移住先として注目を集める鴨川。
3人の移住者に魅力を聞くべく、SUBARU車で訪ねた

「より遠くまで、より快適に、より安全に」をスローガンに「グランドツーリング思想」を提唱するSUBARUが、里山Lifeの魅力を知ってもらうため、9月29日〜30日にかけて、メディア向けプレスツアーを開催。行きはレガシィ アウトバックX-BREAK EX、帰りはレヴォーグ  STI  SPORTS R EXを試乗し、東京・恵比寿から、東京湾アクアライン経由で2時間ほどの千葉県南房総を目指した。このツアーの様子をリポートする。

 

都心から2時間。
アイサイトXによる快適なドライブで南房総へ。

コロナ禍でリモートワークが広がった結果、地方暮らしや二拠点生活を選択する人が増加している。他県からの転入者から転出者を引いた転入超過数を見ると、コロナ前からの過去3年間で東京都は激減。一方で、東京近郊は増加傾向にある。なかでも右肩上がりに増えているのが千葉県だ。

今回訪れた南房総は、沖合を流れる暖流の影響により、冬は暖かく、夏は涼しい温暖な気候で、都心からのアクセスも良いことから、近年、移住や二拠点生活を希望する人が増えているという。

その南房総への足となった2車種は、ともにSUBARUが独自開発した運転支援システムアイサイトXを搭載。フロントのカメラが前方との車間距離を認識して自動で加速・減速、また緩やかなカーブでのハンドル操作をアシストする。初日は生憎の雨天だったが、カメラがしっかりと機能し、想像以上にスムーズな動きに驚かされた。この快適性を体感すると、自分が普段、いかに気張って運転していたかがわかる。ハンドルとアクセル操作が軽減されただけで、長時間の移動はグッと楽になった。

さて、最初の到着場所に指定されたのは、南房総の先端にある「漁港食堂だいぼ」。

 

 

海を眺めながら、漁港で獲れた新鮮な魚介類を、海鮮丼や浜焼きなどで楽しむことができる人気店だ。いただいたのは「定置網直送のお刺身定食」と個々のテーブルで焼き上げる浜焼き。ご飯や浜汁、副菜などはセルフサービスでお代わり自由だ。

まずは浜焼きでオーダーしたサザエやホタテ貝、海老をコンロの網にセット。刺身はその日一番おいしい魚が舟盛りで提供されるとあって、脂乗りは抜群。熱々に焼き上がった浜焼きの魚介も、旨味が凝縮していて、平日にも関わらず、空席待ちが多いのも納得だ。

店を出ると夕方までは自由行動。食後のコーヒーを楽しもうと館山にあるTRAYCLE Market&Coffeeを目指す。レトロな建物は、大正時代初期の古河銀行鴨川支店を移築したもので国登録有形文化財にも指定されている。フェアトレード商品やオーガニック商品なども扱う1階には、重厚な金庫が残されているなど、当時の名残をいたるところで感じることができる。

 

 

まずは1階のカウンターでオーダーし、2階にあるイートインスペースへ。名物のマフィンはほろほろと柔らかく優しい甘みで、テイクアウトでも人気。まろやかでコク深いコーヒーとともにゆったりとした時間を味わった。

初日の最終目的地は、移住者のひとり、藤井照久さんが7月にオープンさせたばかりの鴨川のイベントスペース&レストラン「Hangar eight」。ここで移住者の方々との懇親会が行われる。

到着をすると芝生が広がる前庭では、移住者の方々が食事の準備をしながら我々を待ってくれていた。

 

 

ヘイミッシュ・マーフィーさんが焼き上げる猪肉を使った自家製ソーセージ、井上隆太郎さんの自社農園で栽培されたフレッシュなハーブ、地元の食材を使った創作料理が盛り付けられたHanger eightプレート。南房総の豊かな自然を感じる滋味深い料理を味わいながら、移住者の方々が語るSUBARU車の良さに耳を傾けた。

 

 

本田技研でF1のレース部品の開発にも携わった経験を持つ藤井さんはレガシィ アウトバックX-BREAK EXを試乗。「多機能ながら1度の簡単な説明で乗りこなせました。鴨川には急峻な山道も多く、アウトドア車でも滑りやすい場所があるのですが、アウトバックは4輪それぞれの制御が過剰でなく自然にできていて、駆動のタイミングが素晴らしい」と絶賛。

レヴォーグ  STI  SPORTS R EXを試乗したヘイミッシュさんは「強烈なスポーツカー。初めての車は慣れるまで時間がかかるが、山奥にある我が家まで簡単に運転できて、山から高速までシームレスに乗れるオールラウンダーだと感じました」と語る。

SUBARUの楽しさ、鴨川の面白さなど、話題は尽きず、初日の夜は更けていった。

 

 

移住者3名に聞いた鴨川の魅力

2日目は再びHanger eightへ。前庭にはスバル車のアウトドアシーンでの機動力の高さを実感できるディスプレイが並ぶ。例えば対荷重318kgのルーフレールを誇るレガシィ アウトバックX-BREAKには、THULE製のルーフテントをセッティング。地面が濡れているときも汚れづらく、設営撤収も簡単。内側にはマットレスも標準装備されているなど、キャンパーの心をくすぐる工夫が至るところに配されている。

 

 

またレヴォーグはサブトランクも含め、561のカーゴルームを備えており、大型のキャンプ用品も楽々収納できる。ルームミラーはデジタルに切り替えが可能なので、天井いっぱいまで積んでも安心だ。

 

 

次は藤井さんの自宅兼職場へ移動。2016年に鴨川市に移転した藤井さん宅の敷地はなんと6000坪。Principauté de Monacaとして独立国を名乗り、公共インフラに極力依存しない、自然エネルギーを活用した生活を実践している。

「僕が移住しようと思ったのは、鴨川に住んでいる方から『生きているだけなら、お金がかからない』と言われたからです。ずっと車の仕事を続けていましたが、新しいものを作り続けて買わせるということは、ゴミを売っていることではないかと、仕事が嫌になっていたこともあり、会社を退職して移住することを決断しました」

移住後は、敷地内に生えていた杉を切り出し、まずはガレージを建設。続いて自宅を建てようと考えていたが、敷地の景観が損なわれることに気づき、中止した。現在は改装したガレージの一角が藤井さんの居住スペースだ。

 

 

高台にあるゲストハウスから見る景色は圧巻。藤井さんが景観を重視したのも納得の美しさだ。ここには友人や知人が、年間2000人ほど訪れるという。

 

 

野菜は自家農園で栽培。育てている山羊は、飼えなくなったからと近隣の方から譲り受けた。自然エネルギーを活用しているため、水道光熱費もほぼかからず、本当にお金がかからない生活を実現している。

藤井さんのライフスタイルに感化された人は多く、鴨川への移住を決断した人も。現在はHanger eightの経営のほか、移住する人のために里山暮らしに適した建築の仕事も請け負っている。

「この地に住んで、生き物と生きると無駄なことがないと気付かされました。鴨川は気候も穏やかでとても住みやすい土地です。ぜひその魅力を知っていただきたいですね」

 

 

循環型のシステムを構築し、1000年続くパーマカルチャーに

続いて訪れたのはヘイミッシュ・マーフィーさんのご自宅。

オーストラリア出身で、東京で金融の仕事をしていたヘイミッシュは、自然豊かな地に別荘を建てたいといくつかの候補地を回っていた。

「鴨川に来たときに、とてもエネルギーが溢れている場所だと感じたのが決め手になりました。5年間ほど良い場所がないかを探し続け、ようやく見つけたのがこの場所です」

竹と木々に覆われた3ヘクタールの敷地を開墾し、2018年には完全移住。現在はパーメント(永続性)、農業(アグリーカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた、永続可能な循環型の農業「パーマカルチャー」を実践し、自給自足の生活をしている。

「敷地内はいくつかのゾーンに分けていて、その間に森があるように設計しています。敷地の半分は自然のまま残しているんです」

 

 

敷地内には畑が点在し、多年草から熱帯植物、耐寒性のある植物まで、それぞれの植物の特性に合わせて作付けされている。また農薬を使わずとも育つ古代種を植えているのもこだわりだ。

ところどころにある溜池は、すべて竹の暗渠でつながっていて、最後は畑へと流れるようになっている。例えば、飼育している10匹の鴨のための溜池には鴨の排泄物が含まれるため、栄養分の豊かな水源として土づくりに活用されている。

 

 

「私たちが手間をかけなくても、植物が育つように敷地をデザインしているんです。自然の恵みをどうやってうまく繋げるかを考えるのが、私の楽しみになっています」

 

 

自宅にもパーマカルチャーの考え方が取り入れられている。

床や壁、天井の断絶材には、もみがらと溜池の土を混ぜ合わせたものを使用。洗剤は自然由来のものに限定し、生活排水も全て畑へと循環される。中でも一番の自慢は排泄物をコンポストへと送るトイレだ。

「年に一度交換するだけなのでとても簡単です。コンポストが満タンになったら、敷地内に生息するイトミミズを入れて、6ヶ月寝かせると完全に土になります。さらに1年をかけて寝かせると肥料になるんです。田舎暮らしをしている人にはすごくおすすめのシステムです」

 

 

自然豊かな鴨川には野生動物も多く生息している。ジビエに関心を持つようになったヘイミッシュさんは、2022年「嶺岡ジビエ」と命名した解体施設を建設。近隣で捕獲した野生動物をソーセージなどに加工し、販売していて、こちらも評判は上々だという。

「スクラップ&ビルドの多い現代において、この土地を1000年先まで継承していける、そんなシステムを作り上げることが僕の目標です」

 

 

農薬や化学肥料に頼らない農園づくり

最後は農園「苗目」を営む井上隆太郎さんの元へ。

元々は東京でイベントやパーティの装花を手がけるフラワーアーティストだった井上さんは、使用後に廃棄される花々を見るうちに、自分の仕事が嫌になったという。

「そこで農業をやりたいと周りに相談していたら、知人に鴨川に空いている200坪の畑を使っていいと言われたんです」

それまでも農地を探すため、山梨県や長野県にも足を運んでいたが、鴨川の温暖な気候は井上さんの理想だった。

その後耕作放置地などを買取り、現在農地は5000坪にまで拡大した。

農薬や化学肥料は一切使わず、交配種であるF1ではなく固定種のみを育てている。スーパーでは見かけないハーブや、異国の唐辛子、鴨川に伝わる在来種「鴨川七里」の枝豆など、井上さんの畑には珍しい野菜も多い。そして、そのどれもが香りも味も濃厚なのだ。品質の良さが評価され、井上さんの野菜はすべて東京の一流レストランに出荷されているという。

 

 

農業だけでなく、環境や循環について多くの人に知ってもらうための啓蒙活動もしている。

「原則月に1回作業に来ることを条件に、レストランへの畑の貸し出しも行っていて、農業への理解を深めてもらっています」

さらに、これから農業をやりたい、田舎に住みたいという人にはFarm Stayも行っている。最低1週間から滞在可能で、朝2〜3時間畑仕事を手伝えば、滞在中は古民家を改修した母家や空いている畑を無料で自由に使うことができる。里山暮らしを考える希望者が尽きず、数ヶ月先まで予約は埋まっている。また母家にオーガニックスーパーとレストランを併設する計画も進んでいる。

 

 

「今後は地域の子どもたちの田植え体験をやりたいですね。農薬まみれの田んぼではなく、安全な田んぼで行うことが、意味のあることだと思っています」

今回、駆け足で巡った旅だったが、海や山、温暖な気候など、東京から約2時間とは思えない豊かな自然を満喫することができた。二拠点生活や移住先として、注目度が上がっているのも納得できた。里山暮らしを考えている方は、観光がてら一度、訪れてみたはいかがだろうか。

 

COLUMN

SUBARUは2021年、鴨川市の山間部に「SUBARU里山スタジオ」をオープン。「大地と空と自然」をフィールドとするSUBARUが、長く放置されていたキャンプ地を、新型車などの撮影や試乗ができる場として活用している。整備には地元住民や社員有志が参加。
「定期的に除草や間伐を行うことで、害獣の被害が減ったと地元の方々からも好評をいただいています」今後はスバル社員のボランティアによるプロジェクトも計画中。

 

レガシィ アウトバックX-BREAK EX
レガシィ アウトバックHP : https://www.subaru.jp/legacy/outback/

 

レヴォーグ  STI  SPORTS R EX
レヴォーグHP : https://www.subaru.jp/levorg/levorg/

文・林田順子 写真・スエイシナオヨシ

                   

人気記事

新着記事