いつか移住したい。
その気持ちにそっと手を差し伸べる「移住・定住サイト」が全国各地に存在します。
移住に関する住まいや仕事のこと、子育て・起業・空き家活用などの支援制度、先輩移住者の暮らしといった情報を各自治体がまとめた、言うならば“知ってトクする移住の手引き”です。
そこで「島のような穏やかなまちに移住したい。でも島暮らしって不便かな…」と悩んでいる方に特におすすめしたいのが、橋で渡れる島・熊本県天草市。ここ数年で20〜30代の移住者が続々と増加している全国的にも珍しい地域です。どんなまち?人気の理由は?などを探るべく移住・定住サイト「あまくさライフ」を一緒に覗いていきましょう。
農業・漁業・ものづくりの島。風光明媚な天草市の暮らし
東シナ海・有明海・八代海の3つの海に囲まれた熊本県南西部に位置する天草市。冬は暖かく夏は比較的涼しい海洋性の気候で、雄大な自然の恩恵を受けて農林水産業が盛んです。
人口は約8万人。驚くべきことに、2008~2019年にわたる約11年間の間で、341世帯・665人が天草市に移住しています。とりわけ2016年以降、毎年約100人ずつ移住者が増加。全体のうち7割が60歳未満で、最も多い年齢層は20~30代。Uターン移住者は約3割で、関東や関西からやってきたIターン移住者が多い傾向にあります。
北部・五和町通詞島の沖合には、約200頭のミナミハンドウイルカが生息しています。(提供:天草イルカラボ)
南部に向かうと、世界遺産のひとつに登録された、かつての潜伏キリシタンの里「天草の﨑津集落」があります。
天草市の春の風物詩「牛深ハイヤ祭り」。観光業も盛んで、この祭りを目指して毎年約3.8万人の観光客が訪れます。
また、天草市が陶磁器の原料となる陶石の国内生産量8割を占め、さらに壮大な自然環境で感受性を磨きやすいことなどから、若き陶芸家やガラス作家、油絵作家、天草の植物を用いて自らアロマオイルを手掛けるアロマセラピストなど、ものづくりに関心の強い人々が数多く暮らしています。移住者からも「想像以上に作家さんが多くてびっくりしました」と声があがるほどです。
「牛深ハイヤ祭り」をモチーフに絵付けされた陶芸作品。
人気の理由① 交通インフラと生活利便施設の充実
移住者が天草市に惹かれる理由として、まずお伝えしたいのは“住みやすさ”です。
アクセス至便!…とまでは言えませんが、交通インフラは陸・海・空と各路が揃っています。天草市内に鉄道は走っていませんが、熊本駅から天草市まで車で約2時間・バスなら約2時間半、鹿児島の蔵之元港からフェリーで約30分、福岡空港から約35分と、中心市街地との往来手段が多数あり、とりわけ夏や春になると美しい自然や歴史、海の幸を求めて近隣県から訪れる人々の姿でまちが賑わいます。
北部に中心街があり、南部に行くほどローカル感が強まります。交通の詳細は「交通アクセス」をご参照ください。
加えて、島内に生活利便施設が整っていることも嬉しいポイントです。“島”と聞くと病院・学校・商業施設が少ないイメージですが、天草市の総面積は県下最大となる683.87k㎡を誇り、暮らしの機能は陸続きの地域とほぼ同等に揃っています。
公立の病院は7施設、民間の病院は100施設以上。公立保育所は2カ所、私立保育園は46カ所、公立幼稚園は3カ所、私立幼稚園は3カ所、児童館や認定子ども園なども複数あり、小学校は17校、中学校は13校、高校は4校、大学はありませんが看護系の専修学校はあります。大型のショッピングセンターやスーパーマーケット、コンビニもあり、買い物に不便さを感じることはないでしょう。
他にも、もし暮らしや仕事に関する不安があれば「よくあるQ&A」をチェックしてみてください。
島と本土のイイトコ取りをしたような天草市。だんだん心惹かれるなかで気になるのは、空き家の家賃相場ですよね。空き家を効率的に探せるサイト「空き家バンク」に登録されている物件の家賃相場は、なんと月2〜4万円。さらに「空き家バンク」の豊富な登録物件数が天草市の人気に拍車を掛けているのです。
人気の理由② 「空き家バンク」をはじめとする多数の支援制度
移住の決め手になると言っても過言ではないのが、支援制度の手厚さです。
最大300万円の起業創業補助金や、お試し滞在施設、高校生(18歳)まで医療費が無料となる子ども医療費助成制度、東京での移住相談会の開催、そして「あまくさライフ」による情報発信など、住まい・仕事・暮らし・情報の4本柱で移住と定住を徹底的にサポートしています。
なかでも特筆すべきは、前述した「空き家バンク」です。100件を超える賃貸・売買の空き家や空き店舗などの情報が一覧でずらりと並び、そこから地区や金額で検索できるようになっています。そのうえ「空き家バンク」を活用し要件を満たせば、最大100万円の空き家活用事業補助金や定住促進奨励金が支給されるという、至れり尽せりな仕組みです。
天草市で40年以上続く活版印刷文化をつなぐ「本屋と活版印刷所」
約5年前に埼玉県からIターン移住し、現在は農作物のオンライン販売の管理業務や、「本屋と活版印刷所」の店番、ときには地元ラジオのパーソナリティを務めるなど多岐にわたって活動する森本 千佳さんも「空き家バンク」で住まいを決めたといいます。
森本さんは「移住前、土地勘を掴むためにも毎日『空き家バンク』をチェックしていました。遠くに暮らしながらも複数の選択肢から物件を探せるって重要ですね」と話します。
熊本県内への移住を検討した際に、東京で開催された移住相談会に参加し、天草市のことを知ったそうです。
住まいのめどが立てば、次は仕事探しです。「農業や漁業に興味はあるけど、経験がないから無理かな…」と思っている方はご安心を。農林水産業の就業支援制度も充実しています。
例えば、農業技術の習得のため研修に専念する就農希望者を最大300万円で支援する新規就農給付金や、漁業就業を希望する新規就業者を対象に体験の場を設ける体験漁業など。「あまくさライフ」で紹介されている制度以外にもまだまだあるそうなので、気になる方はお問い合わせからご連絡、または東京で開催されるイベントにぜひ参加してみてください。
農業研修で経験を積みながら、実家である「そらよかファーム」での実践に取り組む原田 孝平さん。
漁業研修中の舛井 博紀さん。真珠やヒオウギ貝の養殖をしています。
天草市が気になる方は、とりあえずご相談を!!
天草市では、実際に移住を体験した方を「移住・定住コーディネーター」として任用し、移住希望者からの相談にきめ細かく対応しています。コロナ禍を受けて、最近は「都会を離れて地方での生活を愉しみながら仕事をしたい」「テレワークできる場所はあるの?」という相談も少しずつ増えてきているようです。市が任用する3名のコーディネーターからは、天草市の良いところだけではなく、移住を体験したからこそわかる悪いところや注意すべき点など幅広い情報を聞くことができますので、まずは下記にご相談を!!
お問い合わせ
天草市地域政策課定住促進係
facebookページがこちら。
電話:0969-27-6000
メール:iju★city.amakusa.lg.jp
※★を@に変えてご利用ください。
熊本県天草市の移住・定住ポータルサイト「あまくさライフ」をTURNS目線で覗く今回の記事はいかがでしたか? まずは「へぇ、こんな良さそうな島があるんだ。今度行ってみようかな」などと思っていただけましたら幸いです。
ひとりひとりにとって納得のいく暮らしが見つかりますように。
文/前田 有佳利 写真/あまくさライフ・天草市
※最終記事情報更新日:2021年3月
天草の特産品&お土産