特集:「空き家活用進化論」
眠れる「資産」で未来を拓け
TURNS vol.74【9/18最新号発売】

特集|空き家活用進化論
眠れる「資産」で未来を拓け

総務省の調査では、2023年10月時点の空き家は全国で約900万戸。43年には空き家率が13.8%から約25%に増えるとする民間調査機関の予測もあります。

この間、さまざまなローカルプレーヤーたちが空き家の再生と活用に取り組み、多くの成功事例を生み出してきました。それでもなお、課題は山積み。これまで以上に枠組みに捉われない発想が求められています。

今号で特集するのは、空き家を「負債」から「資産」に変えてきたパイオニアたち。知恵と情熱によって新たな道を切り拓くその最前線をリポートします。

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巻頭レポート

鹿児島県・奄美市|奄美イノベーション株式会社
代表取締役・建築家 山下保博さん
「稼ぐツール」と「集落重視」で持続可能性を高める

伝統・文化をつなぎ人に寄り添う「伝泊」

「空き家は儲からない」といわれる。改修費などの初期費用を回収しきれず、収益を再投資するサイクルも生み出せないまま単発で終わる取り組みは少なくない。だが奄美では、2016年から建築家の山下保博さんがまちづくり会社「奄美イノベーション株式会社」を設立して空き家を宿に改修した「伝泊」をスタート。奄美群島内でその数を増やし、県外でもノウハウの横展開が進む。空き家活用をまちづくりに発展させた、建築家の信念と戦略とは。

 

秋田県・男鹿市 |株式会社シービジョンズ
蔵サウナと文化財の宿 森長
過剰投資を避ける「引き算」の再生術
地域を巻き込む所有と経営分離の手法

全国でもっとも人口減少が進む秋田県の中でも減少率が高い男鹿市。かつては海と陸をつなぐ流通の交差点として栄えたJR男鹿線の終着駅・男鹿駅前に、人波が引いた時代を経て、再び灯がともりはじめている。そのひとつが、地域の歴史を今に伝える宿・森長だ。秋田市のデザイン会社シービジョンズ代表の東海林諭宣さんは、男鹿の人々に愛された建築を残したいという想いを起点に、地域を巻き込みながらリスクを分散するスキームで、末永く続く開かれた宿の形を実現させようとしている。

 

新潟県・十日町市|カールベンクスアンドアソシエイト有限会社
建築家 カール・ベンクス
「古い家のない町は、思い出のない人と同じ」
ドイツ人建築家が見出した“記憶の価値”

どうせ1年足らずで音を上げて逃げ出すーーそう噂されたドイツ生まれの建築デザイナー、カール・ベンクスさんが新潟県十日町市の竹所集落に移り住んだのは1995年のこと。当時、世帯が9軒にまで減っていた集落で出合った朽ちかけた茅葺き古民家に世界一の技術を見出し、以来30年以上にわたって空き家を再生し続けてきた。人が消えていくはずだった集落には今、子どもたちの声が響いている。空き家を「負債」から「資産」に変えたのは、カールさんの哲学とそれを支えた人々の存在だった。

 

大阪府・東大阪市|セカイホテル
クジラ株式会社
商店街の人々と共に企てる
「まちごとホテル」の現在地

商店街の空き店舗を改修した客室に泊まり、お風呂は昔ながらの銭湯へ。夕飯は地元の居酒屋、翌朝は喫茶店でモーニング。そんなふうに旅先の日常が体験できる「まちごとホテル」として、国内外から注目を集めている「セカイホテル大阪布施」。事業を手がけるのはリノベーション会社、クジラ株式会社だ。現地を取材して見えてきたのは、ホテルとゲストと地域の三者の間にある親密かつフラットな関係、そしてほどよい距離感だ。

 

香川県・観音寺市|蔵音
角野由佳さん
同じ船に乗って、私たちは冒険の旅に出る
みんなの「やりたい」が重なり合う100年前の米蔵

建物とは人が生き、使う営みによって少しずつ完成し、価値が育まれていくもの。一度役目を終えた築百年の米蔵を、人が集う場所へと生まれ変わらせた角野由佳さんに会いに、香川県観音寺市を訪ねた。「天国みたいな場所になったらいいな(笑)」。そんな想いを込めた「蔵音」は、カフェをベースに、ギャラリーやイベントスペースなど、多様な人や企画を受け入れる場所だ。人の「好き」や「やってみたい」が重なり、ゆるやかにつながっていく。そしてひとり、またひとりと自己表現の一歩を踏み出していくーーそんな幸福な連鎖反応が生まれてきている。

 

山口県・萩市|萩ゲストハウスruco
塩満直弘さん
君と僕が、もっと自分らしくいられるように
小さな宿から始まった新しい場づくりの挑戦

かつて幕末の志士を多く輩出し、歴史ある城下町が残る山口県萩市。近年この街では若い世代の移住者や足繁く通うファンが増えている。しかし、そうした動きの起点に、あるゲストハウスの存在があったことは案外知られていない。地元出身の塩満直弘さんが元楽器店の建物に新たな命を吹き込んだのは14年前のこと。「みんなが自分らしくいられる場づくり」を目指す歩みは今では地元を飛び出し、地域を思う人たちの心に挑戦の種を蒔いている。

 


第二特集|官民連携のニュースタンダード

空き家活用において、公的な取り組みに期待されるところは大きい。

しかし、空き家に新たな命を吹き込むのは、実際にその物件を活用する人たち。その多くは、創意工夫によって誰も想像しなかった未来を実現しようとする、民間のプレーヤーたちです。

近年注目を集めるのは、民間事業者らの主体性や創造性が発揮されやすい新しい官民連携の在り方。行政は民間に丸投げし、民間は補助金に依存する……。

そんな負のイメージを払拭する、より実践的で動的な関わり合いです。

第二特集で取り上げるのは、これからの官民連携の在り方を提示する、先駆的な空き家活用事例。現場で奮闘する多様な人たちの声を通して、官と民との間で育まれる”化学反応”を紐解きます。

 

神奈川県・横須賀市|月見台住宅*(旧市営田浦月見台住宅再生プロジェクト)
旧市営住宅が「なりわい住宅」に
新しい官民連携で再び動き出したまちの物語

「天空の廃墟」。神奈川県横須賀市田浦の丘の上にあった市営住宅は役割を終え、長い間空き家の状態だったこの一帯は、いつしかインターネットなどでそう呼ばれていた。転機が訪れたのは2023年。地方自治体が所有する公共施設や古民家などの小規模な空き家の管理・運用を、民間事業者の創意工夫に委ねる新しい官民連携プロジェクトが始動した。職住一体となった「なりわい住宅」として整備され、横須賀市と民間事業者、そして個性的な入居者たちによって、新しい手法のまちづくりが進められている

 

群馬県・前橋市|マチスタント
僕たちの役目は誰かの本気に応えること
余白ある街に集う多彩な〝表現者〟たち

かつては典型的な寂れたシャッター商店街。それがクリエイティブ系人材が集い、日夜ユニークな取り組みが展開される場に変貌しようとは、誰が想像できただろう。まちづくりの先進地として近年注目を集める群馬県前橋市。ここ10年の変化の背景にあるのは、民間事業者がリスクを負ってアクションを起こし、行政が全力でバックアップするという官民連携の在り方だ。とはいえ、言うは易し、行うは難し。前橋でなぜそれが機能したのか  秘訣を探るべく、現地を訪ねた。



岐阜県・各務原市|株式会社OUR FAVORITE CAPITAL
誰かの「やってみたい」が風景を変える
マルシェを起点に生まれた挑戦の好循環

二つの都市公園を起点に、人が集まり、つながり、新しい挑戦が生まれてきた岐阜県各務原市・那加公園エリア。公園で生まれた賑わいをまちなかへ広げようと、行政と民間がそれぞれの強みを生かしながら、空き家や使われなくなった公共施設を新たな場へと変えている。目指すのは、店を増やすことだけではない。「このまちで何かやってみたい」という人の思いを起点に、次の挑戦が生まれる好循環を創り出したまちの歩みを追った。



連載ほか

地域ルポ 高知県大豊町
四国山地の懐で清流・吉野川と山の恵みに暮らす

地域ルポ 南九州市
伝統や歴史と新しい取り組みが交差する
南九州市でのまちづくりと生き方

隊員同士の『つながり』が紡ぐ、佐賀の未来

新潟県小千谷市
まちに根付き、挑戦を仕事に変えていく。

北海道剣淵町
ひらく町から、未来がはじまる

福島県大熊町
「育つまち」で未来をつくろう。 挑戦と居場所が生まれる大熊町へ

これからの官民連携
無人駅は、まちの伸びしろだった福祉が拓く地域の可能性

桜井貴斗のTURNS的ローカル季評

地域おこし協力隊リポート

地域おこし協力隊のトリセツ
自治体職員の負担を減らす!「中間支援団体」の活用と人材育成

わたしもTURNSになりました

読んで、僕も考えた。
井上岳一

よく見ると動いている
アサダワタル

地域×投資の学校
その地域ビジネス、本当にニーズはありますか?

素晴らしきローカル土産

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