幸せに生きるための、
高校生からのマネーリテラシー
「高校生のお金の学校」川越東高等学校REPORT

 地域が元気であるためには、そこに住む一人一人の自立が欠かせない。そこで大事なのが「お金の教育」。TURNSでは若い世代に向けて正しい金融知識の普及活動を行う咲本慶喜氏と共に、次の地域社会を担う高校生に向けてお金を学ぶ出張講座を展開する。2月17日に川越東高等学校で開催した第1回の様子をレポートしました。

講師陣

咲本慶喜/株式会社GO STRAIGHT 代表取締役

国立埼玉大学経済学部卒。不動産業界に30年従事し、現在に至る。投資マンションから借地底地までの幅広い不動産の売買、不動産活用のコンサルティングを行う。自らマンション・ビルを所有し、不動産投資を実行、自己所有の賃貸物件は独自のノウハウにより、常に100%近い稼働率を誇る。また、海外ファンドを購入するなど金融投資にも明るく、年間利回り数百%という驚異的な投資運用実績があり、不動産と金融投資両面のノウハウを持つ。

河野祐斗/One Rise 株式会社 代表取締役

徳島県立鳴門高校出身。明治大学在籍時に東京六大学リーグで3度の優勝を果たす。卒業後は日立製作所で社会人野球選手として活躍し、怪我を機に引退。現在は金融系企業に勤務しながら、経済的なサポートも含めたアスリートのセカンドキャリア支援事業を行っている。

 

 

早期からお金に対して、自ら「行動する」大切さ

埼玉県川越市郊外に広大なキャンパスを持つ男子校、川越東高等学校。野球部を筆頭に、多様なスポーツで全国に名を轟かせる一方で、名門大学への進学率も高い文武両道の人気校だ。同校で開いた第1回「高校生のお金の学校」には、自ら希望した生徒たちが、放課後の時間を使って集まった。

人口減少、円安…日本の国力が低下する中、気候危機など世界的な課題も山積し、AIが激変させるであろう時代を生きていく現在の高校生たち。社会の入口に立った彼らに、予測不能な時代を生き抜くための大切な力として、正しい「マネーリテラシー」を育もうとしている。

冒頭では講師の一人である31歳の河野氏が、自身が学生だった頃の、お金に対する「今はまだ関係ない」という態度をふり返り、早期から「お金に対して自ら行動する」ことの重要性を訴えた。25歳頃から投資や運用に興味を持ち調べ始めたという河野氏は、「行動の順序」についてアスリートらしい貴重な示唆を与えた。

「多くの人は頭で理解してから行動しようとするけれど、行動が先です。興味を持ったらまず調べ、自分なりの意見を持ちながらいろんな人の話を聞いて行動し、最後に頭で理解する。この順番が効果的です」

また河野氏は「時間」の価値にも言及。時間は誰にも平等に与えられているから面白く、時給千円×10時間で得る1万円と限りある人生の10時間を比較し、後から1万円で10時間を買い戻すことはできないからこそ、今何をするかが大事だと語った。

 

お金儲けは悪いことではない。正しい投資は心を豊かにする

生徒たちの目が見開かれてきた所で、メイン講師の咲本氏が登壇。

「大人の悩みの大半は〝将来への不安〟、つまりは〝お金の不安〟です」

そんな切り出しから始まった咲本氏の講義では、まず「学生と社会人の違い」について考えさせながら、生徒たちにお金を自分事化してもらう対話が進められた。勉強はインプット・個人戦で完結するが、ビジネスは多様な考えを持つ人々の中で適切なアウトプット・チーム戦が求められるとし、勉強ができなくても落ち込む程度だが、社会では起業していれば最悪は倒産という経済的な死にもつながること、しかもビジネスは永久に続く長期戦であることを伝え、生徒たちがこれから出ていこうとする「本番」としての社会のリアルを伝えた。

 さらに、お金をより身近なテーマとして捉えてもらうため、近年の日本人スポーツ選手の世界的な活躍を取り上げた。こうした快挙は、選手個人の努力だけでなく、練習環境の充実や指導者の質の向上、競技人口の拡大といった基盤に支えられている。そして、その土台を築くうえで欠かせないのが資金の存在であることにも言及した。

ここから話題は、社会人になった場合の初任給へと移る。手取り額を具体的に示し、家賃や光熱費、食費などを差し引くと実際にいくら残るのかを思い描けるよう語りかけた。数字を通して、生活とお金の関係がより現実味を帯びていく。さらに、グーグルやアマゾンといった外資系企業では初任給が年収2000万円に達する例もあることに触れ、日本との待遇差へと話題は広がった。

「日本は今、9回裏1対5で負けているような状態なんだよ」

 野球にたとえて現状の厳しさを示しつつも、悲観に終始するのではない。そこからどう巻き返すのか、自分はどのように生きていくのか——そんな問いへと、生徒たちの視線を自然に導いていった。

 

家庭でも当たり前にお金の話を。惑わされない本物の深い学びが重要

後半はいよいよ、「お金に対するマインドセット」を見直し、豊かに安心して生きるためのお金との向き合い方へとテーマが移った。「家でご両親とお金や投資の話をしたことがある?」という問いかけに、川越東高等学校では複数の生徒が挙手。すでに株式を購入している生徒以外にも、「家庭でも当たり前のようにお金の話ができるようになってほしい」と期待をにじませた。

続いて、アメリカと日本における資産構成——貯蓄と投資の比率の違いに話題が及ぶ。社会に出る前にぜひ読んでほしい一冊として挙げられたのが、ロバート・キヨサキ/シャロン・レクター著『金持ち父さん貧乏父さん』だ。

「一生懸命勉強して良い会社に入りなさい」と語る〝貧乏父さん〟に対し、「一生懸命勉強して良い会社を買えるようになりなさい」と説く金持ち父さん。この発想の転換こそが重要だという。

「懸命に働くことは尊い。ただ、一馬力ではお金は大きく増えない。稼いだお金に働いてもらうことで資産は育つ。不安が和らぎ、心にも余裕が生まれる」

もっとも、投資には元本割れや資金を失うリスクが伴うことも忘れてはならない。危険な状況に陥るかどうかは、SNSと同様に向き合い方次第。だからこそ十分な情報収集が欠かせないと注意を促す。さらに、情報環境の落とし穴にも言及。SNSで生じやすいフィルターバブルやエコーチェンバー現象に触れ、自分に都合のよい情報だけに囲まれる危うさを指摘した。AIも便利な道具ではあるが、得られる知識は往々にして表層的になりがち。投資に限らず、本質を見抜く力を養うことの大切さが強調された。

講義終盤は質疑応答の時間。「高校生はいくらぐらいから投資を始めるといいか?」という問いには、「正解はない。お年玉で好きなゲームメーカーの株を買う、といった身近な一歩でいい」とアドバイス。自ら購入すれば経済への関心も自然と高まるとし、まず行動してみることの価値を語った。

 咲本氏は締めくくりに、マーク・トウェインとクリストファー・コロンブスの言葉を引用した。

「二十年後、君は自分がしたことより、しなかったことをはるかに後悔するだろう」

「陸地を見失う勇気がなければ、大海を渡ることはできない」

挑戦する勇気を促すメッセージとともに、成功を手にしたときには感謝を忘れず、寄付や慈善活動、次世代支援などを通じて社会に還元してほしい——そうした願いを込め、講座は締めくくられた。そして最後に、川越東高等学校の野中祐之先生がこう語った。

「体育館に空調を整備したり、送迎バスを無料にしたり。実は学校も、みなさん在校生に〝投資〟しているのです。だからこそ、皆さんが成果を上げ、その評判によって新たな生徒が集まり、学校全体がさらに発展していくのです」

投資とは遠い世界の出来事ではなく、すでに自分たちの身近で行われている営みである——その気づきを示し、講話は幕を閉じた。

本講座は、グローバルな視点から日本経済や若者が直面する現実を捉え、投資を単なる利殖の手段ではなく、自分を守り、夢や目標を実現するためのツールとして位置づける内容となっている。

豊富な実践知に裏打ちされた確かな金融リテラシーを、これから社会へ羽ばたく高校生たちに届けていく。今後も要望に応じ、各地の高校での開催が予定されている。


これからを生きるために必要な、マネーの循環を知る
高校生のお金の学校 出張講座 受付中!

TURNSでは、高校生を対象とした出張講座を実施しております。将来を見据えたお金や生き方について考える機会として、全国の高校へ伺い、実践知に裏打ちされた講師が直接レクチャーを行っております。開催をご希望、ご検討の学校関係者の皆さまは、右側のQRコードよりリンク先の専用フォームへアクセスのうえ、必要事項をご入力ください。

「高校生のお金の学校」はTURNSを発行する株式会社 第一プログレスが運営しています。

 

 

人気記事

新着記事