「晴れの国おかやま」を代表する観光地であり、瀬戸内の温暖な気候と穏やかな海、歴史・文化、人のあたたかさに恵まれた住環境から、移住先としても人気の倉敷市。
そんな倉敷暮らしの豊かさを切り取る「とりっぷ倉敷」が、2024年10月4~6日に開催されました。
参加者は20~40代のカメラ女子&男子14名。関東圏から倉敷への移住者でありフォトグラファーの菅野亮さんによる案内のもと、市内のフォトジェニックなスポットを巡り、倉敷で自分らしい暮らしを叶えた先輩移住者やキーパーソンたちと交流しました。
この記事では、3日間の旅を通して出会った倉敷の魅力的な人やもの、スポットをたっぷりとご紹介します!
\案内役はこの方/
菅野 亮 さん(広報・フォトグラファー)
【プロフィール】1994年埼玉県生まれ。広報・フォトグラファー。東京でブライダルフォトグラファーとして活動していたが、瀬戸内海の穏やかな暮らしに憧れて倉敷市児島との二地域居住を始め、同年代の移住者が活躍している姿を見て、2022年12月に移住。現在は工務店の広報や町おこし活動に関わりながら、地域のお店や商品の写真撮影などを行っている
【1日目】倉敷の産業・文化の歴史的背景を学ぶ
JR倉敷駅に集合した参加者は、バスに乗って最初の目的地へ。その道中で開かれたオリエンテーションでは、倉敷市役所の職員から倉敷市の歴史を解説していただきました。
倉敷市公式移住定住ポータルサイト「くらしきで暮らす」より
今から400年ほど前まで、現在の倉敷市の平野部一帯は、大小さまざまな島が点在する一面の海だったのだそう。江戸時代以降に大規模な干拓が行われたことで海は陸地となり、島と島がつながったことで、倉敷、船穂・真備、玉島、水島、児島の5つの地区からなる現在の倉敷市が形成されました。島のつく地区名が多いのは、それぞれが離島だった頃の名残なのだそうです。
塩分濃度の高い干拓地は稲作に不向きだったことから塩に強い綿やイ草の栽培が始まり、次第に紡績、織布、縫製技術が発達して繊維産業へと発展。今日まで続く「繊維のまち」としての歴史が育まれていきました。
倉敷帆布(丸進工業) 工場見学
その「繊維のまち・倉敷」を代表する企業の一つが、最初の目的地である
『丸進工業株式会社/倉敷帆布株式会社』です。綿花の栽培が盛んだった児島地区で1888年に創業して以来135年以上もの間、倉敷の繊維産業の歴史を紡いできた老舗企業で、現在では日本製帆布の約7割を生産しています。
この日は、倉敷帆布の5代目後継者を務める武鑓悟志さんが、帆布工場と併設のショップを案内してくださいました。
武鑓悟志さん|丸進工業株式会社・倉敷帆布株式会社
1991年、岡山県倉敷市生まれ。中学卒業後、15歳の時にカナダに留学。海外生活を送る中で日本のものづくりの素晴らしさを客観的な視点から実感し、2018年に日本に帰国。2021年に15年ぶりに帰郷し、高祖母が創業した家業の倉敷帆布を継ぎ、5代目後継者として活躍中。
武鑓さん「繊維業界は工程ごとの分業制を採るのが基本ですが、倉敷帆布では創業以来、合糸、撚糸、整経、経通し、製織まで自社工場で一貫生産しています。築90年以上の木造工場と、現在では生産されていない旧式シャトル織機を職人さんとともに改良を重ねながら受け継ぎ、大切に使い続けているのが特徴です」
旧式シャトル織機が帆布を織り上げるスピードは、現在主流となったシャトルレス織機の1/10ほど。さらに、職人さんが一本一本の糸の種類や強度を見極め、指先の感覚を頼りに調整して織り上げなければなりません。
倉敷帆布ならではのあたたかみのある風合いは、旧式織機と職人さんによる手仕事があればこそ生み出せる味わいです。
武鑓さん「倉敷帆布が一番大切にしているのは、歴史あるものをみんなで試行錯誤しながら受け継ぐ中で培ってきた、技術と心、人の力です。帆布の可能性は無限大です。人の力さえしっかり守り受け継いでいければ、どんなことにもチャレンジできるし、まだまだ新しい価値を生み出していけると思います」
■丸進工業株式会社/倉敷帆布株式会社
所在地:〒710-0146岡山県倉敷市曽原439番地
HP:https://hampu-ya.com/index.html
有鄰庵
続いて、岡山県を代表する観光スポット・美観地区にある、築100年の古民家を活かしたカフェ『有鄰庵』へ。
ここでは有鄰庵のほか、美観地区を拠点にレストランやセレクトショップ、宿など、10種もの店舗・拠点を展開している『株式会社行雲』代表の犬養拓さんのお話を伺いました。
犬養拓さん|株式会社行雲
1979年、東京生まれ。父方の曾祖父に第29代内閣総理大臣の犬養毅、母方の曾祖父に、倉敷紡績(現・クラボウ)、倉敷絹織(現・クラレ)などの社長を務めた大原孫三郎を持つ。都内の大手広告代理店に勤務した後、母方の縁のある倉敷に移り、2016年に「株式会社有鄰」(現在の株式会社行雲の前身)の代表取締役に就任。「心の豊かな暮らしを創る」を企業理念に掲げ、美観地区を拠点に多数の事業を展開中。
犬養さん「美観地区は景観の素晴らしさが注目されがちですが、僕自身は、日本初の私立西洋美術館である『大原美術館』や、中世~現代の世界各地の民芸品を約600点展示する
『倉敷民藝館』に象徴されるように、国内外の先進的なカルチャーを取り入れながら独自の文化を育んできたところに大きな魅力を感じています。
地域の人達が育んできた伝統・文化を大切に継承しつつ、そうした進取の精神と自社が掲げる“ローカル×クラフト×クリエイティブ”の事業軸を掛け合わせ、自分たちらしい視点で倉敷や岡山の地域資源が持つ価値を再解釈し、その魅力を広く伝えていくことを大切にしています」
行雲では、例えば「有鄰庵」や系列の「有鄰庵 岡山希少和牛店」のメニューは極力地元の食材を使うことにこだわり、セレクトショップ「美観堂」では岡山・倉敷産の“本当にいいもの”をセレクトして届けるなど、各事業で生まれた利益を地元に還元できるビジネスモデルを採っているのだそう。地域と共に豊かになる未来を描いているところに、県内外の多くの人から愛される理由が伺えました。
■株式会社行雲
所在地:〒710-0054 岡山県倉敷市本町2-15
HP:https://ko-un.jp/
ワークショップ
お話を伺った後は行雲が経営するレストラン「然味-sami-」に移動。参加者は3つのグループに分かれ、今回のツアーで撮影したい写真のテーマについて話し合いました。
参加者からは、
「平日は都会、休日は地方で過ごす二地域居住を考えているので、“理想の休日”をテーマに撮影したい!」
「瀬戸内地域ならではの穏やかな時間が流れていると思うので、心が落ち着く瞬間を撮りたい!」
「ガイドブックに載っていない魅力を撮って、新しい倉敷を発信したい!」
などさまざまな声が聞かれ、倉敷の魅力を切り取る自分らしい視点を明確にできたようでした。
美観地区散策・撮影
その後は各自自由に美観地区を散策。白壁の蔵屋敷が建ち並ぶ街並み撮影や食べ歩き、施設見学などを楽しみました。
撮影:Yuminoma
新渓園
思い思いの時間を過ごした一行は、倉敷発展の礎を築いた実業家・大原孫三郎氏の別荘として1893年(明治26年)に建てられた「新渓園」へ。
ここで開かれた夕食交流会には、倉敷帆布の武鑓悟志さんや行雲で働く小銭綾乃さんと西田亜由美さん、倉敷市地域おこし協力隊の岩佐りつ子さんや宮崎菜央さん、市役所職員も参加。
撮影:菅野亮
美観地区近くに店舗を構える『備中の地酒バル 粋酔日』の店主が、「地のものをたくさん味わってほしい」とこの日のために作ってくださった心づくしの弁当や地酒を楽しみながら交流を深めました。
【2日目】瀬戸内海の穏やかな空気と芸術性を体感する
岡山県は、降水量1mm未満の日が276.8日と全国第1位。快晴日数の多さや日照時間の長さも全国上位で、年間を通して温暖で過ごしやすい気候が特徴の「晴れの国」です。
この日も天候に恵まれ、まだ見ぬ地域との出会いに胸が高鳴ります。
belk
瀬戸内の多島美を一望できる「belk」(撮影:marikawahara)
倉敷市の中心部から1時間ほど車を走らせ向かったのは、瀬戸内海を望む児島地区の王子が岳に佇む「belk」(@_belk)。海と山、その間にゆったり広がる瀬戸内時間を体感できる人気のカフェです。
ここでは、丁寧にドリップされたコーヒーを味わいながら愛知県名古屋市からの移住者でbelkのマネージャーを務める板谷勇吾さんと、瀬戸内の美しい景色に魅せられ山口県から移住された、写真家の原田美羽さんとの交流を楽しみました。
写真家の原田美羽さん(@utau_mi)
板谷さんを囲む席では、参加者から「なぜ瀬戸内に移住したのですか?」「移住後の仕事や暮らし、人間関係への不安はどのように解消しましたか?」など、移住に関する質問が多く出ていました。
belkマネージャーの板谷勇吾さん
板谷さん「もっと心にゆとりのある暮らしがしたいと思っていた時にbelkとオーナーの北村健太郎さんと出会い、何度か通ううちに、ここで過ごす時間が自分の中でかけがえのないものになっていったんです。だから僕の場合は不安よりも、瀬戸内の空と海の美しさに救われたあの日の気持ちを大切に、『ここで暮らしたい』という心に正直に生きていきたいという気持ちの方が強かったです。
倉敷での暮らしは、何気ない日常の中に心満たされる瞬間があって、とても豊かです。belkの一員として、自然と共にあるこの美しい時間を一人でも多くのお客様に届けていきたいです」
belkのコンセプトは「暮らしに自然を、心に野を。」
都会の喧騒の中にいる今この瞬間も、瀬戸内には穏やかな海と空が広がっていて、同じ時を刻んでいる。そう思うだけで心が軽く、晴れやかな気分になる。そんな風に心に“野”を宿すきっかけをつくることで、人と自然をつないでいきたいという想いが込められています。
■belk
所在地:〒711-0905 岡山県倉敷市児島唐琴町7
SNS:https://www.instagram.com/_belk__
王子が岳 散策・撮影
その後のフリータイムでは、belk近くの絶景ポイントで撮影や自然散策を楽しみました。
撮影:Miuharada
DENIM HOSTEL float
belkを後にした一行は、同じ児島地区にある『DENIM HOSTEL float』へ。
ここは、倉敷発のデニムブランド『ITONAMI』が運営する、”泊まれるデニム屋”がテーマのホステル&カフェです。
この日はfloat内のカフェ&レストラン『pile』で、きらめく瀬戸内海を眺めながら地産食材を贅沢に使った特製プレートを頂きました。
「黒毛和牛 豊福牛」や地魚「ひら」、「づくし柿」、シャインマスカットなど、岡山県産食材を味わえる絶品プレート
floatには、デニムブランド『ITONAMI』のコンセプトショップも併設されていて、ものづくりにかける作り手の想いに直接触れながら買い物を楽しむこともできます。
floatの支配人を務める草加和輝さん
ITONAMIはアパレルブランドとしての枠を越え、floatのほか、綿花を育てるところから服をつくる参加型のものづくりプロジェクト「服のたね」、インディゴ染料を用いて衣類を染め直す「fukuen」、デニムを回収し再生・再利用する「FUKKOKU」の3つの事業を展開しています。
草加さん「すべての事業に一貫しているのは、『自分なりの愛着をもって、モノを長く大事に使って欲しい』という想いです。作り手の想いとこだわりが詰まった“モノ”を選ぶという経験や、原材料をつくるところからものづくりに携わる体験、思い出の詰まった“モノ”を使い続ける喜び。『愛着』をキーに人とモノとの関係をつなぎ直すきっかけをつくっていきたいです」
■DENIM HOSTEL float
所在地:〒711-0905 岡山県倉敷市児島唐琴町1421-26
HP:https://www.denimhostelfloat.com/
SNS:https://www.instagram.com/denimhostelfloat/?hl=ja
自由散策&撮影会
その後のフリータイムでは、写真家の原田美羽さんとの撮影会を楽しみました。
都会暮らしへの違和感や、進路や仕事、人間関係の悩み。
様々な想いを抱え、暮らしを変えるヒントを求めてツアーに参加したメンバーも、心洗われるような瀬戸内の絶景を前にリラックスした様子でした。
下津井地区散策
次に向かったのは、瀬戸大橋のたもとに広がる下津井地区。
江戸中期~明治時代にかけて北前船の寄港地として栄えた港町ですが、近年は人口減少と高齢化が急速に進み、地域の活力の減退が大きな課題となっていました。
そんな下津井を盛り上げようと、地域の実業家の牧信男さん、矢吹勝利さん、正田順也さんの3名が立ち上がり、2017年にスタートしたのが「下津井シービレッジプロジェクト」。空き家・空き物件の活用や、移住希望者に向けた「せとうち古民家お試し住宅」の開設、地域を盛り上げまちに人を呼ぶイベントの企画運営など、倉敷市とも連携し多岐にわたる地域活性化事業を展開しています。
こうした取り組みの成果もあり、近年は下津井に移住する若者も増え、まちに新しい明かりが灯り始めているのだそう。
参加者は蔵造りの商家や本瓦葺きの家々が軒を連ねる古き良き町並み散策を楽しみながら、先輩移住者のもとを訪ねました。
下津井宿 風待汐待
長谷川達也さん|株式会社なんば建築工房/株式会社あかつき
埼玉県出身。2021年に東京都から下津井に移住。1887年(明治20年)創業の老舗工務店「株式会社なんば建築工房」の社員として勤務する傍ら、「下津井シービレッジプロジェクト」に参加し、下津井の歴史的古民家「旧・中西家」の再生プロジェクトの一環で、2024年7月に一棟貸しの宿泊施設「下津井宿 風待汐待」を開業。
木造2階建ての空き古民家をリノベーションして造られた「下津井宿 風待汐待」の特徴は、バイク10台ほどを収容できる室内ガレージを設けていること。鷲羽山を背に瀬戸内の絶景を臨む土地柄、ツーリング愛好家も多く訪れる下津井。こうした地域性を活かし“バイク好きの聖地”として新しい切り口から地域を盛り上げていきたいという、オーナーの長谷川さんの想いが詰まった宿です。
間取りは和洋折衷の3LDKで最大10人まで宿泊可能。家族みんなでのんびり過ごしたいというファミリー層の利用も多いといいます。
長谷川さんは移住後の暮らしについて、「都会で暮らしていた頃よりも、ストレスが格段に減りました。人のあたたかさや優しさに触れる機会が増えましたし、自然豊かで職住近接のライフスタイルや、新鮮でおいしい海産物が手頃な価格で食べられるところも魅力です」と話していました。
■下津井宿 風待汐待
所在地:〒711-0927 岡山県倉敷市下津井1- 7-30
HP:https://kazeshio.com/ja
SNS:https://www.instagram.com/ryokan_kazemachi.shiomachi
ダンジョデニム
続いて訪ねたのは、アパレル未経験からデニムジャケットブランド「ダンジョデニム」を立ち上げた福川太郎さんの工房兼店舗。築150年の古民家を改装した店内には、国産デニムの新時代を感じさせる作品が所狭しと並んでいます。
福川さんは、ここを拠点に企画・デザイン・パターン・裁断・縫製・販売までをすべて1人で行っているそうです。
福川太郎さん|ダンジョデニム
茨城県出身。大学卒業後、電気メーカー勤務や動画制作・音楽活動を経て、高校時代から好きだったGジャンを自らの手で作ってみたいと、2017年に国産デニム発祥の地・児島に移住。デザイナーやクリエーターのスタートアップをサポートする「倉敷市児島産業振興センター」を拠点に研鑽を積み、2021年に下津井にデニムジャケットブランド「ダンジョデニム」の実店舗をオープン。
福川さん「倉敷は江戸時代から続く繊維産業のまちなので、他地域と比べてアパレル産業に対する公的支援が手厚く、地元の人たちの理解も深いので快く応援してくださいます。自分のアパレルブランドを立ち上げたい人にとって、挑戦しやすい環境が整っている地域だと思います」
■ダンジョデニム
所在地:〒711-0927 岡山県倉敷市下津井1- 9-31
HP:https://danjodenim.com
SNS:https://www.instagram.com/danjo_denim
下津井宵灯り
夜には、今年初開催となる地域イベント「下津井宵灯り」に参加。
80年ほど前から下津井で唄い継がれてきた「下津井節」の魅力を広く伝えていきたいと、地元の若手有志が企画したお祭りで、会場は地元住民のほか下津井宵灯りを目的にやって来た観光客らで賑わっていました。行灯と提灯が照らす中、編み笠をかぶった躍り手が流し踊りを披露
踊りの振り付けは、瀬戸内海の穏やかな波や鷲羽山で羽を広げるワシなど、下津井の風土からインスピレーションを得て考案されています。土地への誇りと愛着を表現する祭りがまちに人を呼び、新たな賑わいを生み出す姿に、地域振興の本質を見た思いがしました。
【3日目】美食と、想いを持って活動をする人々と出会う
ツアー3日目となり、参加者同士もすっかり打ち解けた様子。
隣同士会話の弾む参加者を乗せて、バスは倉敷市の南西部に広がる玉島地区へと向かいます。
玉島ノスタルジックなまち歩き
映画「ALWAYS3丁目の夕日」など、数々の映画やドラマのロケ地となったことで知られる「通町商店街」を散策
玉島地区は、かつて北前船の寄港地として栄えた港町。中心部には「通町」「港町」「栄町」「銀座」「清心町」の5つの商店街があり、商業の町として多くの人が行き交った歴史を今に伝えています。近年ではノスタルジックな風景を活かし、「レトロな街 玉島」をキーワードに町おこしに取り組んでいる地域です。
#レトロな街 玉島
https://www.instagram.com/tamashima_kurashiki/
こもれびの里・まび竹工房
続いて一行は、市の北西部に位置する田園地域・真備地区へと向かいました。
真備地区は県内有数の竹とたけのこの産地として知られる地。西日本を中心に記録的な大雨をもたらした「平成30年7月豪雨」により甚大な洪水・土砂災害を経験しましたが、その後復興が進み、近年では竹を活かした新たな特産品開発と地域づくりが進んでいます。
参加者に竹炭の可能性を伝える、『こもれびの里』の藥師寺正志さん
新しいまちづくりを牽引しているのが、豪雨災害のボランティアスタッフらを中心に結成された「特定非営利活動法人こもれびの里」。豪雨災害以降、放置され荒廃が進んでいた竹林を有効活用し、地域再生と障がい者や高齢者の自立支援に取り組んでいます。
「合同会社 まび竹工房」の職人が作る竹製の生活道具
竹炭には優れた消臭・脱臭・調湿効果があり、こもれびの里で作られた竹炭は「令和6年能登半島地震」の被災地に送られ、浸水家屋の床脱臭や湿気取りなどに活用されました。
また、パウダーにして食べることでミネラル分を補ったり、体内にたまった老廃物を体外に排出するデトックス効果もあり、今後、健康・美容面でもさらなる活用が見込まれています。
生地に竹炭パウダーを練り込んだ竹炭ピザを堪能
地産ジビエ肉のBBQも楽しみました
■特定非営利活動法人こもれびの里
〒710-1305 岡山県倉敷市真備町市場3910
GRAPE SHIP
お腹を満たした一行は、倉敷市の西部、船穂地区にある「GRAPE SHIP(グレープシップ)」へ。ここは、「ブドウの女王」とも呼ばれる「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を育てるところから自然派ワインを造る、栽培醸造家の松井一智さんの醸造所です。
松井一智さん|GRAPE SHIP
倉敷市児島出身。関西でフレンチレストランのシェフをしていた時に、ワインと料理の研究のためフランスに留学。現地でナチュラルワインの世界に感銘を受けて醸造家を志し、帰国後、船穂町で130年の歴史を誇るマスカット・オブ・アレキサンドリアの生産技術を学ぶ。2012年に新規就農し、2021年に「GRAPE SHIP 株式会社」を開業。
年間を通じて温暖で降水量の少ない岡山県は、国内有数の果物の産地。中でもマスカット・オブ・アレキサンドリアの生産量は全国シェアの9割以上を占めており、その多くが船穂地区で生産されています。
松井さん「船穂地区では、1886年(明治19年)にマスカット・オブ・アレキサンドリアの栽培を開始して以来、実に134 年もの間伝統を絶やすことなく受け継いできました。でも近年は地元農家の高齢化と後継者不足が深刻化していて、耕作放棄地も目立つようになっています。
ぶどう本来が持つおいしさをダイレクトに感じられるナチュラルワインを通して、マスカット・オブ・アレキサンドリアならではの味わいを多くの人に伝えられたら、船穂のマスカットを次世代につなぐことができる。そう信じて地域農業と向き合っています」
この日は、ぶどうの収穫とぶどうを絞るプレス工程を体験させていただきました。
その後、搾りたてのジュースとワインを試飲させていただくことに。
何度も確かめたくなるような甘く華やかな芳香とコクのある飲み口ながら、甘みと酸味が絶妙にマッチしていて後味は爽やか。
松井さんの決意と覚悟がこもった言葉を想いながら、一口ひとくち味わいました。
■GRAPE SHIP
HP:https://www.grapeship.jp
SNS:https://www.instagram.com/grapeship
沙美カフェ しろ
最後は瀬戸内海を望む古民家カフェ「沙美カフェ しろ」で、参加者一人ひとりが切り取った倉敷暮らしの魅力をシェアしました。
「倉敷と言えば美観地区と思い込んでいたのですが、瀬戸内海を望む児島地区にはものづくりの精神が息づいていたり、玉島地区には昭和レトロな港町の町並みが広がっていたり、真備・船穂地区は農林業が盛んだったりと、多彩な表情を持つ地域だと感じました。近いうちにもう一度来て、他の地区も巡ってみたいです」
「倉敷の人たちは自分たちが暮らす土地に誇りを持って暮らしていて、そこがとても素敵でした。人と人とのつながりや助け合いを大切にする姿に何度も心があたたかくなり、こんな風に思いやりのある人たちと一緒に暮らしていけたらとても幸せだろうなと思いました」
「古いものを大切にしながらも、若者や移住者による新しい挑戦を柔軟に受け入れる地域性があって、それらが新旧混ざり合って新しい倉敷ができあがっていくことを実感できました」
「美しい景色や自然の豊かさ、おいしい食、あたたかい人たちとの出会いにふっと心が軽くなる瞬間があって、自分の感覚に合う地域だと感じました」
「海も山もあって気候も人も穏やかで想像していた以上に住みやすそうだと思いました。まずは二拠点居住の実現に向けて次のステップを考えていきたいです」
瀬戸内の穏やかな自然と手仕事が息づく古き良き街並み、そして、倉敷で “好き”を見つけ自分らしい暮らしを叶えた先輩移住者たち。3日間の旅を通して出会った倉敷の魅力を一つひとつ写真に収めることで、参加者一人ひとりの中に新たな気付きがあったようでした。
今の暮らしを変えたい、もっと豊かで自分らしい暮らしがしたいという方は、 “移住”と構えずまずは倉敷を訪ねてみてください。心惹かれるたくさんのヒト・モノ・コトとの出会いから、新しい暮らしの可能性が見えてくるはずです。
\Instagramで発信中!/
今回参加者が撮影した写真は、「#くらしきで暮らす」で発信しています。ぜひご覧ください。
\倉敷市公式移住定住ポータルサイト「くらしきで暮らす」/
倉敷市の移住・定住に関する最新情報や、各種支援制度、先輩移住者へのインタビューなどを掲載しています。https://iju-kurashiki-gurashi.jp