自然と人が“あたたかい”世界遺産のまち 南島原暮らし、しませんか?

北に雲仙普賢岳、南に有明海と雄大な自然に恵まれた風光明媚な長崎県南島原市。長崎市内から車で約1時間30分、海と山、大自然に抱かれながら豊かな暮らしができるまちです。

どこを切り取っても美しい南島原の風景(写真:南島原市提供)

2018年には島原・天草一揆(島原の乱)の舞台となった「原城跡」が世界文化遺産に認定、まちには歴史が息づいています。釣りやSUPなどマリンレジャーも盛んで、全国屈指の生産高を誇る「島原手延そうめん」や、肥沃な大地に育まれた農産物、有明海で獲れる水産物など新鮮な食材にも恵まれたまちでもあります。

南島原の美しい海に惹かれて訪れる人も多数(写真:南島原市提供)

天草一揆後の移住者をルーツとする南島原市は、移り住む人をあたたかく、ここちよく「おかえりなさい」と迎え入れてくれるまち。そんな南島原市に惹かれて移り住み、自然と地域に根付いている二組のご夫婦がいました。

 

水の豊かな移住地を求めて

千葉県のエコヴィレッジに住み込みで働く中で出会い、結婚した大阪出身の大野航さんと、福岡出身の聡子さん。
自然を身近に感じる環境で働き暮らしていたお二人が、自分たちの目指す自然と寄り添う暮らしを求めて、移住地探しを始めたのが約2年前。

縁側でゆったりくつろぐ大野航さん(右)、聡子さん(左)

「今までの経験から、住むのなら“水が豊かな場所”がいいねと、1年ほど西日本を中心に候補地を巡りました。巡る途中、長崎市に暮らす友人を訪ねたら、南島原にいい空き家があると教えてくれて。せっかくだからと寄り道して“出会った”のが、今の家なんです」。

そうめん工場跡地で敷地が広く、家の裏手に流れる川、山も海も近く自然豊かなこの地に一目惚れ!移住先の地域の中に根付きたいという想いも持っていたお二人、近くにほどよく民家があったのも決め手だったそうです。
そして、ここなら自然と寄り添い、在るもので暮らす生活が実現できると考え、準備期間を経て2020年5月に移住。

定期的に汲みにくる湧水。市内には湧水スポットが数カ所あり水が豊かなまち。

 

移住してからは敷地内の建物をDIYする日々。
「移住当初、友人に古民家専門解体業者を紹介してもらい、作業のお手伝いをして、給料の代わりに分けて頂いてる廃材を利用して改修を進めています。」と航さん。

本格的なDIYは初めてのお二人でしたが、古民家再生を手がける建築家の方などのご縁、アドバイスもあって着々と改修が進み、移住してからわずか半年程の2021年2月、カフェとお店が併設した「alieto.」をオープンしました。

 

店内の改修は廃材で。カウンターの板壁はなんと醤油樽の樽板!

カフェは太い梁と土間をいかした味わい深い、落ち着いた空間に。

身体に優しい食材や調味料、商品が並ぶ店内。旬の無農薬野菜も販売。

カフェでは、航さんが淹れるコーヒーと聡子さんのつくるデザート、料理を提供(料理は予約制)。
お店スペースでは、ジャムやピクルスなど廃棄野菜を利用して聡子さんがつくった加工食品や、近くの農園から買い付けた無農薬野菜、お二人がこだわって選び抜かれた商品などを販売しています。

 

「alieto.」

お店の名前の由来をたずねたところ、「今私たちが住んでいる場所は有家(ありえ)という地域で、私たちをあたたかく迎え入れてくれた、本当にすてきでおだやかな場所。

この有家の地で、有家の人と、ともにこれからも暮らしたいという願いで“有家と=alieto.”と名付けました。」と聡子さん。ちなみに「alieto.」のコンセプトでもある「土トナリ、土トアル。」は「土と也、土と或る」、組み合わせると漢字で「地、域」に。ここにも地域との繋がりを大切にする二人の深い想いが込められていました。

 

オープンしたての「alieto.」ですが、すでに様々な企画が動き出しています。
もともと本や映画が大好きな航さんの発案で、映画の上映会を開催。「みんなが楽しくリラックスして集まってもらえれば」と航さん。毎月1回(第3土曜日の夜)に開催しています。ほかにもDIY教室やお味噌仕込みなどのワークショップを通じて、どんどん地域の人と交流していきたいとお二人。

ゆくゆくはカフェの2階に宿泊場所も設けて、南島原を訪れた人にゆったりとくつろいでもらいたいと夢が広がります。

 

お気に入りの石垣をお散歩。南島原には歴史息づく場所が多く残る。

「移住して、まもなく1年。南島原は自然の恵み、まちの美しさや歴史、水の豊かさなどもちろんすばらしいのですが、何よりもすばらしいのは人のあたたかさ。地域の方が旬のお野菜や果物をおすそわけに立ち寄ってくださったり、“困ったことやわからないことがあったらいつでも声をかけてね”なんていつも気遣ってくださったりと、本当にあたたかく見守っていただき感謝の日々です。」

また南島原市は魅力的な暮らしをしている移住先輩者が多いのも魅力の1つ。移住当初より先輩移住者とのご縁、交流も多く、同じような立場だからこそのありがたいアドバイスも伺えて心強い日々だそう。

これから移住したい希望者へのアドバイスを聞くと「今はコロナ禍でなかなか足を運ぶことは難しいかもしれませんが、できる限り気になる場所があったら直接行ってみることをオススメします。一歩踏み出すことで得られる空気感や出会いがとても大切だったりします。」

 

先輩移住者に作ってもらった薪ストーブは、料理の温めもできて重宝。

自然に寄り添い、在るもので暮らし、廃材を使った改修や廃棄野菜での加工品など“循環”を大切にする暮らしを営むお二人。その想いが形となった「alieto.」が南島原のモノ、コト、ヒトを“循環”させていく日は、そう遠くないはずです。

 

最高の釣り場と職場に巡り会い、幸せな“移住婚”

続いて伺ったのは、愛知県から移住してきた中村竜綺さん、かんなさんご夫妻。
お互いダイビングインストラクターとして働いていた際に知り合い、交際。体力的に長くは続けられないと感じていたこと、もともと二人とも釣りが大好きでよい釣り場が近くにある暮らしがしたかったことから本格的に移住を考えるように。

お気に入りの漁港での釣りを楽しむ竜綺さんとかんなさん。

四国や山口など西日本を中心によい釣り場を求めて移住先を模索する中、たまたま竜綺さんのご両親が旅行で訪れた長崎がよかったよ、という言葉を受け、ながさき移住倶楽部に登録し、ながさき移住サポートセンターに相談。細やかなサポートや連絡を受け、次第に長崎へと心が傾いていったといいます。

2020年春、会社を辞め、長崎県内のお試し住宅を予約し、長崎の候補地をあちこち実際に見に行こうと思っていた矢先に緊急事態宣言が発令され、お試し住宅もキャンセルに。コロナ禍で思うように進まない移住でしたが、それでもサポートセンターの担当者が、途切れることなくリモートでいろいろな情報を提供してくれて「コロナで先行きが不透明な中、サポートがとても心強かった」と竜綺さん。

そして、やっと20209月末にお試し住宅を再予約することができ、長崎へと向かったお二人。

「いつまた緊急事態宣言が発令されるかもわからない中、一度帰って来たら次にまた行くことができないかもしれない、だったらもうそのまま移住できるように、と車に移住に必要なすべての荷物を積み込んで、もう愛知には戻らない覚悟で出発しました」と竜綺さん。長崎に到着後すぐ県庁へ挨拶に、次の日は諫早をぐるりと、続いて翌日に南島原へ。

「長崎の海は美しくて釣り場としても申し分ない絶好のスポット。どの役所のみなさんも親切にサポートしてくださっていて。場所は決めかねていたのですが、南島原市で住むところも仕事もとんとん拍子に決まり、気づいたら移住完了(笑)でした!」

空き家バンク物件で現在借りている家は、海まで徒歩5分もかからない立地が決めて。

お気に入りのウッドデッキで。南島原のあたたかい太陽とかんなさんのはじける笑顔がまぶしい!

仕事は、ダイビングインストラクターの資格が生かせるという車エビ養殖場を市の担当者から提案してもらい、面接にいったところ、その日に決まるスピーディさでした。

「養殖場では、掃除や車エビの成長観察などのために潜るので、ダイビングインストラクターの資格が生かせるんです。水産高校出身なので、もともと養殖場の仕事についての知識もありました。入ってすぐ繁忙期の12月を迎えたので少し大変でしたが、職場の先輩たちがよい方ばかりで、休日は一緒に釣りにいったり、家に招いたりと充実の毎日です。」

12月の繁忙期を乗り越え、すっかり仕事も板についてきた。同僚との語らいが楽しい日々。

今回、竜綺さんは利用していないが、南島原市では長崎県との連動事業「南島原市次代を担う漁業後継者育成事業(※1)」による支援を実施しており、長崎県では『ながさき漁業伝習所』を運営、漁業就業を支援しています。

●ながさき漁業伝習所(長崎県水産部水産経営課内)
https://www.pref.nagasaki.jp/section/s-keiei/
TEL:095-895-2832

●南島原市役所 農林水産部 水産課
TEL 0957-73-6662

※1 令和3年度から事業名称が「ひとが創る持続可能な漁村推進事業」に改変予定

 

移住してから約5ヶ月たった現在、ご近所に行きつけの食堂がすでにあり、ご近所さんからは大根や白菜など野菜のおすそ分けをたくさんいただく日々。実は、移住してすぐにプロポーズ、結婚もした。「住むところも仕事も決まり、けじめのつけどきかなと。南島原市は子育て支援も充実しているので、将来子どもが生まれたときのことを考えても、ベストな移住地だったと思います」

今は寒くてこたつの住人だが、暖かくなったら天草でダイビングを楽しむ予定。

 

南島原市のよいところを伺うと「美しい山、海があって、温泉があって、何より人がとにかく優しいところ。困っていたら地域の人や先輩移住者が絶対助けてくれるんです! そして、食べ物がどれもとにかくおいしいところ。素晴らしい釣り場! 移住して来て、大満足の日々です!」

今までまわりにお世話になりっぱなしなので、少しでも恩返しをしていきたいと語る二人。
みんなが気軽に集まれるようなものがつくれたらと夢が広がります。

南島原市は、若い二人の“幸せ”を取り持つまちでもあるのです。

 

コロナ禍で思うように移動できず移住先が決めきれない!まちの魅力をもっとリアルに知りたい!
そんな声に、南島原市ではオンラインでの情報発信や相談会を対応!

https://www.city.minamishimabara.lg.jp/page694.html

https://smout.jp/areas/1775

ぜひご活用ください。

文・西郡幸子 写真・樋渡新一

                   

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