常陸太田で見つけた理想の働き方
東京から移住した若手エンジニアが実践する
ワーク・イン・ライフな生き方

自然に囲まれた地方暮らしは、都会に住む人たちの憧れの的です。しかし、実際に移住するとなると、「仕事の選択肢が限られてしまうのでは?」と不安を感じる方も多いでしょう。

東京から約2時間。豊かな自然に彩られた茨城県常陸太田市は、「常陸秋そば」やぶどう、梨などの特産品で知られる農業の盛んな地域であると同時に、ITやモノづくり、電子デバイスなど、さまざまな分野で活躍する企業が存在しています。

昭和21年創業の株式会社三友製作所は、精密機械加工の分野で常陸太田市の産業を長年支え続けてきました。県外からの人材も積極的に受け入れ、新たな視点と技術を取り入れることで、さらなる事業成長を目指しています。


創業当初につくられた看板はいまも大切に本社の門に掲示されています

本記事では、同社への就職を機に東京から移住した天神 皓てんじん あきらさんに、常陸太田市での仕事や生活スタイルについてお話を伺いました。

自然豊かな環境で最先端の仕事に携わる――そんなワーク・イン・ライフを実現できる新しいライフスタイルの可能性が、常陸太田市には広がっています。

 

モノづくりの実感が味わえる環境に惹かれて、Iターン就職を決意

三友製作所は現在、本社を含む4つの製造拠点を有しています。約300人の社員が機械加工部門、組立調整部門、設計開発部門に配属され、医療用分析機器、電子顕微鏡関連付属品、半導体故障解析用ツールなどの設計・製造に携わっています。

天神さんは千葉県の大学を卒業後、三友製作所に入社して今年で9年目となり、現在は本社の設備開発課で働いています。在学中に所属していた研究室で三友製作所との共同研究を経験し、同社の事業に興味を持ったのだと言います。

「設計と製造の現場が近く、モノづくりの実感が味わえる環境と、東京都練馬区の実家からのアクセスの良さに魅力を感じました」と入社の決め手を語ります。


天神 皓さん

天神さんが大学時代に研究室で使用していたソフトウェアは、職場でも活用できるものであったこともあり、上司や先輩の指導を仰ぎながらスムーズに業務に適応できたそうです。

「本社は2階に設計の部署、1階に工場という配置で、製造現場とすぐに相談できる環境です。ベテラン社員の方言を聞き取るのは難しかったですが、コミュニケーションに支障はありませんでした」と、入社当初を振り返ります。


製造部門との打ち合わせにのぞむ天神さん。他部署の社員とも円滑にコミュニケーションをとれる職場環境です

 

お客さまと直接向き合える仕事の充実感

三友製作所では、多くのモノづくり企業で見られる設計、製造、営業の完全な分業体制とは異なり、設計開発担当者も直接クライアントと打ち合わせを行います。

「お客さまと対面して、ご要望をヒアリングすることで、表面的な理解にとどまらず、その真意まで思いを巡らせることができます。お客さまの顔が見えるというのは、当社ならではの強みなのかもしれません」(天神さん)

入社3年目で一つの案件を最初から最後まで担当するようになり、達成感を得られるようになったそうです。

「自分が設計したものが想定通りに機能したときには、よしっ!と手応えを感じます。これからは仕事の質とスピードをさらに高めて、お客さまの求めるものを的確に提供していきたいですね」

常陸太田市で、ひとりの若きエンジニアが着実に成長を続けている様子がうかがえます。


図面を検討する天神さん。いまや設計開発部門の主力の一人に

 

地方でも多様な人材が活躍できる環境を整備

三友製作所では、社員一人ひとりが最大限に能力を発揮できる職場環境づくりを大切にしています。天神さんの活躍は、その成果を示す一例です。また、次世代を見据えた技術開発を進めるため、新たな社内体制の構築にも取り組んでいます。同社が目指す組織づくりについて、常務取締役の加藤木 真紀かとうぎ まきさんにお話を伺いました。


三友製作所本社前にて常務取締役・加藤木 真紀さん(右)と天神さん(左)

「設計から製造、組み立てまで一貫したモノづくりができることが私たちの強みです。地方に拠点を置く企業ではありますが、最先端の技術に挑戦し続けている自負があります。また、当社では幅広い人材の獲得に力を入れており、特に設計開発部門では、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍しています。新規事業開発のためにも、ぜひ新たな視点と専門性をもつ人たちにも加わってほしいですね。このような私たちのビジョンに共感し、技術革新に情熱を持つ方々にとって、ここでのキャリアは非常にやりがいのあるものになるでしょう」(加藤木さん)

製造工程の自動化やテレワークの導入など、働きやすい環境づくりにも取り組み、多様な社員のニーズに応える柔軟な組織体制の構築を進めています。


三友製作所の製品。半導体やナノテクノロジーなど最先端分野で使われています(写真提供:株式会社三友製作所)

 

都会では味わえない景色と味覚を堪能

天神さんは現在、市内のアパートで一人暮らしを満喫中。実家を出て、社会人生活も9年目を迎え、料理、洗濯、掃除も手慣れたもの。「実家を出て、できることが増えたのは自信になりましたね」と語ります。

東京育ちの天神さんは、常陸太田市の星空の美しさに感動したと言います。

「こちらは自然が豊かで四季の移り変わりも東京より鮮やかですね。新緑も紅葉も見応えがあります。東京の夜は人工的な輝きに満ちていましたが、ここでは真っ暗な夜空に輝く星を眺めながら、心静かに過ごせます」

週末はドライブを楽しみ、美しい渓谷として知られる竜神峡などを巡ったり、「常陸秋そば」の名店でランチをとるのが定番コースなのだとか。

「ドライブの帰り道に地元のスーパーに立ち寄ると、旬の野菜や果物がリーズナブルな価格で手に入ります。こんな贅沢な休日は、都会ではなかなか味わえません」と、常陸太田市での生活に満足している様子。長年住み続けるうちに、この地が大切な第二のふるさとになりつつあるようです。


天神さんが惚れ込んだという常陸太田市の星空。都会では味わえない景色です

 

常陸太田市で理想のワーク・イン・ライフを
移住者と地元企業とのマッチングを市が支援

常陸太田市では、三友製作所と天神さんのような地元企業と移住者のマッチングを促進するため、移住や就業に関する情報提供、就職相談、企業紹介、就職面接会など、さまざまな支援を行っています。さらに、多様な働き方に対応するため、テレワーク移住者向けの奨励金制度も設けています。ここでは、常陸太田市が提供する各種就労支援について詳しく紹介します。

 

●常陸太田市就職面接・説明会

https://www.city.hitachiota.ibaraki.jp/page/page009754.html

第1回 令和6年8月7日(水)

第2回 令和6年11月15日(金)

第3回 令和7年2月7日(金)

第1回では、市内の企業8社が参加の予定。業種は、精密機械加工、食品加工、林業、木型製造、教育・保育、介護など多岐にわたり、複数の企業の担当者と直接面談することができます。ハローワークへの登録・紹介状の交付などが必要です。

 

●常陸太田市企業ガイドウェブサイト

https://www.hitachiota-companyguide.jp/

常陸太田市内の登録企業を検索することができます。業種、エリア、採用区分などの項目から企業を絞り込むことが可能です。各企業の会社概要に加えて、「先輩社員の声」や「求める人材」といった、就職活動に役立つ情報も閲覧できます。

 

●常陸太田市移住デジタルパンフレット「Re LIFE」

https://www.city.hitachiota.ibaraki.jp/data/ijyu/book/index.html#target/page_no=1

移住や二地域居住を検討している方、また旅行者向けに、常陸太田市の地域情報や移住者の体験談、さらに移住支援制度の詳細を掲載したガイドブック。特に「移住へのステップ」のコーナーでは、情報収集の手順や利用できる制度がわかりやすく示されています。

 

●常陸太田市テレワーク移住奨励金事業

https://www.city.hitachiota.ibaraki.jp/page/page007172.html

常陸太田市は、市外からの移住を促進するため、テレワークを継続しながら当市に移住する方を対象とした奨励金制度を設けています。条件を満たした場合、子育て世帯には30万円、それ以外の世帯には20万円の奨励金が支給されます。

 

●移住・定住相談室「じょうづるライフ3110(さあ、移住!)」

https://www.city.hitachiota.ibaraki.jp/page/page003100.html

常陸太田市への移住・定住に関する相談窓口。就労のほか、空き家情報や子育て支援、教育、交通など移住・定住の相談に幅広く対応します。

 

移住において「仕事」と「支援制度」は重要なポイントです。常陸太田市の充実した就労支援を活用し、あなたも自然豊かな環境で理想的な仕事と暮らしのバランスを実現しませんか?

 

常陸太田市ってどんなところ?

常陸太田市は、茨城県の県北地域に位置する、豊かな自然と深い歴史を誇る人口約4万5千人のまちです。車なら常磐自動車道「那珂IC」または「日立南太田IC」から約20分、公共交通機関ではJR常磐線水戸駅から水郡線に乗り換え、のどかな田園風景を楽しみながら約40分で常陸太田駅に到着します。東京からは、車・鉄道ともに約2時間でアクセスできます。

常陸太田市の歴史は古く、縄文・弥生時代から地域の中心として栄えてきました。江戸時代には水戸藩の領地となり発展を遂げ、明治時代以降も郡役所が置かれ、行政の中心地として、また、棚倉街道沿いの商業都市として繁栄を続けてきました。近年では、平成16年に近接していた金砂郷町、水府村、里美村との合併を経て現在の市域となり、茨城県内最大の面積を有しています。

最近では、買い物環境の改善や雇用の創出などを目的として、国道沿いに新たな市街地の整備を進めていますが、この新市街地の公道では、自動運転EVバス(愛称:じょっピー)の運行が開始されるなど、近未来的な取り組みも推進されています。また、令和6年は、市制施行から70周年、合併 20周年という節目の年でもあり、さまざまな記念事業が計画されています。


自動運転EVバス(愛称「じょっピー」)と市公式マスコットキャラクター「じょうづるさん」

自然の恵みも豊かで、久慈川の支流である里川、山田川、浅川が流れ、河川沿いには平野が広がり、四季折々の景色を楽しむことができます。また、西山御殿や旧茨城県立太田中学校講堂などの歴史的建造物、竜神大吊橋などの観光スポットがあり、梨やぶどう、常陸秋そばなどの特産品も有名です。


竜神峡に掛かる鉄橋「竜神大吊橋」は橋長375m。日本でも有数の長さで知られる歩行者用の吊り橋です。ゴールデンウィークにはたくさんの鯉のぼりが観光客を楽しませています

常陸太田市は、歴史探訪や自然体験、地域の食文化を楽しみたい方々にとって、理想的な移住先と言えるでしょう。

 

取材・文:渡辺圭彦 撮影:中村 晃

                   

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