いま種をまく。
花とともに賑わいの戻る夏を願って。

「with コロナの知恵袋」のお便り(岐阜県郡上市)

現在TURNSでは、『withコロナの知恵袋』という企画を行なっています。『withコロナの知恵袋』とは、コロナ禍の影響を受けつつも、知恵を絞って取り組んでいる新たな活動を応援するために立ち上がった『TURNS』の新しい企画です。
今回の記事は、八幡市街地まちづくり会議の黒本剛史さんより寄稿いただいたものです。
ぜひ、ご一読ください!


郡上八幡という小さなまち、庭先の文化

角を曲がると路地があり、花の咲く道端ではおばあちゃんたちが談笑、こどもが道でボール遊び。

岐阜県の山あいに位置する郡上市八幡町。山に囲まれたコンパクトな城下町を中心に、約1.6万人の住民が身を寄せ合って、伝統的な町家に壁を接して暮らしています。昭和の頃は袖が触れ合うほどの繁華街で、奥美濃の中心地として賑わっていた場所。昔よりは人出が少なくなった今でも、夜になると商店街の居酒屋に町民が集い、集い場には人が集まり、文字通り「密」を楽しむ町でした。

夏には日本三大盆踊りの『郡上踊り』が31晩にわたって踊られ、お盆の時期には観光客や住民入り混じって道路で朝まで踊ります。まさに「密」な光景です。

日本三大盆踊りの郡上おどり

 

コロナ自粛の中で、何ができるのか

郡上市では幸いコロナウイルスの感染者は出ていませんが、学校は休校となり、商店も要請を受けて休業、まちの産業を支えていた観光客も激減しており、まち全体が大きな影響を受けています。通常は大勢の観光客で賑わう大型連休でも、歩くのは住民だけで、ひっそりしています。

郡上八幡は移住者が多く、ここ数年で新しいカフェができたり、店がオープンしたり、コワーキングスペースができたりと、新たな賑わいが生まれつつある町です。また、フリーランスで活躍するクリエイターが多く、彼らの素早い動きによって市内のお助けサイトが立ち上がるということもありました。テイクアウトに踏み切った飲食店も多く「困っている中でも、何かやってみよう」という前向きな姿勢がみられました。

 

そんな郡上八幡の中心部・新町商店街に位置する越前屋は、明治時代初期に建てられた商家。改修され、2019年11月にまちづくり拠点としてオープンしました。管理人である私は、昨年東京からIターンし、プロデューサーとして郡上のものづくりを紹介する展示を実施したり、人の集まるイベントを開いたりしてきましたが、他の施設と同じように休館となっています。

自粛の雰囲気の中、今この町がよくなるために何かできないか?と考えていました。

越前屋での展示会の様子

 

逆境に勝つ“カモミール”を植えてはどうだろう

町家の並ぶ郡上八幡では、玄関先にお花を植えたり、水舟(山水や湧水を利用する装置)や畑に置物を置いたりと、見える部分をきれいに飾る文化があります。

自粛で家にいる間、住民一人一人が家先にお花を植えたらどうだろうか。コロナが収束して、まち全体にお花が咲く景色を見られたら最高だな、という話が始まり、種を越前屋の前に置いてまちじゅうに広げる『はちまん花いっぱい大作戦』をスタートしました。

選んだのは、ハーブとして知られる「カモミール」。郡上のような山間部ではちょうど、5月に植えて7月〜8月に咲く花です。花言葉は「逆境で生まれる力」。踏まれても丈夫に育つカモミールに由来するメッセージは今の世の中にぴったりで、見つけた途端に即決でした。

買ってきた種を折り紙で一つ一つ小分けにして、イラストを描いて、シールを作って。まちに咲く花の写真も添えたリーフレットを印刷して、種キットを作りました。いくつぐらい貰ってくれるだろうか、大量に残ったらどうしよう、そんな不安も抱えながら、まずは500部を作って、越前屋の前に置いてみたのでした。

 

お花が地域に広がる

大型連休が始まる直前に『花いっぱい大作戦』をスタートしましたが、大型連休の終わる5月6日頃には500包作った種がほとんどなくなっていました。越前屋はメインストリートに位置していたので、散歩などで通りを歩く人が意外に多いということ、町の人はここまでお花が好きなんだな、と、この町の新しい一面に気付くことができました。

全国で緊急事態宣言が延長となり、施設の休館は5月末までになりました。せっかくならカモミール運動をもっと広めたい、もっともっと夏の八幡をカモミールでいっぱいにしたい。その思いから、キットをさらに作って花いっぱい大作戦を継続していきます。

 

イベントができず、人を集められず、はりが無いなぁと感じていた日々でしたが、「花いっぱい大作戦」を始めてからは、植えている様子をインスタグラムにアップしてもらえたり、家先での水やりをきっかけに、町の人との交流が生まれたりしています。そのたびに、「カモミール植えませんか」と声かけすると、「植える場所あるかなあ」と少し困った顔を見せつつも、嬉しそうに、ありがとうと持っていってもらえます。花好きの住民が多いからこそ、共通言語になって、つながる。それを実感しました。

カモミールの種を買って、コロナ収束を願いながら植える。花が咲いたら、平和になった世の中で、カモミールティーで乾杯する。皆さんの地域や家先でも、今日からできるかもしれません。

(寄稿:八幡市街地まちづくり会議 黒本剛史)

『花いっぱい大作戦』の詳細は下記よりご覧ください。

郡上八幡 町屋敷越前屋 facebookページ
https://www.facebook.com/echizenya.gujo/

 

※TURNSでは紹介のみ行っています。お問い合わせ・ご連絡は投稿者さまへお願いします。

                   

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