【8/20発売】Vol.25 特集
「だから、地方で子育てしたい」

都会で子育てをしているひとならば、
田舎で子育てしてみたいと、一度は思ったことがあるだろう。
「豊かな自然環境で子育てしたら、素晴らしい子どもが育つ」
本当にそうなのだろうか?
いくら美しい自然がそばにあっても、関わらなければ意味がない。
そして、健やかに暮らす親の姿をみて、子は本当の意味でのびやかに育つ気がしている。
今回、ご紹介する「地方の子育て」は、移り住むことで
子どもはもちろん、親も輝く生き方にシフトした人々の物語。
子育ての視点で、地方を掘り下げたら、人生を心地よく暮らすための知恵がそこにはありました。
子育てしているひとも、していないひとも
地方で暮らすという生き方を模索しているひとすべてに読んでほしい。
写真:セソコ マサユキ


 

特集ルポ[沖縄県・読谷村]比嘉ファミリー

自然と住居と仕事は 近いほうがいい

沖縄にUターンして、村で店を始める時、
「不安しかなかった」
それでも子育ては沖縄で、と夫婦の思いは一致した。
自然のある土地で、住居と仕事を近づけ、
いつも家族みんなで相談しながら暮らしている。

特集ルポ[北海道・札幌市]安斎ファミリー

「都会の大自然」に住むという選択。
つくることをつなげる、家族の暮らし

美味しい果物で有名な福島県の「あんざい果樹園」
4代目の安斎伸也さん一家は、震災以降
福島県を離れ、北海道札幌市に移住。
「自分に正直に、社会に流されず生きる」
そう決意した一家の暮らしと子育てとは。


※記事全文は、本誌(vol.25 2017年10月号)に掲載


 

\子育てしたくなる市町村よりピックアップ/
02|島根県隠岐郡海士町

外からの風をしなやかに受け止め、
「島まるごと教育の魅力化」に取り組むまち

自立・挑戦・交流の島で子どもを育てる
隠岐島前高校のある海士町は島根半島から約60キロ沖、3つの島がある島前地域に位置する。人口2300人の海士町(中ノ島)に毎年100人を超える転入者。過疎化が進む島の中で、これはびっくりするような数字だ。


移住者が増えた理由のひとつは、海士町が安心して子育てできる町づくりをしてきたこと。2002年から「自立・挑戦・交流」を掲げて加速した町の改革では町長自ら給与をカットし、賛同した職員たちの給与も下げて捻出したお金を「未来への投資」に充てることにした。
仕事を作る、地域を支える人を増やす、そのための投資先に選んだのは産業振興と、子育て・教育環境の充実だった。
「今やっていることは移住定住促進が先にあったんじゃなくて、島で子育てする家族や、子どもたちにとって必要なことを考えていった結果なんです」と海士町役場の濱中香理さん。


高校卒業後の進路の可能性を広げたいと公立塾・隠岐國学習センターを開設。保育園からずっと同じメンバーで育つ子どもたちに、広い視野をもたせたいと高校の「島留学」制度をつくった。今年度から小中学校で「親子島留学」制度もスタートした。 「交流」は活力を生む。ずっと島にいてくれたら嬉しいけれど、少しでも島に思いを寄せる人が増えることにこそ価値がある。期間限定で島に住む人も歓迎するのはそう考えるからだ。定住プレッシャーがなく、挑戦したい人を応援する海士町には次々と人が来る。
「実は今、移住者も、子どもも、働くママも増えて保育園に入れない幼児がいるんです。それで、育児ヘルパーの派遣事業を始めました」と濱中さん。


島にいるんだから自然の中で子育てをしたい、というお母さんたちをまちが支援し、森のようちえん「お山の教室」に発展した例もある。今は、午前中の野外保育をNPOの専門スタッフが、午後の託児を海士町教育委員会が担当し、3歳児から受け入れをしている。
文:江森真矢子 写真:伊東昌信
※記事全文は、本誌(vol.25 2017年10月号)に掲載


 

05|東京都西多摩郡奥多摩町

子どもたちが主役!歌って踊って”最先端”のまちおこし

町の魅力を発信する 地域密着型パーフォーマンス
東京の中の大自然、奥多摩町。ここ数年「子育てしやすいまち」として都内からの移住者が増えている。その魅力は豊かな自然だけでなく、「中学卒業まで子育てにほとんどお金がかからない」と言われるほど、充実したまちの子育て支援にある。保育料、小・中学校の給食費、高校生の定期代などが全額無料と至れりつくせりだ。
一方、まちの人も子どもと積極的に関わり、まちぐるみの子育てを実践。その中心で活動しているのが、旧小河内小学校の卒業生と有志が集まり、2014年5月に結成された「小河内バンバンカンパニー(OBC)」だ。

奥多摩の魅力を歌詞に込めたオリジナルソングをつくり、子どもと一緒に歌って踊って町を盛り上げる「子どもが主役のまちおこし」を展開中。「東京の最西端から最先端のまちおこし」という合言葉の通り、子どもが中心のOBCの取り組みはまさに「まちおこしの最先端」だ。
まちのイベントなどで子どもと一緒に舞台に上がるのが町唯一の男性保育士、島崎勘さん。シャイな性格だが舞台上では豹変し、全身全霊のパフォーマンスで周りを熱狂の渦に巻き込む、OBCの顔とも言える存在だ。「子どものキラキラした姿を発信するためなら、どんなにおバカなこともやります」とその思いは半端ではない。

この活動の発端は、町内にある体験農園の管理者から「奥多摩を盛り上げる曲をつくってほしい」と依頼されたことだった。
「町で最もパワーがあるのは『子どもたちが集まる場所』だと、保育園に注目してくれて、保育士の僕に依頼があったんです」
そして誕生した奥多摩町盛り上げソング「だべだべロック」や、非公認奥多摩湖テーマソング「LAKE of OKUTAMA」など、これまで制作した楽曲は16曲。キャッチーな曲と郷土愛あふれる歌詞で幅広い世代の心をつかんでいる。
文:中里篤美 写真:濱津和貴
※記事全文は、本誌(vol.25 2017年10月号)に掲載

 


コラム[徳島県・美波町]子育てするまちを選ばない

「デュアルスクール」で、都会と田舎に暮らす新しい選択

子どもとのびのび田舎で暮らしたい。
でも都会でのキャリアを継続したい。
子どもの学校を転校させたくない・・・。
移住につきものな悩みを一気に解決したのが
徳島県が2016年から取り組む「デュアルスクール」制度。
「デュアル=二重の」が意味するように、都市と地方を
行き来できるシステムをご紹介しよう。
親子に「ふるさと」という場所をつくる
徳島県美波町はウミガメの産卵地で有名な小さい漁村。ここから全国に例がない「二拠点居住政策」がはじまった。
転校手続きを簡素化し、住民票はそのままに、都市と地方の2つの学校で学べる制度。都市部の小学校をベースに徳島をサテライト校と位置づけ、好きな時期、期間に通うことができるシステムだ。

お試し第1号は、東京都在住の杉浦那緒子さんと小学3年の息子さん。那緒子さんが務める会社が美波町にあるサテライトオフィス「戎邸」を利用していた縁で声が掛かった。那緒子さんは自由な生き方=働き方を目指し、「働き方の見本市」になりたいと願う、会社のロールモデル的存在。
一方、母親として、自然体験をする機会が少ない東京で子育てをする危機感も募っていた。2つの課題に向き合えるデュアルスクールはまさにうってつけ。「やります!」と即答する母だったが、息子さんは見知らぬ土地で通学することをためらった。そこで、夏休みに下見に行き、友だちができたことで解決したそう。
これまで昨年10月と今年7月のそれぞれ10日間、デュアルスクールを体験。子どもが美波町の小学校で学ぶ間、那緒子さんは戎邸で、東京とオンライン会議に参加するなど、リモートワークをこなす。

那緒子さんが勤めるのは、働き方や働く場所を提案する東京都渋谷区の「ヒトカラメディア」。東京では、フルタイムで働き、通勤に往復2時間を費やす、息子さんは学校の授業が終わってから学童保育を利用するため、放課後に友だちの家で遊ぶ経験もなかった。
しかし、美波町では、友だちと近くの海岸で魚釣りをするなど、子どもの自由な時間と遊びのフィールドが一気に膨らんだ。親子の時間もたっぷりある。

理想の働き方、働く場所を追い求めて、那緒子さんのいまがここにある。「美波町の風景と人の良さは変わらずそこにある。子どもが大きくなった時、ふるさとになったら嬉しい」
溢れる自然、地域との触れ合い。ないものに憧れる間に、子どもは成長していく。「デュアルスクール」は、都会の子育てに悩む誰もが、小さな決断と工夫で「もう1つの帰る場所」を手に入れることができる、新しい生き方の選択肢なのかもしれない。
文:ハタノエリ  写真:丹生谷千聡

※記事全文は、本誌(vol.25 2017年10月号)に掲載


▼沖縄県の移住支援制度まとめ!

https://turns.jp/55040

                   

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