特集|ローカルから始まるキャリアデザイン
自ら仕事を創り出し、実践を通して幅広いスキルを身に付けていく。
こうしたキャリア形成の舞台を提供してくれるのは、分業・専門化の進む都市部よりも、
地域課題がさまざまな仕事につながるローカルの地かもしれません。
進行する少子高齢化、AIの急速な発達、国際情勢の流動化など、
先の見えない時代をたくましく生き抜くのも、きっとそんな柔軟でクリエイティブな人材。
既存の〝キャリア観〟に縛られることなく、地域を足場に自らの「生きる道」を
切り拓いてきた人たちが、すでに全国各地で活躍しています。
今号で特集するのは、新時代のキャリアデザインを体現する先駆者たち。
土地とつながり、人とつながり、真の豊かさを探求しながら、試行錯誤を重ねていく──
そのリアルな姿をレポートします。
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巻頭レポート
三重県伊勢市|株式会社 FOLKFOLK 東山迪也
地域と仲間への想いを原動力に
場と人を生かす〝ローカルプロデューサー〞
昨今、全国各地のローカルプレーヤーたちが頭角をあらわし、その地域ならではの個性の光る事業が多く生み出されている。
その一方で、彼らが持続可能なキャリアを築けているかと問われれば、依然課題は残る。
地域でキャリアを積み上げ、仲間を増やし、事業を拡大成長させていくためには何が必要なのか。三重県が誇る観光地、伊勢志摩エリアで場と人をプロデュースし、事業を成長させ続けてきた株式会社 FOLKFOLKの代表、東山迪也さんの営みから、そのヒントに迫る。


新潟県田上町|やさしい道の駅たがみ駅長 馬場大輔
諦めかけた町を竹灯りが変えるまで
新任「駅長」が起こした楽しい革命
夜の竹林に無数の灯りがゆらめく。
ここは新潟県田上町で開かれているアートイベント「たがみバンブーブー」の会場。
かつて県内でも知名度が低かった田上町に近年、町外からたくさんの人が訪れるようになった。
その中心にいるのが「やさしい道の駅たがみ」駅長の馬場大輔さんだ。
故郷の田上町に暮らしながら、生きる意味を問い続けた馬場さんが見出したのは「先人から受け継いだ暮らしの文化を次世代に楽しく伝える」という使命。
志を共有する仲間たちとの取り組みは今、新たなステージへと進む姿を追った。


鹿児島県薩摩川内市|東シナ海の小さな島ブランド株式会社代表 山下賢太
君の代わりはどこにもいない
島で育まれる未来の種
人口減少、少子高齢化といった過疎地や離島で顕著な現象は、いつも解決すべき課題として語られる。
しかし、もしかするとそれは、既存の枠組みに囚われた狭量なものの見方かもしれない。
鹿児島県の甑島に本社を置く「東シナ海の小さな島ブランド株式会社」通称アイランドカンパニーを営む山下賢太さんが見通すのは、飽くなき成長を欲する時代を越え、「そこにいる」ことを価値とする社会へと変容していく未来。
個人の成長を自明とする私たちのキャリア観にも一石を投じる、小さな実践から大きな世界へとアクセスしようとする試みとは?

島根県雲南市|株式会社CNC代表 矢田明子
「井の中の蛙」が世界を変える
小さな町から広がるおせっかいの輪
幸せとは何か。
生きていく中で誰もが一度は考えたことがある問いに、真っ向から挑戦する女性がいる。
島根県雲南市を拠点とする株式会社CNC代表の矢田明子さん。
父の死をきっかけに、地域住民が互いに支え合い、健康で生き生きと暮らせる社会づくりを目指し、「コミュニティナース」という活動を広げてきた。
20代後半での大学入学から始まった挑戦は、今や社会にインパクトをもたらすビジネスに形を変え、その思想は国内外に広がりを見せている。


岩手県紫波町|合同会社 sasatta 代表 南條亜依
商店街で見つけた「私の生きる道」
都会に憧れた大学生、二〇代の物語
キャリアの歩み方が多様化する現代。
とはいえ、新卒のファーストキャリアにおいて、どこで誰とどんな経験を積むのかが、その後の生き方
に大きな影響を与えることは今も昔も変わらない。
新卒での起業や地域おこし協力隊という新しいキャリア選択には賛否両論があるし、その道を選んだ本人にも迷いや葛藤がある。大学卒業を目前に起業し、岩手県紫波町に移住した sasatta.llc 代表の南條亜依さんは、6年たった今もその選択が正しかったのか不安に思うことがある。
彼女の不安を原動力に変え、前に進み続ける姿を追った。

第2特集
地域おこし協力隊というキャリア戦略
2026年度までに1万人に増やすという目標が掲げられている「地域おこし協力隊」。
15年以上にわたる各自治体の実践と試行錯誤を経て、今では移住・定住施策という枠に収まらない、多様な活用事例が生まれています。
中でも注目される一つが、キャリア形成の〝攻め〟の手段として協力隊制度が活用されるケース。
アイデアはある、情熱もある、あとは誰かの支えがほしい。そんな人にとっては理想的な選択と言えるかもしれません。
第2特集に登場するのは、協力隊制度を活用し、自らの思いを形にしてきた事業者たち。
行政と連携し、利潤の追求と地域への貢献を両立させながら、地域の人たちと共に豊かになっていく。そんな新しいキャリア戦略の現在地とは?
新潟県阿賀町|山から株式会社代表 柳沼陽介
〝何もない〟を〝たからの山〟に変える ちいさなベーカリーの循環する経営論
移住者の柳沼陽介さんが菓子職人の妻と共にベイクショップ「パンとおやつ 奥阿賀コンビリー」を立ち上げたのは、10年ほど前のこと。
以来、農福連携や地域商社といった取り組みを通して、山の恵みを価値に変え、生み出され
た収益を地域に還元する「地産地創」の循環づくりに奔走している。
大切にしてきたのは、効率ではなく、関係性や土地に根ざした物語を軸に価値を創出すること。
中でも大きな転機になったのが「オニグルミ」という地域資源との出合いだ。
一粒のくるみから生まれた小さな循環は今、阿賀町を越えて、全国へと広がり始めている。

宮城県南三陸町|南三陸ワイナリー株式会社代表 佐々木道彦
復興の町に実った希望
山と海と人をつなぐ、ワインの物語
震災から十余年を経て、海沿いの町に新たな風が吹いている。
町の取り組みとして始まった「南三陸ワインプロジェクト」。
そのバトンを受け取った地域おこし協力隊だった佐々木道彦さんが、自らの手でワイナリーを立ち上げ、いまでは町の新たな産業として実を結んでいる。
海と山、そして人々の営みをワインでつなぎ、南三陸の新しい循環と希望を醸す。
行政・農家・町民の想いを汲み上げながら生まれた取り組みとは?


茨城県北地域|KENPOKU PROJECT E
人の成長なくして、ビジネスの成功なし広域で挑む「起業型地域おこし協力隊」最前線
今や全国で 8000 人弱を数える地域おこし協力隊。中でも特徴ある形で制度活用している取り組みが、茨城県が
行う通称「KENPOKU PROJECT E」だ。
ミッションは、県北6市町という広域エリアを舞台に地域課題解決に寄与する事業を起こすこと。
事業計画を提出し、採用となれば、協力隊として起業と移住を同時に叶えることができる仕掛けだ。
卒業した隊員はこの7年ほどで40人を超え、3年の任期を満了した全員が定着して事業を継続している。
地域と個人が共に成長する取り組みの舞台裏で目にしたのは、「覚悟」と「信頼」の理想的なサイクルだった。

連載ほか
佐賀県地域おこし協力隊
My Favorite SAGA 「ここが好き!」〜隊員たちの〝佐賀の推し〟
地域ルポ 北海道東川町
適疎の町の若者が描く、“ふるさと住民〟を増やすこれからのまちづくり
地域ルポ 大分県中津市
大分県中津市ではじめる「ローカルチャレンジのすゝめ」
福沢諭吉の故郷で、あなたらしく一歩前進!
地域ルポ 大分県大分市
仕事も、子育ても、自分らしく。家族で育む、あたたかな大分ライフ
地域ルポ 福島県大熊町
ともに大熊の幸せを作る」町と人と育む、新しいスーパーのかたち
地域ルポ 鹿児島薩摩川内市 いちき串木野市
ローカルライター養成講座 レポート
群馬県みどり市・山梨県丹波山村・高知県四万十町・埼玉県秩父市
TURNS LOCAL COLLEGEレポート
地域おこし協力隊のトリセツ
職員たちの制度運用の誤解・思い込み
わたしも TURNSになりました
大分県中津市耶馬溪町
読んで、僕も考えた。 井上岳一
よく見ると動いている アサダワタル
素晴らしきローカル土産
