リモートワークの普及によってますます注目を集めている「ワーケーション」。旅先で仕事をしつつ、休暇も存分に楽しみたい! そんなニーズを叶えるスポットが各地に続々と増えています。
今回、TURNSがワーケーションスポットとして注目したのは、山形県の中央部に位置する村山市。市の中心には日本三大急流の一つである最上川が流れ、東は甑岳(こしきだけ)、西は葉山(はやま)に囲まれた美しい田園風景が広がる地域です。
東京からは新幹線で約3時間15分、仙台からは約1時間40分
ワーケーションにもってこいの豊かな自然環境はもちろん、何といっても新幹線が停車する村山駅があり、各地からスムーズにアクセスできるのも大きな魅力。限られた滞在時間を有効活用できる、2つのおすすめスポットをご紹介します!
非日常の空間&自然を満喫。
最上川沿いのグランピング施設
村山を訪れたのはまだ雪が残る2月下旬。真っ白な景色を眺めながら、まずはJR村山駅から車で西に10分ほど移動し、1つ目のスポットである「yamagata glam」(ヤマガタ グラム)へ。
2020年12月に開業したyamagata glamは、最上川沿いに建つ8棟のドーム型テントからなる山形初の本格グランピング施設。元はただの草地だった場所を、同じ山形県上山市にある老舗旅館「日本の宿 古窯」が、村山の自然を存分に体感できるアウトドアスタイルの宿泊施設としてオープンしました。
冬場はドーム型のテントが雪景色と馴染み、まるでかまくらのように趣たっぷり。今年は施設近くに高速道路のインターチェンジが開通予定で、さらにアクセスが便利に
見た目からワクワクする直径6m×高さ3mのドーム型テントは、8棟それぞれに山形を象徴する山に由来する部屋名がついていて、内装もそれに合わせてコーディネートされています。取材時は二ツ森山からイメージしたテント〈forest〉を見せてもらいました。
テントは保温性の高い断熱二重構造。冷暖房完備なので暑さ・寒さの心配は要りません
森や木々をイメージさせるグリーンをテーマカラーにした落ち着いた雰囲気の室内は、ホテルやキャンプとはひと味もふた味も異なる非日常空間。大きな窓からは目の前に最上川を望むことができ、室内にいても周囲の自然との一体感を味わえます。また、Wi-Fiも完備されているのでいつも通りweb会議を行うことも可能。リラックス度満点の空間で仕事をすれば、頭が冴えてクリエイティブな企画が生まれそうです。
さらに、yamagata glamには働き盛りのTURNS世代にうれしいポイントが。それは、テント1棟の基本料金に、隣接する多目的温泉保養施設「クアハウス碁点(ごてん)」の温泉・温水プールの入浴料金と、選べる2つのアクティビティ料金が含まれているのです。
温泉と温水プールは、yamagata glamに滞在中は何度でも利用可能。フロントでタオルやアメニティ、ガウンなどの無料貸し出しがあるのも、キャンプではなくグランピングならでは。山形に来たならはずせない温泉に、レンタカーを借りずとも徒歩で行けるのはうれしい限りです。
無料で体験できるアクティビティは、最上川の舟下り、そば打ち、手捻りで作る碁点焼き、ホースガーデンでの引き馬の4つから2つまで選ぶことができます。中でも舟下りは、子どもでも乗ることができるので家族連れにも好評だとか。チェックイン前とチェックアウト後にひとつずつ体験するプランは、グランピング前後の時間を有効活用して、効率よく、目一杯村山での時間を過ごせます。
もちろん、食事もグランピングならではのアウトドア感が満載。それぞれのテント横には調理室のパーゴラがあり、持ち込んだ食材を調理することができます。ただし、宿泊者のほとんどはお得な食材・食事付きのプラン(テント料金にプラス1人につき税込5,720円で夕・朝2食付き)を選ぶのだそう。山形県産の食材を中心にしたバーベキューセットに加え、季節ごとに窯焼きピザやオリジナルの鍋料理など、趣向を凝らした料理が存分に味わえます。
フロントでは山形県産のワインや地ビール、日本酒、ジュースなども購入可能
アウトドア施設では清潔に管理されたお手洗いもうれしいポイント
オープンから1年。ご時世的に山形県内や東北地域からの来訪者がメインではあるものの、都市部からワーケーションで訪れる人も少しずつ見受けられるようになっているのだとか。
yamagata glamマネージャー・白丸友希江さん。
「先日は関東からIT系企業の方数人が、テント2棟を借りて泊まっていかれました。皆さん村山の自然を満喫されていたようです。ここはテントの外に1歩出れば自然そのもの。川の音、鳥の鳴き声など、目と耳できっと癒されると思います。ベストシーズンは山形の梅雨が明ける7月後半〜9月ですが、雪で真っ白に染まる冬場も味わい深いですよ。そして、これから迎える春は、テント沿いに桜並木が華やかに色づいて本当にきれいです。ぜひ日頃の疲れを癒しに来ていただきたいです」(白丸さん)
最上川沿いにテントが並び、遠くには山々が望める絶好のロケーション。春は桜並木となる
▽施設data
yamagata glam
山形県村山市碁点999-19
https://yamagata-glam.com
駅徒歩5分の好アクセス。
「交流」がテーマのコワーキングスペース
続いて訪れたのは、村山市の中心部に位置する総合文化複合施設「甑葉(しょうよう)プラザ」の2階にある「コワーキングスペース kokage」。
2015年、山形県内でいち早くコワーキングスペースとして開設したkokageは、JR村山駅から徒歩5分というアクセスの良さから、幅広い層の利用者を有しています。
室内は10席弱のフリーアドレス制のオープンスペースで、電源、Wi-Fi完備。いわゆる会議室のようなシンプルなスタイルですが、実は都市部のコワーキングスペースにはなかなか見られない2つの特徴があるのです。
「コワーキングスペース kokage」の室内。コーヒーやお茶などのフリードリンクもあります
1つ目は「料金」。なんと初回利用時に登録をして会員証を発行すれば、無料で利用することができます。取材時点ではコロナ禍ということもあり、利用者は山形県在住者に限っていましたが、今後状況が改善すれば、県内・県外を問わず利用できるとのこと。駅近にこうした場所があれば、移動中に“カフェ、コンセント、仕事……”などと検索する手間がなく、さらに無料で利用できるとは、出張族には魅力的なポイントです。
2つ目は「積極的に交流を図る場所」ということ。コワーキングスペースといえば、各々が黙々と作業をするイメージですが、ここkokageでは、利用者同士がフランクに会話を楽しむ光景が日常的なのだとか。kokageを管理・運営する村山市の井澤仁志さんと藤田幸代さんにお話を伺いました。
村山市政策推進課にぎわい創造活性化施設整備係主事の井澤仁志さん(左)と、kokage運営スタッフの藤田幸代さん(右)
「kokageは作業スペースというよりも“交流の場”としての側面が強いです。いろんな仕事をしている人がこの場所を介して繋がり、新しいコミュニティが生み出されていくことが、ここを開設した目的でもあるので、サバサバとしたコワーキングスペースとは異なる、村山市の魅力的な場所の一つだと思っています」(井澤さん)
kokageの掲示板と、利用者が自由に書き込める用紙
そんな交流の場としての機能を象徴しているのが、壁の掲示板。利用者は名刺やイベントの告知、仕事内容を記した用紙などを自由に貼ることができます。フリーランスでものづくりや表現活動をしている人から県内外の企業まで、さまざまな業種・世代の人がこの場所に集っていることがわかります。
「掲示板で気になる人や仕事内容を見つけた場合、私に声をかけてもらえればお繋ぎします。掲示板に掲載がなくても、『誰かおもしろい人いない〜?』と尋ねに立ち寄る方も珍しくないので、気軽に利用してもらえるとうれしいです」(藤田さん)
今後、エリアを問わず各地からの利用者が増えれば、さらに新しい出会いや仕事が生まれそうです。
室内のモニターは、山形県が進める「IWA(新しい働き方コンソーシアム)」の取り組みの一環として、県内各地のコワーキングスペースとオンラインで繋がっています
甑葉プラザ1階には村山市立図書館が入っているので、調べものをするのにも便利
開設から7年。利用者数もコミュニティも年々拡大していることから、今年の夏、kokageは場所を新たに拡大リニューアルオープンすることに。移設先は同じくJR村山駅から徒歩5分ほどの場所に整備中の、にぎわい創造活性化施設「Link MURAYAMA」(リンクむらやま)内。数年前に閉校となった旧県立楯岡高校を利用した、多様な世代が繋がる拠点として、施設内にはカフェやフィットネスジムなども併設されるそう。
2022年夏に開業予定の「Link MURAYAMA 」の完成模型
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わずか1泊2日でも、仕事時間の確保と、旅の醍醐味である自然や温泉、さらには地元の人との交流まで有意義に楽しめる村山でのワーケーション。ぜひ、春のお出かけスポットのリストに入れてみませんか。
▽施設data
村山市コワーキングスペース kokage
山形県村山市楯岡五日町14-20 甑葉プラザ2階
https://coworking-kokage.com
▼村山市お問い合わせ先
村山市政策推進課 地方創生係
TEL:0237-55-2111(代表)
文:木下美和 写真:畔柳純子