TURNS vol.63【地域ルポ 熊本県南阿蘇村】
地域おこし協力隊の笑顔も輝く
阿蘇五岳に抱かれた絶景の村

2016年の熊本地震を乗り越えて再生に向けて歩み始めた熊本県南阿蘇村では、現在21名の地域おこし協力隊が活動しています。全国書店で発売中の『TURNS vol.63』では、農業や観光振興、移住・定住促進に取り組む南阿蘇村地域おこし協力隊のインタビューを実施。日頃の活動や村おこしへの思い、そして、それぞれの将来の展望についても語っていただきました。その一部を抜粋してお届けします。

◆記事全文はTURNS vol.63「地域ルポ 南阿蘇村」でご覧いただけます。


カルデラの学び舎に芽吹いた農業ラブストーリー
真の同志を得て開業目指す

【農政課 新規就農プロジェクト】

吉田洋樹さん
熊本県人吉市出身。営業職などを経験した後、宮崎県の農家で1年修行。2022年8月に「新規就農プロジェクト」着任。「南阿蘇めぇめぇの会」の一員として休耕地の活用にも取り組む。

吉田千芳子さん
熊本県氷川町出身。東京の大学を卒業後、ヨルダンの日本大使館に勤務。その後、有機農法支援を行うカンボジアのNPOで活動し、2022年3月、「新規就農プロジェクト」に着任。

「南阿蘇村農業みらい公社」では現在、20代から40代まで9名の協力隊員が独立を目指して農業に励んでいる。吉田さん夫妻は、ともにその一期生だ。

洋樹さんはかつて修行した宮崎県の農家で自分が理想とする農業の難しさを味わった。

「有機農業は近所の理解が必要な生業ですが、新参者では敬遠されてしまうことが多く、独立してやるにはハードルが高いと感じました」と洋樹さん。そんな時に地元の熊本で「新規就農プロジェクト」の募集を知った。

「南阿蘇村は有機農業を推進していますし、土地利用型の農業が求められているところも自分の希望に合っていました。宮崎にいた頃は、指示されたことを黙々とこなす毎日でしたが、ここでは独立後にやりたいことを積極的に学ぶなど、自分本位の農業に取り組めています」

洋樹さんに訪れたもうひとつの大きな変化が、千芳子さんとの出会いだ。「畑にいると人との出会いが限定的になるので、きっとこのまま一人で農業をやるのだろうと思っていた」というが、公社の作業中に乗せてもらった千芳子さんの軽トラックの中で、ラブストーリーは突然訪れる。

◆続きはTURNS vol.63「地域ルポ 南阿蘇村」にて。

 

放送業界と出版業界で培ったクリエイティブのスキルを発揮
小回り力で観光を盛り上げる

【産業観光課 地域経営組織推進プロジェクト】

板楠知沙さん
熊本県熊本市出身。地元のデザイン系専門学校を卒業後、東京の番組制作会社に3年、出版社に1年半勤務。昨年7月、南阿蘇村の「地域経営組織推進プロジェクト」に着任。

「南阿蘇には子どもの頃に家族とよく来ていて、弟と遊んだことを覚えています。そんな楽しい記憶がある場所で観光の仕事に携わりたいと思いました」

南阿蘇村に来たきっかけをそう語ってくれた板楠さん。板楠さんの主な業務は、道の駅「あそ望の郷くぎの」内の観光案内所でのガイドやイベントの運営、SNS投稿含む情報発信だ。手作り感あるデザインの掲示物が印象的な案内所。その中で板楠さんが制作を担当しているグッズや体験メニューが当たるガチャガチャはヒット企画だ。

そのほか、観光地の魅力をプッシュするPOPを作ったり、看板をデザインしたり、あるいはイラストソフトを使って観光マップの微修正をしたりと細かな頼まれごとも多い。デザインを学び、情報番組のADや広報誌の編集者として積み重ねたスキルが、みんなのかゆいところに手が届く〝小回り力〟となり、村の魅力発信に一役買っている。着任から約半年。卒業時に目指すゴールやその後の退路など、まだ模索中のところは多い。ただ、村に来て初めての正月で「隊長」の大役を任された「どんどや」(どんど焼き)は、今後の道標につながる貴重な経験になったようだ。

◆続きはTURNS vol.63「地域ルポ 南阿蘇村」にて。

 

知っているようで知らなかった
故郷・熊本を学び直し編集の力で移住・定住を支援

【定住促進課移住・定住促進プロジェクト】

家入明日美さん
熊本県熊本市出身。北海道の帯広畜産大学を卒業後、同じ帯広市内にある印刷会社に就職し、ライフスタイル誌の編集を経験。2022年1月に「移住・定住促進プロジェクト」に着任。

今年の春で協力隊3年目を迎える家入明日美さん。編集者・ライターとして活動してきた彼女は、南阿蘇村役場で移住検討者の相談に応えながら、移住・定住に役立つさまざまな資料作りに取り組んでいる。

着任して初めに感じた課題は、移住希望者と地元の人との間に見えない溝があることだった。観光が基幹産業の村ゆえに、旅行の延長線で移住を考え始める人は正直少なくない。しかし、この地を訪れて誰もが息を呑む山岳風景も、その山麓で営まれる伝統文化も、土地の人が守り続けて培われてきたものだ。それらを見ることに興味はあっても、守る一員にはなれないとなると、地元との間にギャップが生まれる。そうした現実がある中で「行政の手だけでは行き届かない、移住者と地元民のつながりづくりがしたい」と思った。

その思いから1年目は村内37行政区の区長を訪ね歩いて地域の声を取材した。話の中身は、地域の特色、面白いお祭り、小さな頃の思い出、区内にある空き家の現状など。併せて自分たち協力隊に期待することも尋ねた。移住者へのリアルな意見も聞くことができ、「ただ人口が増えればいいわけではない」という自分の指針を再確認することもできた。その内容は、近々発行を予定している新しい移住者向けガイドに収録される。

そのほか、定住促進に向けた冊子を次々と制作。その中で空き家所有者に家と土地の活用を指南する『いえの手帳』では、熊本県立大学の研究室とコラボ。「あきやん」というキャラクターを案内役に立て、オリジナルのピクトを交えた視認性に優れた資料に仕上げた。

一方で、もうひとつ力を入れる取り組みが協力隊の認知度向上だ。OB・OG含め40名以上が活動してきた南阿蘇村の協力隊だが、その存在がいまひとつ村内に浸透していないと感じていた。そこで、現役隊員の活動に迫った『ヒトコト録』というタブロイド紙を制作。各隊員の生の声が綴られた紙面の中には、他者へのリスペクトに満ちた彼女の言葉が粒立っている。本紙は村内の全世帯に配布。家入さん自身も協力隊の一人として登場しているため、初対面の高齢者から「冊子に出てましたよね?」と声をかけられるなど、協力隊の認知度がちょっとアップしたようだ。

◆続きはTURNS vol.63「地域ルポ 南阿蘇村」にて。

 

文:鈴木 翔 写真:内藤正美、南阿蘇フィルム


◆記事全文は、全国書店で発売中のTURNS vol.63「地域ルポ 南阿蘇村」をご覧ください。南阿蘇村地域おこし協力隊8名による座談会も収録しています!

◆現在、南阿蘇村では地域おこし協力隊を募集中! 詳細は、こちらをご覧ください。

南阿蘇村移住サイト
https://minamiasoijyuu.jp/
南阿蘇村暮らしの基本情報は、ポータルサイトでチェック。村内37行政区の紹介や、空き家・空き地バンク情報、先輩移住者インタビュー記事など耳よりコンテンツが満載です。

                   

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