茨城県で生まれ育ち、高校卒業後は父親の地元である鹿児島県薩摩川内市へ移り住んだ下副田正人さん。その後、大阪で建築業に従事していましたが、2021年4月、妻とともに鹿児島にUターンし、今は農業を営んでいます。将来の法人化を見据えて農地拡大を目指す下副田さんに、移住と転職の経緯、薩摩川内市で暮らす魅力について伺いました。
38歳で建築業から農業の道へ。父親のすすめで新規就農
鹿児島県で最大の面積を有する薩摩川内市は多様な自然環境に恵まれたまちです。その特性を生かし、下副田正人さんはこの地でゴボウなどの農作物を栽培しています。

ゴボウ畑で作業をする下副田正人さん
大阪で15年間、建築業に携わっていた下副田さん。38歳のとき、それまでの仕事を辞め、妻とともに父親が暮らす薩摩川内市へ移り、農業を始めることを決意しました。きっかけとは、農業を営んでいた父親からのすすめでした。
「『農業は儲かるし、時間も自由が利くからのんびりできる。機械もあるから貸してやるよ』と言われて。農業は、自然の中で自分たちが作ったものをいろいろな人に提供して、喜んでもらえる仕事。そういうのもいいな、やってみようかなと思いました」
当時、大阪でアパレル関係の会社に正社員として勤めていた妻も、「生活していけるならいいんじゃない?」と賛成してくれ、移住を決めました。
とはいえ、建築業と農業は、まさに「畑違い」の仕事。不安はなかったのでしょうか。
「不安がなかったわけではありません。でも、親父が畑を準備してくれていましたし、一緒に仕事をしながら教えてもらえるという安心感もありました。親父の支えがなければ、Uターンしてすぐに新規就農するのは難しかったと思います」

9月上旬のこの日は、夫婦で力を合わせてゴボウの植え付け
また、市の定住住宅リフォーム補助金や認定新規就農者制度も活用することができ、経済的な負担を軽減できたといいます。
「今住んでいるのは、長く空き家になっていた家なのですが、キッチン周りがかなり傷んでいました。補助金を使ってリフォームすることができて、ありがたかったですね。新規就農にあたっては、農業公社で研修を受けながら給料をもらって就農を目指す道もありました。でも、親父という先生がいましたから、自力で就農する道を選びました」
ゴボウを中心に、ニンジン、ゴーヤ、ナスなどを栽培
こうして農家として順調なスタートを切った下副田さん。父親が栽培していたゴボウを中心に、ニンジン、ゴーヤ、ナス、米などを栽培。収穫した野菜はネット通販、ふるさと納税、地元のスーパーや物産館などで販売しています。

ゴボウの収穫時期は12月〜3月。「酢ごぼうや唐揚げ、ゴボウチップにするのがおすすめです。子どもたちも柔らかく煮てあげれば食べてくれます」
販促に一役買っているのが、妻が運用する「しもそえだ農園」のInstagramです。
「僕にはそういう才能はないのですが、妻がいろいろ考えて情報発信をしてくれています。写真にもこだわりがあって、いい写真が撮れるまで何枚も撮影していますね。おかげで、うちのゴボウがハウス食品さんの目に留まり、今年は東京・有楽町のスーパーでゴボウを取り扱ってもらうことができました」
猛暑や雨不足、鳥獣被害に悩まされることもありますが、「あんたのところのゴボウがいちばんおいしい」「下副田さんのゴボウしかもう食べられない」とお客様から声をかけてもらえることが何よりの喜びだそうです。
夜は9〜10時に就寝。朝は家族の朝食を準備する毎日
移住して6年目。薩摩川内市での暮らしについて尋ねると、「生活環境としては最高ですね」と笑顔で答えてくれました。
「大阪だと周りにいくらでも遊ぶところがあったので、寝るのが夜中の12時を回ることもありました。でも、ここにはそういうものが何もありませんから、夜は9〜10時には寝ています」
薩摩川内市に来てから2人の子どもにも恵まれました。子育て環境も、大阪より鹿児島の方が自分たちには合っていると感じています。
「豊かな自然の中で子どもをのんびり育てられるのがいいですね。それに、妻と過ごす時間も増えました。大阪にいたころは、お互いに仕事が忙しくてすれ違いも多かった。あのまま大阪にいたら、子どもを持つこともなかなか難しかったんじゃないかと思います」

長女と下副田さん
農業を始めてからは、朝4時半〜5時に起床。家族がまだ寝ている間に朝食の準備を始めます。
「ご飯を炊いて味噌汁をつくったり、卵焼きを焼いたりするくらいですが、こちらに来てから健康的な食生活になったと思います」
朝食を終えると6時ごろに畑へ。朝の仕事は野菜の収穫や畑の見回り。鳥獣被害がないかを確認し、被害があれば猟友会に連絡したりします。
出荷がある日は、7時半〜8時ごろにいったん家に戻り、野菜の箱詰めなどの出荷作業を行います。それがすんだら、再び畑へ。夏場は気温が高く日中の作業が難しいため、午後は休むか、暑さが和らぐ夕方に作業をすることが多いそうです。

青々と茂るゴボウの葉
一方、ゴボウの収穫時期である12月から3月は大忙し。朝8時から夕方5時まで、ほぼ1日中収穫作業が続きます。
「子どもの保育園の送り迎えなどで妻がいないときは1人で作業することもありますが、だいたいいつも妻と2人で作業していますね。ゴボウは土が付いたままのほうが鮮度を保てるので、土付きゴボウも販売しています。一方で、『家で土付きゴボウを洗うのは大変』というお客様もいるので、出荷前にひげ根を取り、土を洗い落として洗いゴボウにする作業もあります」
目標は生産規模を拡大。「妻と2人でトラクターを走らせたい」
移住してから、地域での知り合いも少しずつ増えていきました。
「自分と同世代で農業を営んでいる人もいて、農業関係の知り合いが増えてきました。自分たちでつくったものを持ち寄って食事をしたり、バーベキューをしたりしています」
また、大阪時代に始めた趣味のDJの経験を生かして、地元のイベントで音響を担当することもあるそうです。これまでにも、イベントやホテルなどで音響やDJを担当してきました。
「野外でも使える機材を持っているので、お声がかかれば喜んでやります。副業ではなく、完全に趣味ですね」

地元のイベントでは音響を担当することも
最後に、下副田さんのこれからの目標を伺いました。
「収入を安定させるためにも、現在所有している約3町歩の農地を6町歩まで広げて、生産規模を拡大したいと考えています。規模が大きくなれば夫婦2人でだけは大変なので、1人〜2人を雇用して法人化することも視野に入れています。今年10月には、妻もトラクターの免許を取得する予定です。2人でトラクターを走らせながら、畑作業ができるようになりたいですね」

妻の静香さんと。「スーパーに行くと肉にも魚にも『鹿児島県産』のラベルが貼ってあって驚きました。地元の奈良県では考えられません」と静香さん
\薩摩川内市 移住セミナー&相談会開催のお知らせ/
薩摩川内市での暮らしに興味を持たれた方は、10月に東京で開催予定の移住セミナー&相談会に、ぜひ足を運んでみてください。当日は、本記事で紹介された下副田さんも来場します!
会場では、移住担当職員に直接話を聞きながら、実際の暮らしや仕事、子育てなど、気になることや不安について気軽にご相談いただけます。「まずは情報収集だけしたい」という方も大歓迎です!
日 時: 10月10日(土)12時30分〜
会 場: ふるさと回帰支援センター・東京
住 所: 東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館ビル8階
参加費: 無料
定 員: 20組
主 催: 薩摩川内市
取材・文:横山瑠美
【薩摩川内市 移住定住サイト】
よかまちきやんせ倶楽部
https://www.city.satsumasendai.lg.jp/ijuteiju/
【移住に関するお問い合わせ】
経済シティセールス部 産業人材確保・移住定住戦略室
〒895-8650 鹿児島県薩摩川内市神田町3番22号
電話番号:0996-23-5111
\あわせて読みたい!/

【移住者インタビュー】
「地域貢献」を胸に、鹿児島県薩摩川内さつませんだい市へ。
温かく迎えてくれたまちで、恩返しを

【移住者インタビュー】
「人生一度きり」自動車メーカーから医療の現場へ。
鹿児島県薩摩川内市だからできたキャリアチェンジ
