2023年10月28日(土)、東京都中央区の移住・交流情報ガーデンで「長野県『佐久地域』移住個別相談会」が開催されました。このイベントでは、佐久地域にある7市町村と4つの教育機関がブースを設け、それぞれの地域の生活環境や教育、仕事などについて詳しく紹介。また、移住を検討している参加者からの質問や不安に対しても、丁寧に対応しました。熱気に包まれた当日の様子をレポートします!
新幹線で約1時間! 都心から好アクセスの佐久地域
長野県の東部に位置する佐久地域は、北陸新幹線で東京から軽井沢まで約60分、佐久平まで約69分、高速道路で佐久 ICから練馬 ICまで約 100 分と、都心からのアクセスが良好です。リモートワークを取り入れれば無理なく都会の仕事と自然豊かな暮らしを両立できるため、都市生活者にとって理想の移住先といえるでしょう。
佐久地域は、住宅や商業施設が建ち並ぶ低地でも標高600メートル以上ある高原地帯。冬は寒さが厳しいものの夏はカラリとした涼しい気候で、高原野菜やフルーツの産地として有名です。また、日本酒の13の蔵元やビールの醸造所、ワイナリー、ウイスキー蒸留所が点在し、地元の水や素材を使ったこだわりのお酒が楽しめます。
そんな魅力あふれる佐久地域に移住を考える参加者が集まったこの日。個別相談ブースでガイドをしていた7市町村と教育団体の方々に、それぞれの地域や教育の特長を伺いました。
昔の宿場町の活気を彷彿とさせる小諸市
小諸市は、かつて北国街道の宿場町として栄えた歴史あるまちです。また、外国人の別荘地として拓かれた軽井沢町が近く、西洋と東洋のどちらの文化も楽しめる“多面性”も魅力のひとつです。
近年、旧北国街道には、パン屋やカフェをはじめとした個性的なお店が次々とオープンしています。2021年には小諸駅近くに「まちタネ広場」が完成し、蚤の市やマルシェ、ワークショップなどさまざまなイベントが開かれ盛り上がりを見せています。
「小諸は誰もがまちづくりに参加できる場所。移住者のみなさんと一緒に面白いことをしていけたらうれしいです」(小諸市役所の栗原良さん)
<小諸市の移住に関する情報はこちらから>
来て、見て こもろ暮らし
https://www.city.komoro.lg.jp/kurasu/
商業施設が続々オープン。便利さが加速する佐久市
人口約9万8000人(2023年11月時点)を抱える地方都市で、佐久地域において最も賑わいを見せています。北陸新幹線の停車駅である佐久平駅があり、交通のアクセスが非常に便利です。市内には2つの総合病院があり、医療も充実しています。
佐久市では、一昨年前からチャットツールを使って先輩移住者に質問できる「リモート市役所」をスタート。1カ月おきに首都圏で移住相談会を実施するなどして、移住をバックアップしています。
「2022年秋には大型商業施設『フォレストモール佐久平』、ホームセンター『カインズ佐久平店』が開店し、さらに利便性がアップしました」(佐久市役所の岩下 紀仁さん[右]、地域おこし協力隊 栗原淑恵さん[左])
<佐久市の移住に関する情報はこちらから>
移住情報サイト 佐久にくらす
https://www.city.saku.nagano.jp/sakunikurasu/
“試住”のサポートサイト Shijuly(シジュリー)
https://www.city.saku.nagano.jp/outside/citypromotion/shijuly/
便利さと静けさをほどよく兼ね備えた佐久穂町
佐久地域の南部にある佐久穂町は、八千穂高原や白駒の池など美しい自然に囲まれ、プルーンの名産地としても知られています。北部の佐久市や小諸市と比べて人口が少ない一方、新幹線を利用できる佐久平駅まで車で約20分と交通アクセスは良好です。便利さと静けさのバランスの良さがこの町の特長となっています。
近年、新しく大日向小学校が開校したことで、移住者が増加中。羽黒下駅近くの東町商店街では、カフェやジュエリー工房といった個性的なお店が増えており、町の活気も高まっています。
「景色だけでも楽しめるので、ぜひふらりと遊びにきてください」(佐久穂町役場の土屋 潤さん[右]、小林里絵さん[中]、地域おこし協力隊 河上陽子さん[左])
<佐久穂町の移住に関する情報はこちらから>
さくほ de 暮らす
https://www.town.sakuho.nagano.jp/iju/
山々に抱かれた素朴な暮らしができる、南相木村
人口955人(2023年4月時点)、面積の約9割が森林、公共交通機関は村営バスのみという南相木村。谷間の地域だけに、どこまでも山々に囲まれた美しい景色が広がっています。
村民の3割はIターン移住者で、「森を感じて暮らしたい」「畑をやりたい」など、自然との共生を求めてやって来る人が多いとか。南相木村への移住に興味のある方は、移住定住促進施設でお試し居住をすることができます。
「みんな顔見知りの家族のような村。不便だからこそ得られる何かが、ここにはあります」(南相木村役場の中島修さん[右]、鈴木優斗さん[左])
<南相木村の移住に関する情報はこちらから>
笑顔でつながる、小さな村
https://minamiaiki-teiju-shigoto.jimdofree.com/
「山村留学」などを通じて子どもの生きる力を育む北相木村
北相木村は、人口わずか約700人の小さな村。住民が暮らしているエリアは総面積の約5%で、ほとんどが美しい森林に覆われています。買い物や医療は、車で数十分の距離にある佐久市内の商業施設や病院を利用します。村内には信号や駅、コンビニはありません。そんなゆったりとした環境で生活する村の人々はおおらかで面倒見がよく、子どもたちは村の宝として大切に育てられています。
北相木村では、都市部の子どもたちが親元を離れて北相木小学校で自然体験や生活体験をする「山村留学制度」を30年以上続けており、親子で1年間移住を試せる「親子留学制度」も実施しています。
「移住者から時おり聞かれるのは、『人があたたかい』という声。村の人たちが子どもたちを見守ってくれるので、安心して子育てを楽しめると思います」(北相木村教育委員会の日向梨緒さん)
<北相木村の移住に関する情報はこちらから>
北相木村
http://www.vill.kitaaiki.nagano.jp/
何をするにもちょうどいい御代田町
御代田町は、北側に浅間山を望む人口約1万6000人のまちです。町内には、「龍神の杜公園」や「雪窓公園」など、四季折々の風景が楽しめる公園が点在しており、豊かな自然の中でのびのびと子育てができます。隣町の軽井沢町ほど観光客で混雑せず、利便性の高い佐久市、小諸市へのアクセスも良好で、都会の喧騒から離れつつも、地方の閉塞感に陥らない、絶妙なバランスが御代田町の魅力です。
「隣町の軽井沢町、佐久市、小諸市の商業施設を便利に使いながら、家では静かな時間を過ごせる。それが一番のよいところです」(御代田町役場副町長の両澤美樹子さん[右]、八巻恵子さん[左])
<御代田町の移住に関する情報はこちらから>
御代田町
https://www.town.miyota.nagano.jp/category/miyotalife/148025.html
人里と高原の2つのエリアを満喫できる立科町
佐久市の西隣にあり、南北に細長いひょうたんのような形をしている立科町。中央のくびれ部分を境に、北部の里エリア、南部の高原エリアに分かれており、里エリアは旧中山道を中心に歴史的なスポットがあちこちに点在しています。高原エリアは蓼科山や白樺高原、女神湖が広がり、山登りやスキー、カヌーなどのアクティビティを楽しむことができます。
「立科町はもともと宿場町で、人を受け入れる気風があるため、移住者の定住率が高いです。鳥のさえずりが目覚まし代わりになる自然豊かな場所。ぜひ一度、足を運んでみてください」(立科町役場の今井大地さん)
<立科町の移住に関する情報はこちらから>
https://www.tateshina-iju.jp/
移住サポートセンター
TEL:0267-78-5645
Eメール:t-iju2@sas.janis.or.jp
先端的な教育機関が集まる佐久地域
近年、佐久地域では先進的な教育法を取り入れた学校や保育施設が開校・開園しており、それに伴い「教育移住」をする子育て世帯が増えています。自然と触れ合いながら学んだり、子どもの個性や能力を伸ばすカリキュラムを導入するなど、画期的な教育方針で注目を浴びる佐久地域の学校と保育施設を紹介します。
軽井沢町に開校した幼小中混在校「軽井沢風越学園」
軽井沢風越学園は、2020年に軽井沢町に開校した幼小中混在校です。異年齢で過ごしていることが日常の風景です。3歳から15歳までの年齢の違う子どもたちが空間と時間を共にすることで、同年齢の関わりあいでは生まれないようなことが起こり、それぞれの経験を積み重ねていきます。
「つくる」を旗印に掲げている風越学園では、学びもあそびも生活も、子どもたちがつくり手として動きます。こうして子どもたちは主体性や自立性を育みながら、自分の力で未来を切り拓けるという手応えを感じていくのです。
「佐久地域には多様な教育の選択肢がありますが、単に学校の種類やカリキュラムだけではなく、まずはご家族がどんな生活をしたいか、どんな未来を描いているかをしっかりとイメージすることが大切だと思います」(軽井沢風越学園の佐々木知範さん)
軽井沢風越学園
https://kazakoshi.ed.jp/
日本初のイエナプラン認定校「大日向小学校」
イエナプラン教育とは、一人ひとりの個性を活かした学びを大切にするドイツ発祥の教育法。それを日本ではじめて導入したのが、2019年に佐久穂町に開校した大日向小学校です(2022年4月には中学校も開校)。
同校では、子どもたちが自分で学習計画を立てて、自己選択に基づいて学びを深めます。また、「今」を大切にした課外活動も大切にしており、例えば、「畑に咲いた花を見に行こう」と、みんなで出かけて自然を観察したりする機会も設けています。
「移住がプラスになるかは、家族によってさまざま。ぜひみなさんの幸せを大事にして決めていただきたいです」(大日向小学校の青山光一さん[右]、後藤資幸さん[左]、当日は保護者の方[中央]も出席しました)
学校法人 茂来学園
大日向小学校・大日向中学校
https://www.jenaplanschool.ac.jp/
空の下で保育を実践する「森のようちえん ぴっぴ」
「森のようちえん ぴっぴ」は、2007年に軽井沢町に開園した保育施設です。子どもたちのありのままの姿を大切にするという理念のもと、園舎を持たず、野外保育を実践。トイレやキッチン、雨風から守る屋根はありますが、それ以外はすべて屋外で過ごします。子どもたちは自分の好きなことを思いっきり楽しみ、自然の中で学び、人との関係を築きます。
「今は暮らしの選択肢がいろいろとあるので、自分たちらしい家庭のあり方を見つめ、築いてもらいたいです」(森のようちえん ぴっぴの中澤眞弓さん[中])、新井恵理さん[右])
「母親同士も“個”としてつき合う風土があり、自然体でいる心地よさを感じています」(保護者の方[左])
森のようちえん ぴっぴ
https://moripippi.jp/
想像力や創造力を忘れない子を育てる「ちいろばの杜」
「ちいろばの杜」は、佐久穂町にある自然豊かな保育施設。園児たちは、園舎のすぐそばに広がる森で四季折々の自然の魅力に触れながら思いっきり遊びます。採取した木の実や小枝を使って手作りの作品を作ったり、泥だらけになったり、雪の中で遊んだり…。
そうした活動の中で、子どもたちは自分の考えや感情を表現したり、仲間と協力したりする力を身につけていくのです。自然とともに育つ子どもたちは、想像力や創造力、協調性や自己表現力にあふれた個性豊かな人間に成長していきます。
「私たちは、子どもたちの感性を豊かにする教育を大切にしています。どんなに大人になっても、子ども時代に興味や関心を発揮した経験があれば、想像力や好奇心を失わないと思います」(ちいろばの杜の内保 亘さんこと”わたにぃ”)
認定こども園 ちいろばの杜
https://chiirobayachiho.wixsite.com/home
Face to Faceの移住個別相談会で疑問が解決
参加者からは、「冬の寒さが心配」「家族に合う住宅は見つかる?」といった不安の声が聞かれました。しかし、自治体の担当者や教育団体の方々に直接質問することで、疑問が解消され、安心感を得られたようです。
佐久地域への移住に興味のある方は、本記事に掲出した自治体のWEBサイトや教育機関のホームページなどから、情報をチェックしてみてください!
取材・文:星野真希子 写真:中村 晃