「自転車を楽しめる場所を」 地域と作り上げた国際レース
ラファジャパン 矢野大介さん
Rapha Racing株式会社
長野県南佐久郡南牧村野辺山 65-10
https://www.rapha.cc/jp/ja/
標高1300mの自然豊かな南牧村野辺山。2008年、環境に惹かれてこの地域に移住し、世界の自転車愛好家を魅了する場所に変えた矢野大介さんにお話を伺った。
「“自転車で走って楽しい場所”が移住先の第一条件でした。八ヶ岳を眺めながら未舗装の林道や起伏の激しい峠道を走れる野辺山の環境はすごくいい。東京に近いから人が集まりやすく、サイクリストの拠点としても理想的でした」
そう話すのは、イギリスのサイクルウェアブランド「ラファ」の日本支社代表で自身もレーサーとして活躍する矢野大介さん。2008年に兵庫・西宮市から野辺山に移住し、オフィス兼住居を構えた。
ロンドン発のサイクリングウェア、ラファの日本支社がある野辺山。レースやイベントなども企画している。
自転車イベントの拠点にできる広い物件を探し、元ペンションの建物を購入してオフィス兼住宅に。寝室の窓からは八ヶ岳が見える。
「ここで自転車に乗っていると太陽の角度や風、雲の加減で季節の変化が毎日感じられて、“地球に住んでいる”感じがする。仕事で疲れた時も外に出て土を踏み、雑音のない環境で過ごしているうちに精神が安定するのを感じます」
実感したのが、外から来た人間も歓迎する野辺山のオープンな風土。構想していた「欧米のように観客も楽しめる自転車レース」の実現も、地元の人との縁が引き寄せた。会場は、最初にアイデアに賛同した近隣の牧場。地元商工会で実行委員会を立ち上げ、県の支援や住民の協力を得て2008年にスタートした「ラファスーパークロス野辺山」は、国内外から毎年2千人が訪れるまでに成長した。
「イベント会社に一切委託せずに国際大会を主催することに、地元の人は誇りを持っている。各地から自転車に乗りに訪れる人も増え、地元の人も自転車に詳しくなりました。次のビジョンは、子どもたちに自転車を楽しんでもらうこと。いつか野辺山から、世界レベルの選手が出るのを見届けたいですね」
毎年11月、八ヶ岳をバックに行われる国際レース「Raphaスーパークロス野辺山」には海外選手も参戦。至近距離で行われるレースに観戦者も盛り上がる。
「移り変わる八ヶ岳の姿から季節を感じる」と矢野さん。
PROFILE
大学時代にアメリカで自転車レースを開始。日本の半導体メーカー勤務を経てイギリスのサイクルウェアブランド「ラファ」の日本エージェントとして独立。2008年に家族で野辺山に移住しRapha Racing株式会社として運営。
文・石井妙子 写真・林 光
長野県の移住ポータルサイト「楽園信州」
https://www.rakuen-shinsyu.jp/