私達(学生)が入社して社会人になる頃から数年でリニア中央新幹線が開業し、東京まで40分でアクセス可能となる愛知県にスポットを当て、就職エリアとしての将来性など、その魅力について徹底解剖してみたいと思います。
そこで、東京の大学・大学院を卒業後、愛知県の会社に就職された若手社員のお話を伺うべく、株式会社ジェイアール東海髙島屋と日本メナード化粧品株式会社の女性お二人にインタビューしてきました!
※この記事は「ガクセイ基地」の取材によるものです
村瀬さん:
株式会社ジェイアール東海髙島屋 営業部 統括グループ(2016年入社)、愛知県出身。
東京都内の私立大学(文系)を卒業後、愛知県にUターン。
東海旅客鉄道株式会社(JR東海)と株式会社髙島屋が共同で創りあげた会社、株式会社ジェイアール東海髙島屋に入社。
JR名古屋駅直上の大型百貨店「ジェイアール名古屋タカシマヤ」に勤務。
眞田(さなだ)さん:
日本メナード化粧品株式会社 研究技術部門 応用細胞研究グループ(2017年入社)、富山県出身。
東京都内の国立大学・大学院(理系)を卒業後、愛知県にJターン。
化粧品、医薬部外品、健康食品、インナーウエア等の研究開発および製造販売などを手がける日本メナード化粧品株式会社に入社。
研究員として名古屋市内にある総合研究所に勤務。
自分のやりたいことを追求して取り組んだ就職活動
―入社してから現在までの、お仕事の内容を教えてください。
村瀬:入社1・2年目は子供服売場に配属されて、販売・フロア運営・催事に携わりました。3年目となる今年度は、紳士服と子供服のファッションコーディネーターを任され、商品をお客様にどのようにお見せし、販売するのかを研究・実践しています(2018年11月現在)。
眞田:私は入社して2年目になります(2018年11月現在)。研究員として、美容と健康に関する基礎研究を行っています。美しいお肌の秘密を解き明かすために、近年進歩している幹細胞の研究に携わっています。私たちのお肌に存在している幹細胞がどう働くとお肌が美しくなるかなどの研究を進め、そのメカニズムをもとにした化粧品の開発を行っています。
―どんな時に、仕事のやりがいを感じますか?
村瀬:今年度から担当することになった紳士服は、自分にとって全く未知の領域だったので、売場を回ったりメンズ雑誌を読んだりして、日々、流行の把握に努めています。そうした中で、商品をお客様にどのようにご提案すると、どのような反応が返ってくるのかを肌で体感できたときに、やりがいを感じます。以前は女性誌しか読まない生活でしたが、今は男性誌ばかり読むようになりました(笑)。
眞田:研究によって今まで分からなかったことが分かった時に、やりがいを感じます。自分なりに予想を立てて研究を行うのですが、予想通りになった時はもちろんのこと、予想とは異なる結果が出た時は、そこから新たな発見につながることもあるので、余計に面白さを感じます。さらに、その研究を基に化粧品が開発され、お客様の美しさに貢献できると思うと、やる気にもつながります。
―就職活動は、どのように進められたんですか?
村瀬:最初は、サービス業全体を視野に入れて、百貨店のほか、ホテルや大型商業施設なども受けていました。学生時代にテーマパークでアルバイトをしていたこともあって、就職活動を進めていくうちに、サービス業の中でも最上級のサービスを提供していると感じた百貨店への関心が高まり、最終的には百貨店業界に絞り込みました。
眞田:大学での研究が創薬に近いものだったので、最初は製薬会社を中心に受けていました。その就職活動の過程で、かつて自分が肌の悩みを抱えていたことを思い出し、肌に触れる身近なものということで化粧品の研究に興味が湧き、化粧品業界を受けることにしました。
―今の会社を選んだ決め手になったものは、何でしたか?
村瀬:私の場合は、就職活動を通じて出会った当社の若い世代の社員に、会社をより良くしよう、地域に貢献しようという強力なエネルギーを感じたことが一番の決め手でした。また、百貨店業界は全国転勤がある会社も多いですが、当社の場合、基本的に、勤務地が名古屋駅前のみであることにも魅力を感じました。
眞田:実は、就職活動をするまで当社のことは名前を聞いたことがある、という程度だったのですが、化粧品業界で幹細胞研究に初めて着手した会社ということを知り、基礎研究がしっかりしているところに魅力を感じました。就職活動で研究所を見学した際にも研究成果が至る所に展示されており、研究力の高さというものを強く感じました。
―東京で暮らし、働くという選択肢には、魅力を感じなかったですか?
村瀬:「活気ある百貨店」に就職したいと思い、最初は東京で就職活動を行っていましたが、その後、大阪・愛知にエリアを拡大しました。東京で働くイメージが無かったわけではありませんが、周りの人々の競争心が強く、自分は潰されるのではないかと思いました。また、近所づきあいが乏しく、将来、子供を持ったり、年老いたときに、周りのサポートを得にくいのではないかという不安もありました。実は、大学進学で東京へ引っ越した際、ご近所にタオルを持参して挨拶に出向いたのですが、先方から逆に驚かれてしまった経験があります。
眞田:私の場合は、実家のある富山県から近い地域を中心に就職活動を始めました。特に、就職に関する地域的なこだわりはありませんでしたが、東京で働く、ということに関しては通勤電車の混雑を考えると、自分には厳しいだろうなと思っていました。
住んでみて、働いてみて、分かる。愛知県の魅力
―東京から愛知県に移り住んでみて、住み心地はどうですか?
村瀬:以前、愛知県に住んでいた頃から環境のよさは感じていたのですが、一度、東京で暮らしてみて、以前にも増して愛知の住みやすさを感じるようになりました。東京は人が多くて、街を歩いていて他人とぶつかることも。愛知は人の多さもほどほどで、都会具合がちょうどいいなと思います。現在はマンションに住んでいますが、ご近所とも挨拶や世間話などで交流する機会が多いです。
眞田:私も東京は人が多いと感じていて、就職後もずっと東京で暮らしていくことには不安がありました。愛知県は、名古屋駅の人混みも東京ほどではないので、都会具合がちょうどいいというのは同感です。
―街の印象はどうですか?
村瀬:大学時代に愛知県を離れている間に、名古屋駅前に新しいビルがいくつも建ち、大きくパワーアップした印象があります。人の流れが変わり、外国人観光客の姿も増えたように思います。2027年度のリニア開業に向けて、名古屋駅前の開発はさらに加速していきそうなので、とても楽しみです。
眞田:いま住んでいるところは名古屋の中心地に近く、名古屋駅や栄などの繁華街にも地下鉄ですぐアクセスできます。それでいて家から少し歩いたところに手頃なランニングコースを備えた公園があり、気軽にランニングができます。東京では都心まで電車で30分ほどの郊外に住んでいましたが、近くに手頃なランニングコースがなくて夜道を走るのが怖かったんです。こちらでは夜でも走っている人が結構いて、街灯もしっかりついているので安心して走れます。2018年の春は名古屋ウィメンズマラソンにも出場しました。
注目DETA
「愛知県の都市公園面積」・・・・愛知の1人あたり都市公園面積は東京の1.7倍
<総務省統計局刊行「統計でみる都道府県のすがた2017」>
「名古屋ウィメンズマラソン」・・・・国際陸上競技連盟(IAAF)が最高位の「ゴールドラベル」に格付けする世界的なロードレース。世界最大の女子マラソンとして「ギネス世界記録」に認定
<名古屋ウィメンズマラソン2019>
http://womens-marathon.nagoya/
―生活コストや利便性についてはどうですか?
村瀬:外食に関しては、東京では1,500円ぐらいするランチが、愛知では1,000円出してお釣りが戻ってくる程度で食べられるので、お財布には優しいと思います。
眞田:名古屋市内のワンルームの家賃水準が6万円前後で、東京に住んでいた頃よりも良い物件に住めるので、愛知のほうが住居にかかるコストは安いと思います。
村瀬:東京は、物価が高く、人の数も多く、人々が慌しく生活している印象がありますが、愛知県は金銭面や精神面でもゆとりが多いように感じます。
眞田:地元の富山県では雪がよく降るので、生活していく上で雪かきやタイヤの交換など雪には慣れていましたが、東京では、私からすると少しの雪でも、交通機関が麻痺することがあり、雪に慣れていない印象を受けました。愛知は東京よりも雪が少ない印象がありますし、積もったとしても名古屋の中心地は地下鉄で移動が可能ですので、雪の影響を受けない、というところが非常にいいと思います。
注目DETA
「愛知県の物価水準」・・・・全国平均=100(家賃を除く)とすると愛知は98.6、東京は102.5
<総務省統計局「小売物価統計調査(構造編)結果」(2016年)>
「愛知県の家賃水準」・・・・愛知は、民間賃貸住宅の面積あたり家賃水準が東京の6割以下
<総務省統計局「小売物価統計調査(動向編)結果」(2016年) ※名古屋市と東京都区部>
―愛知の生活で、物足りなさや不便さを感じることはありますか?
村瀬:店舗数は多く、必要なものは問題なく手に入りますが、それでもファッションや流行に関しては、残念ながら、東京と比べて個性的・刺激的なものは手に入りにくい印象があります。繁華街が名古屋駅と栄に集中していて便利な反面、みんなが同じような場所で服を買うことになるので、個性を出すためには、東京や大阪などへ買い物に出かける必要があるかもしれません。
眞田:日本上陸第一号店や、流行りのお店はやはり東京に集中するので、より新しく流行っているものを手にしようと思うと東京のほうが都合がいいと思います。
―愛知と言えば、味噌煮込みうどんや味噌カツなど、「なごやめし」と呼ばれる独特の食文化でも有名ですが、食べ物についてはどうですか?
村瀬:私は地元出身ということで、お味噌といえば「赤みそ」だったので、東京で生活している時も、赤みそだけは常備していました(笑)。
眞田:社員食堂で「なごやめし」のメニューが出るので、味噌カツ、きしめん、エビフライなども社員食堂で食べています。全体的に量が多く、味の濃いものが多いですが、美味しくいただいています。
注目DATA
「赤みそ」・・・・大豆と塩だけで作られており、うまみ成分であるグルタミン酸の含有量は米みそや麦みそのおよそ2倍!
「なごやめし」・・・・名古屋及び近郊で広く受け入れられ、愛されてきた地域独特のメニュー。以下のほかにも、「ひつまぶし」、「手羽先」、「あんかけスパ」、「台湾ラーメン」など種類は多い
エビフライ
きしめん
みそかつ
みそ煮込みうどん
就職エリアとしての愛知県の魅力
―就職エリアとしての愛知の将来性について、どう思いますか?
村瀬:リニア中央新幹線が開業し、東京から40分でアクセスできるようになると、ファッション・文化や人の流れがさらに変化し、もっともっと面白い場所になる可能性が大なので、これからの伸びしろを大いに期待できるエリアだと思います。
眞田:自動車産業を始めとした産業基盤がしっかりしているエリアなので、その技術力の進歩には大きな可能性を感じます。これから自動運転などの技術も進化していくでしょうし、愛知から様々な技術が発信されていくと期待しています。
注目DATA
「愛知県の給与水準」・・・・愛知は、一般労働者(常用)の年間給与が全国3位
<厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」から愛知県が算出>
「愛知県の通勤時間」・・・・愛知は、通勤時間が東京よりも1日あたり30分以上短い
<総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査結果」>
―最後に、UIJターン就職を考えている学生へのメッセージをお願いします。
村瀬:東京で学んだこと、見てきたことを生かして、活気のある愛知県でぜひ一緒に働きましょう。
眞田:IJターン就職し、知らない土地で生活することには抵抗を感じる人も少なくないと思いますが、自分のやりたいことを見極め、勇気を出して飛び込むことで、自分を成長させ、可能性を大きく広げることができると思います。自分を信じて頑張ってください。
★さらに詳しい愛知県のデータはこちらでチェック!
http://www.pref.aichi.jp/kikaku/sumiyasusa/