川郷ヒト大学」でした。
白川郷ヒト大学の学長・柴原孝治さん
— 村の未来を見据えて始まった活動なんですね。
僕たちは、先細りする村の未来は「主体的に地域に関わるヒト」が増えていかない限り、変わらないと思っています。もしも万が一、結果的に今の状況を変えることができなかったとしても、「やらずに終わる」よりは「やってみてもダメだった」という方を選びたいと思っていて、そのために活動しています。
この姿勢は、いま自分たちがこの瞬間をどう生きていくかの議論と同じなような気がしていて。
— 「今この瞬間をどう生きるか」ですか?
手探りで始めたヒト大学の活動も、これまでの3年間つづけてきた中で、少しずつ地域内外の若者たちにとって学びの場になっていると感じています。周りに集まってきた人の多くが「よりよく生きるってどういうことだろう?」「自分らしい働き方って一体何だろう?」と模索しはじめていて、そういった機会を提供できているのかなって。
白川郷ヒト大学で開催している「シゴトを作る」講座の様子
ただ、講座に来てくれた参加者1人1人とゆっくり対話を重ねてみると、誰もが素敵な個性を持ち合わせているのに、自分の生き方や暮らしに満足出来てない人が余りにも多くて。正直、そのギャップには驚きました。
そして、その実感が強くなるほど「自分の個性を抑圧せずにありのままに生きるヒトが増えるためには、何が必要なんだろう」って。メンバー内でも話題に上がるようになりまして。
「面白く生きる合宿」での野外講座の様子
— まさに、生き方を学ぶ「ヒト大学」!
白川村だけでなく、現代社会全体に思い悩んでいる人は一定数いて、その人達と手を取り合える環境を作っていくこともヒト大学の役割の一つだと、自然と考えるようになりましたね。
そうやって試行錯誤を重ねてきたヒト大学も、今年に入り沖縄や三重に新たな拠点が増えたり、新規事業に挑戦したりと、ゆっくりゆっくり、じわりじわりと輪が広がってきました。
1600人の村で「白川村で主体的に活動する人を増やす」という目的を掲げて始まった活動が、継続する中で社会全体へと視野が広がって、「誰もがありのままに生きられる社会をつくる」という理念にいつの間にか変化して。
社会全体を変えるなんて、そんな大それた事が出来るとは思っていませんが、少なくともこれまでの活動を通して、自分達の想いや考え方が変化してきた事実は素直に受け止めようと思っています。
— 村について社会について、自分ごととして考えてきた結果かもしれませんね。
実践した積み重ねにより言語化されてきた言葉を否定してしまうと、今までの自分たちの取り組みを否定することにも繋がる。だから青臭くても、安っぽくても、自分達から生まれてきた言葉を大事にしたい。そんな人間らしさを大切にしていこうと、仲間同士でもよく話しています。
面白い生き方をしたいヒト達が出会う場を設計する
そんな白川郷ヒト大学がお送りする「面白く生きる合宿」が、今年も開催されます。
昨年は30名以上の参加者が集まり大好評となったこの合宿。その後も続くご縁が生まれたり、参加者同士の新たなコミュニティが作られたりと、面白く生きたいヒトたちの新たな出会いの場になっているそうです。
この合宿を行う上で、ヒト大学のメンバーが大事にしていることは、いかに ”参加者同士が繋がりを作れるか” ということ。
一般的に、セミナーや講演会に行くと、講師と参加者は “話すヒト” と “話を聞くヒト” といった風に住み分けされてしまいます。
でも、ヒト大学では、講師の話は必要最低限に留めて、講師を交えてのグループワークや対話の時間が多くとられ、1人1人が自分の言葉を伝え合える講座設計が意識されているようです。
地域の仕事の魅力を参加学生が記事にして伝える「ローカルワーク」プロジェクトでの1コマ
「白川村の静かな時の流れと豊かな自然の中では、講師や運営者側が一方的な伝えるだけの講座は波長が合わない気がしていて。毎回、その場に集まってくれた1人1人が、対等な関係で対話できる学びの場づくりを心がけているので、ゆっくり自分の気持ちに向き合いたい人や、講師との対話を楽しみたい方に、ぜひ来ていただければ嬉しいです。」
ヒト大学事務局長の前盛よもぎさんは、そんな風にお話されていました。
白川郷ヒト大学・事務局長の前盛よもぎさん
多様な価値観に出会う「面白く生きる合宿」2018 みどころ
「今、大学を作りたがるオトナと一緒に見る未来」と題して、今年はヒト大学と同じく大学を既に運営している、あるいはこれから大学を立ち上げようとしている講師3名を教授として招いています。
1日目は、面白い生き方・考え方をもって、活動している3人の教授から「なぜ今、大学を作るのか?」「人生の面白がり方」などの話を前半で伺い、後半は教授を含めた生徒(参加者)とのチーム毎のグループワークを行ってもらい、お互いに関係性を作ってもらいます。夜はゆっくり温泉に入って白川村のディープな宴会を行います。
2日目は白川村の自然の中に移動し、参加者同士で車座トークを行い、ゆっくりとした対話の時間を楽しんでもらいます。大自然の中では、心も自然と穏やかな気持ちになるので、ラフに語り合いながら、感じていること、考えていることをみんなでシェアして、思考や感覚をアウトプットしながら自分の心を再確認する時間を過ごしてもらいたいと思っています。
▼ ”こんなヒト” にオススメ!
・講師と繋がりが持ちたいヒト
・各大学に関わりたいヒト
・就職・転職の節目で、今後の生き方働き方について考えているヒト
・新しい挑戦を始めようとしているヒト
・背中を押して欲しいヒト
・面白いヒトと会いたいヒト
・何かしたいけど何がしたいか分からんヒト
・ちょっと最近疲れていて、山や湖畔でのんびり対話したいなというヒト
最後に、学長の柴原さんからのメッセージをいただきました。
「”面白そう!”と思われた方はぜひ、直感を信じて参加してください。それは直感を裏付けている「感覚」が、自分に蓄積されてきた膨大な経験の中から割り出された1番可能性のある判断で、すごく合理的なもののはず。きっと、そのヒトの人生経験に基づいた、最善の選択だと思います。
もし、その「直感」で判断して何か間違ったと感じた場合は、自分のそれまでの経験の幅や深みが足りなかっただけで、その経験すら次の直感の精度を高めるのに寄与してくれるはずですから。」
かなり熱いメッセージに、直感でビビッときてしまった方は、柴原さんの言葉通り、その感覚に全力で体と心を預けてみる機会として、白川村に足を運んでみてはいかがでしょうか?
- 面白く生きる合宿 2018
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開催日 2018年9月1日(土) 〜2018年9月2日(日) 会場 国指定重要文化財 旧遠山家民俗館 地図 住所 岐阜県大野郡白川村御母衣125 アクセス ■公共交通機関でお越しの方
名古屋・金沢・富山・高山(予約要)、高岡(予約不要)から高速バスをご利用ください。
名古屋~白川郷 岐阜バス予約センター(058-240-0489)
金沢~白川郷 北陸鉄道バス予約センター(076-234-0123)
富山~白川郷 富山地方鉄道バス予約センター(076-433-4890)
高山~白川郷 濃飛バス(0577-32-1688)
高岡~白川郷 加越能バス高岡営業所(0766-21-0748)
■お車でお越しの方
駐車場が限られているため、車でお越しの方は別途その旨ご連絡ください。個別にご連絡をいたします。定員 最大30名 参加費 4,000円(税込) 参加費補足 2食(1日夕飯・2日昼食)付き
※白川村までの交通費は実費負担ください。
※宿については、各自でご予約をお願いします。万が一、宿が一杯で予約が取れないという場合は相談に乗りますので、お気軽にお問い合わせください。主催 白川村・白川郷ヒト大学 参加方法 「詳細・問い合わせ」ボタンより、リンク先にて内容をご確認の上、問い合わせ先へお申込ください。 お問い合わせ先 白川郷ヒト大学事務局
shirakawago.human.university★gmail.com
(★→@に変えて送信ください)