TURNS

長野県・諏訪市
移住体験インターンシップレポート

空気がきれいで空が広く、
人混みも満員電車もない
湖に見守られる諏訪の暮らし。

長野県のほぼ中央に位置する諏訪市。山々に囲まれた緑豊かな環境ながら、新宿駅・名古屋駅からそれぞれ電車で約2時間とアクセスが良いまちです。花火や「御神渡り」で有名な諏訪湖や霧ヶ峰など豊かな自然があり、精密機械工業が盛んなことから「東洋のスイス」と呼ばれるなど自然と暮らしやすさのバランスがいい諏訪市では、現在「移住体験住宅×インターンシップ」事業を開催中。参加した大学生の牛尼優菜さんにお話を聞きました。

 

無料で気軽に参加できる
「諏訪市移住体験住宅×インターンシッププログラム」

諏訪市に一定期間滞在して「暮らす」「知る」「働く」をトータルで体験できる、「諏訪市移住体験住宅×インターンシッププログラム」。事前に体験希望者にヒアリングを行い、希望に添ってプログラムとスケジュールが組まれます。

今回参加した牛尼優菜さんは、諏訪市の隣町である茅野市出身。現在は地元を離れ、首都圏の大学に通っています。3年生になり就職を意識し始めた2020年春、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けて緊急事態宣言が発令。不要不急の外出自粛が求められ、授業もすべてオンラインで行われるなど生活は一変しました。

コロナ禍で学内の“学びの機会”が制限される中、「時間がある今だからこそ、新しいことにチャレンジしてみよう!」と考えた牛尼さん。卒業後は長野へのUターンをイメージしていたことから、諏訪市の「移住体験住宅×インターンシッププログラム」への参加を決めたといいます。

 

一人暮らしをしながら、諏訪で働く自分をイメージ

まずは「諏訪市で暮らす」を体験。プログラムでは生活に必要な設備や家具が整った体験住宅に無料で住むことができ、期間中は市民と同じ暮らしを送ることができます。

「大学を卒業したら一人暮らしをしたい気持ちもあるので、仕事をはじめ生活まるごと一人で移住体験できることに魅力を感じました。自立という実感はまだ湧きませんが、気が引き締まって、社会人に一歩近づけるような小さな発見もありました。例えば『仕事に絶対遅刻できない』だとか、『戸締まりをちゃんとやらなきゃ』だとか。当たり前のことかもしれませんね」

▲移住体験中の住宅は、駅やコンビニ、スーパーや病院も車で15分圏内にひと通りそろう便利な環境

▲移住体験期間中は、諏訪市の特徴や交通事情、生活環境を知るために市内循環の「かりんちゃんバス」に乗ったり観光地や人気のスポットを巡ったりすることもできます

そして「諏訪市で働く」も体験。プログラム参加者は諏訪市内で興味がある数社にインターンシップとして参加することができます。

自然豊かで精密の産業が盛んなことから「東洋のスイス」と呼ばれる諏訪地域。生糸産業から始まり、戦後の高度成長期を経て、現在では精密で微細な加工技術をさらに進化させながら医療関係の製品や自動車部品のものづくりにも進出しています。インターンシップでは諏訪圏ものづくり推進機構がパイプとなって希望者と企業のマッチングを行うので、安心して体験することができます。そのほか観光産業、自治体業務なども体験可能です。

「『大学を卒業したら地元で就職したい』という気持ちはありましたが、どんな仕事に就きたいのか、文系の大学を専攻した自分に何ができるのか、はっきりイメージがあったわけではなくて。諏訪のものづくりに興味はあるものの、新卒の私には難しいかもしれない…。将来についていろいろな可能性を考える中で、今回のインターンシップでは医療分野に関係するものづくり製造業、宿泊業、市役所での仕事を希望しました」

 

〈インターンシップ1日目 太陽工業株式会社〉
目に見えない部分で、医療に携わる仕事ができる

インターンシップ1日目は太陽工業株式会社へ。主に金型製作・プレス加工・表面処理を行う会社で、医療部品や自動車部品、ITデジタル関連の微細部品を製造しています。

午前中は会社説明の映像を見てから工場を見学。「これまではこうした部品を見てもどのような物や場面で使われるか想像できませんでしたが、実は身近なところで使われていたり、車の部品や医療現場でも多く使われていることを知りました」

午後は「クリップ」の製造を体験。ものづくりの基本となる、一枚の板をプレス加工し、曲げ、バリ取りする工程を実際に自分の手で行いました。

牛尼さんが太陽工業のインターンシップに参加したきっかけは、「将来、医療分野の仕事に携わりたい」という思いでした。

「5年前、祖父が他界しました。まだ60代だったので、これからも一緒にいろいろなことを楽しみたいと思っていたのに、突然亡くなってしまったことがとてもショックで。もっと元気でいてほしかった、もっと一緒にいろいろなところに出かけたかった。祖父の死をきっかけに、健康でいることの大切さを思い知らされ、将来は医療に関わる仕事、直接現場ではなくても目に見えない部分で携わりたいと思うようになったのです」

文系学部出身で、ものづくり分野に進むのは難しいかもしれないという不安も、今回の企業訪問で解消したようです。

「太陽工業は文系分野出身など未経験から入社して活躍している社員の方も多く、入社後も資格取得制度があるなどサポート体制も充実しているので、働きながら成長できる会社だと感じました」

 

〈インターンシップ2日目 諏訪市役所〉
地域戦略と観光地の経済を学ぶ

2日目は諏訪市役所でインターンシップ体験。地域戦略係と観光係の業務内容について説明を受けました。

「観光係で聞いたコロナ禍における観光地の経済事情と、いかにお客様に楽しんでいただくかというお話が印象的でした。今までは観光客として楽しむ視点しかありませんでしたが、お客様に楽しんでいただくことを第一に考える視点を得られたことは大きな発見でした。また、観光地の経済がどのように回っているのか、一連の流れを知ることができたのはとても参考になりました」

 

〈インターンシップ3日目 駅前交流テラス「すわっチャオ」〉
「お客様を迎える」という役割を体験

3日目は、上諏訪駅前の「アーク諏訪」3階にある駅前交流テラス「すわっチャオ」(※)で受付業務を体験。「すわっチャオ」は諏訪市が管理している公共の交流スペースで、オープンルーム、会議室、学習室、バンド練習で利用できる防音設備の整ったスタジオ、茶道や着付けのできる和室が完備されています。

牛尼さんは受付業務に加え、来場者の検温や施設内の消毒業務を体験。コロナ禍の中、利用者に安心して使っていただけるよう気を配る業務を経験しました。

※駅前交流テラス「すわっチャオ」:上諏訪駅前に令和元年5月にオープンした複合商業施設「アーク諏訪」3階にある公共スペース。ビジネス拠点となるコワーキングスペースや移住相談ができる諏訪圏移住相談センターが併設されています。

 

〈インターンシップ4日目 ホテル紅や〉
短時間で、丁寧に綺麗に。「ホテルの清掃って大変!」

4日目は「ホテル紅や」で客室清掃業務を体験。
「観光地を訪れるといつもホテルの客室がきれいで、旅行中の私たちを気持ちよく迎えてくれるのが心地いいです。観光客を迎える側に立った時、どのように客室を整え、お客様を迎える準備をするのか現場を知りたいと思い、ホテル清掃業務の体験を希望しました」と話す牛尼さん。実際に体験してみると、掃除のプロの仕事に驚きを感じたそうです。

「少ない人数で限られた時間の中、細部まで気を配りながら掃除機かけ、ベッドメイク、お風呂やトイレの掃除、窓拭き、備品のチェックと補充を行います。短時間で丁寧にきれいに、スピードと正確性が問われる内容でしたが、とても良い体験になりました。これから観光地へ行った時は、見えない部分で働いている方にも感謝の気持ちを持ちたいと思います」

 

最終日は諏訪湖でアウトドア

最終日は、インターンシップの記念にサイクリングとカヤックを体験した牛尼さん。諏訪湖周辺は自転車専用のサイクリングロード(現在工事進行中・完成予定2024年)と、足にやさしいゴムチップ舗装のジョギング・ウォーキングロードがあるだけでなく、人気のカヤックも気軽に体験できるスポットとして話題です。

▲湖畔を渡る風が心地いいサイクリングロードは諏訪の魅力の一つ

「自転車はちょっと苦手だったのですが、自転車専用ロードなので安心して走ることができました。青空の下、諏訪湖の風を感じながら走れる気持ち良さを知り、もっと自転車に乗りたくなりましたね。諏訪湖を一周できるサイクリングロードの完成が楽しみです」

▲周囲の山々と街並みを眺めながらカヤックで穏やかなひととき

「諏訪湖から眺める景色がこんなに美しいとは、想像以上でした。船やスワンボートと違い、カヤックは湖面がすぐそばにあって。湖面に空の景色が映って、とても幻想的でしたね。パドル一本の操作で、漕ぐのも止まるのも自由。漕ぐ手を止めて、諏訪湖や青空を眺めてみると時間の流れをゆったりと感じられました」

 

空気がきれいで、空が広いまちで暮らしたい

移住体験とインターンシップを通じて、諏訪での暮らしが具体的にイメージできるようになったと話す牛尼さん。

「『大学を卒業したら長野県に帰って来よう』とぼんやり思い描いていましたが、仕事と暮らしを実際に体験したことで、諏訪市での生活がイメージしやすくなりました。一度故郷を出て首都圏で暮らしたからこそ、長野県の魅力に改めて気づけたのだと思います。ありきたりな言葉ですが、やっぱり『空気がきれいで空が広い』環境は私にとって大きな魅力です。

卒業後のことはまだはっきりしていませんが、今回のインターンシップはとても良い体験になりました。『文系だからものづくり分野は難しいのでは?』という心配もなくなり、これから仕事を探す上で自信と励みになりそうです」

「私のように、大学へ行くために地元を離れたけれど『やっぱり自然豊かな場所で暮らしたい』と感じている方は多いのではないでしょうか。Uターン就職やIターン就職を考える時、仕事への不安はつきものですが、短期間で手軽にできる移住体験はそんな不安を解消するきっかけになると思います」

「諏訪市に住むようになったら、休日はカヤックを楽しみたいな」と、笑顔で語る牛尼さん。移住体験を通して、ますます諏訪湖のある諏訪市が好きになったそうです。春は桜並木、夏は花火、秋は湖周を彩る紅葉、冬は氷の張る諏訪湖の近くで四季を感じながら、ゆったりと楽しく暮らしていく。そんな未来が待っている気がします。

取材・撮影/小林ルリ子(nostyle)、諏訪市   編集/渡辺さとし(ナベドコロ)

 

<問い合わせ先>—————————————————————————————————

諏訪市企画部地域戦略・男女共同参画課地域戦略係 移住体験住宅担当
TEL:0266-52-4141(内線283、285)
E-Mail:senryaku@city.suwa.lg.jp

〇諏訪市への移住定住サポートサイト「諏訪で暮らそう!」
http://www.city.suwa.lg.jp/www/iju/index.jsp

〇諏訪市空き家・空き地バンク
http://www.city.suwa.lg.jp/akiyabank/