TURNS LOCAL COLLEGE in 群馬県みどり市
開催レポート

地域事業者の本音に本気で寄り添う実践型プログラム

18歳から29歳までの若者が約2週間、地域に飛び込み、地域に残るビジネスプランを提案する実践型プログラム 『TURNS LOCAL COLLEGE(通称:ローカレ)』。これまで全国各地で開催され、参加者と “第2のふるさと”と言えるような地域との出会いを生み出してきました。

今回は、2025年8月18~31日に群馬県みどり市で開催されたローカレの様子をレポート。参加者の姿を追いながら、一人ひとりが見出した“みどり市の魅力”をお届けします!

▼ローカレとは?
https://turns.jp/111353

 

今回の舞台は……\群馬県みどり市!

浅草駅から直通電車で約120分。群馬県東部に位置するみどり市は、足尾山地と渡良瀬川が育む豊かな自然に恵まれたまち。中心部には宿場町として栄えた時代の蔵造りの商店が今も残り、歴史と文化、そして訪れる人をあたたかく迎え入れる風土が息づいています。

自然と人の魅力、資源があふれるみどり市は、観光・移住先としてはもちろん、ローカルビジネスのフィールドとしても注目の地域です。

ローカレin 群馬県みどり市 14日間の歩み

今回ローカレでは、地元事業者の方々にご協力いただき、課題に即したテーマを設定。参加者たちは5チームに分かれてそれぞれの課題に取り組みました。

みどり市で取り組む5つの課題と協力事業者

1.株式会社新宇商店
江戸時代から続く、「新宇商店」が2017年に立ち上げた新事業。大間々町にある明治~昭和にかけて作られた土蔵を活用し、古い陶磁器の展示販売、カフェの運営、蔵を改修した宿泊施設を提供しています。
課題・目標:土蔵の改装費を生み出し、未利用蔵を活用するための新たな企画をつくる

2:子供の第3の居場所「おむすび堂」
地域の子ども達が気軽に通える居場所として学習スペースや遊び場などを開放しているほか、地域の方も気軽に過ごせる場を提供。 多世代コミュニティの形成を目指しています。
課題・目標:障害のある方々の力を借りつつ、子ども食堂を活かす施策を考える

3:有限会社C&C
1997年創業、特注・造作家具製造業者。木工、塗装、布張りの3部門にそれぞれ職人が在籍し、受注から納品までを一貫して行っています。有名ホテルや大手企業のオフィス家具、夢の国のソファやテーブルといった他社では製造困難な特注家具の受注実績多数。
課題・目標:みどり市と言えばC&Cと第一想起される存在になる

4.観光産業の活性化(一般社団法人 みどり市観光協会)
大間々町を拠点に観光宣伝・誘客・イベント実施などを行う観光振興団体。岩宿遺跡、高津戸峡、わたらせ渓谷鉄道など、地域資源を生かす経済活性化を目指し、公式サイト「いろどりみどり市」や、マスコット「小菊 華(こぎく はな)」ちゃんを通じて情報発信中。
課題・目標:地域の観光素材を活かして観光消費額を150%UPさせ、地域の人が地域外の人に誇れるみどり市にする

5.みどり市 政策企画部 地域創生課
移住定住のための各種情報提供を行い、みどり市への円滑な移住と定住を支援しています。移住希望者を対象とした都内での移住相談会への参加や、市内の魅力を伝える市内体験ツアーなどを行い、市内外にみどり市のPRを行っています。
課題・目標:地域内外の方が”愛着”を持てるまちの魅力をつくり、10年後に社会増を+100人にする

 

Day0〜2(キックオフ・フィールドワーク)

北は山形から南は沖縄まで。全国各地から集まった15名の参加者を迎えてスタートした今回のローカレ。キックオフイベントには須藤昭男市長も公務の合間を縫って駆け付け、緊張と期待が入り混じる様子の参加者に対して「みどり市を第2のふるさとだと思って親しんでほしい」と歓迎の言葉を贈りました。

2 日目は、朝からフィールドワークに出発。参加者は5チームに分かれ、チームごとに地元事業者のもとを訪問し、ビジネスの種となる事業・地域課題についてヒアリングを重ねました。

Day3(中間プレゼン)

参加者は集めた情報をもとに、これから創り上げるビジネスプランの方針をプレゼン。それを受けた事業者の方々からは、「ターゲットも数的根拠も曖昧だ」という指摘や、「ビジネスの本質が見えていない」などの厳しい声も上がりました。ただ、それらの言葉の根底には「より良い地域や事業を本気で創りたい」という覚悟がにじんでおり、その熱意に触れた参加者が涙するシーンも。参加者は思いに応えるべく、プランに磨きを掛けようと決意を新たにしていました。

DAY4-7(フィールドワーク)

ローカルビジネスを生み出す第一歩は、現地に足を運び、地域の特長や課題を自らの体感を通して理解すること。参加者は連日、事業者のもとを訪ね、ビジネスの現場で汗を流したり地域住民にヒアリングしたりしながら、多角的に情報を収集。みどり市と地域課題への理解を一層深めていきました。

 

DAY8-12 ブラッシュアップ

折り返し地点を過ぎ、当初は「自分の意見を伝えるのが苦手」と悩んでいた参加者にも変化が。「みどり市のため」という共通目標を胸に積極的にアイデアを出し合い、仲間や事業者と活発に議論を重ねる姿が見られました。

DAY13 ラストスパート!

明日は最終プレゼン。チーム内で何度も意見をぶつけ合い、明け方まで資料作りに没頭するメンバーの姿も。この過程を通じて参加者は、「地域課題に本気で、そして本音で向き合い、地域に寄り添う」とはどういうことかを、身をもって体感したようでした。

DAY14 最終プレゼン

いよいよ迎えた最終プレゼンの日。仲間と共にステージに立ち、地域と人を思う気持ちを10分間の発表に詰め込みました。

提案に対し、事業者から「すぐに取り入れたい」という前向きな声も寄せられ、その言葉を受けた参加者の目には涙が。会場のあちらこちらで「お世話になりました」「またいつでも帰っておいで」とあたたかい言葉が交わされ、2週間のローカレは感動のうちに幕を閉じました。

ローカレを終えて

2週間の日々は単なるプランづくりを越え、地域や人と深く関わる中で自分自身を見つめ直し、仲間とともに成長するかけがえのない時間となりました。そして、今回生まれたビジネスプランは各事業者から高く評価され、みどり市の未来を拓く確かな一歩として、すでに社会実装に向けて動き出しています。

2週間のプログラムを終えた参加者に、それぞれが見出したみどり市の魅力やローカレでの感想を、ご協力いただいたみどり市の方々にプレゼンを受けた感想をいただきました。

 

参加者の声-みどり市の魅力-
 

 

 

 

 

岡森由花さん
みどり市の魅力①:3つのまちそれぞれに個性がある
みどり市は、3町村が合併して誕生したまち。笠懸町はインフラが整っていて暮らしやすく、大間々町は宿場町としての歴史が息づき、東町は自然豊か。それぞれの地域が持つ風土や個性が大切に受け継がれているところに惹かれました。

 

田邊竜晴さん
みどり市の魅力②:アクセス環境が良く、自然・観光資源が豊富
けさかけ橋や草木湖、メロディーラインなど、自然・観光資源が豊富。これらを活かすことで、地域がさらに活性化していく可能性を感じました。

 

水間莉帆さん
みどり市の魅力③:個人経営の個性的な飲食店が豊富
歴史ある酒蔵や商店に加え、個人営業のユニークなお店もたくさんあります!お店の方も常連さんも気さくにあたたかく迎えてくれて下さり、とても居心地が良かったです。

 

石田一成さん
みどり市の魅力④:よそ者をあたたかく迎えてくれる
何よりも印象に残ったのは、人のあたたかさです。初対面の私たちにも真剣に向き合ってくださり、みどり市の一番の魅力は”人”だと実感しました!

 

大谷美羽さん
みどり市の魅力⑤:こうなりたい!と思う人に出会える
出会った方々が皆さん丁寧に、そして熱意を込めてお話ししてくださったことが心に残りました。「こんな大人になりたい」と思える方々に出会えたことで、みどり市に来て本当に良かったと感じました。

 

参加者の声-ローカレの感想-
葉山カトルさん
他人に自分の素を出すと「面倒臭がられるのでは」と躊躇していましたが、ローカレではメンバーそれぞれが個を尊重していて、むしろ素を出すことが歓迎される環境でした。素でぶつかり合うことの楽しさを覚え、今後の自分にとって大切な機会になりました。

 

園田雅也さん
周りに流され、言われるがまま就活をしていましたが、みどり市の方々が地域の人と積極的に関わり、力を合わせて地域活性化に取り組む姿に刺激をもらいました。もう一度、自分が何をしたいのか、そして何が必要なのかを考え直し、キャリア・人生プランを考えていきたいです。

 

遠藤愛梨さん
2週間地域や人と深く向き合ったことで、自分の強みと弱みを改めて認識できました。また旅行などでみどり市を訪れ、事業者さんに会いに行きたいです。

 

山本和ノ花さん
ここまで熱量が高くて、また自分のやりたいことを明確に持っているメンバーと親しくなれる機会は少なかったので、とてもありがたく感じています。年齢の壁なく向き合えることがどんなに嬉しかったか、言葉では表せないくらいです。

 

岩渕桜輝さん
人前で話す時や知らない人と会話する時のスキルが鍛えられ、かなり勉強になりました。町おこしのプログラムや地域行事に参加するなど、今後もさまざまな方法でみどり市と関わり続けたいです。

 

大砂凛香さん
グループでの話し合いや活動の時に、自分がどのような役割を得意とし、必要とされるか、異なる考え方を尊重し、意見の引き出しながらまとめていくにはどうすれば良いかを学べました。参加者のみんなでご飯を作ったり花火をしたり、オフの日に全員で遊びに行ったりしたことが良い思い出になりました。

 

大江ねねさん
自分の意見をバンバン言えるようになりました!今後もみどり市でマルシェなどがあれば、駆け付けたいです。

 

ご協力いただいたみどり市の皆さん
 

 

 

 

株式会社新宇商店
新井みゆきさん

歴史ある蔵の特徴やショップの実情を踏まえた提案は、私たちにはない新鮮な発想でまさに目から鱗でした。また、中間から最終プレゼンまで、一貫して“利益を生んで投資につなげる”という経営者視点が盛り込まれていたことも、大変心強く感じました。何より皆さんの真摯な姿勢に励まされ、「地域の歴史や文化を受け継いできた、これまでの歩みは間違っていなかった」と確信するとともに、さらに前へ進む勇気をいただけたことに心から感謝しています。

 

有限会社C&C
小島忠さん(右)、石井秀一さん(左)

採用過程にプロダクト制作を組み込み、完成までの時間を共にすることで応募者と中長期的な関係を築くという発想が、とても新鮮で印象的でした。応募者にとっては社風理解につながり、企業にとっても採用後のミスマッチ防止に効果的なので、今後の採用活動にぜひ活かしていきたいです。また、チームでアイデアを出し合い、互いの個性を尊重しながらプレゼンを創り上げる姿からも多くの学びがありました。

 

社会福祉法人 チハヤ会
福本昌彦さん、上山めぐみさん

新鮮な視点で『子ども第三の居場所 おむすび堂』を見つめ、店名やメニュー、空間づくりに至るまで具体的な提案をしてくれました。“子どもと大人が安心して過ごせる”というコンセプトはみどり市の子育て支援の方向性とも重なるので、今後も大切にしていきたいと改めて感じています。社会貢献と収益性の両立という複雑な事業背景を理解し、真摯に課題に向き合う皆さんの姿に触れ、新たな挑戦へと踏み出す勇気をいただきました。

 

一般社団法人 みどり市観光協会
中尾一敏さん(左)、大塚功之さん(右)

私たちの事業計画の方向性を踏まえた提案をしてくださり、今後に生かせる具体的なアイデアを数多くいただきました。外からの視点だからこそ出せる率直な意見も多く、大変貴重に感じています。特にSNSや動画を活用した双方向性の高い発信手法は、組織全体で取り組むべき課題だと改めて実感しました。参加者の皆さんにはローカレをきっかけにまたみどり市を訪れ、自ら発信者となって地域の魅力を広める仲間になっていただけたら、とても嬉しく思います。

 

みどり市政策企画部地域創生課
左から、岡研太郎さん、星野渉実さん、瀬谷勉さん、須永潤さん

柔軟な発想に触れ、大きな刺激を受けました。特に、替え歌に思いを載せて届けるユニークな手法や「みどモス」復活といった話題性のある企画には、地域活性化への可能性を感じます。2週間の成長も目覚ましく、多くの人と対話を重ねて丁寧に企画を練り上げ、自信を持ってプレゼンに臨む姿に心を打たれました。皆さんの熱意に触れ、私たちもより市のPRに力を尽くしていこうと、決意を新たにすることができました。

 

みどり市地域おこし協力隊
宍倉淳一さん

よそ者・若者という新鮮な視点でみどり市を見つめ、特長も改善点も真っ直ぐに伝えてくれたことが事業者の皆さんの新たな気付きにつながったと思います。プレゼンを受けた事業者がこれからどんな一歩を踏み出し、地域がどう変わっていくのか、その行方を見届けるのが楽しみです。参加者の皆さんにはこれを機にそれぞれの形でみどり市に関心を持ち続けていただけたら嬉しく思います。またみどり市にお越しの際は、ぜひ会いに来てください。

 

みどり市長 須藤 昭男さん

皆さんが本気で取り組む姿。壁にぶつかっても諦めず、力を合わせて全力を尽くす姿。そのひたむきさに胸を打たれました。これから人生を歩む上で、立ち止まったり悩んだりした時は、どうかみどり市を「第2のふるさと」だと思っていつでも帰って来てください。地域の人たちとの交流が、きっと心を元気にしてくれるはずです。みどり市で得た出会いや経験が皆さんの未来を照らす力となり、新しい挑戦に向かう勇気となることを願っています。

 

TURNS
 

 

 

 

TURNS LOCAL COLLEGE ファシリテーター
大塚史隆

「地域に残るビジネス」を考えるがテーマのローカレ。参加者のまっすぐな姿勢、想いが今回協力いただいた事業者さんに届き、『良い企画だったら残す』から、次第に『どうすれば残せるか』へと変わっていきました。ただのアイデア出しではなく、”残す”企画を考えるからこそ、リアルな壁にぶつかり、「もう無理」と感じながらも突き進む姿や日に日に成長してく様子。それらを最前線で見させていただき、とても価値ある日々でした。

 

TURNSプロデューサー
堀口正裕

2週間じっくりみどり市と向き合ったことで、地域課題に挑む難しさや事業経営の厳しさを実感できたのではないかと思います。ですが、ローカレはビジネスの芽が生まれた今日からが本当のスタートです。事業者の皆さんにはその芽を社会実装させる一歩を踏み出していただき、参加者の皆さんにはみどり市で得た学びや経験、そして共に歩んだ仲間を大切な財産として、これからの挑戦につなげていただきたいです。

 


地域おこし協力隊募集中!

みどり市では、移住・定住、農業、林業の3つの分野で計3名の地域おこし協力隊を募集しています!
地域活性化に貢献しながらあなたらしく活躍できる、やりがいのある仕事に挑戦しませんか?

活動内容・募集人数
1.農業振興に関する活動【募集人数:1名】
2.林業振興に関する活動【募集人数:1名】
(令和7年10月現在)

▼詳細はこちら!
https://www.city.midori.gunma.jp/ijuteiju/1005147/1007562.html

 

写真:TARO

人気記事

新着記事