妙高暮らしに心構えは不要?
自然を楽しむ2人の移住観

新潟県妙高市

日本屈指のスキーリゾート地、新潟県妙高市。
このエリア一帯、特に妙高高原では、オーストラリアからのスキーヤーの増加に伴って、「オージー」(※1)と「観光」は妙高を語る上で欠かせない要素となっています。

観光リゾート地としてのイメージが強いですが、実は新潟県内で最も「住みやすい地域」(※2)に5年連続で選ばれているってご存知てでしたか?
高速道路や新幹線の駅へのアクセスも良く、自然環境に恵まれた、とても暮らしやすい妙高市。
そんな妙高の魅力をまずは「自然・アウトドア」という視点から探っていきます。

今までの妙高のイメージが変わるかもしれませんよ。語り手として同じ妙高市に住みなが「全く違うライフスタイル」を送る素敵なお二人の移住者をお招きいたしました。

※1 オーストラリア人、オーストラリアの。宿泊数は2013年の1.5倍に増加。
※2 公的統計をもとにした「住みよさランキング(東洋経済新聞)」で5年連続県内NO.1。(平成26年〜平成30年)

 

語り手① 野村 功太朗さん

PRANA CHAI JAPAN 代表取締役
MYOKO COFFEE CO. 代表 バリスタ
MYOKO COFFEE CO. LIME REORT店(妙高市関川2251−2)オーナー
趣味 スノーボード

新潟県長岡市出身。大学を中退後、バリスタとして2年間の修行を経て白馬のカフェ開業に携わる。 その時に出会ったオーストラリアのカフェ経営者との出会いかがキッカケで2012年渡豪。その後、 PRANA CHAI JAPANの設立のために帰国。帰国後しばらくしてオーストラリアの友人から「妙高市でカフェ付きのスノーボードショップを立ち上げる」という連絡を受けたことかがキッカケで、2016年に妙高市に移住することになる。「カフェ関係の仕事」をしている。

 

語り手② 諸岡 龍也さん

妙高市地域のこし協力隊(地域おこし協力隊)
【妙高市地域のこし協力隊Facebook】 https://www.facebook.com/tiikinokosi/
【妙高市地域のこし協力隊Instagram】 myoko_nanbu_moriagetai

MURA18実行委員長(MURA18[Myoko Ultra Run rAce18] )
【大会HP】 https://inacmura18myoko.wixsite.com/mura18
【大会Facebook】 https://www.facebook.com/mura18.myoko/
【大会Instagram】 myoko_ultra_run_race18
趣味 水と自然を愛でる

関西で12年間保育士として働いた後、「人と自然を繋げる仕事をしたい」という想いが芽生え、 2015年に妙高市の国際自然環境アウトドア専門学校に進学。卒業後に総務省が実施する「地域おこし協力隊」の制度を活用して妙高市の「地域のこし協力隊」に就任。現在はMURA18という中山間地の農道や生活道路を活かしたランコースを走る「ウルトラロードマラソン大会」等、地域資源を活か した事業やイベントを実施。「地域関係の仕事」をしている。

以上の語り手を通して、妙高てでの暮らしを深掘りしていきます。
聞き手は私、地方の暮らしを聞くのが大好きライター大塚眞が担当いたします。

 


 

(大塚) 「それじゃあ、今日はよろしくお願いしまーす!」

(野村・諸岡)  「「はい、よろしくお願いします!」」

(大塚) 「お二人は共に「移住者」な訳ですが、面識はありましたか?」

(野村) 「お会いしたのは1回だけでしたけど、お互いに存在を知ってはいましたよね。」

(諸岡)  「そうですね。じっくり話したことはないかもしれません。」

 

全く違う2人のライフスタイル

(野村)  「僕達、妙高での過ごし方が違いますよね。移住の動機も。諸岡さんは地域にどっぷり入っている感じですよね。」

(諸岡) 「そうですね。僕は自然の中で暮らしたくて、家は築140年以上、水道は山から引いてて、米もつくってますし、裏庭で山菜採ったり、家に侵入してきたハクビシンと格闘したりしてます。」

(野村) 「ハクビシン!結構、大きいですか?」

(諸岡) 「長いですね。狩猟免許を持っていないので捕獲したらだめですけど。」

(野村) 「僕もそういう体験生活はしてみたいです。古民家体験みたいな。同じ妙高ですけど、僕の家はライフラインは完全に現代の技術に頼ってます。東京の人がいきなり住んでも大丈夫。でも、子供と少し散歩に出る時の気持ち良さとか、冬は仕事始める前にスキー場で一滑りするとか自然の恩恵は凄く受けてますね。」

(諸岡) 「過ごしやすさは人それぞれですからね。どうして野村さんは妙高に住もうと思いました?」

(野村) 「僕は子供のことがありますね。妻と僕は5年くらいオーストラリアに住んでましたけど、英語環境と自然環境が両立した場所を探してました。帰国してからは関東圏のアパートに住んでましたけど、窮屈で。やっぱり子供には好き勝手に伸び伸びして欲しかったですよね。」

(諸岡) 「なるほど。」

(野村) 「こういう小さいコミュニティだと子供って大事にしてもらえるじゃないですか。子供の吸収力も凄くて、まだ2歳前ですけど、英語も少し話しますよ。周りにいる色んな人に会ってもらいたいし、自然とも触れ合ってもらいたいと思っていますね。」

(諸岡) 「分かります。地域のこし協力隊ということもあって、小学校の地域の学習に関わる事が結構あるんです。」

(写真:諸岡さん提供)

(諸岡) 「妙高は水資源が豊かなので、市内を流れる川のことや生き物探しをして、自然と触れ合いながら学べることがたくさんあります。子供達には地元のことや自然のことを学んで楽しむ力がありますし、僕のことを『もろさん』と慕ってくれて、授業外でコンビニで会った時も話します。地域と学校や子供達との距離が近いですよね。そうやって自然や人との繋がりを持てるのは良いなと思います。僕自身が場を提供して子供達やその親にも『自然をひらく』ことをしていきたいです。」

(野村) 「僕は妙高に住みながら山菜とか買っちゃうタイプですけど、さっきも言ったように『体験』はしたいです。子供と自然体験をしたい親世代って多い気もしますね。そういう機会がありながら、僕らが住んでいるのって、多くの人が連休や週末に来るような場所というのもあってアクセスが良い。渋谷まで4時間とかで行けちゃいますもんね。」

(大塚) 「分かります!一般の人からしたら4時間!?ってなるかもしれませんけど、たった4時間で東京に行けちゃうって感じですよね。」

(野村) 「元々は会社が東京にあったので、取引先も1時間以内にありましたけど、地方にも取引先が増えて出張も多くなった時に『あれ、これ東京じゃなくても良くないか』って思ったのも移住の動機でしたね。どうせ遠くに行くなら場所は関係なくて好きな場所が良いなって。妙高は新幹線の駅も高速のインターも近くにあるので、仕事の関係でも最適な場所でした。」

 

1人1軒の家を持つ時代!?

(諸岡)「野村さんは今の家、どうやって見つけました?」

(野村)「僕は普通に不動産屋で探しましたね。物件も2,3軒しか見ずに決めましたけど、ちょっと早まったかな(笑)妙高って良い条件の物件が多いですよ。先日も家に遊びに来た友人に、あそこの家も売りに出てるよ、値段は◯◯でって話したら、しばらく後に買いましたからね。」

(野村) 「僕が住んでいる場所は生活環境が整っている感じですね。スーパーも近くにあるし、不便を感じたことはないです。近所にお洒落なカフェ(※3)だってありますしね。」

(諸岡)  「このあたりに移住したり家を買ったりする人も増えてますよね。」

※3 取材をしている場所も、2018年9月にオープンした空き家をリノベーションしたカフェ。

(諸岡)「僕が住んでいる家は古民家ですけど、前はアメリカ人の方が住んでいて綺麗に使われていた凄く良い家ですよ。コツコツDIYしてこれから楽しんでいきます。僕の妻は妙高から1時間ほど離れた津南町という場所に同じく地域おこし協力隊として働いていました。今は任期を終えて向こうでも家を買いましたけど、そこもまた大きな立派な古民家です。」

(野村) 「凄い良い夫婦ですね。面白い!」

(諸岡)「2人の結婚生活は『行ったり来たり婚』って名付けています。お互いの地域に深く関われるから楽しいですよ。地方って、車社会なので、1人1台持つことも多いじゃないですか。でも、空き家も増えてきた今、1人1軒持っても良いなと思います。」

(野村) 「良いですね。固定資産税も全然かからないですからね。オーストラリア人も妙高に住み始めてて、ニセコから白馬、そして妙高へと足を伸ばしています。この間もアーティストインレジデンスが併設されたゲストハウスもオーストラリアの方が始めましたよ。」

(諸岡)『なんなら自動車税の方が高いくらいですよね。」

 

妙高は、個の存在が大きくなる

(野村) 「住んでいて感じていることがあって、妙高って『個の存在が大きくなる』地域ですよね。例えば、僕の取り扱ってるコーヒー豆はスペシャリティと呼ばれるトップグレードの豆なのですが、東京に行けば、そういう店は300店も400店もあります。でも妙高には1軒もない。そうすると自分の話って聞いてもらいやすいですよね。」

(野村) 「そうすると、自分がやってきたことを見つめ直すようになります。東京だったらありふれていて、話も聞いてもらえないかもしれないけど、こっちで人に伝えて良い反応がもらえると、勉強してきた甲斐、やってきた意味があるなと思えますね。それで新しいチャレンジに繋がって、オリジナルのことが出来るようになる。都会だと埋もれてしまっていたかもしれないことが、妙高だと見つけてもらえます。」

(諸岡) 「僕も経験あります。というよりも今、してます(笑) 地域の人に本当に大事にしてもらっていて、持ちつ持たれつの関係を築けています。その中で僕と国際自然環境アウトドア専門学校の学生と教員とで運営しているMURA18というウルトラロードマラソンイベントを主催しているのですが、中山間地の18集落の間の農道や林道を通りながら最大75kmを走るってイベントです。」

(大塚)「参加する方も準備する方も過酷そうですね。」

(諸岡) 「大変です!でも、3年目の昨年は全国から350名の参加者が訪れました。MURA18のコースは、アウトドア専門学校の教員のある方の練習コースでもあり、体力づくりの授業の中でも使用するランコースをつなげてしてランコースにしたものです。地域とアウトドアスポーツをつなげる事を仕事として活かすことができたことの一つです。人が生活している中山間地を走るので、地域の人からも関わってくれたり、イベントを通して地元の人と参加者が交流したりしていて、やり甲斐ありますね。」

(野村) 「そういう自然環境いいですね!僕もコーヒー関連のイベントやりたいって気持ちがありますね。」

(諸岡)「是非、会場でコーヒーとかどうですか(笑)」

(野村) 「え、いいですよ!全然やります!」

(諸岡)「ありがたい!開催日、11月なので季節的にもちょうどいいですね。」

(野村) 「本当にやりますよ。コーヒーの味が分かりやすく変わるのって飲む環境なんですよね。妙高の環境って本当に贅沢で、取引先の方もわざわざ泊まり前提で来てくださることも多いです。その時に、冬とかはゲレンデに一緒に行って、雪山のちょっと外れた所でお湯沸かしてコーヒーとウイスキーを混ぜて飲む。決して難しいことじゃなくても、環境の力で人を惹きつけることも出来るなって思います。」

(諸岡)「そうですよね。妙高の中で体験して欲しい環境はたくさんあります。それこそ、うちの古民家とか、山で採れた山菜や野菜をその場で食べるとか。東京でもお金出せば食べられるかも知れないですけど、採れた環境の中で食べるという所には説得力があると思います。」

 

妙高に住むのに心構えはいらない!

(大塚) 「色んなお話をありがとうございました!最後に伝えたいことってありますかね?」

(野村)「僕は妙高の良いところだけ見て来ちゃったのですが、冬は大変さがありますね。でも、家自体は東京と変わらないですし、アパート引っ越すくらいの感覚で妙高は住めるのではないですかね。「よし、移住するぞ!」という心構えがなくても大丈夫だなって思います。」

(諸岡) 「妙高ってアウトドア専門学校の卒業生が地域を気に入って住んでいることが多いですよ。やっぱり自然が好きだとか、山で暮らしたい、農ある暮らしをしたいという気持ちを持っている人にとっては抜群です。あとは自然やアウトドアという言葉の価値観が変わります。アウトドアってカヤックとかレジャーが頭にありましたけど、こっち来てからは一歩外に出たらアウトドアっていう言葉がしっくりきます(笑)日常がアウトドアですよ。そういうのが好きなら、心構えは必要ないですね。」

(野村)「2人とも話してる内容、全然違うけどね(笑)」

 

あなたも妙高の暮らしを体験して欲しい

いかがでしたでしょうか。高原リゾートとして注目を集めている妙高市ですが、観光地というイメージだけではなく暮らす視点から見ても魅力的な地域ということが分かります。

パウダースノーの雪質を目指して世界中から人が絶えないだけではなく、妙高の自然環境に惹かれ、暮らしを営む人々も増えています。多様な人々を受け入れる懐がある妙高市の生活を多くの方に体験していただきたいですね。

妙高市では、実際の暮らしを体験出来る「空き家見学ツアー」も定期的に開催されています。
なんと宿泊費は無料!記事の中では書けなかった購入価格や空き家情報も知ることが出来ます。この機会に体験してみてはいかがでしょうか。まだまだ妙高の暮らしを掘り下げていきますよ!

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

(文:大塚眞 写真:本間小百合)

 


【空き家見学ツアーのお知らせ】

日程:令和元年8月31日(土)10時~9月1日(日)13時まで
※時間が前後する可能性あり

内容:空き家の見学、市内観光、今回取材させていただいたカフェで移住者さんと交流など
※参加者へは粗品を進呈

参加費:妙高市までの交通費、ツアー中の食費(1日目と2日目の昼食代)は自己負担
※宿泊料は無料

申し込み・問い合わせ:妙高市役所 建設課 まちづくり係
TEL 0255-74-0025
Mail kensetsu@city.myoko.niigata.jp
「氏名・住所・電話番号・年齢・人数」を電話またはメールで6月28日(金)までにお申し込みください。
※応募多数の場合は抽選となります。

 

今回の取材場所はこちら

店名:山の家カフェ
代表者:相澤伸郎
所在地:〒949-2112 新潟県妙高市関川1528-2
TEL:0255-78-7432
営業時間:10:00-19:00
定休日:木曜日

 

-おまけカット-

「チラシ出来たんです!」と取り出された木版

湧き水を使っている諸岡さん宅

いつまでも少年の心を忘れない

豪雪地ならではの景色

移住して、イベントでの出店も増えた

野村さん宅は屋根も内装もDIY!

                   

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