「近い将来、東京都豊島区が消滅するかもしれない――」
2014年に『日本創成会議』が発表した「消滅可能性都市」リストに、東京23区で唯一名を連ねた豊島区。渋谷区、新宿区と並ぶ副都心であり、27万人あまり(2014年時点)の人口を有する豊島区がなぜ……?と、内外に衝撃を与えたこの発表から10年。
リスト発表直後から様々な対策を講じてきた豊島区の総人口は、2014年からの10年間で2万人以上増加し、若年女性人口減少率は50.8から2.8%※に大幅に改善。今年(2024年)4月に『人口戦略会議』が発表した「令和6年・地方自治体『持続可能性』分析レポート」において、豊島区は消滅可能性都市からの脱却を果たしました。
全国各地で少子高齢化、人口減少問題が深刻化する中、なぜ豊島区は復活を遂げることができたのでしょうか?
TURNSでは、豊島区役所政策経営部企画課長の澤田健司さんと、子ども家庭部子育て支援課長の安達絵美子さんにお話を伺い、豊島区の10年の軌跡を辿りました。
※(出典)『全国1729自治体の持続可能性分析結果リスト』
https://www.hit-north.or.jp/information/2024/04/24/2171/
豊島区における若年女性人口減少の要因
「消滅可能性都市」とは、20~39歳の若年女性人口が2010年から40年までの30年間に50%以上減少すると推計される市区町村のこと。若年女性人口が減少すると出生率が減少して人口減少と税収減が進み、最終的には地域社会・行政経営の維持自体が困難になることから、将来的に消滅する可能性があるとされます。
豊島区は2010年時点の若年女性人口50,136人が2040年までに24,666人と、50.8%減少する※1と推計されたことから消滅可能性都市と指摘されました。
豊島区における若年女性人口減の背景を、人口増減を左右する社会動態※2と自然動態※3の2つの観点から見ると、以下の課題が浮かび上がります。
※1:(出典)日本創成会議「全国市区町村別「20~39歳女性」の将来推計人口」
http://www.policycouncil.jp/pdf/prop03/prop03_2_1.pdf
※2社会動態:一定期間における転入・転出、その他に伴う人口の動きのこと。
※3自然動態:一定期間における出生・死亡に伴う人口の動きのこと。
1.若者層の転出入が活発で定住率が低い
「消滅可能性都市リスト」発表の前年、2013(平成 25)年の豊島区の社会動態を見ると、転入者は22,723 人、転出者数は 20,358 人で2,365人の転入超過となっています※1。
また、転出入者それぞれの年齢別内訳を見ると、2014年6月~2015年5月の転入者は全世代の中で20~24 歳が9,370人で最も多く、25~29 歳が8,136人、30~34 歳が4,816人※2。一方の転出者は25~29 歳が6,928人で最も多く、30~34 歳が4,931人、20~24 歳が4,832人と続き、20代前半~後半の転入が多い一方で、20代~30代前半の転出が活発な状況が窺えます。
これは定住率(区内に5年間以上居住している率)にも表れており、豊島区の世代別定住率は、20~24歳→25~29歳が男性18.2%、女性20.3%※2と全世代の中で最も低く、25~29歳→30~34歳も男性22.7%、女性25.6%。さらに区全体の定住率も48.5%と、東京23 区内で6番目に低い水準です。
交通の利便性が高く、職・学・住・遊近接の暮らしが叶う豊島区は、進学や就職を機に他地域から転入してくる若者が多いものの、20~30代前半に結婚・出産・子育て等のライフステージの変化を前に転出して子育て世代の人口が減る、流動的な人口構造であることが窺えます。
※1:(出典)豊島区人口ビジョン
https://www.city.toshima.lg.jp/001/kuse/shisaku/shisaku/kekaku/032617/documents/jinnkoubijyonn0323.pdf
※2:(出典)行財政改革調査特別委員会「豊島区の人口と世帯の状況について」
https://adeac.jp/viewitem/toshima-history/viewer/viewer/02_30_R040113/data/02_30_R040113.pdf
2.子育て世代の域外流失により、出生率が上がりにくい
豊島区の自然動態は1992年(平成4年)以降、出生者数-死亡者数がマイナスの状態が続いており、2022年は-689人。また、2018~2022年(平成30年~令和4年)の合計特殊出生率は0.89※1と23区内で最も低く、全国でもワースト7位の水準です。
出生率が上がりにくい要因の一つとして、若者単身世帯の割合が多くファミリー層が少ない世帯構成が挙げられます。
豊島区の2015年時点の世帯総数176,376世帯の内、単独世帯は111,692世帯と全体の約63%を占めており、さらに単身世帯のうち世帯主年齢が20~39歳の世帯が占める割合は48%※2と23区平均の38%を大きく超え、23区中1位です。
加えて、豊島区の2010~2020年の世帯類型別世帯数の推移を見ると、単独世帯数は101,067から117,608に16,500世帯あまり増加している一方、ファミリー世帯は36,905から38,420と1,500世帯余りに留まっています。
日本一の高密都市・豊島区は、地価や不動産価格等が高い、居住面積が狭い、ファミリーに適した間取りの住宅供給が少ない、子どもを自由に遊ばせられるような大きな公園等が少ないなどの理由に加え、2014年時点では待機児童問題を抱えており、子育て世代の域外流出と少子化を加速させる要因となっていました。
これらのことから、他地域からの転入により社会増が生まれているものの、子育て世代が域外に転出し定住率・出生率ともに上がらないため人口が増えにくいという、豊島区ならではの課題が浮かび上がります。
※1:厚生労働省「平成 30 年~令和4年 人口動態保健所・市区町村別統計の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/other/hoken24/dl/gaikyou.pdf
※2:(出典)としま政策データブック2023
https://www.city.toshima.lg.jp/001/kuse/shisaku/shisaku/hakusho/008287/documents/documents/2023_zennbunn.pdf
消滅可能性都市から「女性にやさしいまち」へ
では豊島区は、これらの課題に対してどのように取り組んできたのでしょうか?
豊島区は、2014年5月の消滅可能性都市リスト発表を受け、直ちに区長を本部長とする「豊島区消滅可能性都市緊急対策本部」を設置。①子どもと女性にやさしいまちづくり②高齢になっても元気で住み続けられるまち③様々な地域との共生④日本の推進力の4つの柱を掲げ、特に「女性にやさしいまちづくり」を最重点政策に位置付けました。
同年7月には、20~30代の女性メンバーから成る「としまF1会議」を立ち上げ、そのキックオフイベントとして、豊島区に在住・在学・在勤の女性から率直な意見を聞く「としま100人女子会」を開催。としまF1会議メンバーからの直接提案を受け、以下の11事業を採択します。
1.「子育てナビゲーター」の配置
妊娠から子育てまでの情報提供と相談支援を行う「子育てナビゲーター」を区役所に配置。
2.子どもスキップ事業(学童保育の充実)
小学新一年生が対象の延長保育を4施設から8施設に増やし、仕事と子育ての両立を目指す。
3.プレパークの拡充
自然遊びを楽しむ「プレーパーク」の開設時間・曜日を増やし、「出張プレーパーク」も実施。
4.子育て支援・公園施設整備モデル事業
コミュニケーションの場として機能する理想の公園をつくる。
5.としま100人社長会
ワーク・ライフ・バランスを推進のため、区内事業所の社長100人を集めた「としま100人社長会」を実施するとともに、ワーク・ライフ・バランスの実態・ニーズを把握するためのヒアリング調査を実施。
6.女性のくらし支援出張講座
空き家・空き店舗を利用したサポート施設を設置し、子育て中も働きたい女性たちに向けた出張講座も開講。
7.女性のための起業支援
豊島区で起業したい、または起業した女性を対象に起業塾や交流会による支援を行う「サクラーヌBiz応援プロジェクト」を実施。
8.ソメイヨシノプロジェクト推進
ソメイヨシノ発祥の地としてのブランディング・情報発信に取り組む。
9.リノベーションまちづくり
遊休不動産や歴史的資源など、今ある資産を活用した民間主導の公民連携まちづくりに取り組み、リノベーションスクール等を開催。
10.「広報としま」の刷新
広報誌のデザインや発行形態を変え、誰もが読みやすく手に取ってもらえる広報誌に刷新する。
11.健康推進課・地域保健課窓口の設置
区役所内に出先施設である保健所(健康推進課・地域保健課)の出張窓口を設置し、母子健康関連の利便性を向上させる。
これらの政策・事業を推進していくため、2015年には8,800万円の予算を計上し、翌2016年には対策の中心となる「女性にやさしいまちづくり担当課」(2018年4月に「『わたしらしく、暮らせるまち。』推進室」に名称変更)を設置。民間公募を経て、外資系企業でマーケティング等を担当していた宮田麻子さんを担当課長として迎え、「としまぐらし会議」を始めとする新しいまちづくりのための取り組みを本格的にスタートさせました。
▼「女性にやさしいまちづくり担当課」「としまぐらし会議」に関する取材記事
【豊島区のまちづくり-前編-】東京の消滅可能性都市「豊島区」が起こす、本気の「まちづくり」。
https://turns.jp/19245
【豊島区のまちづくり-後編-】「住みたいまち」は、誰かがつくるのではなく、自分たちの手でつくる
https://turns.jp/19623
産学官民共創の新しいまちづくり
人口減少問題に取り組む自治体の多くが行政主導の社会増政策を採る中、なぜ豊島区は民間の意見を聞くところからプロジェクトをスタートさせたのでしょうか?
TURNSでは、豊島区役所政策経営部企画課長の澤田健司さんと、子ども家庭部子育て支援課長の安達絵美子さんに、政策の背景にある豊島区の思いを伺いました。
-消滅可能性都市からの脱却を図る上で、まず始めに民間の意見を聞く場を設けた背景にはどのような考えがあったのでしょうか?
一つは、2014年当時、高野之夫前区長が、消滅可能性都市からの脱却を図る上でも、当初から「まずは脱却の鍵を握る若い女性の声をきちんと聞いて、一人ひとりの豊島区への思いや一人ひとりの意見を真摯に受け止めるべき」という考えを持っていました。
当時、区が区民の皆様の声をお伺いする機会は町会や商店会など地域の区政関係団体などが中心で、なかなか若年層の女性個人の意見をお伺いする場は限られていました。そこで、消滅可能性都市の公表を機に、当事者である女性の声を直接聞く新たな場を創ろうと生まれたのが、『としまF1会議』であり『としま100人女子会』です。
もう一つは、東京23区の中で豊島区が唯一消滅可能性都市として大きく報道等で取り上げられたことで、区民の皆様の中でも危機意識が高まっていたこと。当時は消滅可能性都市に関する問い合わせや対策を求める声を多くいただきました。実際、『としま100人女子会』の参加者を一般公募すると、定員の100名を超える応募が集まるなど、まちづくりへの参画を求める機運の高まりを感じました。
-『としま100人女子会』や『としまぐらし会議』で民間の声を聞いたことで、区政に変化はありましたか?
それまで行政による「まちづくり」といえば、新しい施設の建設や既存施設の再整備など、ハード面の取組みが主体でした。一方、区民の皆様を交えた意見交換の場では、仕事や子育て、暮らし全般の具体的な支援を求める声が多く挙がり、日常生活に直結するようなソフト面の政策も求められていることに気付きました。
まちづくりは、個人・企業・団体などと広く連携しながら、ハードとソフトの両輪で進めて行くべきだと実感を持って理解できたことは、その後の区政にとって、とても大きな成果だったと思います。
100人女子会やとしまぐらし会議で培った『民間の声をしっかりと聞く』という精神は、今も「豊島区民による事業提案制度」や、子ども版広聴「子どもレター」「タウンミーティング」など、様々な形で区政に生き続けています。
■豊島区民による事業提案制度
区民が区に直接事業を提案できる制度。集まった提案は区民投票を経て選定され、次年度予算案に反映、事業化される。2023年度(令和5年度)からスタートし、初年度は233件の提案を受け、そのうち6件が令和6年度に事業化している。
https://www.city.toshima.lg.jp/553/2403050904.html
■子どもレター
子どもたちの声を区政に反映させるためにスタートした取り組み。教育関連施設や区民ひろば等に設置し、悩み事や相談事、子どもたちの率直な意見を聞き届けている。
子どもレターには、区役所職員考案のオリジナルキャラクター「なやミミ」「すいトリ」を載せるなど、子どもたちが親しみやすいよう工夫を凝らしたところ、年間500通を超えるレターが寄せられるようになり、その全てに職員と高際みゆき区長が目を通し、返信している。
▼子どもレター
https://www.city.toshima.lg.jp/016/kosodate/2306150920.html
-100人女子会やとしまぐらし会議の時に生まれたプロジェクトは、その後どのように発展していったのでしょうか?
企画から10年を経た今も動き続けているものもありますし、形を変えて続いているものもあります。また、様々なプロジェクトから派生して新たにスタートしたものもあります。
■としまパブリックトイレプロジェクト
100人女子会等で、公園のトイレが3K(暗い、怖い、汚い)で利用しにくいという声が多く寄せられたことから、区内約130か所の公園トイレのうち、85ヶ所を一気に改修。そのうち24ヶ所をアートで彩り、子どもから大人まで愛着を持って親しんでもらえるような公衆トイレに生まれ変わらせた。
https://www.city.toshima.lg.jp/ike-circle/tourism/spot/documents/arttoiletmap.pdf
■池ブルックリンプロジェクト
”カオスで多様な豊島区を楽しむ”をコンセプトに、有志の区民が豊島区の魅力を様々な方法で発信中。『としまぐらし会議』の参加者がグループで立ち上げたプロジェクトで、今も主体的な情報発信やイベント開催を継続している。http://ikebrooklyn.jp
■農縁公園プロジェクト
区内の公園や遊休地等に小さな農園やプランターを設置し、子どもから大人まで土に触れながら“緑”と“縁”を育むプロジェクト。『としまぐらし会議』から生まれ、このプロジェクトの経験を生かし、野菜やハーブの栽培ができる公園が街中に広がっている。
-こうしたプロジェクトを通してまちづくりに参画することで、民間側にも変化はありましたか?
一人ひとりが主体的にまちを面白がり、まちづくりを楽しむ風土が生まれたと感じます。
特にここ数年は、まちの人たちによる地域のコミュニティスポットやまちづくり活動の拠点が各所で生まれています。『ひがいけポンド』や『IKEBUKURO LIVING LOOP』、『Cleanup & Coffee Club』などがその好事例で、それぞれのコミュニティやプロジェクトで活躍した方々が、また他の人が新しい取り組みにチャレンジする時にサポートをするなど、住民同士の共助もこうしたコミュニティの中で育まれています。
■ひがいけポンド
東池袋にある日替わりのポップアップスペース。メンバーシップ登録をすると、施設内のキッチンやガレージを使って自分のお店や教室、イベント等を開くことができる。
https://higaike-pond.com
■IKEBUKURO LIVING LOOP
池袋東口エリアを中心に、リビングのように居心地の良いまちなかを目指す“まちなかリビング”プロジェクト。池袋東口グリーン大通りや南池袋公園で日常的にマルシェイベントを開催し、人と人との繋がりと賑わいを生み出している。https://ikebukuropark.com/livingloop/
■Cleanup&Coffee Club(通称:CCC)
近所の人とごみ拾いをした後、みんなでコーヒーを飲みながら交流する緩やかなコミュニティ。区内の拠点を中心に、多世代多種多様な地域の人の交流の場となっている。豊島区で生まれ、今では全国各地の約50ヶ所に広がった。
Instagram:https://www.instagram.com/cleanup_coffee_club_ccc
■豊島区すずらんスマイルプロジェクト
コロナ禍で人と人との交流が制限される中で、悩みや孤独感、生きづらさを抱える女性に寄り添うために生まれたプロジェクト。当初は、高際みゆき区長をリーダーに、女性管理職10名の区役所内を横断するプロジェクトチームとしてスタートたが、今では趣旨に賛同する若手女性職員や男性職員も参加するなど、全庁的な取り組みに発展している。https://www.city.toshima.lg.jp/suzuran/smile/gaiyo.html
また、今は区が新しい施策や取り組みを始めると、まちの方が『いい取り組みだから自分も協力したい』『自分はこういう風にサポートできる』など、好意的な反応を返して下さるようになり、区民の皆さまとの距離をより身近に感じられるようになりました。
おそらく消滅可能性都市対策の取り組みを始めるまでは、互いに接点がなく一人ひとりの顔や活動も見えていなかったので、そうしたリアクションも取りにくいし見えづらかったのではないかと思います。
-豊島区は、消滅可能性都市の指摘を受けたことを機に、官民共創のまちづくりへと舵を切った側面もあるのでしょうか?
そうですね。官民の垣根を越えてフランクに意見を交わせる今の豊島区の風土は、『消滅可能性都市から脱却する』という大きな共通目標に向かって、まちを挙げて取り組んだこの10年間の中で少しずつ育まれていったのではないかと思います。
『より良いまち』を思う主体同士が繋がって互いの活動を応援し合う良い土壌も、きっかけをたどっていくと、やはり消滅可能性都市からの脱却を掲げ、意見を出し合える場を作るところから一歩一歩取り組んだところに大きな転機があったのではないかと感じます。
まちづくり活動は行政の中だけで完結できるものはほとんどなく、民間の人たちと強みを持ち寄り、手を取り合いながら一つひとつ実現していく必要があります。今の豊島区の中ではそれが当たり前のこととして捉えられていると思います。
『Teamとしま』ではそうした共創のまちづくりを産学官まで広げ、“オールとしま”でまちづくりに取り組んでいます。
◾️Teamとしま
企業、団体、大学等が集い、それぞれの強み地域課題に生かし、豊島区をより良くしていくための産官学連携コンソーシアム。各参加組織によるプレゼンテーションや、リソース、課題の共有などを踏まえ、イベントの共催や社会実証を進めている。
https://team-toshima.jp
また、豊島区の魅力を高めるため、区の強みの一つである”文化”を軸に、「Hareza(ハレザ)池袋」「トキワ荘マンガミュージアム」や、池袋駅周辺の4つの公園整備など、まちの価値の向上にも努めてきました。
■Hareza池袋
2019年に開業した『Hareza池袋』。8つの劇場を有する文化活動の中心地として区内外から親しまれている
■池袋西口公園(GLOBAL RING)
文化芸術・地域の賑わい・情報発信拠点として、2019年に生まれた新たな劇場公園「GLOBAL RING」。開放的な雰囲気のなかで文化や芸術に触れ、噴水や照明が演出する幻想的な雰囲気や、カフェでの豊かな時を楽しめる公園として整備
■としまみどりの防災公園(IKE・SUNPARK)
2020年夏にオープンした、区内最大面積の公園。日常時は憩い、スポーツ、賑わいの創出等に、非常時は避難場所やヘリポート、災害用物資の集積所として活用
■南池袋公園
2016年に芝生とおしゃれなカフェが特徴的な公園としてリニューアルオープン。芝生の上でくつろぐ憩いの拠点
■中池袋公園
「アニメの聖地・池袋」の発信拠点として、公園内にアニメカフェを設置しており、人気アニメとコラボしたフードやドリンクを販売。様々なイベントに対応できるオープンスペースとして整備
■トキワ荘マンガミュージアム
かつて手塚治虫をはじめとする現代マンガの巨匠たちが住み集い、若き青春の日々を過ごした伝説のアパート「トキワ荘」。1982年(昭和57)年12月に解体されたが、2020年7月、マンガミュージアムとして開館
“ひと”が主役の持続発展都市へ
-2024年4月に発表された「令和6年・地方自治体『持続可能性』分析レポート」において、豊島区は消滅可能性都市からの脱却を果たしました。豊島区は、今後どのようなまちを目指していくのでしょうか?
区は令和7年3月、豊島区の未来の姿を描く新しい「基本構想・基本計画」を策定いたします。策定の過程では、ここにも審議会委員だけでなく、日頃声を聞くことが難しい大学生や外国人を対象としたタウンミーティングや、10代から80代まで幅広い区民の皆様にご参加いただいたワークショップなど、多くの区民の皆様の声をしっかりと受けとめ、区民目線で「目指す将来の姿」を描いてまいります。
これまでの“ひと”が中心のまちづくりの基本方針を継承しつつ発展させ、新たに3つの理念と7つのまちづくりの方向性を掲げました。
■3つの理念
・誰もがいつでも主役(平和・人権・多様性の尊重)
・みんながつながる(参画・協働・共創)
・出会いと笑顔が咲きほこる、憧れのまち(文化・歴史の継承、地域特性の活用)
■7つのまちづくりの方向性
・地域と共に支えあう安心・安全なまち
・活気とにぎわいを生み出す産業と観光のまち
・子育てしやすく、子ども・若者が自分らしく成長できるまち
・共につくる地球にも人にもやさしいまち
・生涯にわたり健康で、地域で共に暮らせる福祉のまち
・誰もが居心地の良い歩きたくなるまち
・豊かな心と活発な交流を育む多彩な文化のまち
2025~2029年に見据える新たなステージでは、誰もが主役になれる、住みたい、住み続けたいと思われるまちづくりをさらに推進し、区民の皆様と共に持続可能な都市をつくる、“みんながつながる”協働・共創のまちづくりを進めていく方針です。
今後も、「豊島区をこんなまちにしたい」という希望を区民の皆様と共に一つひとつ叶えて、誰もが愛着を持てるまちをみんなで創り上げていきたいです。
豊島区の「民間の声を聞く」という姿勢は、住民一人一人の中に「理想のまちは自分たちの力でつくれる」という確かな実感とまちへの愛着を育んだ。
消滅可能性都市というピンチを、産学官民共創の新しいまちを創るチャンスに変えた豊島区の取り組みを、人口減少問題に取り組む全ての自治体に参考にして欲しい。
取材協力:東京都豊島区
https://www.city.toshima.lg.jp/
取材・文:高田裕美