【茨城県常陸太田ひたちおおた市 移住者インタビュー】
地元への“ヨロシク”を込めて。
Uターン開業で地域の健康を支える

茨城県常陸太田ひたちおおた市にある「ヨロシク整骨院」。院長の小室隆典さんは、そのユニークな屋号の通り、地域との“つながり”を大切にしています。

生まれも育ちも常陸太田市。高校卒業後は県外で生活していましたが、「いつかは地元で店を」との思いを胸に、開業のタイミングでUターンを決意しました。

開業を後押ししたのは、市の補助金制度や地域に根付いた人脈、そして手頃な家賃といった、地元ならではの強み。開業までの道のり、これからの展望、そして小室さんが描く常陸太田市の未来像について、お話をうかがいました。

 

自衛隊から整骨の道へ。
外のまちでの暮らしを経て、地元の心地よさをあらためて実感

高校卒業後、小室さんは陸上自衛隊に入隊。神奈川県、静岡県、新潟県、群馬県の駐屯地で勤務し、22歳で除隊しました。

「自衛隊での生活は自分に合っていて居心地がよかったのですが、人間関係が限られてしまいます。もっと多くの人と関わって、自分の世界を広げたいと思うようになりました」

その後、理学療法士だった兄の勧めもあり、宮城県仙台市にある柔道整復師の専門学校へ入学。資格取得後は山形市、仙台市の治療院で経験を重ねました。山形市で出会った奥さまとの結婚を機に、地元・常陸太田市に戻ることに。

「東北の厳しい冬を経験してみて、常陸太田の暮らしやすさを改めて実感しました。雪に悩まされることはないし、台風や水害も少ない。家庭を持つなら、自然災害のリスクが少ない場所がいいですよね」


小室隆典さん

子どもの頃は当たり前だと思っていた常陸太田市の環境が、他のまちを知ることで、特別なものに感じられるようになったという小室さん。穏やかな気候、地元の野菜や果樹、そばのおいしさ、そして、自然豊かな環境で育まれる人々の心のゆとりにも気が付いたそうです。


「人生の目的のひとつは、娘たちが自立するまできちんと育てること」という小室さん。奥さまと二人三脚で子育てに励んでいる。

「長女が生まれてからは、” 子育て上手 常陸太田”という市のキャッチフレーズを実感できましたね」

妊娠・出産・育児の支援が手厚く、地域全体で子どもを育むまちづくりに力を入れているのが、常陸太田市の大きな特色です。

「田舎だけど、常陸太田にはさまざまな分野の専門家がいて、子どもの習い事も選択肢が豊富なんです。”いい先生がいるよ”という口コミもよく回ってくるので、おおいに参考にしています」

 

地元の支援と人のつながりが後押し。
“ヨロシク整骨院”誕生までの道のり

小室さんが整骨院を開業したのは、2020年。それまでは水戸市の治療院に勤務しながら、商工会議所の勉強会に通い、経営のノウハウを学んでいました。その時に知ったのが、常陸太田市の「新規起業支援事業費補助金」制度です。

「年間最大50万円の補助が3年間も続くというのは、開業を考える立場からすると本当にありがたい制度ですね」

ちょうどその頃、奥さまの妊娠がわかり、「地元で家族と過ごしながら働きたい」と独立を決意。店舗探しを始めた矢先、偶然通りかかった道で空き家を見つけ、大家さんに直接交渉してみたところ、なんと月5万5,000円という好条件で借りることができました。


ヨロシク整骨院は、交通量も多い主要道路沿いにあり、車で通院しやすい立地。

「実はここ、高校生のときに通っていたスポーツ用品店だったんです。その後、介護施設などに使われていたそうです」

内装をリフォームし、施術ベッドなどの設備を整えて、ついに「ヨロシク整骨院」をオープン。

「常陸太田市には、所有者が市外に移住して空き家になっている物件が多いんです。家主さんとつながりができれば、安く借りられるケースもあります。家賃などの固定費を抑えられるのは、このまちに住む大きなメリットですね」


院内には施術ベッド3台を設置。カーテン内には治療用の機器も。

 

子どもから高齢者まで、地域の“健康力”を育てたい

開業前は、「地域の高齢者の方々が主な利用者になるだろう」と想像していた小室さん。ところが、実際に営業を始めてみると、独立前からサポートしていたバレーボールやテニスなどのアスリートキッズが多く通ってくれるようになりました。

「地元の友人がママさんバレーのコーチをしていて、そこから“うちの子もお願い”と口コミが広がっていったんです」


独自の整体術で体全体のバランスをチェック。体の土台から整えて痛みのない身体をつくるというのが、小室さんの施術。地域の内外から高い評価が寄せられている。

「少子高齢化が進む日本社会の中で、常陸太田市も例外ではありません。しかし、少ない子どもを地域全体で大切に育てようという意識がスポーツの現場にも根付いています。地域の大人たちの支援を受け、全国レベルで活躍する子どもたちが次々と育っているんです。施術のない日にふらっと立ち寄って、“この間の大会、優勝したよ!”なんて報告してくれると、本当にこの仕事をやっていてよかったと感じますね」と小室さんは目を細めます。

一方で、小室さんがこれから力を入れたいと考えているのが、高齢者の健康づくりです。鍼灸師やトレーナーらと連携し、市民の健康を支えるための施設や組織を立ち上げたいと構想しています。

「高齢者が自立した生活を送れる健康状態を維持できれば、子どもや孫の世代も介護に追われず、それぞれの人生をより充実させることができる。そんな社会や環境を、娘たちの世代に残してあげたい」と語ります。


保育士の資格を持つスタッフもおり、キッズルームも完備。

 

“いつかの夢”は、地元の空き家をリフォームしたカフェ

常陸太田市の未来を思い、小室さんは今日も自らの役割を果たしています。

「実は、最後の夢もあるんです。やるべきことをやりきって仕事をリタイアしたら、地元でカフェを開きたい。コーヒーと蜂蜜とチョコレートのお店。市内の空き家をリフォームして、学校の美術室のような空間にして。コーヒー1杯で何時間でも過ごせる場所にしたいんです。東京では難しいけれど、ここならできそうな気がするんですよ」

家族との暮らしを大切にしながら、地元の未来にも目を向ける小室さん。そのエネルギッシュな日々の延長線上にある「いつかの夢」は、きっと現実のものとなるでしょう。


院内の一角には、ペットのチンチラのケージが。来院する患者さんの癒しになっている。

 

常陸太田市には、起業・開業を目指す人を支える制度があります!

常陸太田市では、地域での新しい挑戦を応援するために、起業や店舗改修をサポートする補助制度を設けています。
小室さんの「ヨロシク整骨院」も、こうした支援を受けて誕生しました。

◆新規起業支援事業費補助金

詳細はこちら(常陸太田市公式サイト)

常陸太田市内で新規に起業する際の対象経費の一部を補助する制度です。

補助対象: 市内に住所を有し、かつ、本市に3年以上居住し、事業を継続しようとする個人
対象経費: 人件費、官公庁への申請書類作成に係る経費、施設借入費、設備費など
補助金額: 対象経費の2分の1、年間最大50万円まで(最長3年間)

◆空き店舗改修費補助金

詳細はこちら(常陸太田市公式サイト)

空き店舗の改修や、それに伴う家財道具の処分費を補助する制度です。

補助対象: 中小企業・個人事業主・団体
対象経費: 解体工事、内装工事、外壁工事、看板設置、給排水衛生設備工事など
補助金額: 対象経費の2分の1(上限100万円)まで。家財道具等の処分費は対象経費の10分の10(上限20万円)を補助

地域で新しいことを始めたい人にとって、「支援を受けながら地元で挑戦できる」環境が整っているのは、常陸太田市の大きな魅力のひとつです!

取材・文:渡辺圭彦 写真:内田麻美


▼常陸太田市の移住・定住情報はこちら

じょうづるライフ(ひたちおおた移住・定住総合サイト)

「じょうづるライフ」は、茨城県常陸太田市での暮らしに興味のある方へ向けた、移住・定住情報のポータルサイトです。

地域の魅力や住まい・仕事・支援制度の情報はもちろん、実際に移住した方のインタビューや、暮らしのリアルが伝わる記事なども多数掲載。お試し居住体験の詳細や相談窓口の案内もあり、「常陸太田での暮らし」をより具体的にイメージできます。

里山の風景や人の温かさに触れながら、新しい暮らしを始めてみませんか?
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ReLIFE(常陸太田市移住ガイドブック)

移住や二地域居住を検討している方、また旅行者向けに、常陸太田市の地域情報や移住者の体験談、さらに移住支援制度の詳細を掲載したガイドブック。

特に「移住へのステップ」のコーナーでは、情報収集の手順や利用できる制度がわかりやすく示されています。

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