茨城県桜川市 地域おこし協力隊募集予定!
ヤマザクラの里で見つける幸せ

茨城県の西部に位置し、自然と伝統が息づく桜川市

この地に新しい風を起こしているのが、「地域おこし協力隊」です。桜川市では、さまざまなバックグラウンドを持つ隊員が地域への思いを胸に活動しています。

現在は、地域PR・里山保全・移住支援・地域産品の分野で4名の隊員が活躍中。任期を終え、桜川市にそのまま定住した元隊員もおり、地域に根ざした新たな暮らしを築いています。

今回は、桜川市地域おこし協力隊として、地域PRを担当する清田羽菜さんと、里山保全に取り組む「おそとまん」こと小林直城さんに、協力隊としての活動内容や桜川市での暮らしについてお話を伺いました。

この記事を読んで、桜川市での暮らしや環境に少しでも魅力を感じたなら、次にこのまちで地域おこし協力隊として活躍するのは、あなたかもしれません。ヤマザクラの里・桜川市を、一緒に盛り上げてみませんか?

 

先輩に聞いてみよう! 地域おこし協力隊インタビュー

\地域おこし協力隊1年目・清田羽菜さんに聞きました!/

犬田の陸橋から望む蕎麦畑が広がる里山の風景は、いつも清田さんの心を和ませてくれるお気に入りの景色だ。

清田羽菜さんは、千葉県佐倉市の出身。大学卒業後は、都内のWeb広告代理店に就職し、デザイナーとしてランディングページやバナー広告の制作に携わりました。2025年7月に桜川市の協力隊に着任し、現在は自身が企画した地域メディア『花筏(はないかだ)さくらがわ』の編集・デザインを手掛け、地域の魅力発信に取り組んでいます。

 

“ここで暮らす人や土地のストーリーを伝えたい”

「会社員の時は職場内で人間関係が完結していて、横のつながりや地域との接点はありませんでした。また、人に溢れた東京では、個人のデザインや活動はありふれていて、注目されにくいです。地域と関わる仕事に就きたいと思ったのは、自分の手で土地や人の温度を届ける、手触り感のあるものづくりがしたかったからです」

現在の住まいは、東京で開かれていた桜川市のイベントで知り合った協力隊の先輩に斡旋してもらった。

清田さんは転職活動をする中で、地域おこし協力隊制度を知りました。数ある隊員募集の中で桜川市を選んだ理由とは?

「自分がやりたいことと地域の魅力を発信する協力隊のミッションがマッチしていたことが一番の理由です。それに加えて、桜川市の住みやすい環境も決め手となりました。市役所での面接時にポートフォリオを持参して、桜川市の情報だけでなく、ここで暮らす人や土地のストーリーを伝えたいと話しました」


清田さんがデザインした『花筏さくらがわ』のロゴ。「筏」の漢字をモチーフに、あえて読めないほど形を崩し、情報よりも情景やストーリーを見せるメディアを表現している。

清田さんが運営する地域メディア『花筏さくらがわ』の編集方針は、住民とも観光客とも異なる視点で桜川市を再発見すること。現在はインスタグラムを中心に、桜川市の風景や名産品、お店やイベントなどを紹介し、地域内外に発信しています。

その他に、前職の経験を活かして、名刺やマップのデザインなど、桜川市の魅力発信にかかわる活動も行っています。

地域PRという活動内容の大枠は決まっているものの、隊員の裁量が大きく、自由に活動できると話す清田さん。市役所内のデスクにいることよりも、カメラを片手に地域に出ていることが多いと話します。


地域のイベントに顔を出し、人とのつながりから企画を考えるようにしている。

「協力隊の良いところは、『協力隊の清田です』とあいさつをすると、どこでも『あ~!』と受け止めてもらえること。外に出て人に会うことが多いので、名刺がすぐに無くなってしまうんです(笑)。桜川市では、マルシェや朝市など、いろいろなイベントが開かれているので、積極的に参加して人とのつながりをつくっています」

 

なんでもできる感じがする場所

前職でのデザイン経験はあるものの、インタビュー取材や記事の執筆は初めて。慣れない仕事に緊張しながらも、地域の人の生の声を聞くことが今では楽しみだそうです。

「地域の生産者さんを紹介する企画で、市内のみかん園を取材しました。お話を伺ったあと、もしよければと写真撮影もお願いしてみたのですが、『おれは写らなくていいよぉ』と控えめに言われて。その場では無理に頼まず帰ることにしました。でも、次にお会いしたときに改めてお願いしたら『仕方ねえな~』と言いながら、笑顔で引き受けてくださって。完成した記事をお渡しすると、『よくできてる』と喜んでくださって、とてもうれしかったです」


企画から制作、発信、その反応を見届けるところまで関われるようになり、大きな手応えを感じているという。

月に一度、協力隊員の活動報告会があり、市役所の職員を交えて情報交換を行っています。4人の隊員はそれぞれのミッションは違っても関わる機会があり、2025年9月からは持ち回りで『note』を使って協力隊活動を発信。また、暮らしの面でも、地域に溶け込みやすい雰囲気づくりがあります。先輩隊員が地域の酒屋で移住者向けの小さな飲み会を開いたり、先に移住してきた方が声をかけてくれたりと、あちこちに交流の場があるそうです。さらに、茨城県が主催する地域おこし協力隊の研修にも参加し、他の自治体の隊員と知り合い、横のつながりをつくっています。

清田さんは協力隊に着任してもうすぐ半年。今後の隊員活動や任期後のビジョンを聞きました。

「『花筏さくらがわ』はインスタグラムでの発信が中心ですが、来年からはWebサイトや紙媒体でも展開していく予定です。いろいろなご縁がつながって、『ここだ』と思える場所に出合えました。任期後はグラフィックデザイナーとして独り立ちして、桜川市に住み続けたいと考えています。この町には新しいことに挑戦している人がたくさんいてエネルギーを感じます。そんな人たちと接していると、自分もなんでもできる感じがするんです」

真壁地区で開催されたスタンプラリー用に制作したMAP。古き良き建物や文化が残る真壁を、浮世離れした”星”に見立てたデザインに。

 

\地域おこし協力隊3年目・おそとまんさんに聞きました!/

おそとまんさんが運営・管理する「おそとフィールドMTBパーク」では、マウンテンバイクコースに加え、キャンプやツリークライミングといったアウトドア体験が楽しめる。

桜川市のヤマザクラの保全とPRをミッションに活動する、”おそとまん”こと小林直城さん。協力隊活動と並行して、”おそと遊びアンバサダー”として自身のアウトドア事業も行っています。高知県出身で、大学卒業後は茨城県で就職。自動車関係の企業などで勤め、20年以上を茨城で過ごしてきました。趣味のアウトドアを生業として生きることを決意して退職。2020年に起業し、新たな活動拠点を探していた際に出合ったのが桜川市でした。

おそとまんさんの活動拠点「おそとベース」。市内の自然をフィールドにした遊びの体験を提供している。

 

桜川市をアウトドアの“ディズニーランド”に

「協力隊の制度を知る前から桜川市の自然が好きで、マウンテンバイクを楽しむために度々訪れていました。桜川市は広大な関東平野の北限にあり、里山の起点になる場所。東京とも距離が近く、アウトドアのフィールドとして理想的でした。マウンテンバイクは山の中にコースを作って走るので、里山整備とは切り離せません。桜川市の協力隊の活動に、自分のアウトドアのスキルを活かせると思い応募しました。市役所での面接では、『桜川市をアウトドアのディズニーランドにします!』とプレゼンしました」

2023年6月に桜川市の協力隊に着任し、現在は里山の保全活動やヤマザクラを活かしたPR活動を行っています。活動のフィールドは里山で、チェーンソーや刈り払い機を担いで山に入り、ヤマザクラにもたれかかった倒木を取り除いたり、草刈りをして日当たりを良くしたりするのが主な仕事です。ヤマザクラが自生するのは町なかではなく、山の中。かつては生活に薪を使うなど、山の手入れがされていましたが、時代とともに生活様式が変わり、しだいに山は荒廃していきました。山に埋もれてしまったヤマザクラを蘇らせるために、おそとまんさんは地域の人たちと協力しながら作業に汗を流しています。


ツリークライミングの技術を活かして地域の木を伐採。

「普段は一人で山の中に入って仕事をすることが多いですが、地元の人と一緒に作業することも少なくありません。山との関わり方を知っている大先輩で、僕が知らないことを喜んで教えてくれます。里山のことや地域の風習、自然の中で生きる知恵など、どれも教科書には書かれていないことばかり。これまでにいろいろなアウトドアスキルを身に付けてきましたが、地域に入り込むことで、本当の知恵に触れられた気がします」

また、協力隊活動をするうえで、市役所職員のバックアップが大きな力になっているとも。

「僕は市役所のヤマザクラ課に所属していて、メンバーにとても恵まれていると、ひしひしと感じています。外から来た人間にとって地域で活動するのは時に難しさもありますが、必要な場面では職員の方が一緒に同行して、地域の人とつなげてくれる。職員の方は地元で厚い信頼があるので、『君からの紹介なら大丈夫』とお墨付きをもらい、スムーズに活動を進められます」

 

住めば住むほど味が出る。ますます好きになる里山の町


もう一つの拠点「おそとファクトリー」もオープン。

おそとまんさんに桜川市の魅力を尋ねると、「住めば住むほど味が出る。ますます好きになる里山の町」と答えが返ってきました。その真意とは?

「初めはマウンテンバイクをするためのフィールドに過ぎませんでしたが、この町に根を下ろして本当の魅力が分かりました。桜川市は人と自然が共生する『里山文化』を持っている場所。都市部では絶対に味わえない、この土地ならではの文化に触れられます。地域の人たちと一緒に近所の草刈りをしていると、いろいろな昔話を聞けて興味が尽きません。一見してわかるものではありませんが、とても深い魅力のある最高の町です」


国のナショナルサイクルルートに指定されている「つくば霞ヶ浦りんりんロード」をマウンテンバイクで走りながら、桜川市内を周遊するツアー「カバイチライド」を開催。

隊員任期は来年の5月末まで。任期が残り1年を切ったおそとまんさんに、今後の展望を聞きました。

「里山整備をしたことで、それまで閉ざされていた山道が通れるようになったと、地域の人から感謝されることもあり、やりがいを感じます。3年間の隊員活動の集大成として、来年4月に地域の人に向けたヤマザクラのお披露目会を計画しています。きれいに咲いているヤマザクラを見てもらえれば、きっと喜んでもらえるはずです。隊員活動を経験して、これまでのアウトドアスキルに、里山で生きる知恵が加わりました。任期後は、これまでに整備したエリアを使って、キャンプや里山体験、マウンテンバイクなどのアクティビティを提供して、この町の里山の魅力を伝えていきたいです」


「遊びも生活も最高に楽しいです。ここに経済活動をどう混ぜ込んでいくかが、今の私の課題です」と話すおそとまんさん。

 

桜川市で新たな一歩を踏み出してみませんか?

地域おこし協力隊は、あなたの「好き」や「得意」を活動とつなげて、地域の課題に取り組む仕事。自らも地域の一員として、人とつながりながら活動できるのが地域おこし協力隊の楽しさであり、やりがいです。

活動のフィールドは幅広く、あなたの経験やスキルを生かせる場がきっと見つかります。協力隊活動の業務時間外であれば、副業も可能です。任期後に向けた起業や就職を通じて、人生の新しいステージを築くチャンスにもなります。

桜川市では今後も隊員募集を予定しています。募集情報にぜひご注目ください!

\清田さんからのメッセージ/
「こんな暮らしがしたい」「活動でこんなことがしたい」と具体的なイメージをもって協力隊に応募すると良いと思います。やりたいことがはっきりしていれば、周り人もサポートしてくれます。自分が地域のためにしたいことと、地域が求めていることがマッチしていれば、隊員活動にやりがいを感じられるはずです。桜川市の人はあたたかい方ばかりなので、安心して活動できます。一緒に協力しながら活動していきましょう!
 
\おそとまんさんからのメッセージ/

地域おこし協力隊という肩書きのおかげで、普通の生活では触れられないような経験ができます。協力隊の活動は自由度が高いので、ビジョンを持って活動することをおすすめします。桜川市は何もない町と言われますが、じつはなんでもある町。ひと目では分からないものなので、この町に腰を据えて本当の魅力を発見してください。

 

茨城県桜川市はこんなところ

ヤマザクラがまちを彩る自然豊かな町

茨城県西部に位置する桜川市は、市名の由来でもある桜川と三方を囲む山々に自生する55万本のヤマザクラが織りなす、風光明媚なまちです。春には、花のピンクや新芽の赤、新緑が一斉に山肌を彩り、まるでパッチワークのような景観が広がり、訪れる人を魅了します。都心から約90分でアクセスできる距離でありながら、豊かな自然に囲まれた落ち着いた時間が流れています。

歴史を感じる町並みが残る、真壁地区

市内の真壁地区は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、約100棟の登録文化財が残されています。江戸時代初期に完成したとされる町割りは、当時の姿をとどめていて、蔵や門などの歴史的建造物が今もその面影を伝えています。また、地元有志のおもてなしの心から始まった「真壁のひなまつり」が開催されるなど、歴史や文化に加え、地域のあたたかさに触れることができます。

四季の彩りが日常に寄り添うまち

桜川市の魅力は、歴史ある町並みと四季折々の自然が織りなす風景にあります。春には桜が里山を彩り、夏は青空と緑の山々が鮮やかなコントラストを描きます。秋には稲穂が絨毯のように揺れる田んぼや真っ白な蕎麦の花畑が広がり、冬の澄んだ空気の中では、市内から筑波山の雄大な姿が望めます。

朝焼けが水戸線や田畑を照らす瞬間、門毛の丘陵地に霧がたなびく風景、犬田の橋から見渡す山脈と蕎麦畑など、観光ガイドに載っていない名もなき場所を歩き、自分だけの景色を見つける楽しみがあるのもこの町ならではの魅力です。

古き良き文化が残り、新しい挑戦も育つ場所

まちおこしプロジェクト「THE DAY」が手がける「まかべ朝市」をはじめ、「珈琲ノ輪」による出張喫茶やコーヒー農園でのコーヒーチェリー収穫体験など、地域に新しい動きが広がり、多彩な文化がまちに根づきはじめています。

一方で、「かったて祭り」「火渉祭」など、古くから受け継がれてきた祭礼も今なお大切に守られています。幻想的なその光景は、訪れる人々の心に深い余韻を残し、桜川市の歴史と文化の豊かさを感じさせてくれます。

人との関係性が暮らしを豊かにする、あたたかなまち

桜川市は、人とのつながりが線のように続いていくまちです。あいさつひとつから関係が広がり、日常のなかで新しい出会いや学びが生まれていきます。市外から来た人にも気さくに声をかけ、あたたかく受け入れる雰囲気があります。古くからの文化や助け合いの習慣が生活の中に溶け込み、住むほどにこのまちの良さを実感できます。

 

地域おこし協力隊とは?

地域おこし協力隊は、都市部から地方へ移住し、一定期間(概ね1年から最長3年)地域の課題解決に取り組みながら、その地域への定住・定着を図ることを目的とした制度です。活動内容は地域ごとに異なりますが、農林水産業の支援や耕作放棄地の再生、観光振興、特産品開発、移住促進など、多岐にわたります。

協力隊の大きな特徴は、いきなり移住して起業や就職を目指すのではなく、一定の収入を得ながら地域での暮らしを体験し、自分のやりたいことを形にしていける点です。地域に貢献したい、自分のスキルを活かしたい、新しい暮らしを始めたい――そんな思いを持つ人にとって、地域おこし協力隊は大きなチャンスです。

取材・文:鈴木俊輔 写真:渡部 聡


【桜川市地域おこし協力隊に関するお問い合わせ】
桜川市 総合戦略部 ヤマザクラ課 担当:五島
TEL: 0296-58-5111
mail: yamazakura_s(at)city.sakuragawa.lg.jp

【桜川市公式サイト】
https://www.city.sakuragawa.lg.jp/

【桜川市移住促進サイト「桜楽暮(さくらぐらし)」】
https://www.city.sakuragawa.lg.jp/ijyu_teijyu/

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