【長野県・Rext滝越】複業の里で、揺るがない暮らしをつくる

合同会社Rext滝越|地域おこし協力隊|長野県王滝村

東日本大震災や新型コロナウイルス。

社会を揺るがす出来事が起きる度、築き上げてきた暮らしは一瞬で揺らぎ、立て直しを迫られる。

その繰り返しの中を生きていくことに、漠然とした不安を抱えている方も多いだろう。

今回ご紹介する求人は、長野県の木曽郡にある王滝村で、地域資源を生かして”揺るがない暮らし”を作る『合同会社Rext滝越』の仲間として、王滝村役場の職員として、暮らし働く、地域おこし協力隊員の募集です。

 

自然資源に恵まれた、御嶽山の麓の村

長野と岐阜の県境にそびえる、霊峰・御嶽山。標高は3,067 m。

王滝村は、長野県の南西部に位置する、霊峰・御嶽山の麓に広がる村。

人口はわずか 700 人ほどですが、面積は 310.86 km²と、村としては県内 1 位。総面積の 97%を山林原野が占める緑豊かな山村です。

里には、自然と共にある暮らしが息づいている。

王滝村のコンセプトは、「いのち呼び覚ますところ」

古くから死者の魂が帰る霊山として、修験者たちの厳しい修行の場として、篤い信仰を集めた御嶽山の歴史。山麓に広がる美しい木曽ヒノキの森と清らかな空気、滝や湖、清流、四季折々の山川の幸。それら大自然の恵みが里に注ぎ、人々の暮らしを潤します。

豊かな自然環境を生かした登山やカヌー、スキー、ツーリング、キャンプなどの自然体験も盛んで、心身ともに人間本来の健やかさを取り戻せる場所として、信州を代表する観光地としても親しまれています。

▼王滝村のプロモーションビデオはこちら(Youtube)

https://www.youtube.com/watch?v=jWjK7Jm7btM

 

揺るがない暮らしを、自らの手で

『合同会社Rext滝越』代表の倉橋孝四郎さんと杉野明日香さん。共に地域おこし協力隊員として、木曽地域の活性化に力を尽くしてきた。

今回募集するのは、王滝村の地域おこし協力隊として『合同会社Rext滝越』での活動を中心に、王滝村の活性化に取り組む隊員です。

その『合同会社Rext滝越』の代表を務める倉橋孝四郎さんと杉野明日香さんに、お話を伺ってきました。

石油(灯油)やガスに頼り切る代わりに、自ら木を伐り、薪を割り、生み出した火で暖を取ったり、調理をしたり。持続可能な暮らしのエネルギー源となる木が、至る所に積まれている。

『合同会社Rext滝越』代表の倉橋さんは、静岡県御殿場市出身。

東日本大震災を機に「暮らし」を見つめ直したことが、王滝村との出会いに繋がった。

倉橋さん「3.11で原子力発電所の事故があって、実際に被災地にボランティアとして行ったりする中で自分自身色々考えて。原発には頼らず暮らしていきたいけど、暮らしていくのに電気は使うし、石油には頼りたくないけど、灯油は使うし。無理なく持続可能な暮らしを作るにはどうすれば良いのかを考える中で、藻谷浩介さんの『里山資本主義』という本に出会ったんです。その本には『日本が抱えている多くの課題の解決策は田舎にある』と書かれていて。エネルギー問題への関心を深める中で、”木”のエネルギー利用の可能性を追求したいと思うようになり、森林資源が豊富にある地域を探して王滝村に辿り着きました」

2014年に地域おこし協力隊として王滝村に移住し、森林資源の木質バイオマス化の分野を中心に活動。任期終了後も集落支援員として地域の維持と活性化に尽力した後、『合同会社Rext滝越』を起業し、王滝村の指定管理施設である『森きちオートキャンプ場』と食の体験施設『水交園』の管理運営を請け負ってきた。

2020年には、明治時代に建てられた築100年以上の古民家を畑ごと買い取ってリノベーションし、村内外の人々の交流拠点『農家民宿&大衆酒bar 常八』をオープン。

同じ木曽地域の地域おこし協力隊として活躍していた杉野明日香さんと共に、地域に根差し、一から暮らしを作ってきた。

村で唯一のBARを備える『常八』。都市部からも海外からも旅行客が訪れたり、イタリア料理のイベントが開かれたり、村外との交流が少ない村民にとって、非日常を体験できる貴重な場でもある。

倉橋さん「キャンプ場、飲食店、農家民宿の3つの事業をメインに、海外の旅行代理店『グリーン・ライオン』と提携して外国からのボランティアツアーの受け入れを行ったり、薪ストーブやアウトドア用品の製造販売を行う『ファイヤーサイド』の販売代理店としての事業も行ったりしています。

その他にも、科学肥料や農薬無使用の有機農法の畑を3枚耕して野菜や染料の藍を作ったり、鶏を飼育して卵を採ったり、鶏糞や生ごみ、落ち葉などを堆肥化したり、山で伐った木で薪を作ってエネルギーを自給したり、ヒノキの精油を作って販売したり、猟をしたり、今後は炭焼きにも取り組んでいく予定です」

杉野さんが卵を孵化させるところから育てた『常八』のにわとりたち。

杉野さんの肩の上に乗ることも。とっても人懐っこいのは、きっと、たっぷりの愛情を受けて育ったから。

倉橋さん「会社全体で複業をしているので、今回のようにコロナ禍でインバウンド事業がだめになっても国内向けの観光事業があるし、観光がだめになっても飲食店の経営があるし、精油を売ったり、薪ストーブやアウトドア用品を売ったりすることもできます。近年、原油価格が高騰していますが、森から伐り出した木から薪を作って火を起こすことで暮らしに必要なエネルギーの一部を賄うこともできるし、畑も養鶏もやっているので自分たちと宿に泊まりに来るお客さんが食べる分には困りません。世界経済や社会がどんなに変化してもそれに振り回されず、自分たちらしい暮らしを続けていけるようにしています」

産まれたての卵には、命の温もりが宿る。

新鮮な卵は『常八』に宿泊するお客さんの朝ごはんにもなる。杉野さんお手製のごはんには「すんき漬け」や「赤かぶ漬け」など、木曽地域の伝統食が使われていて、素材の味と地域の味が一緒に楽しめる。

「この村に住んでいて良かった」と思う人を増やしたい

王滝村に根を張り、これだけ様々な事業を行なっているのだから、きっと協力隊として地域に入る前から高い志とビジョンを持っていたのだろう。

そう思ってお話を伺っていたのだが、意外にも自分たちがやろうと意気込んで始まった事業は少ないのだと言う。

倉橋さん「元々自分は木のエネルギー利用の可能性を追求したくて王滝村に来たので、今のように観光関連業で生計を立てるようになるとは思っていませんでした。『森きちオートキャンプ場』も『水交園』も、担い手のいない村の施設を引き受けたところがありますし、インバウンド事業も、急にふらっと村に来て泊まるところがないドイツ人を自宅に受け入れたところから縁が繋がってスタートしました。

協力隊として王滝村をより良い村にしようと、地域が抱えている課題や今目の前にある問題に取り組む中で始まった事業が多いですね。ここでは自分たちの生活や地域が必要としていることを突き詰めていくと、それが仕事になるんです」

『常八』の看板犬「官兵衛」のお散歩風景。名前の由来は、義理を重んじ、戦国の三英傑に愛された軍師・黒田官兵衛から。緑豊かで静かな環境に、「官兵衛」も嬉しそう。

『合同会社Rext滝越』の企業理念は5つある。

ひとつは、地域課題をビジネスに繋げること、生活住民満足度を上げ、自社の発展を目指すこと、地域住民に敬意を払い懐かしい未来を創ること、仲間の自己実現を応援すること、そして、村民の小さな良かったを積み重ねること。

これら全てに、倉橋さんと杉野さんが協力隊として地域と正面から向き合い、汗をかきながら得た気付きと学びが詰まっている。

杉野さん「山が荒れていたり、休耕田が増えていたり、空き家が増えていたり、草刈りや雪かきができる人が少なくなっていたり。王滝村は年々、地域を維持すること自体が難しくなりつつあります。私たちはそうした課題のほとんどが、高齢化と人口流出で地域人口が減っていることに原因があると思っているんです。

だから、私たちの事業の最大の目的は、移住者を増やして王滝の人たちも自分たちも、もちろん移住者も、誰もが暮らしやすい村を創っていくことなんです。今回の求人も、そうした想いを持って私たちと一緒に働き、地域のことを考えながら共に暮らしていける人との出会いに繋がるといいなと思っています」

 

存在意義を感じられる暮らし

倉橋さんも、杉野さんも、元は共に地域おこし協力隊としてこの地へやってきた移住者。

先輩移住者として、どんなところに王滝村で暮らす魅力を感じているのだろうか。

「王滝村の暮らしは、自分の存在意義を感じられる」と倉橋さん。

倉橋さん「高齢化が進むこの村だと、草刈りができるだけで喜ばれるし、雪かきできるだけでありがたいって言われますし、住んでいるだけで喜ばれます。王滝村には自分の力で生み出せる喜びが多く、自分のことを必要としてくれる人がたくさんいるから、自分の存在意義を日々確かめられるんですよね。都会のように”歯車の一つ”という感じはないと思います」

「大変なこともあるけれど、それも含めて王滝村での暮らしは楽しい」と杉野さん。

杉野さん「地域の行事に積極的に参加したり、草刈りをしたり、家の周りや畑を綺麗にしたり。地域の人たちはそうした小さな活動をよく見ていてくれます。きっと、みんなこれまでそうやって王滝村を大切に守ってきたので、外から来た人も自分たちが大切にしてきたものをちゃんと大事に思ってくれている、一緒に守ろうとしているということが伝わると、それが喜びになり少しずつ信頼に繋がっていくのだと思います。

何かしてもらったことに対して素直に喜ぶ、お礼を言う、お返しをする。派手なことや大きなこと、目新しいことよりも、そうしたちょっとしたことだけど『人として大切なこと』をきちんと大切にできる暮らしがあるところも、王滝村の豊かさのひとつだと思います」

 

地域に根差し、自らの力で持続可能な暮らし作っていきたい人

どんな人に王滝村の地域おこし協力隊として、『合同会社Rext滝越』の仲間として来て欲しいと思うのか。

求める人物像を、率直に聞いてみた。

倉橋さん「今回の求人は王滝村の地域おこし協力隊として『Rext』の事業を中心に活動していただくことになりますが、事業内容が多岐に渡っているのでひとつの施設運営に携わるというよりは季節や天候に合わせて様々な業務を担当することになります。だから、これだけをやってればいいんでしょうという人は正直、向かないと思います。

最初の半年から1年くらいは、一緒に仕事をしながらそれぞれの興味があること、続けていけそうなことを見つけて、その後じっくり時間をかけて深堀りしていって欲しいですね。何があっても立ち戻れる場所が自分の中で確立されていることが、仕事をしていく上でも、豊かに暮らしていく上でも大切だと思うので」

杉野さん「全部の事業にまだまだ伸びしろがあるし、他にも私たちが3割しか可能性を掘ってない事業もたくさんあるので、そういうところを一緒に掘り下げていけたらと思います。

それと同時に、地域おこし協力隊として働くということは公的な資金をいただいて生きていくということなので、自分のやりたいことだけをやるというわけにはいきません。地域が何を必要としていて、自分は何をしたらいいか、何ができるのかということを考えながら活動していく必要があります。

最初は地域が求めることと今自分ができることとの差に悩むかもしれませんが、協力隊だからこそでき得ることってやっぱりたくさんあるし、地域から求められる機会もたくさんあるんですよね。活動していく中でその答えを自分なりに見つけて掘り下げていってほしいですし、協力隊をきっかけに『地域にどういう風に貢献していくか』という、地域のための目線を持って暮らしていってくれる人が一人でも増えたらいいなと思います」

倉橋さんのお父様も王滝村への移住者。毎朝5時から畑を耕し、有機農法で野菜や藍を育てている。

倉橋さん「僕らは森のことも、畑のことも自分で一から学んできたので教えられますし、任期終了後に『Rext』に就職したいと言ってくれれば、2年目くらいからは僕らもそういう風に考えて準備をするし、起業したいと言ったら一緒に仕事を創る手伝いもできます。複業で生計を立てたいなら、スキー場やキャンプ場、旅館、林業の仕事も紹介できます。応募して下さる方がどんな進路を望んでいたとしても、一人ひとりが自己実現を果たせるようなことをできる限り提供して、協力隊卒業後の選択肢を最大限に広げるもりです」

杉野さん「新しい土地で協力隊として活動することには、迷いや悩みもたくさんあると思います。でも私たちは、同じ地に先に来た者として手伝えることは手伝いたいと思うし、困った時には力になりたいと思うんです。『本当に困った時には本気で助けてくれる人がいる』。そのことだけは信じて、安心して、ぜひ王滝村に来ていただきたいです」

陽だまりのようなあたたかさが、心と体を包み込む。

問題の本質から目を逸らしたまま、答えに辿り着くのは難しい。

倉橋さんが、木を伐り、薪を作り、火を起こし、暮らしに必要なエネルギーを自らの力で生み出すように。

杉野さんが、動物たちを育て、畑を耕し、食物を収穫して、素材の味を生かしたおいしいご飯を作るように。

日々の暮らしに必要なもの、暮らしを豊かにするものを自ら生み出す力をつけることは、先の見えない時代を生き抜く強さを持つことでもあるし、それらを外に頼りきる暮らしでは決して得られない安定と充足感を生む。

今回の求人は、今、生きることに漠然とした不安を抱え、これからの暮らしを、この先の人生を、より実りあるものに変えたいと思っている方にこそおすすめしたい。

新しく、より豊かな暮らしに続く、確かな学びが得られるはずだから。

 

王滝村に移住したい方へ

移住相談

長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」(東京都中央区銀座5丁目6-5 NOCOビル 1・2・5F)の5階で、移住相談を受け付けています。

https://www.ginza-nagano.jp/about/coworkingspace

空き家バンク

王滝村の空き家情報を随時更新しています。

http://www.vill.otaki.nagano.jp/info/kakuka_osirase/muraokoshi/akiyabank.html

子育て支援

子育て支援祝金の他、保育料や給食費の無料化、放課後子ども教室等の取り組みを行っています。

http://www.vill.otaki.nagano.jp/kosodate/kosodate.html

農業支援

新規就農希望者に対し、地域の方々と共に就農支援事業を行っています。

「I ・Uターン者が小さな村ではじめる大きな挑戦。」

https://turns.jp/54114

 

文:高田裕美 写真:松岡達矢

                   
都道府県+市町村長野県王滝村
募集状況募集中
勤務地長野県王滝村内
募集職種王滝村地域おこし協力隊員
雇用形態原則、地域おこし協力隊員(王滝村会計年度任用職員)として採用します。
勤務箇所は合同会社 Rext 滝越が管理する飲食店、宿泊施設等です。
給与月額205,700円(社会保険料本人負担分を含む)※手当あり、賞与あり
福利厚生王滝村の会計年度任用職員として、健康保険・厚生年金・雇用保険に加入します。
住 居:王滝村内の住居に入居いただきます。(雇用期間中の住居は王滝村が借上げ貸与)
貸与備品:パソコンを貸与します。公用車を貸与します。
仕事内容支援団体運営施設等において、下記活動を計画しています。
・地域課題と協力隊の自己実現を繋げていく
・水交園(飲食・体験施設)、森きちオートキャンプ場で観光客から見た王滝村を把握。
・常八にて村民との交流やゲストハウス運営
・有機野菜、薪、鶏、落ち葉堆肥を通じて持続可能なライフスタイルと事業を繋げていく
・下流域や関係人口の創出
勤務時間勤務日は土日を問わず月20日、1日7時間30分未満とし、村が招集する会議等には出席が必要です。
応募資格(1)3大都市圏をはじめとする都市地域等(過疎、山村、離島、半島等の地域に該当しない市町村)に
居住している方、または地域おこし協力隊員として2年以上活動し、解任の日から1年以内の方で王滝村に住民票を異動して居住し活動できる方
(2)パソコン(Office、SNS 等)を使用できる方
(3)普通自動車運転免許を取得している方
(4)地域おこしに意欲と向上心があり、地域住民等と積極的に協働ができる方
(5)村の条例及び規則等を遵守し、勤務命令等に従うことができる方
(6)地方公務員法第16条の欠格条項に該当しない方
(7)活動終了後も王滝村に定住し、就業・起業しようとする意欲を持っている
募集期間令和4年1月17日(月)から3月4日(金)まで郵送で受付けます。(消印有効)
なお提出書類は返却しません。
選考プロセス(1)第1次選考
書類選考・適性検査
(2)第2次選考 ⇒ 3 月中旬予定 (支援団体代表者同席)
第1次選考合格者を対象に面接を行います。第2次選考の詳細につきましては、第1次選考結果を通知する際に合格者へお知らせします。なお、第2次選考に要する交通費等は応募者の負担とします。
(3)選考結果の通知
選考結果は、第2次選考者全員に文書で通知します。
採用問い合わせ先〒397-0201
長野県木曽郡王滝村3623番地 王滝村役場 企画・観光推進室 担当:高田・正木
TEL:0264-48-2001 / FAX:0264-48-2172
E-mail:kouryu@vill.otaki.nagano.jp / HP:http://www.otaki.nagano.j
備考・その他提出書類
①長野県王滝村「地域おこし協力隊員」応募用紙(様式1)
②長野県王滝村「地域おこし協力隊員」活動目標(様式2)
③現住所地の住民票
※様式1、2(①、②)について、上記採用問い合わせ先へご連絡いただければ、用紙を郵送若しくは電子メールでお送りします。

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