2020年8月からはじまった「STAND IBARAKI」。茨城県内で新たなプロジェクトにチャレンジしたい人を応援し、茨城県に関わる人を増やすことを目指しているイベントだ。
本記事では、「STAND IBARAKI 」の概要と、2021年2月13日(土)にオンラインで行われた公開プレゼンテーション「STAND IBARAKI 冬の陣」の結果をお届けする。
STAND IBARAKI とは
茨城県が主催し、茨城県と繋がるきっかけ作りを支援する任意団体『茨城移住計画』が運営をサポートする事業。茨城県内在住者と東京圏在住者を交えて3人以上のチームをつくり、『STAND IBARAKI』開催期間の半年をかけてプロジェクトをつくりあげていく。茨城県をフィールドにして各々のプロジェクトにチャレンジ、サポートを得られるチャンスがある。2020年6月〜8月まで参加者を募集し、25組の応募があった。(イベントの詳細はこらち)
ファイナリスト7組から、MVP3組が決定!
2021年2月13日(土)にオンラインで行われた「STAND IBARAKI 冬の陣」。ファイナリストに選出された7組は、持ち時間6分(プレゼン3分、質疑応答3分)で公開プレゼンテーションを行った。
審査員を務めるのは、『TURNS』プロデューサー・堀口正裕さん、READYFOR連携推進室マネージャー・夏川優梨さん、ツイッターアカウント『横浜トゥデイ』で地元イベント情報を配信するhamatoさん、茨城大学社会連携センター長・中村麻子さん、株式会社ユニキャスト代表・三ツ堀裕太さん、茨城新聞社論説委員長・藤枝智昭さんの6名。
「オフラインであれば胸ぐらをつかみ合うのではないかというほど白熱した審査だった」と盛り上がりを見せた審査の様子を伝え、受賞結果の発表へ。MVPに選ばれたのは以下の3組。
STAND IBARAKI賞『八郷留学』
総合点で選出される『STAND IBARAKI賞』は『八郷留学』が受賞。「暮らしも遊びも物語も、作るのは全部きみだ」をテーマとして、『にほんの里100選』にも選ばれた旧八郷町に県内外から留学をして農林業やものづくり体験を楽しめるプロジェクトだ。この半年間で地域内との関係づくりに取り組み、現在では県内に29名14団体のプロジェクトメンバーが加入し、県外からもこれまでに延べ18名の留学生を受け入れ、その中から8名2社がメンバーとなった。現在では「日常的に自然と触れ合いたい」という方が頻繁に八郷に通い、山遊びをしながら場の整備に取り組んでいる。
受賞理由として「多くの人が『何のためにそこに行くのか』の目的が明確でないと動きづらくなっている昨今、関係人口として『ただ単に人と人を繋ぎます』というだけではなく、学ぶという付加のある提案であることが共感をうみました。人をたくさん巻き込んでいることを数字でも示していただきましたが、そこにセレンディピティ(※予想外の素敵な偶然に出会うこと)のようなワクワク感を感じました。そのあたりが加点につながってのではないかと思います」と審査員を代表してTURNS』プロデューサー堀口さんがコメント。
『八郷留学』の企画者である原部さんは「八郷にクリエイターや農家が多い中で、広く社会と関わっていくためにどんな地域にしていったらいいのかを普段から考えているので、その思いが伝わったのがとてもうれしいです。たくさんの協力者がいるからこそ成り立っているプロジェクトなので、はやく受賞をみなさんに伝えたいです」と喜びをあらわにした。
NEW IBARAKI賞 『大洗カオス』
参加者投票で受賞者が決まる『NEW IBARAKI賞』には、『大洗カオス』が選出された。アニメの聖地でもあり、すでにさまざまな文化を受け入れている大洗を拠点に活動する『大洗カオス』。多様な人が集まるものの、それぞれが一部のエリアでしか滞在せず、大洗の一部しか楽しまないのはもったいないというところに着目。もっといろいろなマニアが大洗に集まり、そういう人同士や町民が交われるよう、これまでと違う視点で大洗を再発見する取り組み、楽しいカオスを生み出せるイベントやSNS発信、デザイン性の高いHPの運営を行っている。
茨城大学社会連携センター長中村麻子さんは「カオスになるって一歩間違えると空中分解したりして、何やってるんだろう?ってひかれるところがあると思うけれど、今の段階で非常にデザイン性溢れる魅力あるカオスになっていることが、まさに『NEW IBARAKI賞』に選ばれた要因かと思います。デザイン性の高さが人を惹きつけるきっかけになっているはずなので、そこからさらにアクションを起こしていただけるような活動に繋げていっていただければと期待します」とエールを贈った。
大洗カオスメンバーのShotaroさんは「みんなで大洗を盛り上げて、大洗ってやばいよねっていう場所にしようと本気で思っているので、これを機に頑張っていきたいと思います。選んでくださってありがとうございます!」と感謝の気持ちを伝えた。
審査員賞 『イバフォルニア・プロジェクト』
「100年先も豊かに暮らせる海(街)をつくる」をヴィジョンに掲げ、ひたちなか市の阿字ヶ浦海岸を、カリフォルニアの海岸のように季節を問わず人が集い、癒しを得る場所にしたいという想いで活動する『イバフォルニア・プロジェクト』が審査員賞を受賞。昨年は、オンライン焚き火や、ドライブインシアターなどのイベントを開催し、新しい生活様式に即したイベントとして注目された。
茨城新聞社論説委員長の藤枝さんは「加山雄三もサザンオールスターズもいない茨城の海で、どういう風に新しい魅力を作っていくかと考えた時に、こちらの取り組みに非常に伸びしろを感じました。従来からある茨城のよさをうまく生かしながら、従来にはなかったような洗練されたお洒落なイベントであるグランピングやドライブインシアター、焚き火などの施策は、首都圏の若い女性、家族連れなど、新たな人たちを呼ぶ材料になるのではないでしょうか」と期待を示した。
受賞を受けて『イバフォルニア・プロジェクト』の小池さんは、「ここ二年くらい活動をしてきたが、発信し続けることで協力してくれる人がでてくると感じています。『イバフォルニア』のメンバーは、自分が住んでいる街を楽しく居心地のいい場所にしたいという想いで活動しているのですが、今後の課題として、協力してくれる人たちの個性が表現できる場所にすることを目指していきたいと思います」と今後の展望について語った。
MVP3組にメディア掲載贈呈
3時間に渡るイベントの最後にはファイナリスト7組すべてに審査員の講評があり、READYFOR連携推進室マネージャー・夏川さんから「クラウドファンディングの事業に関わっていると、自分たちのやりたいことをしっかり伝えられて、関わりたい、助けてあげたい、と思われるようなプロジェクトがうまくいく傾向にあります。今回のプレゼンでは、何をやるか、どういうことしたいか、わかりやすいプロジェクトばかりで、やりたいことがよく伝わりました。MVP、本当に決め難かったです」とMVPを決定した様子が伝えられ、約7ヶ月に渡る『STAND IBARAKI』は幕を閉じた。
ファイナリスト7組には活動資金20万円、MVPを受賞した3組については活動資金に加えて、各種メディアへ活動内容の掲載が特典として贈られる。本メディアでもMVP3組のインタビューを後日掲載予定。続報をお楽しみに。
編集 ミネシンゴ(アタシ社)
取材・文 しんみはるな