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心強いサポートとともに、福島で生きる、生かす活動を
福島県 地域おこし協力隊募集

東京から新幹線で2時間程の距離にある東北地方の南の玄関口、福島県。
全国的にみると北海道、岩手県に次ぐ3番目の広さを誇り、 県内でもエリアによって気候風土も異なっています。冬は雪深く、会津藩士ゆかりの名所旧跡が点在している「会津地方」、美味しい果物や四季折々の風景、美しい花々を楽しめる「中通り」、温暖な気候で太平洋に面した見事な景観の「浜通り」の大きく3つのエリアに分かれています。
福島県は東日本大震災の被害から時を経て、一歩ずつ復興・創生に向けて力強く歩みを続けています。

全国各地には、その地で暮らしながら地域の資源をいかした活動などで、地域の活性を図る地域おこし協力隊がいますが、福島県には協力隊をサポートする復興支援専門員という存在がいることをご存知でしょうか。

今回は、県内各地域で地域おこし協力隊を募集している福島県で、復興支援専門員の方たちと実際に活躍する協力隊の方に、活動内容や活動における想いを伺いました。

 

地域の担い手をサポートする、復興支援専門員という仕事

まず訪れたのは、復興支援専門員が活動の拠点としている一般社団法人ふくしま連携復興センター。ここは、東日本大震災で被災した地域および被災者自身の自立的な復興を目指し、さまざまな支援のコーディネートやネットワークづくり、情報発信、事業連携・協働推進をサポートする団体として、2011年7月に設立されました。

「今シーズンは雪が少なかったですね。今日も比較的例年より暖かいです。晴れてよかった」

暖かく出迎えてくれたのは、福島県復興支援専門員の山田吏依子(りえこ)さん。
「ふくしまの地域の担い手」と呼んでいる地域おこし協力隊や復興支援員の人たちの募集活動や任期中の研修、人的ネットワーク形成の支援など、地域で活動するための包括的なサポートを行っています。

「私たち専門員は、ふくしまの地域の担い手に興味を持っていただけるようなイベントや説明会の開催、情報発信をするコンテンツ運営やツール制作を行うことで、地域の担い手になる方たちの募集活動をしています。また、地域の担い手になった以降、個々のスキルアップや任期終了後の定着を目的とした研修会や活動報告会などの企画運営を通じて、地域で活動していくための支援を行っています」

復興支援専門員の人たちは、大きく2つの支援を行っています。

一つは、「地域の担い手活動支援・定住支援」です。
地域での活動の心得や不安を少しでも解消できる新規着任者オリエンテーション、協力隊員の個々のスキルアップを図るため、そして任期終了後に向けての準備を支援するための研修、受け入れ側の体制を強めるため各市町村担当者が集う研修会などを企画運営しています。
活動内容や課題を共有し合う活動報告会も設け、普段はなかなか関われない他地域の担い手同士が交流する機会もつくることで、新しい意見や刺激を受けながら、切磋琢磨できる仲間にも出会えます。

二つ目は、「地域の担い手募集・広報活動」。
県内自治体による地域おこし協力隊や復興支援員の募集活動支援として、首都圏で年2回ほど合同募集説明会を開催しています。ここでは、県内の個性豊かな市町村の自治体担当者や先輩協力隊員から、直接話を聞くことができます。また、地域の担い手たちと交流できる『ふふふカフェ』の開催や、リアルを感じることができる現地見学・体験会等のイベント企画運営も行っています。

情報発信も欠かせません。
SNSだけでなく、募集・情報サイト「ふくしまで働く-地域の担い手-」の運営、そして県内で活躍している地域おこし協力隊の活動を紹介する「フクノヒト」という冊子も発行しています。

山田さんは、この冊子を初回号から担当しています。
「現在はvol.2まで発行しています。県内のさまざまな地域に根ざして自分らしく活動している協力隊の姿を通じて、福島県の協力隊の多様性や、地域で働くことの楽しさ、やりがいを伝えられたらと思い作っています。もともとは首都圏の方々向けに制作し始めたのですが、協力隊の方から『ここに載るのが夢です』という声をいただいたり、県内でも興味を持っていただけていることも嬉しく思っています」

活動内容や協力隊、受け入れ先の方たちの想いに迫ったこの「フクノヒト」は、将来地域の担い手になる人たちのきっかけになるものではありますが、この冊子が誕生したことで、協力隊員たちにとっても活動の励みにつながる効果を生んでいるようです。

「知らなかった地域の人やコトを知ることができて、本当に楽しいんですよね」と話す山田さんが、復興支援専門員としての仕事に誇りを持って活動されていることが伝わってきます。

 

「自治体にとっても地域の担い手となる方たちにとってもミスマッチが起こらないよう、 受け入れ体制をしっかり整えていきたい」

そう力強く話してくれたのは、復興支援専門員の総括をしている瀧口直樹さん。
これまでの復興支援専門員としての取組では、イベントや情報発信を通して、地域おこし協力隊や地域活動を知るきっかけをつくることに注力してきました。今後は、受け入れ体制をより整えていくことで、活動開始後に自治体と地域の担い手が互いに理解し合い、より活発に活動ができる土壌をつくり、いずれは県内に定住してもらえるような支援に重きを置いていきたいと考えています。

「市町村からちょっと話を聞いてほしいと連絡があるだけでも、誰かにとって拠り所となれていると私たちの存在意義を感じることができ、非常に嬉しく思います。そして、これまでつながっていなかった人たち同士がつながって、新しい動きが生まれて徐々に盛り上がっていくというのが素敵だし、そういったきっかけを作れたと思うとやりがいを感じますね」と瀧口さんが話してくれました。

住む人も働く人もより楽しめる地にしていこうと前向きな瀧口さんたち復興支援専門員を見ていて、地域で活動をする担い手たちにとってその存在は心強いと感じます。

地域おこし協力隊になりたい人に向けてお伝えしておきたいことがあると、瀧口さん。

「ぜひ一度、興味あるまちや活動してみたい地域を訪れてみてほしいと思っています。地域おこし協力隊は旅行とは違って、地域に暮らしながら活動をすることになります。訪れることで全て理解とまではいかなくても、地域を見て暮らしのイメージを掴んでほしいんです。実際に活動を始めてみると、思っていた以上に課題を感じたり、以前までの生活とのギャップに驚いたりということもあるかもしれません。そんなときに、自ら楽しみを見出し生き生きと進んでいこうという気概を持って行動できる方は、協力隊として挑戦し甲斐があると思います」

福島に生きることに対して真剣に、そして楽しみながら向き合っているからこそ出された、想いの込められた言葉です。

 

温泉郷を盛り上げる!
学びをいかした、地域おこし協力隊の挑戦

続いて訪れたのは、県の中通りで福島市の西部に位置する土湯温泉郷。その昔、大穴貴命(おおあなむちのみこと)が荒川のほとりを鉾で突くと、こんこんと湯が湧いたことから「突き湯」と言う名がつけられたという伝説があるのだそう。また遠刈田、鳴子と並ぶ三大こけし発祥地と言われている場所で、道を歩いているとこけしのオブジェや足元に可愛らしいこけしのマンホールも見つけられました。

ここで、福島市土湯温泉町の地域おこし協力隊として活動中の秋山亨仁さんにもお話を伺うことができました。

秋山さんは2017年5月に着任し、オニテナガエビの養殖に携わっています。土湯温泉郷では地熱をいかした「バイナリー発電」が実施されており、その中で生じる温水を利用した「陸上養殖」が行われています。震災からの復興にあたって、養殖技術の向上やエビを観光資源化することで温泉街の復興再生を行う取組をしています。任期終了後も、現在の受け入れ先である「株式会社元気アップつちゆ」で社員として働いていくことを決めています。

千葉県出身という秋山さん。地域おこし協力隊になるまで福島県には親類もおらず、旅行でも訪れたこともなく縁もゆかりもない場所だったのだそう。どんなことがきっかけになったのでしょうか。

「2年前の1月に前職の仕事の関係でビッグサイトでイベント出展をしていました。その休憩時間に、別会場で「移住・交流&地域おこしフェア」というイベントが開催されていて、見てみようかなと思って行ったんです。その時に土湯温泉町のブースで、福島市の担当者である米尾さんと出会い、温泉郷を盛り上げるため陸上養殖に取組む地域おこし協力隊を募集していると知ったのがきっかけでした。大学では水産生物学というものを学んできたので、いつかは水産や養殖に携わりたいと思っていたのもあり、2週間後には履歴書を出して採用してくださったので思い切って挑戦することを決めました」

元々、温泉の熱を活用したスッポンやチョウザメの養殖など検討されていたようですが、育てる年月がかかることや、養殖する場所が国立公園の中ということもあり広大な敷地を確保するのも困難であることからも比較的小スペースでできるエビ養殖を行うことが町の方針として決定し、まさにこれから始まるというタイミングで、秋山さんが米尾さんと出会いました。

「地域おこし協力隊を全国的にみても養殖やっているというのもなかったですし、すでにあるものではなく立ち上げ段階というタイミングもあって、自ら考えつくりあげていく経験ができるというのは面白そうだと思ったんです」と嬉しそうに話します。

養殖自体は全国でも珍しくはないですが、その地に合った環境づくりをするのは非常に難しいのだそう。エビ養殖の研究をされている方に教えをあおいだり、ともに働くスタッフと1年の時間をかけ試行錯誤しながら安定した養殖環境をつくりあげました。

現在は新たなステップとして、温泉街でエビの釣り堀を開催したり、限定的ではあるものの旅館に出荷するといった一般の方向けに知ってもらう機会をつくり始めています。

「限られた敷地で大量に養殖することは難しいですが、少しでも効率よく量産できるかというところに挑戦していきたいと思っています。そして、多くの方に知ってもらいたいですね」

秋山さんは実は他にもさまざまな役割を担っています。養殖場の見学案内、時には温泉街にあるこんにゃく屋さんでこんにゃくを製造したり、公衆浴場の「中之湯」で受付をやっていたり。温泉街の復興再生に向けて、関わっていることは多岐にわたります。

「大変なこともありますが、ある程度仕事の流れが決まっていたり、答えが見えているものだけを日々行うよりも、工夫しながら常に変えていける仕事があって、いろいろとできるほうが性に合っているなと思っています。受け入れ先の会社にも魅力を感じていますし、任期終了後もこの地に暮らしながら活動していきたいと思います」

「秋山さんに初めて会ったとき、バイタリティがあって落ち着いている方だなと思ったんですよね。『期待の星が来た』と熱心に語る元気アップつちゆの社長さんの話も聞いて非常に今後の活躍を期待しています」という山田さんからの言葉を受け、秋山さんは瀧口さんと談笑しながらはにかんでいらっしゃいました。

「やりたいことがある人にとって、協力隊となった段階から挑戦することができるのは大きな魅力のひとつだと思います。あとは、縁がなかった地でも住むきっかけになるという点も協力隊の良さだなと思っていますね」と話してくれました。

旅館の若旦那衆たちと夜な夜な飲みながら語り合っているのも楽しいひとときだと嬉しそうに話す秋山さんからは、日々の生活が充実していて楽しんでいる様子が伺えました。

 

ふくしまを、盛り上げていくために

最後に、復興支援専門員の瀧口さん、山田さんに改めて今後の活動について想いを聞きました。

「福島県で活動をしたいと思う方たちが一人でも多くきてくれるように環境を整えていくことが私たちの大切な役割であると思っています。地域の担い手たちと自治体が互いに理解が深まる機会をつくりだし、より連携して活動が活発になり、やがては定住へと結びつけるような支援体制を築いていきたいです。そして、イベントや現地体験の企画などひとつひとつの時間を大切にして取り組んでいきたいと思っています」

復興支援専門員のお二人、そして地域おこし協力隊の秋山さんからは、福島で生きていくことの覚悟や未来に向けて前向きな想いや行動力を伺い知ることができました。
福島県には自治体と地域おこし協力隊や地域の担い手として活動する人たちの間で、双方の視点でフォローやサポートをする心強い復興支援専門員がいます。 今後さらに、福島県の各地域では地域で暮らしチャレンジする人たちを受け入れる体制がより整っていくことでしょう。

まずは現地へ足を運び、そして地域で暮らすこと、働くことを肌で感じてください。あなたにとって、気づきやきっかけが得られるかもしれません。

前を向いて歩み続ける福島県を、さらに盛り上げていく地域おこし協力隊の活動に挑戦してみませんか?

 

\福島の地域おこし協力隊・復興支援員についての詳細はこちら/

▽ふくしまで働く-地域の担い手-
https://f-ninaite.jp/

 

(文:草野明日香 写真:三浦えり)