群馬県 移住者インタビュー
【VOL.8 みどり市|山崎雅美さん】
ほっと一息つける居場所から、
地域の子育てを支える

群馬県東部に位置し、「全国トップクラスの子育て支援」を掲げる、みどり市。その笠懸町地区で民間の立場から子育て支援に取り組んでいるのが山崎雅美さんだ。生まれ育った地元を一旦離れ、家族とともにUターンした山崎さんに、みどり市の魅力や現在の活動について聞いた。

お話を伺いました。

山崎雅美さん

みどり市(2013年移住)

みどり市で生まれ育ち、県内の短大を卒業後、保育士に。結婚に伴い20代半ばでみどり市を離れ約10年暮らした後、親との同居を考え一家でUターン。現在は5年前に立ち上げたNPO法人Flat(ふらっと)で代表を務める。高2、中3、小6の子を持つママ。

木曜午前9時半。

お茶の香り漂うサロンにあふれる

ママたちの「ホッ」。

人口5万人くらいの小さなまちですから、いろいろなものが良い意味で小ぢんまりしていて、私たちのような団体の声も市役所にちゃんと届きますし、人と人の関係も距離が近い気がします。


山崎さんが主宰するNPO法人Flatでは、地域の子どもたちに「遊び」と「学び」の場を提供している。

――山崎さんが感じる、みどり市の良いところは?

山崎さん|私は県内からのUターン組なので、どうしても半分は地元目線になってしまうのですが、一度外に出ても戻ってきている同級生が多いのは、やっぱり住みやすいまちという証なんでしょうね。私と同じように市外や県外出身の夫を連れて実家に入ったり、実家の近くに家を建てたりする人も少なくありません。同じクラスだった人と地域の行事などでばったり再会して驚くこともよくあります。

――子どもが小さい時期に戻ってこられる方が多いんですね。

山崎さん|やはり、「みどり市は子育てしやすい」というイメージが強いのでしょうね。私が戻ってきた頃から保育料無料の支援制度が他の市よりも柔軟で、「これなら家計も助かるし、子どもを預けて私も働ける」と感じたのを覚えています。今では支援がさらに手厚くなっていて、「Flat」のサロンに来るママたちからも「市が子育てをすごくバックアップしてくれる」という声をよく聞きます。

空き家だった民家をリノベーションしたFlatのオフィス。学習支援活動「放課後Flat」の活動スペースとしても活用されている。

――山崎さんが子育て支援活動を始めたきっかけは?

山崎さん|Uターンをする前、3番目の子を産んだ後もパートで保育士を続けていました。ただ、産休明けに無理をし過ぎてしまい、ある時夫から「よその子のことは一生懸命見るのに、自分の子のことはちゃんと見てあげないのか」と言われてしまって……。参観日なども夫に任せていたので、「どうして我が子の成長を見られる場面に来ないのか」という言葉が胸に刺さりました。

「じゃあ、どうしたらいいだろう」と相談したら、夫から「自宅でできる子育て支援を考えてみたら?」という提案があったんです。そこで、実家を建て直す際にその活動を見据えた設計にし、スタートさせたのが現在の取り組みの原型になりました。

――他にも選択肢があった中で、保育に関わり続ける道を選んだんですね。

山崎さん|やっぱり、子どもと向き合う仕事が好きなんです。保育園に勤めていた頃も、同僚と「こうしたらもっと良くなるのでは」といろいろ試しながら、園児たちが卒園していく時に感じる達成感が何よりの喜びでした。2年、3年と関わっても子どもたちの成長はそこで終わりではありませんから、自分のやったことの成果が必ず見られる仕事ではないんですけどね。

――個人で始めたその活動がNPO法人Flatの立ち上げにつながっていったのですね。

山崎さん|個人で5年ほど活動を続けるうちに、保育士の資格を持つママたちの間で「こんなふうにお母さんを支援する仕組みがあったら嬉しいよね」という声が少しずつ広がり、それがNPO設立のきっかけになりました。私たちのアイデアを市議会議員をしている同級生に相談したところ、「それを行政がイチからやるのは難しいだろうね」という反応だったので、「それなら自分たちで形にしよう」と動き始めたんです。

ただ、活動をさらに広げるとなると、自宅では手狭なので、まず課題になったのが場所探しでした。そんな時に、もともと絵本の読み聞かせボランティアでつながりのあった笠懸西小学校の校長先生と世間話をしていた際に、「校内に地域交流室という部屋があるので、そこでやってみませんか?」とお誘いをいただいたんです。そのおかげで、立ち上げからわずか3か月ほどで、スムーズに活動をスタートさせることができました。

市の家庭教育委員も過去に務め、行政の子育て環境の整備にも数々の意見を提言してきたという山崎さん。山崎さんたち民間の活動が、「全国トップクラスの子育て支援」を掲げるみどり市の子育て環境をさらに輝かせている。

――現在の活動について教えてください。

山崎さん|文科省認定の家庭教育チームとして、笠懸西小学校で週2回、大間々東小学校で月1〜2回の頻度で「保育士のいるサロン」という会を開いています。子どもをケアする子育て支援ではなく、お母さんお父さんをフォローする子育て支援という位置付けで、ふだん家では飲まないちょっと特別なお茶やお菓子を囲みながら、みんなでおしゃべりをする場になっています。

不定期で開催しているイベントは、「自分が子育て中に欲しかったもの」を形にしたものばかりです。なかでもマッサージの会は、プロのマッサージ師さんとのコラボ企画で、保育士の私たちがお子さんの面倒を見ている間、お母さんたちが安心して施術を受けられるので、特に人気です。

親の心に余裕がないと、つい子どもに強く当たってしまうこともあります。ここで淹れたてのお茶を飲んでホッとしたり、普通なら数千円かかるようなネイルをワンコインで体験してもらって、少しでもゆとりを感じて帰ってもらいたいと思っています。

 

――活動を行う中で、特に大切にされていることは?

山崎さん|子育ての悩みってどこに相談していいか分からないことも多いし、相談相手との関係性が近すぎても、変に気を遣われちゃって話しづらいという難しさもありますよね。だからここは、深くなくて浅くもないちょうどいい距離感で、仲良く話せる場所であることが理想だと思っています。

また、同じ悩みであっても感じる重さは人それぞれです。特に初めての子育ては分からないことだらけなので、不安を抱えた方がいる時は、なるべく自分たちの経験を交えながら安心させてあげたいなと。

例えば、多くのママが直面する「子どもが離乳食を食べてくれない」という悩みも、一人で抱え込んでしまうと“終わりが見えない絶望”に感じてしまうこともあります。そんな時には、「みんな経験している悩みだし、半年もすれば食べてくれるようになるから」と声をかけてあげたり。しばらくして「終わりがあると教えてくれたのでがんばれた」と言われると、こちらも本当に嬉しく、ホッとしますね。

――「保育士がいるサロン」の今後の目標を教えてください。

山崎さん|お悩み相談が増えるのは、この地域に子育てで悩んでいる人が多いこととイコールになってしまうので、単純に喜べることではありません。ただ、子育てにおいてリフレッシュの時間はとても大切なので、気分転換を目的に気軽に立ち寄ってくれる方がもっと増えて、一度に何十組もの親子が来てくれるようになったら嬉しいですね。


「保育士がいるサロン」開催日以外にママたちが悩みを言える場として、LINEのオープンチャット「しんどいときのつぶやきFlat」を設置。ママ同士の共感と交流の場になっている。

 

編集後記

長女として生まれ、いとこの中でも一番年上で育ったという山崎さん。小さな頃から下の子の面倒を任され、保育士になる以前からたくさんの子とふれあってきたその人柄には、きっと小さな子どもたちからは「みんなのお母さん」として甘えられ、若いママたちからは「心強い先輩」として頼られる、包容力のオーラを感じました。

そんな彼女たちの「保育士がいるサロン」は、みどり市に移住したばかりで身近に知り合いがいないという新しい移住者の方々にとっても、温かな心の拠り所になってくれるはず。

 

ぐんまトリビア

切れ目のない子育て支援

全国トップクラスの子育て支援を掲げているみどり市では、上限20万円までの不妊治療費助成、小・中学校の給食費無料など、妊娠・出産の段階から子どもが結婚するまで”切れ目のない子育て支援”を行っている。2025年度からは、保育所などに通う子どもの保育料と給食費が第一子から無料の新制度が始まった。

※制度内容は、2025年10月時点の情報をもとにまとめています。補助内容や要件は変更・終了している可能性があります。最新情報は群馬県移住ポータルサイトをご確認ください。


小・中学生向け「放課後Flat」

NPO法人Flatのもうひとつのメイン活動が「放課後Flat」だ。学童保育と学習塾の中間的な支援活動として、山崎さんたちの活動拠点である建物の一部を平日15時半から19時まで開放。宿題のサポートなど学習支援を行っている。小学生は月額5,000円、中学生は月額1万円で利用可能。1日のみのスポット利用も可能だ(1回500円、小学生のみ)。

※2025年10月時点の情報をもとにまとめています。

群馬県の移住に関する情報はこちらから

人気記事

新着記事