まちづくりの “リアル” を学ぶ2泊3日のスタディツアー!
in 鹿児島県薩摩川内市 開催レポート
2022年12月17〜19日(土日月)の2泊3日で、鹿児島県薩摩川内市を舞台に地域の未来を考えるスタディツアーを開催しました。
薩摩川内市の中心には一級河川である川内川が流れ、船に乗れば約1時間ほどで甑島にも行ける魅力的なまちです。
多数の応募の中から選ばれた参加者は、20〜30代の12名。首都圏や九州など全国さまざまな地域からご参加いただきました。
薩摩川内市で活躍するプレイヤーや移住者の暮らしを通して、まちづくりや地域ビジネスについて学べる今回のツアーでは、現地コーディネーター4組のほか、全体のファシリテーターとして「一般社団法人シラタマワーク」の稲田 佑太朗さんにも同行いただきました。
このツアーで全員が心配していたのは、甑島に渡れるのかどうか。冬季期間は、悪天候で船が欠航になる確率が上がるため、数日前から天気予報とにらめっこする日々。果たして甑島には渡れたのでしょうか⁉️
その様子をレポートします!
1日目:SOKO KAKAKA・市比野温泉
まずは、川内川を通して人と人とが繋がる場所「SOKO KAKAKA(ソーコ カカカ)」の見学からスタート。
こちらは、かつてボート競技団体の艇庫だった場所をリノベーションしてできた場所です。約2年ほど前からイベントスペースとしてマルシェなどを開催していましたが、鹿児島県内の7事業者が常駐する商業施設へリニューアル!2022年11月11日にオープンしたばかりですが、早くも地域の人たちの憩いの場となっています。
ここに到着した時、すでにお昼過ぎ。聞きたいことは山ほどありましたが、お腹ぺこぺこだったのでまずは腹ごしらえから。昼食は、「SOKO KAKAKA」に出店している「喫茶アカリトキ」の小田 淳也さんが用意してくださったお弁当です。
▲この日のメニューはもちもちのフォカッチャサンドイッチにキッシュ、ロースト野菜など
▲「喫茶アカリトキ」の小田さん。温かいかぶのスープも用意してくれました。
小田さんは、京都から家族で移住をされてきました。お話を伺うと、奥様が薩摩川内出身で、小田さんご自身はずっと「薩摩川内市で暮らしたい」と思っていたそうです。
昼食後は、一人ずつ自己紹介を。すでに鹿児島空港から移動するバスの中で打ち解けていたみなさんですが、これから3日間一緒に学んでいく仲間として、改めて参加した動機などを共有しました。
ファシリテーターの稲田さんは、「このツアーでは、ネットなどに出ている情報だけで考えるのではなく、自分の五感を通して感じることを大切にしてほしい。地域にいる人が当たり前過ぎて認識していなかった価値や課題が、参加者を通して地域にとっての新しいアイデアの種になるはずです」とツアーのポイントを話しました。
▲ファシリテーターの稲田さんよりツアーの目的や視点についてオリエンテーション
そして、この3日間の中の課題として、たくさんの写真を撮り、最終日に自分の心が動いた一枚を選んでほしいという課題も出されました。
果たして最終日、みなさんの心にはどんな変化が生まれているのでしょうか?
ここで、1日目のコーディネーターである友ダンジェロ有限会社の田尾 友輔さんからもお話を伺いました。
▲友ダンジェロ有限会社 代表 田尾友輔さん
「SOKO KAKAKA」の代表も務める田尾さんは、薩摩川内市の出身で東京都からのUターン。東京の美術大学を卒業後、ランドスケープデザインを手がける設計事務所へ就職。都会で仕事をする中、「自分が追い求めている風景は設計ではないのではないか」と違和感を感じるようになったと言います。それから、地域をフィールドにしたまちづくり会社への転職を機に薩摩川内市へUターン。2021年に独立されました。
「SOKO KAKAKA」をつくった経緯についてはこう話します。
「KAKAKAは、“川る、交わる、変わる”の頭文字。川で人が交流し、まちが変わっていくという想いが込められています。このまちの真ん中には、立派な川内川が流れているのに、誰もその川には興味を持たない。昔、川内川には遊覧船があったり、川沿いに茶屋や宿が並んでいたり、川を中心に発展してきたという歴史的背景があります。そこにフォーカスし直せば、アイデンティティを取り戻せるんじゃないかと思ったんです」
さらに、“このまちをおもしろいと思ってくれる人を増やしたい” とも田尾さんは話します。
「このまちをおもしろいと思ってくれる人を増やすためには、都会的なおしゃれなスポットができればいいわけではない。必要とされているのは、その商品や食事のその先にいる人とのコミュニケーションがカギなのではないかと感じました。確信があるわけではないが、それが僕のチャレンジでもある。実例を通して証明したいという想いも込めてつくったのがこの場所なんです」
田尾さんのお話を受け、参加者のみなさんはそれぞれ施設内の店舗を巡り、時間の許す限りお店の方にいろいろな話を伺って周りました。あっという間の時間でしたが、魅力的な商品と人、開放的な川内川がある環境は、“また訪れたい” と思えるような素晴らしい空間でした。
【SOKO KAKAKA】
住所:鹿児島県薩摩川内市西開聞町22-15
アクセス:JR 川内駅より徒歩20分、車で5分(1.6km)
問い合わせ:https://soko-kakaka.com/contact(電話番号なし)
HP:https://soko-kakaka.com/
居心地の良いSOKO KAKAKAをあとにし、田尾さんと一緒にバスで市比野温泉へ向かいます。田尾さんによると、「SOKO KAKAKA」のあった場所とこれから向かう市比野は、昔別々のまちだったとのこと。2004年に川内市や樋脇町(市比野エリア)、甑島含む1市4町4村が合併し、今の薩摩川内市になりました。
▲移動中のバスの中でも、まちや事業について田尾さんに質問タイム
市比野エリアをみるポイントについて田尾さんは、「このエリアは、昔から温泉街として栄えていたまち。しかし、今では人通りが少なく、空き家も多くなっています。どんなことをしたら盛り上がるのか、どんな小さなアイデアも地域の人にとってはプラスになるので、できそうなことがあればぜひ教えてもらいたい」と話してくださいました。
▲市比野温泉商店街入口
市比野に到着した後は、まず宿にチェックイン。
この日お世話になったのは、2人目のコーディネーターである市比野温泉地域活性化協議会 会長・谷口 尚也さんが運営する宿「湯宿 弁天」。谷口さんは市比野温泉地域活性化協議会の会長でありながら、本業は「弁天堂」という100年以上続く老舗のお菓子屋さんでもあります。名物は、手のひらよりも大きなどら焼きです。
▲「弁天堂」代表/市比野温泉地域活性化協議会 会長 谷口 尚也さん
荷物を置いたら2グループに分かれ、交代で温泉街散策&本格釜でお米を炊くおくどさん体験をします。
まず1グループめは、谷口さんに市比野のまちを案内していただきました。
このエリアは、江戸時代から湯治場として栄え、かつて多くの人が訪れていた場所。とろっとした泉質でありながら、無色透明で無味無臭。料理にも使えるような良質の温泉です。谷口さんによると、かつて旅館だった立派な建物も今は空き家になっているところが多いとのこと。
「昔は毎日のように宴会があり、とても賑やかなところでした。今では、団体用の旅館は成り立たなくなり、少人数の小さな宿にしているところが増えています。時代と共にこのまちや商売も移り変わってきていますね」
確かに空き家は多いものの、与謝野晶子が夫婦で訪れたという大正時代からの旅館や蛇口をひねれば温泉水が出る、こんなにも温泉が生活に密着してある環境は、そうどこにでもあるわけではありません。
散策後は、市比野商店街にある “おしゃれすぎる” お米屋さん「ライススタイルショップハラダ」にてお米を炊くおくどさん体験です。
原田米店の3代目代表である原田 匠さんは、埼玉県からのUターン。5つ星お米マイスターの資格を持ち、扱うお米や道具にもこだわってセレクトされています。
この日使用したお米は、「わざヒカリ」というブレンド米。鹿児島のお米だけで全国のお米と同等のものをつくろうとブレンドされたものです。
▲「原田米店」3代目代表の原田 匠さん
原田さんに丁寧に説明をいただきながら、薪をくべ、火おこしをしていきます。火吹きをするのは、ほとんどの方が初体験。だんだんとご飯が炊ける甘い匂いがし、五感が刺激されます。
▲薪や松を釜戸の中にいれていく。そうすることでよく燃えるそう
▲マッチで火を付け、火吹き竹での火おこしも体験できた
原田さんは、このおくどさん体験についてこう語ります。
「おくどさんとは、釜戸のこと。昔はこうして毎日釜戸に薪をくべて米を炊いていたんです。簡単にご飯が炊ける時代になりましたが、この店のコンセプトは “ライスパフォーマンス” 。お米を通し、“日々の楽しみは身近なところに隠れている”ということをして体験してもらいたいと思っています」
この体験を始めるにあたり、“最高の状態”でお客様にお米を提供するため、お米や器を探すのと同時に、おいしさを最大限に引き出す水も全国で探し回っていたという原田さん。
その結果、辿り着いたのが、なんと地元である市比野の温泉水。無味無臭で超軟水の温泉水は、世界でもとても珍しいもので、原田さんご自身も驚いたと言います。
興味深いお話を伺っているうちに、米が炊き上がり、いよいよ実食です!釜戸からおひつに移されたお米は、より一層ふっくらとし、甘い香りに変化していました。
手のひらの茶碗の中でツヤツヤ輝くお米に、参加者のみなさんもうっとりした表情です。
まだお腹が空いていないと言っていた参加者も、完食!
▲茶碗はお米を手のひらの中で眺めてもらえるように、と原田さんが選んだこだわりのもの
味噌汁や副菜も用意していただいていましたが、「おかずがなくてもお米だけ食べたい!」という声も聞かれるほど美味しかったようです。
ここでは原田さんに、自分の身近に幸せや大切なことが隠れていることを五感を通して教えていただきました。
【ライススタイルショップハラダ】
住所:鹿児島県薩摩川内市樋脇町市比野2454-1
アクセス:https://goo.gl/maps/6cXrRbgPqPFeisuJA
電話:0996-38-0054
HP:https://www.riceperformance.jp/
そして、この日の締め括りは、地域の方々が集まる「足湯トーク」です。
「足湯トーク」は、市比野のまちを活性化させるために始まりました。地域の人々で定期的に集まって意見交換をしたり、まちづくりについて話し合うコミュニケーションの場となっています。
▲足湯に入りながら参加動機や地域のこと、将来のことなどを語り合う様子
谷口さんによると、元々自転車屋だった場所を8年かけて足湯にし、だんだんと人が集まる憩いの場になったとのこと。市比野温泉ならではの発想です。
たくさんのご馳走を用意していただき、地域住民の方と足湯を通してざっくばらんに話をする参加者のみなさん。「考えてから行動するより、やってから考えるって大事だなと感じた」という感想も聞かれ、将来につながるような話もできたようでした。
あいにくの雨でとても寒い日でしたが、足湯トークで心も体も全身ポカポカになりました。
残り2日でどんなことを感じ、学んでいくのかとても楽しみです。
谷口さんの宿に戻っても話は尽きませんでしたが、次の日の甑島への船が出ることを祈りながら眠りにつきました。
2日目:どら焼き体験・原子力発電所見学
朝6時30分。甑島でのコーディネーター山下賢太さんからスタッフに届いたメッセージ。
ドキドキしながら開くと、「悪天候によりフェリーも高速船も全便欠航」とのこと。
▲(左)2日目訪問予定だった甑島の「東シナ海の小さな島ブランド株式会社」代表取締役 山下賢太さん/(右)山下さんが早朝送ってくださった当日の天気図
それもそのはず。なんとこの日は、南九州では珍しい雪!鹿児島県だけではなく、全国的にも強い寒波が流れ込み、各地で大雪となっていたのです。山下さんには会えませんでしたが、天候や船の状況をずっと見守ってくださって、本当に感謝です。
甑島へ渡れず、当初の予定から本土で過ごす計画に変更となりましたが、谷口さんご夫妻がご好意で作ってくださった温かい朝ご飯が残念な気持ちと寒さを和らげてくれます。
▲谷口さんご夫妻が用意してくださった朝ご飯
予定を変更した午前中は、弁天堂名物のどら焼きを作る体験をさせていただきました。谷口さんにお手本を見せていただきましたが、生地をひっくり返すタイミング、ヘラを入れる素早さはやはりベテランの技。
参加者のみなさんも1人ずつどら焼きの皮を焼かせてもらいましたが、大きさがバラバラだったり、焼印が焦げたり薄かったり。どら焼きの焼き方にも参加者みなさんの個性が出て、とても楽しい時間となりました。
▲生地が膨らんできて返すタイミングを谷口さんから伝授いただけた
▲隣の宿で自分で焼いたどら焼きを堪能。谷口さんの愛猫・こむぎはみんなのアイドルでした
【弁天堂】
住所:鹿児島県薩摩川内市樋脇町市比野2562-7
アクセス:川内駅から車で約20分
電話:0996-38-0659
HP:https://satsumasendai.gr.jp/spotlist/45376/
(薩摩川内観光物産ガイドこころより)
市比野温泉を後にし、午後は「川内原子力発電所展示館」にて、エネルギーについて考えます。
まずは、川内原子力発電所の安全対策等についてご説明いただき、実際に館内の見学をしながら原子力発電所の仕組みについて学びました。
▲日本で初めて作られた実物大原子炉模型を見上げる参加者のみなさん
▲この小さなペレット一つから家庭の約半年分の電力が生まれる
東日本大震災の原子力発電所の事故から12年が経ちますが、みなさんは原子力発電所にどんな印象を持っているでしょうか?
日本のみならず、世界中でエネルギー問題や環境問題が叫ばれる中、私たちが普段当たり前に使っている電力について、改めて考えさせられる機会になりました。
現在もさまざまな議論がされていますが、原子力発電所はこのまちにとって紛れもなく存在するもの。まず私たちは「知る」ということから始めていくことが大切なのかもしれません。
【川内原子力発電所展示館】
住所:鹿児島県薩摩川内市久見崎町字小平1758-1
アクセス:JR鹿児島本線「川内駅」から車で25分
コミュニティーバス高江・土川線「展示館前」下車(約40分)
電話:0996-27-3506
HP:https://www.kyuden.co.jp/life_pavilion_sendai_index.html
あっという間に夕方になり、今夜の宿泊場所である「高江未来学校」へ。
こちらは、2018年に廃校となった薩摩川内市立高江中学校を改装し、宿泊施設やキッズサポート、バドミントン専用体育館などさまざまな機能を兼ね備えた施設として2020年4月より運営されている場所です。
代表の東峯生さんは、薩摩川内市出身で神奈川県からのUターン者。高校時代からバドミントンを始め、Uターン後もバドミントンを広げる活動をされていたことがこの「高江未来学校」へと繋がったと言います。
▲高江未来学校 代表の東峯生さん
「この地域は、中学校までバドミントン部がない地域だったんです。始めは、バドミントンに興味を持った子どもたちが、バドミントンをできる環境づくりをするために体育館を活用しようと考えたのがきっかけでした。薩摩川内市外の物件も探していたのですが、結果的に薩摩川内市とご縁があり、この廃校となった中学校全体を使って地域づくりをすることになりました」
▲高江未来学校に入っているテナント
コロナ禍でのオープンで、当初は運営が厳しい時期もあったとのことですが、仲間たちと諦めずに何ができるか試行錯誤し、今やさまざまな事業を展開されています。
施設内を見学させていただくと、学校の雰囲気をほぼそのまま生かした内装で、童心に返るような気分に。
▲(左)食堂となっている場所はもと職員室(右)暗い教室の中を覗き込む参加者
参加者からは、「外国人にも需要がありそうなので、外国人向けの発信をしてみてはどうか」などアイデアもでていました。
【高江未来学校】
住所:鹿児島県薩摩川内市高江町654-1
アクセス:薩摩川内市高江ICから車で約3分
電話: 0996-20-6100
HP:https://www.takae-future-school.com/
そして、この日の夜の懇親会では、再び田尾さんにも駆けつけていただき、キャリアや就職の話、地域の話など、1日目よりもさらに参加者同士が打ち解け、交流が深まる夜となりました。
3日目:新田神社・エコミット・振り返り
いよいよこのツアーも最終日となりました。
まずは、川内駅から車で10分ほどの場所にある「新田神社」を散策。薩摩国の総鎮守(薩摩国一之宮)として、ニニギノミコトをはじめとした神様が祀られ、昔から薩摩川内市の人々に信仰されている立派な神社です。
神亀山という亀の形をした小高い山の上にあり、大きな鳥居を潜ると、332段もの階段が聳え立ちます。少し圧倒されましたが、12月中旬にもかかわらず、もみじが美しく紅葉しており、楽しみながら階段を登ることができました。
【新田神社】
住所:鹿児島県薩摩川内市宮内町1935-2
アクセス:https://www.nitta-jinja.or.jp/access
電話:0996-22-4722
HP:https://www.nitta-jinja.or.jp/
新田神社を後にし、薩摩川内市に拠点をとし、リユース・リサイクルを主軸としたモノが循環する仕組みづくりを行いながら環境ビジネスを展開する「株式会社ECOMMIT」の視察へ向かいます。
この日は、循環センターとしてより身近にリユース品と出会うことができる場所「ECOBASE KAGOSHIMA」を訪問。元々は鉄工所跡地だったというこの場所は、まるで基地のような雰囲気を醸し出しています。
▲ECOBASE KAGOSHIMA 入口
倉庫内に入ると、雑貨から家電、簡単に手に入らないようなレトロな商品まで幅広く扱われており、参加者のみなさんも掘り出し物探しに夢中になっていました。
コーディネーターとしてこの場所を案内してくださったのは、株式会社ECOMMIT 人事総務部の山下 彰太さんとブランド戦略部の濱津 綾乃さんのお二人。
まずは濱津さんより、会社の概要や事業等についてお話いただきました。
▲株式会社ECOMMIT ブランド戦略部の濱津 綾乃さん
「ECOMMITが課題としているのは、地球温暖化。その原因は、世の中にモノを循環させる仕組みが圧倒的に足りていないという部分にあると考えています。その大きな社会課題に取り組むためには、モノの捨て方ではなく、モノの循環のさせ方をデザインすることが重要です。廃棄されるモノからまだ使えるものを救い出し、適切な使い手へと循環させる。その部分に取り組むことで、ごみのない未来をつくることをミッションとしています。さらに、廃棄物業界はモノの流れが不透明な業界。デジタル化も遅れているので、独自のシステムでDX化を図り、モノの循環がクリアになるようにしています」
スライドを用いながら丁寧に説明してくださり、環境問題やリサイクルに関心が高い参加者の方からは、具体的な質問も飛び交います。短い時間でしたが、社会や地域の課題をビジネスとして展開していく考え方に、“本当に世の中に役立つビジネスとはどういうことなのか”を考えさせられる時間となりました。
▲参加者のみなさんも興味津々。さまざまな質問があがった
また、後半はU・Iターンや移住の視点についても触れていただきました。
濱津さんは、熊本県出身で鹿児島県の大学に進学後、そのまま新卒でECOMMITに入社されたとのこと。一方、山下さんは、鹿児島県桜島出身で、大阪府からのUターン。副業として、地域課題解決やプロモーションにご自身も関わっておられます。さらにECOMMITは、今まさに成長期にあり、一緒に働く仲間を募集していると言います。人事の視点から、地域に関わることやECOMMITで働くことについてこう話してくださいました。
▲株式会社ECOMMIT 人事総務部の山下 彰太さん
「前職は、大阪の広告代理店で、CM制作や地方自治体の観光プロモーション等に従事していました。2018年、子育てのために地元に戻り、“豆ん茶家商店” という店舗のない商店を立ち上げ、移住や地域課題に関する活動をしています。マイナスの状況をどうプラスにするかということを実践しているのがECOMMITですが、地域課題に取り組みながら、グローバルな多様な視点も大事にしている点が自分と共通していると感じています。全国にオフィスがあり、多様性に溢れる会社でもあります。自分の人生や未来の社会のことを考えられる人とぜひ一緒に仕事がしたいですね」
山下さんの人柄が感じられるお話と、ミッションを持ちながら働いているお二人の姿に興味を持った人も多いのではないでしょうか。
詳しくは、ECOMMITのHPにて説明資料や採用情報が掲載されているので、興味がある方はぜひご覧ください。
【株式会社ECOMMIT】
住所:鹿児島県薩摩川内市水引町2803
電話:0996-29-5188
HP:https://www.ecommit.jp/
【ECOBASE KAGOSHIMA】
住所:鹿児島県薩摩川内市水引町2803
アクセス:https://goo.gl/maps/7Tb1GD2bVz7z1EtV7
電話:070-1386-5317
HP:https://www.instagram.com/ecobase_kagoshima/
昼食は、新鮮な魚介を楽しめる店「浜の茶屋」でいただきます。ECOMMITのお二人には、昼食会場にも同席していただき、先ほど聞き足りなかった部分や参加者のみなさんの質問などにも答えていただきました。
人気の海鮮丼やしらす丼など美味しい海鮮を存分に堪能した後は、ファシリテーターの稲田さんと一緒に3日間の振り返りです。初日に、稲田さんから出されていた課題である「自分の心が動いた瞬間」の写真を一人ずつ共有していきます。
▲たくさんの写真の中から自分の心が動いた一枚を選ぶみなさん
全員が五感をフル活用した3日間。集合写真や原田米店のお米に水、足湯トークや何気ない風景など、選んだ写真も感じたことや考えさせられたことも本当に人それぞれで、どれも印象的な一枚でした。
また、今回は、学生の参加者の方も多く、キャリアや将来への悩み、生き方など、胸の内を話せるような仲間と出会えたことも大きな収穫だったのではないでしょうか。
▲(左)鹿児島県地域政策課の泉 友樹さんと(右)薩摩川内市企画政策課の島田 大輔さん
3日間同行してくださった鹿児島県地域政策課の泉 友樹さんと薩摩川内市企画政策課の島田 大輔さんも「参加者のみなさんと出会うことができて本当によかった。ここからまた次の活動へと繋がっていくととても嬉しい」と話してくださり、薩摩川内市で繋がった参加者同士のご縁も続いていくと、このツアーの意味もさらに広がっていくのではないかと感じます。
最後にファシリテーターの稲田さんから、参加者の皆さんへのエールをいただきました。
「たくさんの薩摩川内市の方々の支えがあって実現した、最高に楽しいスタディツアーでした。また、2泊3日と短い滞在でしたが、現場に行くことで見えてきたことや、当たり前だと思っていた自分の固定概念に気がついたのではないかと思います。それを気づいてよかったと終わらせずに、行動に移して人生の糧にしてください!」
【浜の茶屋】
住所:鹿児島県薩摩川内市久見崎町1358-4
アクセス:川内駅から車で約25分/串木野駅から車で約30分/鹿児島中央駅から車で約60分
電話:0996-27-3404
HP:https://satsumasendai.gr.jp/spotlist/55921/
(薩摩川内観光物産ガイドこころより)
今回のツアーでは、残念ながら甑島に行くことはできませんでしたが、その分、薩摩川内市本土の魅力や人のあたたかさに触れるツアーになりました。甑島に渡れなかったのも、きっともう一度薩摩川内市に来て、このご縁を大事にしてほしいというメッセージなのかもしれません。
2月には、直接お会いできなかった甑島の山下 賢太さん含め、コーディネーターのみなさんや参加者同士のオンライン交流会も開催されます。
進路に直面している学生やこれから地域で新しいチャレンジを始める方など、さまざまなバックグラウンドの方が参加してくださった今回のツアー。薩摩川内市で感じたことや繋がりを活力にして、みなさんの将来をどんどん輝かせていってください!今後のご活躍を心から楽しみにしています。
文・写真/黒木 麻莉恵
参加者の声
・地域の人と会うことによって「どのように起業したか」「どういう経緯でUターンしたか」など、様々なことを深く学ぶことができました。精神的にも体力的にも幸せでした。
・地域の方々、参加者のみなさんがとても面白く、今回のツアーだけでなく、今後も繋がり続けることができるような関係性を築くことができました。
・今回の旅に参加したことでできた経験が、自分の成長にも繋がり、また良い思い出にもなりました。都会の生活とはかけ離れた充実した3日間を過ごせました。
・実際に街を歩きながら、たくさんの人の貴重な話が聞け、地域づくり・まちづくりの難しさ、楽しさ、課題などを知ることができました。
・日本の地域を「まちづくりの視点」で学ぶことが初めてで、何もかも新鮮でした。
・地域が動き、地域全体の活力が上がるためには、キーパーソンの存在が必要であり、それにはたくさんの人たちの力が必要なのだと学びました。
・今回のツアーでは、人生相談やキャリアプランなど自分の悩みを打ち明ける場として社会人の方とお話する機会としても活用させてもらったので非常に助かりました!
・今回のツアーを通して様々な考えやアイデンティティをもつ方々と出会えたことが一番の幸せでした。自分の夢や好きなことを楽しそうに語ってくれる方々の姿が本当に素敵でした。また訪れたいです。