特集1|地域資源×人でつくる新しい仕事
どこかの地域に移住して、新しい仕事をしてみたい。
そんな思いを抱えている人の多くは、「果たして移住先に仕事があるのか?」 と思っているのではないでしょうか。
移住を考えたときにイメージするのは 「衣食住」ではなく 「意(考えていること)職(仕事)住 (住まい)」 だとTURNSは考えます。
起業するにはハードルが高いし、雇ってくれる会社があるのかもわからない、ましてはやりたい仕事をできるのかどうか。
今回の特集では、地域資源を活かして誰かとつながり、新しい仕事を生み出している人たちをご紹介します。
やりたいこと、得意なこと、人のために役に立つこと。
この三つの要素と、あなたがまだ知らない「だれか」と組むことで、その地域ならではの新しい仕事が生まれると思っています。起業ではない「組業」。さぁ、あなたは誰と組みますか?
阿武の鶴酒造
山口県長門市
山口県長門市のある変わったネーミングのお酒。その名は「純米大吟醸むかつく」。決して飲んだら、むかついてしまう お酒ではございません。ユニークな名前のこのお酒は、東京からUターンで戻ってきたある二人の同級生の再会がきっかけで、地元の人脈と地域資源をつなげた組業んで生まれた。
文・編集:田中佑典 写真:ミネシンゴ
メガネロック
福井県鯖江市
世界三大メガネ生産地として知られる福井県鯖江市。メガネ職人を志してこの地に移り住んだ雨田大輔さんは、デザインから製造まで一人で行う「メガネロック」を立ち上げた。彼の個性が詰まった工房を訪れ、仕事について話を聞いた。
文・編集:大場桃果 写真:兼下昌典
こゆ財団
宮崎県新富町
外から見ていても勢いがあり、 熱量が伝わってくる「こゆ財団」。設立から二年半で続々と若い人たちが移住し、商品づくり、仕事づくりが進んでいる。いったいそこでは何が起こっているのだろう?今回町のさまざまな立場の方々から話を伺い、見えてきたことがある。やる気のある人材が集まってくるその理由とは。
文:甲斐かおり 写真:藤本幸一郎
小川治孝さん
広島県三次市
三次市甲奴町では農地や 自然環境などの地域資源を見直し、アイデアをプラスして起業や雇用につなげる動きが活発だ。舵取りをするのはNPO法人地域活性化プロジェクトチーム「GANBO」のリーダー小川治孝さん。「やんちゃな子」を意味する団体名そのままに、楽しく、自由に、目的に向かっている。
文:門田聖子 写真:堀行丈治
乳頭温泉郷
秋田県仙北市
「秘湯」の代名詞とも言われる乳頭温泉郷。山あいにひっそりと佇む温泉宿は、実は「人里離れた部びた温泉地」などではなく、国際交流もふくめて多様な人々と出会え、自分らしく働ける場所でした。
文:石倉葵(SeeVisions) 写真:佐々木耕平(DreamPhoto)
尾州織物
愛知県一宮市
世界有数の織物産地、尾州。国内生産量の約八割を占め、海外からも引く手あまただが、職人の高齢化や後継者不足などの問題に直面している。織物の未来を切り開くため、若きデザイナーが取った一手とは。
文:山田宗太朗 写真:福村暁
石巻ウェディング
宮城県石巻市
宮城県石巻市を中心に、ウェディングのトータルプロデュースを行う「石巻ウェディング」。まちの人たちとゼロから一緒につくりあげる手作りの結婚式は、口コミなどで評判を呼び、ひそかな人気だ。地元のさまざまな職人たちが協力し合うことで、どんな価値が生まれるのか。
文:山田宗太朗 写真:ミネシンゴ
わろてら!
大阪府東大阪市
日常とは切り離された場所で、かしこまってお坊さんから難しい話を聞く…そんなイメージを持たれやすいお寺を舞台に、「好き」「得意」を表現しながら自分らしく仕事している二九成がいる。ここじゃないどこかを求めるのではなく、今この場所で自分の人生を切り拓いていく。その決意を後押ししたものとは
文:菊池百合子 写真:大森彩生
特集2|継業という生き方
TURNS vol.27 で特集した「つぎつぎ、継業」。地域で働く仕事のひとつに「継業」があり、その動きは加速しています。
地域で愛されてきたお店を継ぐ人、地域課題を引き継いで産業を生み出そうとする人、日本の伝統文化を受け継ぐ人。
継業にはさまざまな形が存在し、引き継いだ人たちによって変化していきます。業態を問わず「継業」のカルチャーは今後も発展していくはず。
この特集では、継いだ人たちの想いや経緯から、これからの継業のかたちを紹介したいと思います。
ジャズ喫茶ちぐさ
神奈川県横浜市
横浜随一の飲食店街として知られている野毛の町に、八十年以上にわたり愛される現存最古のジャズ喫茶がある。一度は閉店を余儀なくされたものの有志の協力で蘇った、伝説の名店を訪れた。
文:大場桃果 写真:土佐麻理子
ONE SLASH
滋賀県長浜市
米作りといえば、屋外での作業が大変そう、手間がかかって難しそう……そんなイメージをひっくり返すかのように、「米作りは喜劇だ」と掲げるチームがいる。全国各地から人を引き寄せる彼らの原点は、地元にあった。
文:菊池百合子 編集:辻祥子 写真:山崎純敬(SHIGAgrapher)
テラダ和紙工房
岐阜県美濃市
岐阜県美濃市は古来より、長良川の支流・板取川の豊かな水を活かした和紙づくりの街として栄えていた。美濃和紙は1300年以上の歴史を誇り、日本の手漉き和紙技術はユネスコ無形文化遺産にも登録されている。和紙を漉く紙漉き職人は、一時は、街に5000人もいたという。しかし現在、美濃の紙漉き職人は20人ほど。なかでも「本美濃紙」を漉ける職人は7人しかおらず、そのうち5人が60歳以上と、高齢化・後継者不足が深刻化している。こうしたなか、失われつつある伝統を受け継ごうと奮闘する人もいる。
文・編集:山田宗太朗 写真:矢野航
サウナの梅湯
京都府京都市
廃業寸前の銭湯をほぼ未経験で継業し、いまや4店舗を運営する、銭湯業界のカリスマ的存在となった若者が、京都にいる。
決して安泰とはいえない業界で、勢い止まらぬ理由はどこにあるのか。銭湯カルチャーの未来をつくるその人・湊三次郎の働き方に、継業成功のヒントを探る。
文・編集:吉澤志保 写真:ミネシンゴ