
千葉県館山市は、南房総国定公園に指定された変化に富んだ34.3kmの海岸線を有し、新鮮な海と山の幸に恵まれた自然豊かなまちです。東京からわずか100キロ圏内という立地の良さもあり、これまで安房地域の政治・経済・文化の中心都市として発展し、現在は観光・レクリエーション分野での地域振興も期待されています。今回の2泊3日のツアーでは、古いビルをリノベーションした複合施設や海沿いのサウナなど、空き家や空き地を活用したローカルビジネスの実例を巡り、地域事業者と交流しながら、ワーケーションや地方創生の地としての館山市のポテンシャルに触れていきます。
【主催】館山市、東日本旅客鉄道株式会社(運営:株式会社ジェイアール東日本企画 企画協力:合同会社AWATHIRD)
※本イベントは「ちばワーケーション受入体制強化事業補助金」の一環で実施しました。
千葉県館山市
房総半島の南端に位置し、黒潮の影響を受けて冬でも花が咲く温暖な気候であることから、「都心から一番近い癒やし系リゾート」として多くの観光客に親しまれてきました。観光業が盛んで商業施設も多く出店。また、漁業、花卉栽培なども地域の経済を支えています。南総里見八犬伝のモデルのなった戦国大名里見氏ゆかりの史跡などが残る歴史とロマン漂うまちとしても知られています。
[1日目] 駅前ビルの1階をリニューアルして 内外の人が交流できる場をつくる
2泊3日のツアーはJR館山駅前の『sPARK tateyama(スパーク・タテヤマ)』の視察からスタート。
安房の玄関口でもある館山駅前の賑わいを創出するため、映画館や百貨店、家電量販店など、形を変えながら地域住人から長らく利用されていた商業ビルの1階をリノベーション。民営パブリックスペース兼テナントスペース『sPARK tateyama』として再生し、2022年11月にオープンしました。
現在、館内では、コワーキングスペースのほか、関係案内所(サロン)を兼ねるカレー店、コーヒーを飲めるクレープ店、古着屋が営業中。
※4月中旬には新たにラーメン店が営業開始予定
商業ビルの目の前にあった駐輪場も撤去され、この『sPARK tateyama』と駐輪場跡地(トライアルパーク)を会場に、毎月、多世代の方が楽しめる定期イベントが開催されるようになりました。
館山市では、令和元年度から本格的にスタートした官民連携の「館山リノベーションまちづくり事業」において、こうした地元の遊休不動産活用を軸にした地域内の経済循環と、地域内外の人材交流の促進に努めています。
sPARK tateyama
館山市北条1880-1 房州第一ビル(旧サカモトビル)1F
https://www.tateyamayamorisha.com/spark-tateyama
営業時間:11時~18時
休館日:月曜日
コワーキングスペース2時間500円~
リゾート地のムード漂うJR館山駅。
『sPARK tateyama』の外観。駅前に、日常的に立ち寄れる場所ができました。
『sPARK tateyama』館内を視察するツアー一行。
館山の魚を買うならここ! 柔軟に時流に対応する鮮魚店
続いて訪れたのは、『まるい鮮魚店』。創業は1962年。もともとは生魚を販売する地域密着型の鮮魚店でした。3代目社長の鈴木大輔さんが首都圏の飲食店にまで販路を拡大し、2015年には刺身や干物などの小売りを行う施設「まるい鮮魚センター」を開設。
さらに2017年には、もとの店舗の2階に海鮮料理の店「佐助どん」をオープン。「昔ながらの地元の魚屋」から大きく事業形態を展開させて、時流に対応していったそうです。
その後、コロナ禍で大打撃を受けたものの、2022年には、事業再構築補助金を活用して、HACCP認定工場「まるい加工センター」を開設。鮮魚フィレ、生冷凍、干物などを製造して、海外への販路を広げていこうとしています。
「温暖化の影響で海水温が上昇したことで、生魚への寄生虫のリスクが高まってきました。将来的に生魚の需要が低下し、冷凍や干物など、加工しないと魚が売れなくなるかもしれません。そのような市場の変化を見据えて対応していくことで、館山のおいしい魚というブランドを守っていきたい」(鈴木さん)。
まるい鮮魚店
館山市船形1234
https://www.marui-sakanaya.com
営業時間:8時~17時
定休日:元日(1/1)・毎週水曜日
魚屋さんとは思えない、モダンなデザインの外観。
店内には、刺身や干物などが並びます。南房総のお土産を求めて立ち寄る観光客も多いそうです。
地元の漁港に上がった鮮魚が人気。
イタリア料理店でも修業した経験のある鈴木さんは、魚など地元の食材を使った「館山おさかなピザ」を開発。店舗前の自動販売機で売れ行き好調。
里山の古民家を舞台に 二拠点生活向けプログラムを提供
次に向かったのは、『ヤマナハウス』。南房総市の内陸部、山名地区にある築300年の古民家を拠点に、有志による「シェア里山」ともいうべき活動が行われています。メンバーは、地元在住の方のほか、移住者、都市部と行き来している人など、さまざま。
主な活動は古民家の再生、休耕地の開墾、裏山の整備など、「共有(シェア)」という意識をベースに、現代の技術や発想をもって活動する新しい形の里山を作ろうという試みです。周辺の里山を舞台にした観光視点での二拠点生活向けプログラムや法人向けのワーケーションにも取り組んでいます。
この日は、鋸南町に移住してきた出張料理の女将、木村優美子さんの手による里山御膳が供されました。南房総の旬の野菜や地魚、国産菜種油、自家製醤油など素材を大切にした、見た目にも美しい料理に一同舌鼓。
南房総・館山エリアの里山のポテンシャルの高さや、古民家を活用し、いきいきと活動する人たちに触れるひとときとなりました。
ヤマナハウス
南房総市山名1395
https://yamanahouse.site/
『ヤマナハウス』の拠点となる築300年にもなる古民家。20年近く人が住んでいなかった空き家を会員メンバーの手でDIY。「里山バル」などの各種催しの会場としても活用されています。
ツアー初日のお昼は古民家の中で供されました。
木村優美子さんによる「里山御膳」。地元の食材をふんだんに使った、やさしい味わい。
食後にはツアー参加者の自己紹介の時間も設けられました。首都圏のほか、岐阜県から参加した人も。
カフェ、古書店、ゲストハウス… 館山の空き家活用例もさまざまに
昼食後は館山のまちなかに戻って、市街を散策。空き家の活用例を見て回ることに。
最初に訪れたのは、宿泊施設『tu.ne.Hostel(ツネホステル)』。築30年以上の診療所だった建物を改装して2019年6月、ゲストハウスとしてオープン。館山駅近くの商店街の通りが閑散とした雰囲気になっていた状況を変える、第一歩として計画されました。
館山は観光地ですが、駅周辺の宿泊施設はビジネスホテルや旅館が多かったため、テレワークもでき、気軽に一人旅ができる宿として人気となっています。
tu.ne.Hostel
館山市北条1712
https://tune.co.jp/
受付時間:9時~21時
定休日:なし
もとは診療所だった建物をゲストハウスに改装した『tu.ne.Hostel』。
診療所だった頃の雰囲気を活かした内部。待合室の受付をそのままホテルのフロントにしています。
次に訪れたのは、古民家を1年かけてセルフリノベーションしたという『Cafe&Garden MANDI(マンディ)』。店主である渡邊昭一郎さんが空き家となっていた実家をカフェとして再生し、2021年7月にオープンしました。実家の庭はそのまま開放して、誰でもくつろげる私設公園に。
「ほっとできる場所がほしかった」という思いで、東京と館山で二拠点生活を送ることに。カフェの営業は、館山に戻っている週4日のみ。渡辺さんはコーヒープロフェッショナル、ティーインストラクター、ソムリエの資格を持ち、ドリンクメニューも豊富にそろえています。
その向かいに隣接するのが、古書店『風六堂』。管理人の笹木千尋さんは2021年6月に東京から千葉県南房総市に移住してきました。全国の本好きが所蔵する、「特別な一冊」だけを寄贈で集めるというコンセプトをもとにした「風の図書室」を企画したところ、『MANDI』の渡辺さんに「本屋もすれば、広がりが出るのでは」と提案され、シェア型書店『風六堂』を始めることに。
『風六堂』」では笹木さんが仕入れた古書のほか、ワインの空き箱を貸し出し、そこで各自が好きな古本を売ることができます。ここに来れば、本好きな誰かとつながれる。そんな場を目指しているそうです。
Cafe&Garden MANDI
館山市北条1808-4
https://www.mandi-tateyama.com/
営業時間:8時頃~17時頃(平日)
10時頃~17時頃(土曜日・祝日)
(毎月第3土曜日は12時頃~)
定休日:日・月・火曜日
風六堂&風の図書室
館山市北条1808
https://kazenotoshoshitsu.net/
営業時間: 11時~17時(水・木・金・土曜日)
(金曜日は21時までの夜営業あり。第3土曜日は13時~)
定休日:日・月・火曜日
奥まった店舗へ誘導する『MANDI』と『風六堂』の看板。
『MANDI』と『風六堂』の入り口。奧は庭に続きます。
海外の田舎家のような落ち着いた雰囲気の『MANDI』。
古民家のたたずまいそのままの『風六堂』。まちの人々が気軽に立ち寄れる交流の場にもなっているそうです。
『風六堂』の管理人、笹木さん。その飾らない人柄で、多くの人たちを惹きつけています。
さらに駅前のほうに歩いて行くと、通り沿いにあるのが『mon Réve tateyama(モン・レーヴ・タテヤマ)』。オーナーシェフの島田孝之さんは、フランスや国内のレストランで修業を積み、館山のオーベルジュの料理長を経て、このお店を開きました。
当初は、房総の旬の魚をメインにしていましたが、2022年からジビエ料理にも本格的に取り組むようになりました。「房総は野菜も魚も新鮮。館山のジビエも旨味が強く、食べやすいんです」と島田さん。ジビエメニューが豊富で、さまざまな部位が楽しめるのも魅力。
島田さんが目指すのは、「まちの洋食屋さん」。本格的なフレンチを気軽に楽しめるお店として、予約はいつもいっぱいです。
mon Réve tateyama
館山市北条2570-12
https://reve.chiba.jp/
営業時間:ランチは水〜土曜日のみ11:00~14:00(LO13:30)
ディナーは18:00~22:00(LO21:30)
定休日:日曜日
まちの洋食屋さんとして、親しみやすいたたずまいの外観。
オーナーシェフの島田さん自らがセルフリノベーションしたという店内。
古い倉庫ビルをリノベーションして 身も心も満足する複合施設に
まち歩きの最後は、複合施設『YANE TATEYAMA(ヤネ・タテヤマ)』へ。古い倉庫ビルを改修して、カフェ『ALRIGHT COFFEE ROASTERS(オールライト・コーヒー・ロースターズ)』、書店『北条文庫』、レストラン『Acqua Tozzo(アクア・トッツォ)』、レザー工房『伝右衛門製作所』、ホテル『Room』などを併設する建物として、2024年4月にオープンしました。
館山駅から徒歩5分ほどの距離にあるのに廃墟のようになっていたビル。そこを、鋸南町で設備工事業を営む田村仁さんが仲間とともにリノベーション。この地ならではの文化を活かしたテナントを呼び込むことで、見事に活気を蘇らせた事例です。
1階の『北条文庫』では、南房総地域の郷土本やアート関連本を販売しています。「郷土の歴史文化を大切にしつつ、文化的な娯楽と出会える場所にしていきたい」という田村さん。カルチャーイベントも不定期に開催しています。
1階奧の『伝右衛門製作所』では、地域のジビエレザーを使った皮革製品を製作・販売。動物の皮、骨などは里山で得られる素材ととらえ、オリジナルの皮革製品も開発しています。
『ALRIGHT COFFEE ROASTERS』では本格的な焙煎コーヒー、自家製の焼き菓子が人気。2階の『Acqua Tozzo』はカウンター席メインのお酒がおいしいトラットリア。南房総エリアの新鮮な食材を使ったイタリアンがいただけます。
3階には、東京・門前仲町にある複合施設『YANE』を手掛けるHajikami inc.が提供するホテル『Room』も。南房総を堪能する拠点として心地よく過ごせる空間です。
YANE TATEYAMA
館山市北条1625-25
https://yane-tateyama.jp/
『YANE TATEYAMA』外観。1階は一面ガラス張りのオープンな空間に。
『北条文庫』は大正時代に地域に実在した私設図書館が店名の由来だそうです。古書と新刊書籍のほか、オリジナル書籍も販売。
1階の奧には、レザー工房『伝右衛門製作所』が営業中。イノシシやキョンなど地元の山で獲れた皮革を使った製品が並びます。
『ALRIGHT COFFEE ROASTERS』では、コーヒーは店内の焙煎機でロースト。店内には淹れ立てのコーヒーの香りが漂います。
南房総を堪能する拠点として計画された3階のホテル『Room』。3ベッドルーム+リビングがあり、心地よく滞在することができます。
館山という地域の課題を知る。 地域の人々との交流会も賑やかに
1日目の最後のプログラムは、「館山市による市の紹介」「館山信用金庫による地域課題総論」、「空き家アドバイザー横山知由氏による空き家問題についての講義」といった、地域を知る人々からの館山についてのレクチャーが行われました。
館山市雇用商工課の並木敏行さんは、市の特性として、豊かな自然や安房地域の中での拠点性の高さを挙げる一方、とくに対応すべき課題として若者の流出を説明。それらを踏まえて、移住・定住の促進、市が民間と連携するリノベーションまちづくりやワーケーションの推進等について、ツアー参加者に紹介しました。東京から車で80分というアクセスの良さを活かし、関係人口の創出、地域経済の振興や地域課題の解決等を目指しています。
館山信用金庫支援部の佐久間耕一さんからは、人口が減少する地域における労働力や購買力の低下について、①外から地域へ入ってくるお金を増やす、②地域からお金が外に出てしまうことを防ぐ、という2点が重要であることが説明されました。地域内で経済を活性化させ、経済を地域内で循環させることが重要だと指摘。地域の課題を新たなニーズとして捉え直すことが求められるということでした。
合同会社AWATHIRDの横山知由さんは不動産業界で実績を積み、空き家活用・移住促進・地方起業を自身のミッションにしています。この日は、全国の空き家の現状、空き家が増えることによる地域への悪影響を説明。空き家を地域の資源としてとらえ、リノベーションで再生することで、地域の活性化につなげていくことが大切だと語ります。
座学終了後は、地域の方々と交流会を実施。隣接する『Acqua Tozzo』の料理をいただきながらの立食パーティーとなり、大いに盛り上がりました。
『YANE TATEYAMA』2階のホールで座学。
館山市雇用商工課の並木敏行さんと地域おこし協力隊の宇山大紀さんは、館山市の概要と取組を紹介。
館山信用金庫支援部の佐久間耕一さんは、地域の課題とビジネス活性化について講義。
合同会社AWATHIRD代表の永森昌志さんは、今回のツアーのまとめ役。自らも2007年から2拠点生活を経験し、2013年より移住。現在は地方創生の取組に従事しています。
合同会社AWATHIRDの横山知由さんは、リノベーションによる空き家活用の必要性を説明。
座学終了後は、地元の方との交流会。
会場では隣接する『Acqua Tozzo』の料理が振る舞われました。
[2日目] 海辺に立つ本格サウナと食堂。 海を眺めながら身も心も満たされる
2日目は地域内で新たな事業にチャレンジしている方々を訪問。最初は、サウナ施設『Sea Sauna Shack(シーサウナシャック)』です。海辺の高台に立つ建物を貸し切りサウナ施設としてリノベーション。
鏡ヶ浦を見ながらサウナを満喫できるとあって、多くの来客があるといいます。サウナを愛する社長と支配人による、こだわりの詰まった癒やしの空間は、館山の自然あってこそ。ワーケーションで館山を訪れた際にはぜひ立ち寄りたいスポットです。
Sea Sauna Shack
館山市波左間1063-2
https://sea-sauna-shack.com/index.php
150分ずつ4部制で予約を受け付け
営業時間:9時~20時30分
定休日:火曜日
「Shack=小屋」という名前通りのこじんまりとしたかわいい外観の『Sea Sauna Shack』。
館山の海を眺められる絶景のサウナ施設です。薪式ストーブはインテリアデザイナーによるオリジナルのデザイン。
続いて訪問したのは、『富崎館食堂』。ここはもともとは明治時代からの民宿でした。しかし、令和元年房総半島台風により大きな被害を受け、一時は更地にした後売却するということも考えたといいます。
しかし、ふるさとを失うということに耐えきれなくなったご主人、八代健正さんが再興を決意。芝浦工業大学プロジェクトデザイン研究室と連携して、2022年2月、食堂とキャンプ場として再出発することになりました。
食堂では地魚を活かした定食が人気に。また、太平洋を見渡すキャンプ場も最高の立地。館山の漁村に新しい観光スポットが生まれています。
富崎館食堂
館山市布良303-1
https://www.tomisakikan.net/
営業時間:ランチ11:30~14:30(LO 14:00)(金・土・日・月曜日)
ディナー 17:00~22:00(金・土曜日)
かつて民宿だった建物の一部をリノベーションし、再生させた『富崎館食堂』。
バイタリティあふれるご主人、八代健正さんから、『富崎館食堂』として再出発を切るまでの経緯をうかがいました。
千葉県の特産品のピーナッツを軸に 農業6次産業化を展開
製造している『木村ピーナッツ』の親会社は京葉ガスエナジーソリューション。なぜ千葉県の都市ガスの会社がピーナッツ産業に?
その説明をしてくれたのは、京葉ガスエナジーソリューション社長の吉岡比呂志さん。
「地元の皆さんあっての私たちです。地域への貢献度を高めるためには、地域産業に親和性があるバイオ事業を拡充させ、営農を基軸とする第6次産業に進出することが必要という社内認識がありました。そんな折、事業継承に課題を抱えていた木村ピーナッツさんと出会い、資本提携することになったのです」。
以来、ピーナッツ商品の製造・販売だけでなく、栽培まで手掛けるようになり、地域の農地活用の促進に貢献することに。さらに地域の学校と連携して農業体験や食育の場にもつなげるようになったそうです。
直営の館山店のほか、柏市内の道の駅しょうなんにも販路を拡大。個性豊かな『木村ピーナッツ』の商品は、地元の方だけでなく観光客にも徐々に知られるようになってきています。
木村ピーナッツ館山店(ピネキ)
館山市下真倉 236-3
https://kimura-honpo.com/
営業時間:9時~18時
休業日:元日(1/1)
木村ピーナッツ犬石圃場
館山市犬石172-1
https://kimura-honpo.com/
営業時間:収穫体験開催時
京葉ガスエナジーソリューション社長の吉岡比呂志さん。ピーナッツ産業を通じて、地域貢献を果たそうと取り組んでいます。
豊かな自然に囲まれた『木村ピーナッツ』の圃場を視察。
充実した視察とインプットを経て グループ討議も白熱
午前中の視察を終えた一行は、『ホテルファミリーオ館山』に移動。このホテルには、2023年3月に地方創生型ワークプレイス「JRE Local Hub 館山」が開設されました。
この施設は、館山市内のワーケーション推進施設の拠点的な役割を担い、地方創生関連のセミナーやビジネススクール、地域課題解決に向けたワークショップなどの会場として利用されているほか、ドロップインの利用もできるワークスペースがあり、屋外に整備されたレンタルオフィス棟(3棟)は、サテライトオフィス等の進出拠点として活用されています。
ホテル内のワークスペースの視察後、隣接するスタジオを会場にして、空き家問題とローカルビジネスについてのレクチャー。さらに、「館山市の市街地と郊外の空き家活用」についてのグループ討議を2班に分かれて行いました。
「市街地グループ」は『YANE TATEYAMA』、「郊外グループ」は『ヤマナハウス』の古民家のさらなる活用法についてアイディアを討議。まとめたアイディアが2班からそれぞれ発表されました。
2日にわたる視察とインプットを経て、一行に蓄積された情報量は相当なもの。実り深い1泊2日となりました。
ホテルファミリーオ館山
館山市大賀81-17
https://familio-folkloro.com/tateyama/
■リニューアルに伴う休館期間
2025年1月27日(月)チェックイン~2025年夏(予定)
『ホテルファミリーオ館山』に移動。地方創生型ワークプレイス「JRE Local Hub 館山」が設けられています。
「JRE Local Hub 館山」のワークスペース。リゾート感あふれ、リラックスして仕事ができる空間となっています。
『ホテルファミリーオ館山』内のスタジオで空き家問題についての座学。
お昼には、1日目に訪問した『まるい鮮魚店』直営の「佐助どん」の「特選海鮮丼」をいただきました。
グループ討議では2班に分かれ、「市街地グループ」は、『YANE TATEYAMA』の活用法について話し合いました。
もう一方の「郊外グループ」は、『ヤマナハウス』の古民家の活用法について話し合いました。
各メンバーから寄せられたアイディアをまとめていきます。
2班とも討議終了後にまとめたアイディアを発表。
参加者の岡田さんは、館山に実家があるものの、都内での暮らしが長く、あまり戻る気はなかったといいます。「今回、改めて館山のことを知ることができて良かった。どこかで田舎暮らしをすることも考えていましたが、リタイア後の居住地として館山が候補に入ってきたように思います。思っていたより可能性やポテンシャルに満ちた地域だと感じました」(岡田さん)。
中身の詰まった視察とグループ討議を終えて充実感いっぱい。
[3日目] 館山の海を満喫するアクティビティ。 ビーチコーミングや釣りを楽しむ
ツアー3日目は、特別プログラム。館山の自然に触れて心身をリフレッシュしながら快適なワークスペースでゆったり仕事するワーケーション体験です。
まずは朝9時に旅館からすぐの北条海岸に集合。ガイドをしてくれたのは。NPO法人「たてやま・海辺の鑑定団」の理事長、竹内聖一さんです。南房総の恵まれた自然環境や歴史・文化を守りながら、広く多くの人々に対し、「海辺の自然体験」を通じて自然環境や生態系を考えるきっかけを組織的に提供するという取組を続けています。
地球温暖化による海への影響を語りながら、館山の自然を守ることの大切さを教えてくれました。そうした海の生態をわかりやすく理解できるのが、海辺に打ち上げられたものを採集しながら歩く「ビーチコーミング」。一行は、砂浜に目を配りながら、朝の海岸をゆっくりと散策していきました。
ひとしきり歩いたあとは、北条海岸で釣りを楽しむことに。幸い全員、釣果に恵まれました。
海辺に打ち上げられた貝を説明する竹内さん。
竹内さんとともに北条海岸を散策。
釣りは楽しいもの。フィッシングアクティビティで館山の海を満喫。
メリハリのあるワーケーションの時間を確保できる館山の魅力
館山の海の開放感を満喫したあとは、ワークタイム。それぞれ『YANE TATEYAMA』、館山信用金庫内の『たてしんコワーキングスペース』などでパソコンを開いて仕事や学習に集中。
『YANE TATEYAMA』は各階でWi-Fiが使えるので、コーヒーを飲みながらゆっくりとした時間が過ごせます。
また館山駅から徒歩7分の『たてしんコワーキングスペース』は、館山信用金庫本部ビル1階にあり、駐車場も完備。予約不要で誰でも無料で利用することができます。個別ブースのほか、ミーティングルームもあり、コピー機なども利用可能。とても便利なコワーキングスペースです。
観光するだけでなく、テレワークもしやすい館山なら、効率よく充実した時間を過ごせそう。日帰りできる距離ですが、じっくりゆっくりと滞在したくなるまちです。
『YANE TATEYAMA』では、建物内の各所でWi-Fiが通っており、お気に入りの場所でノートパソコンを使用することが可能。
館山駅から徒歩7分の『たてしんコワーキングスペース』は、館山信用金庫本部ビル1階にあります。
個別ブースもあり、集中できる環境が整っています。
文・渡辺圭彦 写真・渡部聡
3月に開催された館山のワーケーションに関するビジネススクール「TURNSのがっこう―館山科―」の模様が房日新聞に取材、掲載されました。
「地域の可能性広げるには 館山で全3回のビジネススクール 初回は10人が受講」