【連載】未来へひらく小千谷 vol.1
挑戦を応援する、一人ひとりが主役のまちづくり

TURNSプロデューサー 堀口 × 小千谷市長 宮崎 悦男 特別対談

TURNSが注目する新潟県小千谷市の魅力を、“人”を通して紐解く新連載「未来へひらく小千谷」。
地域に根を張り、それぞれの場所で挑戦を続ける人の想いや営みを通して、小千谷ならではの文化や風土、そして未来の可能性を探ります。

 

小千谷市は、雪国の風土とともに文化や産業が育まれてきたまち。錦鯉や小千谷縮、豊かな自然、そして人と人との近さが今も暮らしの中に息づいています。〝挑戦を応援するまち、再挑戦をもっと応援するまち〟を掲げ、一人ひとりが主役のまちづくりを進める小千谷市。第1回となる今回は、宮崎市長にお話を伺いながら、これからの小千谷が目指す姿と、このまちならではの魅力を紹介します。

 

小千谷市長
宮崎 悦男

1966年生まれの新潟県小千谷市出身。日本工学院専門学校卒業後に美術品関連会社を設立し、2007年に小千谷市議会議員、2011年から新潟県議会議員を 3 期務めた。2022年に小千谷市長へ初当選し、子育て支援や地域産業振興、防災対策、移住促進などに取り組んでいる。

 

“復興への感謝”と
“未来への再挑戦”を掲げて

堀口: 今年4月に開催された「中越大震災復興記念祭」でのブルーインパルスの展示飛行は、全国的にも大きな話題となりました。私も現地で拝見しましたが、快晴の大空を力強く舞う編隊飛行に、震災からおよそ20年、一丸となって復興の道を歩んできた小千谷の姿が重なり、胸が熱くなりました。

台風の影響で一度は中止となったこの事業を再び誘致し、実現へと導かれた背景には、市長が掲げる〝再挑戦を応援するまち〟という理念を、自ら体現しようとする強い意志があったのではないでしょうか。

市長: 一度中止になったブルーインパルスの再飛行は前例がなく、実は国から二度目の挑戦は「極めて難しい」という回答を受けていました。それでも〝再挑戦を応援するまち〟を掲げる以上、まずは私自身が再挑戦する姿を示さなければ、本当の意味で皆さんに熱意は伝わらないと思ったのです。

私が常々大切にしているのは「できるか、できないか」ではなく、「やるか、やらないか」という考え方です。その思いのもと、提言書を練り直し、市内外での働きかけを続けました。その結果、多くの方々にご賛同いただき、再飛行の実現につながったのです。

堀口: 当日、市内の至る所で掲げられていたブルーフラッグもとても印象的で、まち全体が歓迎ムードに包まれ、小千谷がひとつになっているように感じました。あの一体感は、市長自らが先頭に立ち、リスクも責任もすべて引き受けて再挑戦する姿勢が、市民の皆さんに届いたからこそ生まれたのだと思います。

市長: 私はよく、「一人の100歩より、100人の一歩でまちは変わる」と話しています。ただ、その一歩を生み出すには誰かがまず先陣を切り、時には1000 歩先を進まなければならない。その背中を見て「自分もやってみよう」と周囲が動き始めるものだと思います。

あの日、まちを青一色に彩ったブルーフラッグも、再挑戦に賛同した市民の皆さんが自発的に掲げてくださったものです。
今回の再飛行は、一人ひとりが「まちづくりの主役は自分自身なのだ」と再認識し、「より良い未来のために、自分に何ができるか」を見つめ直すきっかけにもなったと思います。

自治と利他の精神を
活かすまちづくり

▲ひと・まち・文化共創拠点「ホントカ。」の屋上で談笑する宮崎市長とTURNSプロデューサー 堀口

堀口: 100人の一歩を大切にする、一人ひとりが主役のまちづくりを推進する背景には、小千谷市ならではの地域性もあるのでしょうか。

市長: 小千谷市は、商人や職人を中心として住民主導で発展してきたまちです。そこで脈々と受け継がれてきたのが、「自治の精神」でした。自分たちのまちは自分たちの手でつくり、豊かにしていく。そうした風土が、今日の小千谷の土台になっています。

また、小千谷市は冬になると3m近い雪が積もる日本有数の豪雪地帯でもあります。厳しい自然環境の中で、人々は昔から支え合って暮らしてきました。例えば雪の朝、皆でかんじきを履いて雪を踏み固め、そこを通る誰かのために一本の道をつないできた文化があります。自分のためだけではなく、誰かのために動く。そうした日々の営みの中で育まれてきたのが、人を思う「利他の精神」です。

長い歴史の中で培われてきた自治と利他の精神こそ、小千谷市の最大の魅力であり、まちの未来をつくる原動力です。この力を最大限に引き出していくことこそ、市長としての大きな役目だと考えています。

堀口: 自治と利他の精神を大切にする姿勢は、市民総参加型プロジェクト「みんなの一歩で、未来づくり大作戦」にも表れていると思います。Uターン、子育て、空き家、地域医療の4つの分野で草の根の声掛け作戦を展開されていて、市長もご自身のSNSなどで積極的に発信されていますよね。

市長: 「みんなの一歩で、未来づくり大作戦」も、行政が一方的に進めるプロジェクトではありません。例えば、Uターン者を増やすためには、身近な人が「いつでも帰っておいで」と声を掛けることが大切です。子育て環境をより良いものにするためには、地域全体で子どもたちを見守ること。空き家対策であれば、人とのつながりを丁寧につないでいくこと。地域医療もまた、人と人との支え合いによって守られていくものです。人を思い、より良い明日を願う一人ひとりの小さな行動の積み重ねが、まちの未来をつくっていくのだと考えています。

小千谷モデル〟を全国へ

▲錦鯉発祥の地である小千谷市。錦鯉の里にて、施設の説明をする宮崎市長

堀口: 最近では、国のGX(グリーントランスフォーメーション)戦略の有望地域として選定されたことでも注目を集めています。現在、どのような構想が進んでいるのでしょうか。

市長: 豪雪地帯という地域特性を活かした、循環型産業クラスターの形成に挑戦しています。
具体的には、豊富な脱炭素エネルギーを基盤に安定した電力供給体制を整え、先端産業やデータセンターを誘致する。それらの施設で必須となる冷却システムには、除雪などで大量に生じる雪を活用します。さらに、施設から出る排熱を小千谷市の伝統産業である錦鯉生産や融雪などに再利用し、地域内でエネルギーを循環させていく。長年の地域課題の解決と産業振興を同時に叶える、雪国ならではの新たな循環型産業モデル構築への挑戦です。

堀口: 雪そのものを新たな価値を生み出す資源へと転換し、既存産業への波及効果も見込んでいるのですね。

市長: その通りです。この構想が結実すれば、数百億円単位の民間投資と数百人単位の雇用創出につながる可能性があります。これにより地域住民の暮らしが豊かになるのはもちろん、小千谷市で新しいことに挑戦したいという移住者や、地域と関わりたいという方々の働き方や生き方の選択肢も大きく広がっていくはずです。

さらにその先に描いているのが、〝小千谷モデル〟の確立です。地域資源を活かした企業誘致を推進するだけでなく、そこで生まれる大小さまざまなプロジェクトに地方発のベンチャー企業や若手起業家、学生など、多様な人材が関わり、イノベーションを生み出せる環境をつくりたいと考えています。そして、新たに生まれた価値や財源を、子育て、医療、福祉、教育、宅地整備、さらには中心市街地の再生など、地域のさまざまな分野へ再投資していく。単発的な産業振興策にとどまらず、多面的な政策によって地域全体を強く豊かにする。そんな地方創生の成功事例を〝小千谷モデル〟として確立し、全国へ広げていきたいと思っています。

堀口: 小千谷市だけが豊かになるのではなく、全国の自治体にも展開できるモデルを目指しているところに、視座の高さを感じます。強固で安定的な経済・エネルギー基盤の上に、地域内外から人が集い腰を据えて挑戦することで、さらなるイノベーションの可能性が広がっていきそうですね。

市長: そうですね。実際に今、「小千谷を拠点に新しいことに挑戦したい」と立ち上がる若い世代も増えています。例えば『株式会社Quark』代表取締役CEOの風間健人さんは大学院在学中に起業し、産業領域に特化したAI ×XR(クロスリアリティ)ソリューションを推進しています。企業連携型地域おこし協力隊としてUターンした谷口諒さんは、『合同会社ながめ』を立ち上げ、駅前商店街の空き家を活用した複合交流施設づくりに挑戦中です。

地方だからできないのではなく、むしろ地方だからこそまだ先例のないことに挑戦できる余白があり、大きなチャンスがあります。彼らのように、そこに魅力を感じた人たちが全国から集まり、新しい価値を生み出していく。小千谷が、そんな挑戦のフィールドになったらとても面白いと思っています。

「Nice try !」と励まし合えるまちへ

▲宮崎市長のスーツの裏地は錦鯉の柄になっている。

堀口: これから、どんなまちを目指していきたいですか。

市長: 誰もが 〝自己実現できるまち〟にしていきたいです。

私自身、若い頃に起業し、お金も人脈も何もないゼロからビジネスを立ち上げる苦労を経験しました。だからこそ、小千谷で新しいことに挑戦したいという若者が存分にチャレンジできるフィールドをつくっていきたいんです。さらには移住者も含め、いくつになっても「ここなら自分のやりたいことに挑戦できる!」と確信を持てる環境をつくることが、これからの小千谷にはとても重要だと考えています。

堀口: 最後に、これから小千谷に関わりたいと思っている方にメッセージをお願いします。

市長: 人生には、うまくいく時もあれば、思うようにいかずに立ち止まってしまう時もあります。そういう時に帰れる場所を持つことは、とても大切なことです。都会での暮らしや仕事に疲れた時、「なんとなく地方に行きたい」「心のふるさとのような場所がほしい」と感じることもあるかもしれません。そんな時に「小千谷に行こう!」と思ってもらえたら嬉しいです。

小千谷は、今まさに新しい挑戦が生まれているまちです。
そして、前向きに挑戦する人には、例え失敗したとしても「ドンマイ」ではなく「Nice try !」と声を掛け、次の一歩を後押ししていきます。これからも地域内外の皆さんと共に、新しい挑戦のフィールドをつくりながら、「小千谷っていいよね」と語り合える仲間の輪を広げていきたい。そして、一人ひとりが自分らしく輝き、次の誰かへ「あなたの番だよ!」と自然にバトンを渡していける、温かい循環のあるまちにしていきたいです。
ぜひ小千谷に関わっていただき、明るく豊かなまちを一緒につくっていきましょう。

 

Information
「みんなの一歩で、未来づくり大作戦」実施中!

あなたも未来づくりアンバサダーになりませんか?

未来づくりアンバサダーとは

小千谷の未来づくりのための活動をする人を「未来づくりアンバサダー」と呼んでいます。
活動は、それぞれが無理なくできる範囲で構いません。
例えば、小千谷の魅力や独自の取組などの市外の方への声かけSNSでの発信も、間違いなく未来をつくるための第一歩です。

市民はもちろん、市外在住の方でも、小千谷をもっと盛り上げたい、応援したいという人であればどなたでもご登録いただけます。
ともにまちの未来を切り拓いていきませんか?

詳細はこちらから

アンバサダーの登録フォームはこちらから


まちの未来づくりにつながる4つの作戦を実施中!

小千谷市では、ふるさとへのUターン、子育て支援、空き家の活用、地域医療の維持に向けて、市民の皆さんと一緒に取り組む4つの「声かけ作戦」を実施しています。

作戦1|「小千谷に帰っておいでよ!」声かけ作戦2026

市外・県外で暮らす小千谷出身のご家族やご友人に、「いつかふるさと小千谷に帰っておいで」と声をかけてみませんか。

小千谷市では、移住支援金アパート家賃補助奨学金返還支援など、ふるさとに帰ってくる方を応援する制度を用意しています。

作戦2|「子育てするならダンゼン小千谷!」声かけ作戦2026

市外で子育てをしている方に、小千谷市の子育て支援の魅力を伝える作戦です。

妊産婦医療費子ども医療費無料病児病後児保育室子育て家庭への応援ギフトなど、子どもと保護者に寄り添った支援を行っています。

作戦3|「空き家を有効活用しよう!」声かけ作戦2026

地域に増えつつある空き家を、まちの資源として活用していくための作戦です。

空き家をリフォームして住まいや活動の場として活用することで、移住促進や地域のにぎわいづくりにつながります。
空き家の利活用や支援制度について、お気軽にご相談ください。

作戦4|「みんなで地域医療を守ろう!」作戦2026

住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、
身近な地域医療をみんなで支えていくことが大切です。

市内にかかりつけ医を持つことや、医療スタッフへの感謝の気持ちを大切にしながら、地域医療を守る取り組みを広げていきましょう。


 

\小千谷市のことをもっと知りたいあなたに/
小千谷市公式note 記事公開中!

小千谷市の今がぎゅっと詰まった記事を公開中。ぜひご覧ください。

小千谷市公式noteはこちらから


人気記事

新着記事