【連載】未来へひらく小千谷 vol.2
「介護職」から「農家」に転身
ゼロスタートで雪国生活に順応

枝豆農家・NPO法人 つくりんく理事長 豊田 裕樹さん

TURNSが注目する新潟県小千谷市の魅力を、“人”を通して紐解く連載「未来へひらく小千谷」。
地域に根を張り、それぞれの場所で挑戦を続ける人の想いや営みを通して、小千谷ならではの文化や風土、そして未来の可能性を探る。

新潟県のほぼ中央に位置する小千谷市。錦鯉発祥の地であり、魚沼産コシヒカリの産地として知られる米どころで、自然豊かな中山間地域と、利便性を併せ持つ。 Iターンしてこの地を新たな挑戦の場に選び、地域に新たな風を吹き込む豊田裕樹さんに、お話を伺った。

 

枝豆農家 兼 NPO法人 つくりんく理事長
豊田 裕樹さん

大阪府出身。10年以上にわたり介護職に従事した後、家族との自然豊かな暮らしを求めて2021年に小千谷市へ移住。地域おこし協力隊として農業や高齢者支援、観光・移住情報の発信などに携わる。現在は枝豆農家兼、「NPO法人 つくりんく」理事長として、地域おこし協力隊のサポートや農業支援など、地域に根ざした活動を行っている。

 

移住して5年目を迎える豊田裕樹さんは、現在、枝豆農家兼『NPO法人つくりんく』の理事長として活動している。取材当日は枝豆の収穫期。「この時期は農業中心で、朝5時起きです」と笑う。

豊田さんは大阪府出身で、 10 年以上介護の仕事に従事していた。病院勤務で、コロナ禍では最前線にいたという。そうした中で移住を考えるようになっていった。

「妻が、2人目のこどもを妊娠していたこともあり、家族の健康を第一に、自然豊かな環境での農的暮らしを考えるようになりました。西日本を中心に移住先を探していたのですが、範囲を少し広げてみたとき、ふと目に留まったのが小千谷市の滞在型農園『おぢやクラインガルテンふれあいの里』でした」

こんな田園風景の中で、こどもたちを遊ばせたい──と考えた豊田さんは、2021年に地域おこし協力隊としての赴任を決めた。

「決め手は小千谷市の職員をはじめ、出会った方たちがみなさん気さくだったことです。もともと妻は移住も農業への転職も理解してくれたのですが、唯一こだわっていた条件が〝雪が降らない地域〟。そこが気掛かりでした」

小千谷市は言わずと知れた豪雪地帯。豊田さんは「除雪作業は朝3時起きを覚悟していた」という。だが、実際は多少の積雪なら除雪作業が5分程度で済むこともあるそう。保育園にもすぐ入ることができ、妻もこどもたちも雪国での生活に馴染んでいったという。

豊田さんは、地域おこし協力隊の任務として、耕作放棄地を活用した農作物の生産や販売促進に携わった。未経験だった農業のスキルも、3年の任期中に地元農家のサポートを受けて身につけていった。

「米農家になることも考えました。気前よく農業用機械を『あげるよ』と言ってくださる農家さんもいたのですが、優しさに甘えてばかりなのもどうかと思い、一から自分の力でやってみようと5反の畑の開墾から始めました」

豊田さんが注目した作物が枝豆。市内に出回る枝豆の品種が豊富で、なかでも「肴豆」サカナマメのおいしさに驚いたという。新潟県は枝豆の作付面積全国1位でありながら、県内での消費が多いため出荷量は全国7位にとどまる(農林水産省調べ)。そのため、全国的にはあまり知られていないが、実は枝豆の名産地なのだ。大阪の友人や知人に肴豆を贈ると大好評で、豊田さんは枝豆農家に活路を見いだしていった。

その一方、「つくりんく」では、現役の地域おこし協力隊のサポート事業や農業支援事業、地域のイベント事業などを展開。

「大変なことをやった方が、後々自分ができることが増えていきます。その積み重ねが、心豊かな暮らしの土台になっていく手応えを感じます」

小千谷市に移り住んで、以前の生活では味わえなかったやりがいを、豊田さんは手に入れたようだ。

 

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