福島県は総面積が「東京+神奈川+千葉+埼玉」よりも広く、多様な気候や風土、文化のなかで、一人一人のニーズに応じた暮らし方や働き方が可能であることが特長です。
このため、福島県では、県内7つのエリアに「移住コーディネーター」を配置し、移住希望者一人一人のニーズに沿った相談対応や、各地域の特性や魅力に応じた仕事・住まいなどのさまざまなサポートを行っています。
では、そんな移住コーディネーターとはどのような方々なのでしょうか?
移住相談で心がけていることに加え、各地域のおすすめスポットなども聞きました!
県北エリア(福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村)
\このコーディネーターさんに聞きました!/
県北地方振興局企画商工部
佐藤陽子さん
移住コーディネーター歴6年
-移住コーディネーターになったきっかけを教えてください。
もともと、おいしいものやキレイな景色などを人に紹介するのが好きだったのと、前職は復興庁で被災者支援をしていたので、福島に人を呼び込み地域活性化に寄与する役割を担うコーディネーターと通じるものがあると感じたのが大きな理由です。
-県北エリアへの移住を希望される方はどのような方が多いですか?
春の花見シーズンには多くの観光客が訪れる「花見山公園」(福島市)
ご主人の仕事の関係でご家族が住む家を探されている方や、女性の単身者が多い印象です。特にここ数年はリモートワークが浸透したことで、首都圏にある会社の仕事を続けながら住居を自然豊かな福島に移す方も増えています。ある方は「ドッグランのあるマイホームを持ちたいという夢がかない、毎日満員電車に揺られることもなく、ご家族との時間を大切にでき、温泉にも気軽に行けるので生活にゆとりができた」とおっしゃっていました。
-移住相談の際に、心がけていることはありますか?
フレンドリーに接することで、なるべく相談者の心の声を聴くようにしています。「こういう情報が欲しい」などの要望にもできるだけ細かく対応し、住宅情報や補助金などの情報も常にチェックして最新情報をお伝えできるようにしています。あとはエリアごとのスーパーの場所や、一方通行の道が多いなどの交通事情等、暮らしに密着した役立つ情報をお伝えすることも大切にしていますね。
-県北エリアの暮らしやすさはどんなところにありますか?
県北エリアの玄関口である福島市は、首都圏から新幹線で約1時間半と交通の便が良く、仙台へも30分以内。自然と都市部のバランスが良く、温泉やスキー場も近いので余暇時間も楽しめます。移住者希望者からは「何もないと思っていただけど、来てみたらすごくいいところだった」と言っていただくことも多いです。
ほぼ無料で利用できる子ども向けの屋内施設が充実していて、子育て世帯にとっても暮らしやすいエリアだと思います。
先ごろ、東北中央自動車道が開通し、南北のみならず東西への交通も更に便利になったエリアです。
大規模商業施設の開業が予定され、市町村の子育て応援住宅が続々と建つなどますます住みやすいエリアとなっています。
—これから移住相談したい方へメッセージをお願いします!
ここ数年、県北エリアでは、JR福島駅前にシェアオフィス「Fukushima-BASE」ができたり、国見町に「アカリ」という複合施設ができたりするなど、地域活性化への熱意を持った人が運営するコミュニティスポットが続々と誕生しています。移住前からそうした方々とつながることができれば、移住後の暮らしをさらに豊かなものにできるはずです。
移住者向けのワークショップの様子
また、県北エリアでは、移住後の暮らしのサポートにも力を入れています。福島への転入女性を応援する活動を行う「一般社団法人tenten」などと連携して、ウェルカムワークショップを開催するなど、移住してきた方が早く地域に馴染めるようなきっかけ作りの場も用意しているので、ぜひお気軽にご相談ください!
■お問い合わせ・ご相談
県北地方振興局 企画商工部
住所:〒960-8065福島市杉妻町2-16県庁北庁舎4階
TEL:024-521-2657
E-mail: iju-kenpoku@pref.fukushima.lg.jp
HP:https://www.fukushima-iju.jp/index.html
県中エリア(郡山市、須賀川市、田村市、鏡石町、天栄村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町)担当
\このコーディネーターさんに聞きました!/
県中地方振興局 企画商工部
蓬田守さん
移住コーディネーター歴6年
-移住コーディネーターになったきっかけを教えてください。
2004年から13年間、自分の住居がある小野町の「小野町ふるさと暮らし支援センター」の移住相談員をしてきた経緯があり、これまでに培ってきた移住者支援の経験を活かしたいという思いで移住コーディネーターになり今に至ります。
私は前々職の会社員時代に営業で各地を訪ねてきました。その際、現地の方に「お昼食べて行きな」とか「今夜飲もう」と親切に対応してもらった経験から、これから福島への移住を考える方も親身になって相談に乗ってくれる人がいたらうれしいのではと思ってこの仕事に取り組んでいます。
-県中エリアへの移住を希望される方はどのような方が多いですか?
郡山布引風の高原(郡山市)
県中エリアは交通の便が良く生活の利便性が高い一方で、ちょっと足を伸ばすと自然がたくさん。そんな”ちょっぴり都会でちょっぴり田舎”な環境を求めて、BBQやキャンプなどの趣味を楽しみに来る方がいます。最近は特に20~40代の若い相談者が増えていて、東京にいなくても働けるという意識を持った人や多様な働き方をしている人も多いですね。「コワーキングスペースやリモートワークができる場所はありますか?」という問い合わせもよくいただきます。
-移住相談の際に、心がけていることはありますか?
なるべくマンツーマンで丁寧に対応することを大切にしていますね。あとはSNSや新聞、ラジオ、情報誌に一通り目を通して、担当エリアの最新の情報を持つようにしています。「あなたがいたからこの地域に移住したんだよ」と言ってくださる方もいて、そのたびにこの仕事に就いて良かったなと思います。
-県中エリアのおすすめのスポットはありますか?
1910年に創立された小学校「旧四辻分公」をリノベーションして造られた滞在施設「森の駅Yodge」(玉川村)
県中エリアでは今、廃校をリノベーションした施設が増えていて、田村市の「テラス石森」や玉川村の「すがまプラザ交流センター」や「森の駅Yodge」などが続々とオープンしています。コワーキングスペースのほか、宿泊ができたり、テントサウナが楽しめたりする施設もあり、移住者や若い人が集まる場所にもなっています。そうした施設の運営者として活躍する人に惹かれて現地を訪れる人もいて、憧れの連鎖がつながっている印象です。
-これから移住相談したい方へメッセージをお願いします。
毎年7月から8月にかけて見ごろを迎える「がみいし田んぼアート」(鏡石町)
移住希望者には悔いのない移住をしてほしいと思っています。より良い暮らしを実現するためには、「どこに住むか」ではなく「誰と暮らすか」が重要です。各地で活躍されているキーパーソンとのつながりもありますし、移住後の友達作りネットワークの構築にも力を入れているのでぜひお気軽にご相談ください。
また、現地の暮らしをリアルに体感できる、オーダーメイド型現地案内も開催しています。県中エリアのイベント情報などはfacebookで毎日発信しているので、「ふくしまなかなか」をチェックしていただけたらありがたいです。
■お問い合わせ・ご相談
県中地方振興局 企画商工部
住所:〒963–8540 福島県郡山市麓山1-1-1 福島県郡山合同庁舎 2階
TEL:024-935-1323
E-mail:kenchu.kikakushoukou@pref.fukushima.lg.jp
HP:http://fukushima-ijyu.com/
県南エリア(白河市、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町、棚倉町、矢祭町、塙町、鮫川村)担当
\このコーディネーターさんに聞きました!/
県南地方振興局 企画商工部
増成貴弘さん
移住コーディネーター歴6年
-移住コーディネーターになったきっかけを教えてください。
私は福岡県出身で、2014年に地域おこし協力隊として棚倉町に移住しました。さまざまな活動をする中で、移住は希望者の願いを叶えるだけでなく、地域の人たちのことも幸せにできると感じ、その橋渡しをしたいと思い、コーディネーターになりました。
-県南エリアへの移住を希望される方はどのような方が多いですか?
特に偏りはなく、いろいろな方に選ばれている地域だと思います。ただ、東北の最南端にあって首都圏からも近く、新幹線でのアクセスも良いという点で選ぶ方はいらっしゃいます。リモートワークができるようになったのも大きいようで、二地域居住をされる方もいます。
雪景色の白河駅
-移住コーディネーターとして、どんなことにやりがいを感じますか?
私は移住者を受け入れる側の地域の人を幸せにしたいという思いが強いので「移住者が来てくれて良かった」という地元の声を聞くのが、何よりのモチベーションになります。人口減少が地域課題となっているエリアなので、移住者が増えて住民同士の交流が盛んになったり、地域イベントが開催されたりすると町に活気が出ると感じています。
地元の人を交えて実施した「さと豆プロジェクト」の様子
-移住相談の際に、心がけていることはありますか?
移住相談に来る方の中には、単に情報がほしい方もいれば一緒にいろいろ考えてほしいと思っている方もいます。前者の場合は一人一人のニーズに合わせ、移住支援制度や補助金などの情報をまとめてお伝えし、後者の場合は時間をかけて話を聞いたり、友達になるような感覚で相談に乗ったりするようにしています。また、私自身も福岡や宮城、静岡などいろいろな地域で暮らした経験から、お話する中で福島以外にふさわしい場所があるなと感じた方には、正直にそう伝えています。自分が移住者だからこその目線を大切に、コーディネーターとしての役割を果たしていきたいです。
-県南エリアはどのような方におすすめできますか。
ほかのエリアと比べると首都圏へのアクセスが良く、なおかつ雪が少ない環境は県南エリアの大きな魅力かなと思います。そのため冬季の期間の雪かきが嫌だなという方は県南地方の暮らしをおすすめできます。また、栃木県の那須エリアも生活圏のため豊富なアクティビティが身近にあることや、土地付きの新築建売住宅が一千万円代で販売されていることなど子育て世帯にとっても魅力的な地域だと思っています。
■県南地方振興局 企画商工部
住所:〒961-0971 福島県白河市昭和町269 福島県白河合同庁舎1階
TEL:0248-23-1546
E-mail:ijyu_kennan@pref.fukushima.lg.jp
HP:https://rakuras.jp/
移住相談のすすめ
明るくハキハキとした人柄で、頼れる印象の県北エリアの佐藤さん、この道20年のベテランで安心感のある県中エリアの蓬田さん、そして嘘や誇張のない率直な言葉が持ち味の県南エリアの増成さん。
移住希望者への向き合い方はそれぞれですが、どのエリアのコーディネーターさんも信念を持って仕事に向き合っていることが伝わってきました。信頼の置ける移住コーディネーターとの出会いは、移住を一歩前進させるきっかけになるはずです。福島県中通りエリアへの移住を考えている方は、今回ご紹介した3名に相談してみてはいかがでしょうか。