転職先は島。島根県隠岐郡海士町 移住者レポート
「ここなら、自分も力になれる」。海士町で、島の住宅の未来をつくる

島根県隠岐郡海士町 福長建司さん

やりたい仕事を探して海士町にたどり着いたという福長建司さん。海士町での仕事、そして島の暮らしについてお話を伺った。

移住支援制度も整い、移住先として人気を集めている海士町。移住者たちが島での新しい仕事を模索する一方で、かねてから海士町の生活インフラを支えてきた建設、土木や上下水道、電気工事などの事業者には、常に人材不足の問題がつきまとっている。

そうした中、4月から島内の「北峯工務店」で働き始めた福長さん。したい仕事を実現できる場所が海士町だった、という福長さんに、移住までの経緯と現在、そして展望を聞いた。

「以前は災害復興住宅とか仮設住宅の新しいモバイル建築などを提案し、普及させる団体に所属していて、出向という形で役場や設計事務所さんとかに行き、図面を書いたり、いろんなことをやっていました」

海士町に来る前は東京の建築事務所に出向していたという福長さん。あるとき、偶然見つけたのが海士町と海士町TURNSの求人サイト。そしてそのなかに「北峯工務店」を見つけて感心を持ち、コンタクトをとったという。

「海士町では今町営住宅などの基準が明確化していなくて、制度からちゃんと作っていこうとしているんです。海士町の役場の人からは、それらを制度しながら気密性や施工性を上げていくという取り組みを進めていきたいというお話も聞きました。また、以前から関心のあった大型パネルを使った住宅も、海士町で取り組んでいくということでした。北峯工務店がそういった住宅を作っていくとのことでしたので、勉強もかねて行ってみようかなって思ったのがきっかけでしたね。島全体として大工さんはいないし、住宅も足りてないという話も聞いていたので、海士町なら、経験してきたことで〝自分も力になれるんじゃないかな〟と思って」

関わってきた住宅の建築が、島の暮らしの課題解決に直結した仕事になる。島の暮らしに憧れて移住を決める人が多い中、「ここで働きたい」という明確な目的をもって移住を決めた。

移住について役場の担当者と相談するうち、島の暮らしに馴染むことや、住まいのことに対しては海士町が行っている「大人の島留学」の制度を入り口として使ったほうがスムーズなのでは、という配慮もあり、最初の一年は「島留学生」として役場の仕事もこなしつつ、北峯工務店にも出勤するというスタイルになった。

「希望は図面を書くことなんですが、『まずは現場を知る』ということで、大工さんのお手伝いとか一通りやってます。島の生活にも慣れたので、来年からは北峯工務店の仕事一本に絞っていきます」

仕事から島の生活に飛び込んだ福長さんは現在「島留学生」として島に来た二人とともにシェアハウスで暮らしている。

「一緒に暮らしている二人が楽しいので、知らないうちに島の暮らしに順応できた感じですね。来る前から聞いていましたが、島の人たちも本当に優しい。実際に声をかけてもらえることが多いです。休みの日の暮らし方も本当に変わりました。海士町はスポーツやボランティアなどのイベントが多くて、家でゆっくりっていう日がほとんどないです(笑)」

来年4月からは、工務店の仕事が本業になる。

「海士町では移住者に対して住宅が全然足りていません。建物を持っている方が島外に出てしまっていて、壊すという判断ができず空き家になっている。こうした問題を整理できれば、新しい住宅が建てられます。住まい不足の解決の役に立てたら」

福長さんが、仕事として自分がやりたいこと、島の人たちの暮らしに無くてはならないもの。そのふたつが、海士町で重なった。

 

写真:根岸浩章


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