“県版地域おこし協力隊”の先進地、新潟。
民間企業と生み出す、新たな仕組み。

新潟県内全域をフィールドに、地域課題に向き合う県版地域おこし協力隊「ニイガタコラボレーターズ」。

一般的にイメージされる地域おこし協力隊は、特定の集落に住み込んで活動する「コミュニティ型」が多い。それに対して、ニイガタコラボレーターズは「ミッション型」であり、また活動エリアが広いことが大きな特徴である。

その最大の強みは、隊員が長期的に現場に入り、課題やニーズをきめ細かく把握でき、広いエリアで活動するため俯瞰的に物事を捉えられるなど、行政が単独で取り組むよりもより深く課題に向き合えること。民間企業、教育機関、観光協会及び地域づくり団体等の幅広い主体と柔軟に協働できることにある。

今回は、株式会社新潟日報社を拠点に大学生と協働してU・Iターンにつながる情報発信を担う大野美幸さんを紹介する。

新潟県が「ニイガタコラボレーターズ」へ託す想いとは。

 

「県版地域おこし協力隊」の先進地、新潟。

「地域おこし協力隊」という言葉を聞くと、ひとつの町に移り住んで、地域に溶け込みながら活動する姿を思い浮かべる人も多いだろう。実際、協力隊として地域に入る人は全国で増えており、いまや“珍しい制度”ではなく、地方で働く選択肢の一つになってきた。

その中で、新潟県が取り組むのが、県内全域をフィールドにできる県版地域おこし協力隊の「ニイガタコラボレーターズ」だ。市町村単位ではなく県が手掛けることで、活動範囲は一つの市町村域に閉じない。たとえば、産業・教育・福祉・観光といった課題は、本来、地域の境界線できれいに区切れるものではない。だからこそ、より広域で動ける仕組みが必要になる。

ニイガタコラボレーターズは民間企業や関係機関と協働しながら、プロジェクトを前に進めていくボランティアでも会社員でもない働き方で、ミッション型の地域おこし協力隊として地域に関わっていく立ち位置。今、様々な広域課題に挑む取り組みとして注目されている。

制度が始まってから、県内で活動する隊員は少しずつ増え、これまでに18名が着任した(R8.1.15時点)。数が増えることがゴールではないが、関わる人が増えるほど、挑めるミッションも、つながる現場も広がっていく。

今回取材した二人も、その広がりの最前線で、まったく異なる領域からミッションに向き合っていた。

 

大野 美幸(みゆき) さん|学生とつくる情報発信。U・Iターンの入口をひらく

【プロフィール】大野 美幸(おおの・みゆき)
株式会社新潟日報社を拠点に活動するニイガタコラボレーターズ。大学でチェロを専攻し、幼児教育に関わった後、青年海外協力隊としてドミニカ共和国でチェロ指導、ベリーズで現地高校の音楽指導に携わる。帰国後は高知県四万十町で高校魅力化コーディネーターを5年。Uターンし「にいがた鮭プロジェクト」を推進。

大野美幸さんがニイガタコラボレーターズとして着任したのは、株式会社新潟日報社という新聞社だ。大学生と協働しながら、U・Iターンにつながる情報発信事業「にいがた鮭プロジェクト」を推進している。

大野さんは地元・新潟県を出てから、大学でチェロを学び、卒業後は幼児教育に携わった。その後、長く思い描いていた海外での活動に踏み出し、青年海外協力隊としてドミニカ共和国では大学でチェロを教え、ベリーズでは高校で音楽の授業を受け持つ。

帰国後は高知県・四万十町で高校魅力化コーディネーターとして、地域と学校の間に立ちながら5年間、学校の情報発信や課外活動の現場を支えてきた。そして「いつか新潟に戻りたい」という気持ちを抱えていたタイミングで出会ったのが、ニイガタコラボレーターズだったという。

「新潟に戻りたい気持ちはずっとあったんですけど、戻る“とっかかり”が見つからなかったんです。ニイガタコラボレーターズの募集を見つけて、これまでの経験が活かせると思って応募しました。」

大野さんが関わる「にいがた鮭プロジェクト」は、まだ試行錯誤の途上にある新しい取り組みでもある。だからこそ、着任して最初に取り組んだのは、派手な企画を打つことではなかった。

「着任してから、にいがた鮭プロジェクトの事業や学生運営メンバー『チームいくらちゃん』の運営体制を理解することから始めていきました。新潟の魅力を発信するというテーマと『学生の成長を応援する』という目的が重なるところを大切に、学生の活動やメンバー間のコミュニケーションを円滑にすることに注力しました」

大野さんの主な役割は、学生たちの主体的な活動を裏方として「伴走支援」することだ。学生から「ここへ取材に行きたい」という提案があれば、それがプロジェクトの趣旨と合致しているかを一緒に確認し、アポ取りなどの取材交渉から、実際の取材同行まで手厚くサポートする。

さらに取材活動にとどまらず、学園祭への出展や「NIIGATAマイプロジェクト☆LABO」、新潟日報主催のイベントなどへの参加も後押ししている。そこで何を企画し、どう動くのかを決める毎月の学生会議の進行や、日々の細かなやり取りを通じ、学生がスムーズに活動できるよう環境を整えている。

幸いなことに、プロジェクトの事務局である新潟日報の社員とは、現状の課題感をざっくばらんに共有できる良好な関係が築けているという。学生のサポートに関する課題も含め、「ここは課題だよね」と同じ認識を持ち、全体で目線を合わせながら次年度に向けた活動のブラッシュアップを図っている。

運営体制を棚卸しし、学生同士の関係性に目を向ける。活動そのものに加え、活動が続くことも大切な仕事の一つである。

「学生同士のコミュニケーションが円滑にとれるよう、ワークショップや交流会を何回かやって、参画意欲を高めていこうと試みました」

チームいくらちゃんの価値は、発信される記事だけでは測れない。取材の場に出ていくこと、地域の大人と会話をすること、同世代の中で役割を持つこと。そうした新潟での経験が学生の中に積み重なっていく。そしてその積み重ねが、「いつでも帰れる場所がある」と感じられる気持ちの土壌をつくるのだ。

「今、住み慣れた地元で、仕事もプライベートも充実しています。戻ってきて良かったなって。こうした仕事があることで、いつか今関わっている学生メンバーも、同じように思ってもらえたら嬉しいです」

 

企業と地域おこし協力隊、新しい可能性

大野隊員は大学生等との連携・協働による情報発信を通じてU・Iターンの推進につなげている。

大野隊員に見られるのは、「自分のこれまでの経験を武器に、行政と民間の枠を行き来し、新潟の未来につながる仕組みをつくる」という熱意だ。

地域で何を残すか。
どんな関係を育てるか。

その問いに対して、「ニイガタコラボレーターズ」は、それぞれ異なる立場から実践で答えようとしている。

ここまで紹介したように、「ニイガタコラボレーターズ」は広域で活動するミッション型の隊員である。そのため、市町村で活動するコミュニティ型の隊員と比較して「地域住民との距離」が遠くなりやすく、日々の生活を通じた信頼関係の構築に時間がかかってしまう。
新潟県はその課題を個人の努力だけに任せず、仕組みで解決しようとしている。

 

\「ニイガタコラボレーターズ」のメリット/

✅ 県や市町村の協力隊をつなぐ『交流促進』をミッションとする隊員を配置。隊員間の横のつながりの構築や、市町村の隊員と協働した地域イベント(運動会等)の開催を通じ、自然な関わりを生み出し、住民との距離を縮めるサポート!

新潟県サポートネットワークと連携した研修等を通じ、協力隊としての心構えや、地域との関係構築など円滑な活動に向けたスキルアップをフォロー!

✅ 任期後を見据え、協力隊OB・OGの元での生業インターンを通じたキャリア形成を支援!

 

このように、横のつながりや専門的なサポート体制を構築することで、活動上の不安を解消し、地域にスムーズに溶け込める環境づくりを推進している。

現在、新潟県は都道府県が採用する地域おこし協力隊としては、全国トップクラスの隊員数を誇っている。あなたも、この熱気あるコミュニティの一員として、新潟の新しい景色を生み出す一員に加わってみるのはどうだろうか。

 

【4月25日(土)11:00〜 / オンライン合同説明会開催】
令和8年度のニイガタコラボレーターズ(新潟県版地域おこし協力隊)の最新情報が手に入るオンラインイベントが開催されます。
新潟県版地域おこし協力隊の各ミッションの特徴を知ったり、バーチャルオフィス「ovice」にてゲーム感覚で気軽に相談ができる、新感覚のオンラインイベントです。

ご参加をご希望の際は、こちらのフォームからお申し込みください。

 

【カジュアル面談実施中】
カジュアル面談では、Zoomミーティングを用いてオンラインで5つのミッションと新潟県版の地域おこし協力隊の概要説明を行います。
仕事内容のほか、新潟での生活、赴任地の特徴、コミュニティ、住まいなど新潟移住に関わる相談や関連企業の紹介を行いますので、安心して応募することができるでしょう。

カジュアル面談を担当するのは、新潟県地域政策課と共に「ニイガタコラボレーターズ」の推進をしている「まちづくり会社」の一般社団法人にいがた圏。
地方移住を発信するメディアと連携をしながら、ニイガタコラボレーターズ二期生のメンタリング、受入を行っている団体です。ミッションに関する相談だけではなく、実際の生活や住まい、コミュニティへの参加まで幅広くサポートしていますので、ざっくばらんにお話しましょう!

カジュアル面談をご希望の際は、こちらのフォームからお申し込みください。

 

【募集中の案件はこちら】
令和8年度のニイガタコラボレーターズは、5つのミッションで募集をしています。

1 過疎地域等における地域の担い手確保支援
募集人員:1名

地域の担い手を確保し、地域社会の活力を維持していくことを目的に、住民の話し合いのサポート、地域づくり支援に取り組む団体・人材とのマッチング支援、地域おこし協力隊の活用や関係人口創出に向けた取組といった地域づくりの優良事例紹介など、住民主体の地域づくり支援を任務として活動します。

任務の詳細は、こちらのページから確認してください。

2 鳥獣被害対策支援
募集人員:1名

年々増加する鳥獣被害の低減や担い手育成を目的に、鳥獣被害及び生息調査や鳥獣の捕獲・追い払い、鳥獣侵入防止対策の指導等を任務として活動します。

任務の詳細は、こちらのページから確認してください。

3 県産広葉樹等の活用拡大
募集人員:1名

県の豊かな広葉樹等の価値を発掘し、活用を促進するとともに、林業の振興を図ることを目的に、伐採事業者、木材加工事業者、家具メーカー等のマッチング支援や需給情報を共有できるプラットフォームの構築、県産集成材の活用促進や森林・林業・県産材の魅力発信等を任務として活動します。

任務の詳細は、こちらのページから確認してください。

4 地域の資源や食を活かした地域の活力向上
募集人員:1名

県内における農林水産業の高付加価値化やコーディネーターの育成を目的に、第一次産業の価値を活かした商品やメニューの開発・管理、持続的な供給の仕組みづくり、販路やターゲットに応じた営業・提案、食品流通の事業管理等を任務として活動します。

任務の詳細は、こちらのページから確認してください。

5 教育コンソーシアム構築・STEAM教育推進支援
募集人員:1名

高校・大学・専門機関・地域企業等が参画する教育コンソーシアムを構築し、STEAM教育※及び探究的な学びを推進することを目的に、多様な主体が協働できる仕組みづくりやSTEAM教育・探究活動を推進するための企画調整、地域資源を教育活動に活かすための橋渡し、地域交流や成果発表を通じた連携基盤形成を任務に活動します。

※ STEAM教育:単に知識を覚えるのではなく、複数の分野を組み合わせて課題を解決する力を育てる教育

任務の詳細は、こちらのページから確認してください。

 

文 大塚眞 写真 ほんまさゆり 編集 新潟県

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