地方移住を考えた時にいちばん気になるのが、「仕事をどうするか?」ということ。起業に挑戦したいと思っている方も多いのではないでしょうか。島根県では県外在住のUIターン希望者に向けて、第一次産業の担い手を育成する「UIターンしまね 産業体験」を実施しています。
イチゴ農家を営む南 真之さんは、「UIターンしまね産業体験」を活用して安来市に移住したのち、新規就農しました。3児の父でもある南さん。農業を始めるまでの道のりや仕事のやりがい、家族との暮らしについてもお聞きしました。
島根県への移住に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
UIターンしまね 産業体験とは?
島根にUターン・Iターンし、農林漁業・介護・伝統工芸などの地場産業を体験する場合に、交通費や宿泊費など滞在に必要な経費の一部を助成する制度。受入先で指導を受けながら知識や技術を習得できます。
\POINT1/ 滞在費を一部助成
支給要件を満たした方を対象に、月額12万円の体験者助成金を支給。さらに中学生以下の子連れ体験なら1世帯あたり月額3万円の親子連れ助成金を加算。
\POINT2/ 実践者による指導あり
それぞれの分野で事業を展開している経験者の指導のもと、1年間体験していただきます。現場で知識と技術をしっかり学べるチャンスです。
\POINT3/ 万全のサポート体制
当財団のスタッフが体験希望者のご要望を丁寧にヒアリングし、受入先とのマッチングから、体験期間中の相談まで、きめ細かくフォローアップいたします。
兵庫県から島根県安来市へIターン。
「家族との時間を大事にしたい」を実現した南さんの移住ストーリー
▲ 南さんの移住活動や移住後の暮らしなど「くらしまねっと」サイト内にて動画で紹介しています。
〈移住前〉
早朝出社に深夜帰宅で子どもの顔も見られない日々
洋服好きが高じて、地元神戸の有名アパレルメーカーに勤めていた南さん。仕事は充実していましたが、お子さんの起床前に出社し、帰宅は時に深夜に及ぶことも。キャリアアップするほど、家族との時間がなくなることに疑問を感じていました。
〈島根との出会い、移住の決め手〉
仕事より家族の時間を優先。妻の故郷で特産品栽培へ
アウトドアや自然が好きな南さんは、田園風景が広がる奥様の故郷、安来市に魅力を感じていました。「ここでイチゴでも作ったら?」義母が何気なく放った言葉で、家族との時間を大事にしたい自分の気持ちに改めて気づかされました。
〈移住のためにしたこと、考えたこと〉
自治体のパッケージ支援に安心。成功した先輩農家の声も後押し
大阪で開かれた農業イベントで、参加していた安来市のイチゴ農家に話を聞いてイメージをキャッチ。その後、安来市役所を訪れて就農相談し、収益を上げている先輩農家も訪ねました。アパレル業界での経験を生かしたイチゴ栽培ができると確信しました。
〈今の暮らし〉
家族と過ごせる時間が大幅増。センスを生かしたショップも好調
自宅に近く、子どもの通学ルートで、栽培に適した場所にハウスを3棟設置。収穫時期以外は家族と食事ができ、下校時には子どもたちが顔を見せてくれます。1棟のハウスは直売所兼セレクトショップに改装。上質なイチゴとハイセンスな空間が話題に。
マンツーマンの「師匠研修」でイチゴ栽培の技術と知識を習得。
“農家の想い”も受け継ぐ”
南さんは就農希望者を総合的に支援する「安来市就農パッケージ」を活用。1年目は、ふるさと島根定住財団の「UIターン しまね産業体験」を活用し、指導農業士のもとで、マンツーマンの指導を受けました。
「僕と同時期に研修を受けた同期が2組いて、師匠になる方も3人いらっしゃったのですが、市の担当者の方が僕らと師匠の性格などをよくとらえて組み合わせを考えてくれました」
研修中は基本9時から17時までの勤務。師匠は何でもできる人で教えてもらった内容もイチゴ栽培に留まらず、溶接や機械のメンテナンスなど多岐に渡りました。師匠に習ったことや他の方々の知恵を借りて、ビニールハウスの解体から設置まで南さん1人で行いました。
「全く未知の分野の農業に不安を覚えなかったわけではありませんが、自治体あげての支援システムが整っている上、収益を上げている先輩方のお話も聞けたことで、勇気づけられました。農業知識や技術だけでなく、農家の想いを教えてもらった1年でもありました」
すべてを自分でマネジメントできることがひとり農業の魅力の一つ。独立した今は、苗の成長が気になって休みの日もハウスに出入りしますが、全く苦にならないといいます。
Iターンしてイチゴ農家になると決めた時から、ビニールハウスを活用したショップをデザインすることは念頭にありました。店の名前は「いちごの木△」。動物たちが休んでいる木陰をイメージさせる「木」と、テントを想像させる「△」を名前に入れました。
「イチゴを介して、お客様がほっとひと息できる空間を作りたいと思っています」
採れたてのイチゴやジャムなどの加工品を提供。イチゴ関連のさまざまなグッズやアウトドア商品などの雑貨を置き、グランピングテントなども紹介しています。
「こだわりが強い人間なので、人を雇って規模を拡大することはないと思いますね(笑)。さまざまな分野のビジネスパートナーとタッグを組みながら、工夫することで収益を上げていくのが僕の夢。やりたいことが次から次へとあふれてくるので、ワクワクしながら毎日を送っています」
繁忙期は早朝からフル回転で農作業。
休日は自然をバックに家族とくつろぎタイム
イチゴ農家の繁忙期は収穫シーズンの11月〜5月。南さんは早朝から圃場に出て収穫し、お昼前には直売所をオープン。午後は苗の管理や出荷作業、販売と大忙しだ。
夏の間はオフシーズン。出荷のない週末は家族と家でのんびり過ごしたり、近隣都市へのお出かけも。
▼南さんの1日のスケジュール
しまね暮らし×農業×子育てのリアル
移住後の日常について、南さんにお聞きしました!
┃ 義父母の畑を借りて野菜栽培旬の味を生かしたスープも調理
神戸時代は、育った環境や仕事の忙しさなどもあって全く料理をしていませんでした。ご飯も炊けなかったくらいです(苦笑)。今は、義父母の畑を借りて野菜を作り、その野菜でスープなども作れるように。新鮮な野菜のおいしさに驚いています。時間に余裕がある時は料理をするようになり、子どもたちに好評なメニューは、ホットサンドです。
┃ 田園風景を望む一軒家を新築。自然と共に暮らせる寛ぎの空間
妻の実家で約3年半の同居暮らしを経て、2階建ての家を新築。ハウスや実家、小学校に近くて、暮らしに田園風景を取り入れられるよう立地を探していたところ、実家の真横に最適な土地があったんです。山々をバックに、広々とした田んぼを望むLDKにはフルオープンの窓を採用。春は遠景のヤマザクラ、秋は風に揺られる黄金の稲穂など、季節の移り変わりを日常的に感じながらの暮らしは最高です。フローリングは無垢材、壁は漆喰にするなど、内装も天然素材にこだわりました。
┃ 家族と共有する時間が増加。自然豊かな環境で伸び伸びと育つ子どもたち
アパレルメーカーに勤務していた頃は、子どもが起きる前に出社して深夜に帰宅することもしばしば。仕事優先に生きていくことも価値があるとは思いますが、僕自身は家族との時間をもっと持ちたいと思っていました。起きている時の顔を見られないような日々では、子どもたちが将来大きくなった時、後悔しそうな気がしていました。
今も繁忙期は忙しく、ハウスに夜遅くまでいることもありますが、家とハウスが近いので、子どもが遊びにきたり、僕がふらっと家に戻って食事を一緒にしたりすることができます。共有できる時間は確実に増えました。
自然豊かな環境が子どもを情緒豊かに育ててくれています。以前住んでいた小学校の校区は8割の小学生が中学受験するような地域でしたが、僕ら夫妻は子どもを伸び伸びと育てたいと考えていました。今や、川に入ってザリガニを取ったり、畑を走り回ったり、野生児そのもの(笑)。近所のおじいちゃん、おばあちゃんが子どもたちに声を掛け、見守ってくれていることにも助けられています。
\実際に暮らしてみて島根はどうですか?/
しまね暮らしのホンネ!豊かな自然に心落ち着く。子どもたちも伸び伸び遊ぶ
何といっても豊かな自然です。景色は美しく、排気ガスの臭いがなくて空気がきれい。時間がゆっくりと流れる感じで、心も落ち着きます。
神戸にいた頃、妻は自転車の前と後ろに子どもたちを座らせて公園まで連れて行っていましたが、今は家の周りすべてが遊び場。用水路でザリガニやドジョウを採ったり、トンボを追いかけたり、花を摘んだり…。遊具がなくても、子どもたちが自分たちで遊びを生み出して楽しんでいるようです。
隣で暮らす義父母に加え、近所の方々が何気なく見守ってくれていることにも助けられています。子育てには最適な場所ですね。
(ここがちょっと…)
寝ている時にムカデに遭遇。被害はなかったのですが、虫には油断がならないですね。夜は室内が明るいと、いろんな虫が寄ってきますし。美しい田園風景を優先したので、仕方のない“さだめ”ですね(笑)
「UIターン しまね産業体験」を活用すれば、仕事にすぐに生かせる知識や技術を身につけることができるので、スムーズに移住生活をスタートさせることができるでしょう。興味を持った方は、ふるさと島根定住財団までお気軽にご連絡ください。
▼詳しくはこちらをご覧ください
「UIターン しまね産業体験」専用サイト
▼産業体験のお問い合わせ先
(ふるさと島根定住財団 松江事務局)
〒690-0003島根県松江市朝日町478-18 松江テルサ3階
電話:0852-28-0690
メール:uiturn@teiju.or.jp
(ふるさと島根定住財団 石見事務所)
〒697-0034島根県浜田市相生町1391-8シティパルク浜田2階
電話:0855-25-1600
メール:iwami@teiju.or.jp