「初めて帰りたくなる場所ができた」
新潟県妙高市の魅力とは

雪がしんしんと降り、積もると3mを超える豪雪の冬。

真っ白な里山の景色から、緑いっぱいの景色に変わり、命の芽吹きを感じる春。

まるで日本の四季の原風景が、宝石箱のようにキラキラ詰まっている場所が新潟県妙高市妙高高原地域の日常です。

そんな妙高市に移住した伊藤さんご夫婦が、妙高市と出逢い、移住するまでにどんな物語があったのかを尋ねました。

– プロフィール –

伊藤 雅文さん
1982年、三重県生まれ。小学校時代の群馬県での山村留学がきっかけとなり「自然と近い場所で暮らしたい」という想いが芽生える。オーストラリアでの生活を経て、帰国後に妙高市のアウトドア専門学校に入学。卒業後は日本各地で自然保護事業に従事。現在は、これまでの経験を活かしながら伐採士・空士として独立し、林業を営んでいる。

伊藤 佳菜さん
1980年、大阪府生まれ。大阪芸術大学空間デザイン学科を卒業後、ニューヨークへ留学。帰国後は東京でホテルや飲食店などのプロデュースをする会社に勤めた後、フリーランスとしてライフイベントのプランニング、雑誌やCMの空間スタイリングなどを手掛ける。妙高市へは結婚をきっかけに移住。

 

妙高市との出逢いは、自然への興味関心から

妙高市との出逢いは、移住者一人一人に物語があります。
伊藤さんご夫婦は、お二人とも移住者です。一体どのような物語を経て妙高市に辿り着いたのでしょうか。

雅文さん「小学生のとき、地元である三重県の親元を離れ、群馬県に山村留学をしていました。森や動物をより身近に感じられて、自然への関心が強まったのも当時の経験が原点かもしれません。」

その後、お父様の仕事の都合により、5年ほどオーストラリアへ。
帰国後は車で日本各地を旅しながら今後の暮らしについて考えたそうです。

雅文さん「もう一度オーストラリアに行こうかなとも考えていたんですが、いろいろ模索する中で見つけたのが、妙高市の国際自然環境アウトドア専門学校でした。正直なところ、当時は漠然と『ここに行ってみようかな』という感じでした。」

 

自然の中で働く想いが強くなり、妙高で林業を志す

妙高市にある国際自然環境アウトドア専門学校は、観光、自然環境保全、教育、健康という4つの軸を中心に「人と自然をつなぐプロフェッショナルを目指す」ための教育機関。雅文さんは、この学校との出会いによって妙高市の雄大な自然の中で、自身の興味関心分野を深めることができたのです。

国際自然環境アウトドア専門学校の環境保全学科で動物や自然について勉強をされ、その知識を活かしながら、外来種対策として奄美大島でのマングースの駆除や、長野県での猛禽類の調査など、日本各地で自然環境と関わりを持つ仕事に従事して経験を積まれました。各地に身を置いた後、なぜまた妙高に帰って来ようと思われたのでしょうか。

雅文さん「もちろん妙高よりも過ごしやすく穏やかな気候の地域もたくさんありました。どこも最初はいいなと思うんですが、だんだん物足りないと感じるようになってしまって。自分は妙高の厳しい自然が好きなんだなと改めて思いました。『妙高の雪と山』これが自分にとっては一番の魅力です。また、妙高は地域の人との距離感が自分にはちょうど良いですね。排他的すぎず、だからと言って干渉しすぎない。良い意味で放っておいてくれるような、遠巻きに見守ってくれるような、そんな距離感が心地良いです。また、専門学校のときの仲間で妙高に住み続けている人が多いことも良かったですね。」


▲出荷するために育苗している杉の苗をチェックする雅文さん。

そうして妙高市に移住し、選んだ仕事は「林業」でした。妙高市は全体の77.7%が森林でありながら高齢化と担い手不足が課題となっている地域。その中で次の世代へ自然を残していける林業家になることを決めたのです。自身の住まいと役割を持つことで、妙高に対する思い入れは強くなっていったそうです。

雅文さん「林業は、活用できる幅がとにかく広いんですよ。例えば、家の構造材や角材は“木”からできているし、紙も“木”からできている。そうした“木”に関わる仕事は地域の中で成立し循環するので、結果的に妙高のためになるといいなと思っています。」

 

夫婦で暮らすことで見えてきた妙高の更なる魅力

雅文さんの妙高市での暮らしを豊かにしているのは、仕事の林業だけではなく、奥さんの佳菜さんの存在もありました。出身が大阪という佳菜さんは、雅文さんと出逢うまでは妙高市に縁がなかったといいます。田舎での暮らしに不安はなかったのでしょうか。

佳菜さん「自然の中での暮らしに興味がなかったわけではないですが、きっと自分では選べなかったかなと思います。不安というより、自分一人ではチャレンジ出来なかったことにチャレンジするチャンス!と受け止めていたかな。実際に暮らしてみると、冬の生活も思っていたほど息が詰まる感じでもなくて、その環境はその環境で楽しみ方があるんだなと思いました。家に友達を呼んで、みんなで鍋を囲んで…翌日は一緒に雪かきをして。大変だけど楽しめてもいます。あの、生命の危機すら感じさせる自然が、何か動物の本能のようなものを呼び覚ますんでしょうか?(笑) 都会で生活していると味わうことのない感覚かもしれませんね。」

いきなり移住となるとハードルが高いかもしれませんが、佳菜さんのように、東京と妙高を行ったりきたりし、少しずつ地域を知ることによって自然な流れで「パートナーと共に暮らす」移住ができたのかもしれません。

 

「ただいま」と言える妙高の暮らし

現在、佳菜さんのお腹には新しい命が宿っており、来年には出産予定だそうです。伊藤さん一家はこれからどのように妙高市で暮らしていくのでしょうか。

佳菜さん「地域に溶け込むことも大切にしつつ、いまある環境に受け身でいるだけでなく、自分でも何かを生み出していけたらなと思っています。例えば、子どもや教育のこと、アートと自然、食なども自分の中にずっとあるキーワードです。今までとは違った、この自然豊かな環境で子どもを育て、また新たなライフステージから見えてくることで出来る発信もあると思います。」

雅文さん「一人の時は関わりが少なかったけれど、結婚したことで地域の一員としてさらに認めてもらえたのか、最近では町内会で役がつきました。地元の中に着実に入っていっているんだなと実感しましたね。
自分たちの暮らしがこの妙高で築かれて、初めて「帰る場所」ができた気がします。今では、実家には“行く”という感覚ですが、妙高は“帰る”場所になりました。」

豪雪ということもあり、「冬は厳しい」というイメージもまだまだ根強い雪国ですが、2人はこんなことをおっしゃられていました。

佳菜さん「雅文さんが『枯れて枝だけになった景色が雪で真っ白になって、冬はすべての時が止まったように見えるけれど、春になると一斉に芽吹いて緑になっていく様子は、きっと何か感じるものがあると思うよ。』と話してくれたことがとても印象的です。実際に体験してみて、これが彼を惹きつけた妙高の魅力なんだなと思いますね。」


▲秋の楽しみは、庭での栗拾いと原木で育てているきのこの収獲。

雅文さん冬が一番楽しいかもしれません。雪が降ると日常にメリハリもできるし、気温だけじゃなく視覚でも四季を実感することができる。確かに大変なこともあるけれど、雪の日に訪れる“晴れ間”の気持ち良さ、太陽に反射する雪が眩しいほどに輝く美しさ、春になり草木が芽吹き、自然が動き始めたときに感じる解放感…。地元の人たちが言っていた『冬を乗り越えた後の、春になる感動は何年経ってもある』というのはこういうことなのかなと思います。
ちょっと寒くなってくると“もうじき冬だね、雪囲いしなきゃね”という会話も、地元ならではの独特の空気感で好きですね。」

雪国の大変なイメージとは裏腹に、楽しさや、生きがいを見つけながら、暮らしを創っている姿が伊藤さん夫婦にはありました。地域に対する「大変なイメージ」は、現地に行くと案外「魅力的」なことなのかもしれません。

「雪」や「自然」に興味がある方はぜひ、妙高市を訪ねてみてはいかがでしょうか。

 


▼国際自然環境アウトドア専門学校
新潟県妙高市にある専門学校。地域の雄大で特徴ある自然環境をいかし「人と自然をつなぐプロフェッショナル」を育て輩出している。全国から自然・アウトドア・登山好きが集まり、10代~60代まで入学実績がある。

場所:〒949-2219 新潟県妙高市原通70
TEL:0120-537-010
HP:https://www.i-nac.ac.jp/


▼雅文さんへのお仕事依頼はコチラ
上越市・妙高市にお住まいの方は出張費無料でお見積もりに伺います。山林の手入れや樹木の伐採等はお気軽にご相談ください。

<ご連絡先>
TEL:090-4089-0402
MAIL:ringyo.fujiya@gmail.com
伊藤雅文さん(伐採士・空士)


 

写真・文/本間さゆり

 

                   

人気記事

新着記事