TURNS

#おうちで祭しよう!
「with コロナの知恵袋」のお便り(石川県七尾市)

現在TURNSでは、『withコロナの知恵袋』という企画を行なっています。『withコロナの知恵袋』とは、コロナ禍の影響を受けつつも、知恵を絞って取り組んでいる新たな活動を応援するために立ち上がった『TURNS』の新しい企画です。今回の記事は、七尾市出身のフリーランス、坂本那香子さんより寄稿いただいたものです。ぜひ、ご一読ください!


 

祭りと地域の関係性

私が敬愛する歴史社会学者の小熊英二さんは、雑誌『TURNS』での連載をまとめた著作の中でこう言います。

「(日本で)集合意識と関連しているのは、神社とお祭りである。日本では多くの場合、集落ごとに神社があり、そこで祭りが行われる。その祭りがどの程度盛んであるかは、その集落の住民の参加意識、つまりは集合意識の程度と関係する。」(『地域をまわって考えたこと』 p14より)

その言葉を体現するように、私の出身地、能登半島の入り口にある石川県七尾市における2019年の市民意識調査によると、七尾らしさを感じる点は 「お祭りが盛んであること」が74.6%でトップでした。

今回は、その七尾を代表するお祭り『青柏祭」こと通称『でか山』が、コロナ禍で中止となったにも関わらず、オンラインでのツールを駆使することで、祭りの神聖性と遊戯性を全く新しい形で担保し、withコロナの時代への鮮やかな先鞭をつけたお話をご紹介します。

 

地域の祭りをオンラインで

ことの始まりは、4月24日にFacebookグループ『#がんばろう七尾』のメンバーが集まって行われた『#ななお休業メシ!』でした。これは、石川県でも幅広い業種に休業要請が出て、急に暇になってしまったであろう皆さんが、どんな昼ご飯を食べているのかのぞいてみようという思いつきで始まった企画でした。

話していくうちに、数人の参加者から「毎年ゴールデンウィークに開催される青柏祭が、中止されて終わってしまうのはあまりに寂しい」と漏らしたことから、ではオンラインで出来る限りのことをやってみよう!という展開になったのです。

そうは言っても、通常なら5月3日に始まる青柏祭まで、残りの日数は9日間。その間にどこまで出来るものかドキドキしながら見守っていると、まるで魔法のようにあれよあれよとチームメンバーやイベント骨子が決まっていきました。最終的には、例年の青柏祭の日程をほぼ踏襲する形で、解説の配信、神事のライブ中継、『ヨバレ』と呼ばれる宴会のオンライン開催などが行われました。

当日ローカルテレビ局がニュースに取り上げただけではなく、終了後に公開された動画のYouTubeでの合計視聴数も優に3000回を超えています。(その内容は、こちらのサイトで実際にご確認いただけます:https://g-nanao.com/matsuri/)

特に、七尾に住み続けて数十年という人たちが「全く知らない内容だった」「すごく面白かった」と大きな反響を寄せていたのが、印象的でした。

 

祭りから繋がる、町の機運に想いを託す

先述の小熊英二さんは、「自信や夢を失った地域は排他的になりやすい」と言います。「どうせ何をやってもダメだ」という気分が蔓延している場所で、新しいことをやろうとする機運が盛り上がるはずもない、と。

七尾でも、かつての賑わいが失われていく過程をまざまざと見てきた地元の人ほど、都会に引け目を感じ、地域活性化活動への参加も消極的な様子が、市民意識調査からも読み取れます。「なにやっても駄目やわいや」「実際、あれもこれもうまくいっとらんやないか」という層は、おそらく今でも市内にかなりの比率でいるでしょう。

それでも、『#がんばろう七尾」のFacebookグループを基軸にして、市内のテイクアウトやデリバリーが出来る飲食店をまとめた『TAKE OUT NANAO』のサイトのPV数はすでに16万ビューを超え、姉妹サイトとして立ち上がった全国の七尾ファンがお取り寄せのできる『SEND HOME NANAO』も同様の活況をみせ、更なる次の展開として、七尾を舞台にしたマンガ『放課後インソムニア』とコラボした飲食店応援のためのクラウドファンディングまで立ち上がるなど、次々と新たな企画が進んでいるのは事実です。

『#がんばろう七尾』のFacebookグループの表紙には、御祓川を中心とした市街地と、能登島を望む天然の良港、七尾湾の画像が使われています。この地に住む人々が、厳しい状況の中でも新しいチャレンジに果敢に取り組むための大きな原動力になったのは、長年この場所でたくさんの人々をつなぎ続けてきたお祭り、まさに『青柏祭』でした。

 

今、全国で相次いで祭り中止の声が聞こえています。お祭りは、長い歴史が作り上げてきた、地域をつなぐための知恵袋の具体的な形です。そこに、現代の知恵袋とも言えるオンラインツールを初めとしたテクノロジーを組み合わせて、withコロナの時代を、人々や地域とつながりながら、賢く楽しく乗り超えましょう。さあ、あなたの町でも「#おうちで祭しよう!」。

(寄稿:坂本那香子)

「#がんばろう七尾」
https://g-nanao.com/matsuri/

「#がんばろう七尾Facebookグループ」
https://www.facebook.com/groups/nanao.covid.19/

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