多様な自然・企業・人をひとつに!雪浦地区の“地域まるごとホテル”構想
雪浦(ゆきのうら)は、約500世帯・人口1,000人の小さな地区。
日本の西端に位置し、三方を海に囲まれた長崎県西海市の中核を担う大瀬戸町内にあります。
▲1999年につくられた雪浦地区のまちあるきマップ
西海市の魅力は、ウミガメが上陸する雪浦海浜公園、白鳥が泳ぐ雪浦川、そして、森や滝もあり、SUP、サーフィン、ハイキングなど多彩なアクティビティが楽しめることです。また、機械を使わない農業が体験できる「体験民泊」、子どもの感性を育む「森のようちえん」など人気のプログラムもあります。
雪浦川の清流には、昔ながらの酢づくりを続ける創業122年の「川添酢造」があります。その他にも、世界で希少な蓄音機や約16万枚ものレコードの音を実体験できる「音浴博物館」、サンセットロード沿いにある移住者がオーナーの「ゆきのうらビーチストア」など、多彩な企業やショップが点在しているのが特徴です。
移住者が多く、子育て世代と保育園・小学校の児童数が、ここ12年間横ばいで維持されています。
そんな雪浦が今、目指しているのが “アルベルゴ・ディフーゾ”!
“アルベルゴ・ディフーゾ”とは、イタリア語で “分散型の宿” という意味。建物単体ではなく地域一帯でホテルの機能を構成する、分散型ホテルシステムです。雪浦では、地区にある宿泊施設や飲食店、自然、アクティビティ、歴史、文化、人の営みなどをまるごと観光資源化する“地域まるごとホテル”を目指しています。
例えばこんな、心癒やされる時間を、雪浦で過ごしてほしいのです。
雪浦でできる4つのこと
1. 朝ごはんはベーカリーで。淹れたてのコーヒーと焼きたてのパン
2. 浜辺を散歩してカフェでランチ
▲海沿いには今や希少な松林の散歩道3. マッサージを受けて、川辺でひと休憩
▲雪浦川にかかる橋から見る山側の景色。反対側には海が広がる4. 山を登って博物館で音楽に浸ったり。森林浴したり
▲「音浴博物館」は発明家トーマス・エジソンがつくった蝋管式蓄音機が体感できる世界で希少な博物館
ゲストハウスに戻って海外観光客とカタコト英語でなんとか会話…にならないw けど楽しい!!
▲ゲストハウス「森田屋」にはなぜか海外からの観光客がたくさん訪れる
▲2020年雪浦ウィークのマップ。お休みしたのはこの1回のみ。1999年から約20年継続
今回、このように西海市の雪浦地区が “地域まるごとホテル” を目指したきっかけは、地域住民発の地域回遊型イベント「雪浦ウィーク」にありました。
住民1000人の雪浦に1万人が集まる「雪浦ウィーク」
「雪浦ウィーク」の原型となるイベントは1999年。それから約20年、マイペースに継続しています。今や、ゴールデンウィークの定番イベントとなり、人口1,000人の小さな雪浦に1万人を超える観光客が訪れるほどになりました。
▲期間はゴールデンウィークの4日間
▲音楽イベントも雪浦の随所で開催
▲子どもが主役のイベントも!
1万人以上集客するイベントを企画・運営するのは、地域住民です。音楽やグルメ、雑貨など、30〜40の店舗や団体が参加しますが、メンバーは全員素人。
なぜ雪浦で、1万人以上集客する「雪浦ウィーク」を20年以上継続できるのか?
理由は「無理をしないこと」「自分たちも楽しむこと」。
地区住民は、それぞれの生業や特技を活かして参加し、自分の好きなタイミングで休んだり、復活したりも自由に行動できます。観光客はもちろん、地域住民も楽しめることを第一に考え、ヘトヘトにならない程度を心がけているそうです。
「雪浦ウィーク」をきっかけに、雪浦へ移住する人もちらほら。新しいお店の、良い宣伝の機会にもなっています。
「雪浦ウィーク」は、地域づくりや地域イベントの視点から、様々な賞を受賞。全国的に評価されているのです。
・第10回地域再生大賞 優秀賞(2020年/全国地方紙&共同通信社)
・笑顔あふれる地域イベントアワード 優秀賞(2016年/NPO法人子ども文化地域コーディネーター協会)
・全国過疎地域自立促進連盟会長賞(2013年/総務省)
・長崎県地域文化賞(2009年/長崎県)
※「雪浦ウィーク」や「雪浦」の紹介記事。お時間があればぜひご覧ください。
西海市発・長崎で一番刺さるローカルメディア「ばりぐっど」
https://varygood.jp/saikai2/archives/tag/雪浦
ゆきのうら.net
https://yukinoura.net/topics/category/雪浦ウィーク/
雪浦の課題と協力隊を募集する理由
「雪浦ウィーク」は、地区住民の想像以上に大きく成長し、同時に課題も少しずつ出てきました。
〜雪浦で抱える課題〜
・人混みが地元住民の暮らしに影響しつつある
・駐車場が足りなくなっている
・通常時の観光客がまばら
▲駐車場や交通整理の人手や費用が足りず苦戦中
また、雪浦の児童数は増加傾向にある一方、高齢化率は現在49%と増え続けています。
年間を通して観光客が訪れるまちにしたい。
1人でも多くのファンを増やしたい。
それが雪浦地区の夢!
目標とするイメージが、“アルベルゴ・ディフーゾ”=“地域まるごとホテル”。
“地域まるごとホテル”に重要なのは、空き家活用はもちろん、雪浦の魅力を発掘したり、新しい魅力を加えたりして発展させていくこと。それができるのは、住民にはない視点がある人です。そこで、地域おこし協力隊を募集することを決めました。
また、雪浦地区にはもともと、地区の活性化を行う「NPO法人雪浦あんばんね」がありましたが、より豊かに暮らせる地域づくりを目的に「株式会社ゆきのうら」を設立。「株式会社ゆきのうら」を中心に地元の企業や団体と連携し、“地域まるごとホテル”を形にしていく計画です。
▲点在する多様な自然や施設をつなげて、“地域まるごとホテル”にしたい!!
協力隊のミッションと求める人物像
雪浦で、協力隊にお願いしたいミッションはこちら。
【1〜2年目】ゲストハウスの立上げ準備(古民家の掃除・補修、運営の仕組みづくり等)
【3年目】ゲストハウスの運営
【3年間通じて】「株式会社ゆきのうら」のスタッフとして様々な事業サポート
「株式会社ゆきのうら」では、雪浦地区で既に活動を行っている「森のようちえん」などの既存事業のほか、新たに「E-バイクレンタル事業」や「キッチンカー事業」などの立ち上げを計画中。協力隊には、勤務時間内でそれらの事業もサポートしていだきます。勤務時間外での副業やアルバイトは可能です。
協力隊が自分でやってみたいことがあれば、提案も歓迎!
協力隊として仲間になってくれる人が、雪浦で心豊かに暮らせることを願っています。
また、イベントが多い週末や祝日は出勤をお願いしますが、振替休日を取得できます。それ以外の時間は、勤務条件さえ満たしてもらえれば、勤務時間は柔軟に相談に応じます。ぜひ雪浦でのプライベートも充実させてください。
▲ゲストハウス候補の空き家(農地付き)。雪浦川沿いにあり窓からは川や山が見える
雪浦での暮らしと協力隊の仕事を楽しめそうな、求める人物像はこちら。
●人と話すのが好きな人
●イベント好きな人
●海外の人と楽しくコミュニケーションできる人。英語が話せなくてもOK
●お酒の場を楽しめる人。お酒が飲めなくてもOK
協力隊の住まいには、木々や花々がいっぱいの庭付き、駐車場付きの一戸建てを準備しています。ガーデニングやピクニックがすぐ楽しめて、家族でも十分暮らせる部屋数がありますよ!
▲協力隊の住まい。今後「森のようちえん」の拠点としての活用も検討中
▲協力隊の住まいの、お庭の一角。木や花、ハーブがたくさん植えられている
▲お庭の一角にはベンチや屋外キッチンも。お庭でパーティが楽しめそう!
株式会社ゆきのうらのキーマンと仲間
株式会社ゆきのうらに関わる人は総勢40名ほど。年齢も職業も経歴も、多彩な仲間がいます。中でも、株式会社ゆきのうらの中心を担う2人がこちら。
株式会社ゆきのうらの社長を務める中村さん。株式会社ゆきのうらと連携する「音浴博物館」の館長も務めています。過去に、ハウステンボスや佐世保バーガーのPRに従事した経歴も。
▲中村さんは現在63歳。波佐見町出身。
株式会社ゆきのうらで事務局長を務める渡辺さん。ゲストハウス「森田屋」オーナーで、NPO法人雪浦あんばんね理事長。青年海外協力隊(ソロモン諸島にて)や、東日本大震災の時には沿岸自治体の支援活動の経歴があります。
▲渡辺さんは現在65歳。雪浦出身。写真右は「森田屋」スタッフの荒瀬さん
2人が特に大切にしていることは「本当の豊かさ」。
「本当の幸せ、豊かさってなんだろう?と自問した時、郷土愛に溢れた子供が育ち、住んでる人々が幸せを感じることのできる地域でありたいと考えています。赤ちゃんからお年寄りまで、みんなが心豊かに暮らせる “ウェル・ビーイング(※)” な田舎を目指して、株式会社ゆきのうらの活動を根付かせて行きたいですね。」
※ウェルビーイングとは…心身と社会的な健康を意味する概念
協力隊の出勤場所は、渡辺さんが運営するゲストハウス「森田屋」。スタッフの荒瀬さんは、協力隊にとって職場の仲間になる人。渡辺さんを「とくろうさん」と呼び、肩肘張らず気軽に相談ができる関係性だそう。
「ゲストハウス森田屋には、なぜか海外のお客様が多くいらっしゃいます。雪浦にいながら世界中の人と交流できますよ。お客様から雪浦の魅力を教えてもらうことも度々。ゲストハウスで働く面白さを感じます。」
▲荒瀬さん(写真右)の住まいは隣町。株式会社ゆきのうらでは「森のようちえん」も担当
美しい景色。個性ある仲間。
株式会社ゆきのうらの仲間になって、“地域まるごとホテル構想” の夢を一緒に形にしませんか?
西海市ってこんなまち
【まちの概要編】
●日本の西のはしっこ。海辺暮らしが楽しめる半島
●はしだからこそ「視界いっぱいに海!」の景観スポット多数
●待機児童ゼロ!独自アプリなど子育て支援充実
●買い物は車で約15分。コンビニもあります
●長崎県の二大都市・長崎市と佐世保市へは車で約1時間
(写真:繁延あづさ)
【暮らし編】
●アウトドアやキャンプ、釣りが趣味の方には最高〜!
●海の幸も山の幸も新鮮で美味!
●半自給自足の暮らしを実践できます
●車は必須。地域の寄り合いは適度でOK
●子育てにぴったりの自然環境
(写真:繁延あづさ)
(写真:繁延あづさ)
▲きれいな夕日が見えるサンセットロード