12月21日、石川県子育て移住セミナーvol.2が開催されました。テーマは「子どもの力を育てる青空自主保育」、ゲストに能美市で青空自主保育を主宰する橋場規代(はしばきよ)さんが登場。橋場さんが石川にIターンしようと思ったきっかけや青空自主保育『おひさまぼっこ』を始めた理由、青空自主保育の魅力についてトークを行いました。
ゲスト:橋場規代さん
滋賀県、比叡山の麓にて幼少期を育つ。家族で石川県へ移住後、中学時代に保育士を志し、大阪の大学から石川県にUターン。私立幼稚園教諭・公立保育士を経て、結婚子育て中に野外保育と出会う。子どもが伸びやかに育つ環境として青空自主保育『おひさまぼっこ』を設立。写真中央右は、夫と長女・次女
橋場さんは10歳まで滋賀県で過ごし、親の仕事の都合で10歳の時に石川県金沢市に引っ越し。その後、中高までを石川で過ごし、大学進学のため大阪へ。大学卒業後は再び石川に戻り、幼稚園教諭として働き始めます。
「滋賀でも石川でも豊かな自然の中に自分の身を置いて過ごすことの心地よさを感じていました。滋賀から石川に引っ越した時、小学校で担任していただいたのが“いのちの教育”を実践する金森俊朗先生でした。先生から人、自然と関わること、実践や体験の大切さを学びました。また中学校時代の職業体験が保育園で、4歳児の指導を一緒にやらせてもらう中で、やりがいと乳幼児における育ちの大切さを感じ、将来的には保育・幼児教育関連の仕事に就こうと進学先を選びました。」
『おひさまぼっこ』のリーフレット。基本理念や活動内容を紹介
そもそも青空自主保育とは、どんなものなのでしょうか。橋場さんによると「園舎を持たず青空の下で母親が一緒に保育者となり活動する」ことだと言います。
「私自身2人の子どもを育てているのですが、次女が2ヶ月の時に長女を連れて青空自主保育に参加しました。次女の妊娠中切迫早産の可能性があり、ほとんど外出ができなかったため“長女に思いっきり体を動かして欲しい”という思いからです。参加した当日、雨が降っていたのですが、参加している親子は一切気にせず、雨の中竹を切り出していました。その時は流しそうめんをする予定でしたが、器や箸を忘れてしまったのですが、その道具も現場で作るんです。みんなが一生懸命、目の間のことに夢中になって楽しむ。ゼロから必要な物を作る。自分自身も目の前のことに集中して作業するのが楽しかったです。そんな経験の中に、子どもの成長に必要なこと、保育に必要なものが詰まっていると感じました」
『おひさまぼっこ』の活動の一部。自然の恵み、環境を生かした活動が中心
橋場さんが感じている青空自主保育の魅力。それは子どもの本当の豊かさ、生きる力を育む力になると感じているからです。
「子どもの発達を見ると、0歳は基本的信頼感を獲得する時期。1〜2歳は安心感をベースとして自立心が芽生え、冒険が始まる時期。3〜6歳は子ども同士の遊びや体験が増え、仲間をくぐり、道徳性や社会性を養う時期。それぞれの時期でしっかりとした母子関係、母親との関係性を作ることが、その子自身を育むことになる。また保育について考えたときに、子供にとって最大の利益となるような環境の中で、選択肢を広げられるような場所として担っていけたら嬉しいなと考えております。私たちの将来を支えるのは子どもですが、子どものためにどんな良いことができるのか。不登校の子ども、子どもの自殺率も増えている中で、心の豊かさは置き忘れていないか。それらを重視した場所、そんな環境・場所が作れたらと思い、『おひさまぼっこ』を作りました」
『おひさまぼっこ』の活動では、指導者に教わる安全管理講習も行なっている
青空自主保育を石川県で行う理由。それは自然が豊かで海と山、街が近くにあり、自然の資源を存分に活用できるから。自身が育ってきた環境の素晴らしさを『おひさまぼっこ』に生かし、それを参加する親子に体感してもらいたいから活動しています。
「山、海、川。私が住んでいる能美市はどこも30分以内で移動ができ、生活の中に自然があります。一方で、厳しい冬の寒さもあります。自然の中で過ごすと快適なことも大変なこともある。実際に生きる中でどんなことが危険なのか、自分でアンテナを張り、自分で考えて行動できるようになることも大事だと思います。いい意味でチャレンジできるんですね。秋なら落ち葉、冬なら雪、それがどれくらいふわふわでクッション性があり安全かを五感を使いながら体感できる。知的好奇心が育まれる環境で活動できるのが、とてもありがたいです」
『おひさまぼっこ』の活動の一部。磯遊び、川遊び、生き物調査など
橋場さんが『おひさまぼっこ』の活動をして良かったこと、子どもの成長を感じる瞬間を教えてくれました。
「『おひさまぼっこ』にいる間は、知りたい・やりたいと思ったことをとことん掘り下げられる。親は、それを一緒に見守れる環境があります。子どもには、やりたいことをやり切る経験、やり尽くす経験をしてほしいと思います。毎回活動の終わりには振り返りをして、自己対話・他者との対話があります。『おひさまぼっこ』にいれば、学びたい・知りたい気持ちを止めなくていい。五感を育みながら、生きる力を伸ばす。そんな活動は自分への信頼、他者への信頼にもつながります。もし今後何か辛いことがあっても、立ち直る・立ち上がる力にもなる。自然の中に身を置くと、生かされている感覚を感じることが沢山あります。人も自然も互いに作用しあい、繋がりあって、生きているということや沢山の命に囲まれて、生かされていることも自然の中で、学び、感じていける場所です。」
『おひさまぼっこ』の活動。流しそうめん、『ぐりとぐら』のホットケーキ作り、羽釜でご飯炊きなど
橋場さんが石川に住んで良かったことNo.1が「食べ物がおいしい」こと。『おひさまぼっこ』での体験も、おいしいもの・自然の恵みを存分に堪能できる活動がたくさんあります。
「滋賀から石川に来たとき、おいしい食べ物がたくさんあって驚いたことを今でも覚えています。食べ物がとにかくおいしいんですよ。魚介がおいしくて、新鮮なものがスーパーで簡単に手に入るんです。あと普通にお寿司がとってもおいしい。水も、空気もおいしいですよ。釣りが気軽に出来たり、木の実や梅、自然の恵みの収穫もできる。こんな豊かな環境で子育て、暮らせるというのはとても理想的です。まずはただ遊びに来てみたり、移住体験をしに来るのもおすすめです。『おひさまぼっこ』でも体験ができるので、ぜひ気軽に遊びに来てください」
橋場さんが青空自主保育を通して伝えたいこと、子育て環境を選ぶことで子どもにさまざまな力・豊かさを育んでほしいという願い、そこからなぜ石川で子育てをしたいかが伝わってきました。山、海、川、石川ならではのおいしい食材。この場所にしかない魅力があります。橋場さんの話に興味を持ってくれた方は、ぜひ能美市を訪れてその魅力を感じてみてください。また、『おひさまぼっこ』の体験会や説明会に参加してみるのもおすすめ。合わせて、『いしかわ暮らし情報ひろば』もチェックしてみてください。
おひさまぼっこ
https://ohisamabokko.wixsite.com/-site
いしかわ暮らし情報ひろば
https://iju.ishikawa.jp/