2024年11月16日(土)、首都圏在住の子育て世帯を対象とした「つくばエクスプレス沿線移住」現地日帰りツアーが開催されました。
公園の散策や分譲住宅の見学、スーパーでのお買い物体験、先輩移住者との交流などを通して、茨城県つくばエクスプレス(以下、TX)沿線で暮らす魅力を深く知ることができた1日をレポートします。
茨城県TX沿線エリアはこんなところ
秋葉原駅からTXで最短45分。都心へのアクセスの良さに加え、筑波山をはじめとする豊かな自然環境に恵まれた茨城県TX沿線エリア。「JAXA筑波宇宙センター」や「筑波大学」など数多くの研究・教育機関が集積するつくば市は、日本最先端の研究学園都市・科学技術都市としても広く知られています。
2005年のTX開業を機に、沿線エリアでは広い道路や公園の整備、商業施設や住宅地の開発が計画的に進められ、美しい街並みが形成されました。病院や学校などの生活インフラも充実しており、「新しくて住みやすく、居心地が良いまち」として注目されています。
近年は、特に首都圏からの子育て世帯の流入が顕著で、新しい保育施設や小学校が毎年のように開設しています。商業施設の進出も相次いでおり、今後もさらなる発展が期待できる注目のエリアです。
10:30 都市と自然が融合する「つくば市中央公園」を散策
ツアーの始まりは、つくば駅に降り立つとすぐそこにある「つくば市中央公園」から。豊かな緑に囲まれながら、周囲には商業ビルや公共施設が建ち並び、都市機能と自然が調和したつくばの魅力的な街並みを早速体感することができます。
この日は、未就学児のお子さまを子育て中のご家族が参加。以前から他の地域にも足を運んで暮らしを覗いているという方も多く、移住への本気度の高さを感じます。
ツアーをアテンドしてくださるのは、小泉祐司さん。埼玉県出身で高校から大学までを東京で過ごし、水戸市役所に約4年間勤務。その後、つくば市に拠点を移し、コンサルティングやスタートアップ支援の分野で活躍した経歴を持つ方です。
「つくば市中央公園は茨城県TX沿線で子育てをするファミリーには馴染み深いスポットです。今日もお父さんがお子さんを連れて遊びに来ていたり、多くのご家族連れで賑わっていますが、これが彼らの日常です。茨城県TX沿線エリアには、子どもが自然の中で思い切り遊べる公園がたくさんあります。公園を何か所も“ハシゴ”して過ごすご家族も多いんですよ。今日は、そんなつくば定番の休日スタイルを皆さんに体験していただきます」
小泉さんの説明とともに、公園の散策をスタート。広大な敷地内には、噴水池や芝生広場、散歩道が整備され、ピクニックを楽しむ家族、読書に耽る人、紅葉狩りを楽しむ人、ジョギングで汗を流す人など、思い思いの時間を過ごす住民の姿が見られます。
大きな噴水池の向こうに「つくばエキスポセンター」のロケットが聳える景色は、科学技術都市つくばを象徴する人気の撮影スポットです。参加者たちも早速カメラを向けていました。
「つくばエキスポセンター」の前では、多くの子どもたちが長い列を作っていました。
1985年に開催されたつくば科学万博の施設として建設された「つくばエキスポセンター」は、現在は科学館として一般に公開されています。館内では宇宙、深海、エネルギーなど、科学技術に関するさまざまな展示を見ることができます。参加型の実験コーナーやプラネタリウムもあり、サイエンスショーや科学教室といったイベントも定期的に開催。こうした知的好奇心を育みやすい環境があることも、茨城県TX沿線エリアが子育て世代に評価される理由なのでしょう。
公園を散策中、参加者の子どもたちがドングリ拾いに夢中に。大人たちも一緒になって地面を覗き込み、「こんなに大きいのがあったよ!」と見せ合いながら、自然とのふれあいを楽しんでいる姿が印象的でした。
「つくば市中央公園」では、毎月第2日曜日にマルシェが開催されるほか、8月の「まつりつくば」、10月のラーメンフェスタなど、年間を通じてさまざまなイベントが行われています。人々が集まり、交流や楽しみを共有する場としても親しまれているようです。
11:30 つくばの名店で地元野菜×イタリアンの絶品ランチを味わう
つくば市中央公園を後にした参加者は、バスに乗って本日の昼食会場となるイタリアンレストラン「コルヌコピア」へ。地元産の野菜を主役に据えたメニューとシェフ手作りの自家製パスタが評判のお店です。事前予約のおかげでスムーズに入店できましたが、店内はすでに大勢のお客さまで満席。地元での人気の高さがうかがえます。
「つくばには、地元の方々に愛される実力派レストランがたくさんあります。なかでもコルヌコピアはその代表格。休日には市外からも多くの方々が訪れます」と小泉さん。
この日は、パスタをメインにしたフォカッチャ・ミネストローネ・前菜・ドリンクがセットになったランチコースをいただきました。
まずは、自家製フォカッチャとともに、旬の野菜がたっぷり入ったミネストローネをひと口。素材の旨みがスープに溶け込んだやさしい味わいに、皆さんの表情がほころびます。
野菜は自家栽培や地元生産者が作った作物が揃う直売所から仕入れるほか、つくば山麓の障がい者施設と連携して栽培されたものを使用しているそうです。
続く前菜は、国産牛の自家製ローストビーフ、自家製ハム、ポルペティーニ(イタリア風ミートボール)、レンズ豆、キャロットラペなど彩り豊かな盛り合わせ。目でも楽しめるひと皿です。
メインディッシュのパスタは3種類からチョイス。「トマト&チーズ シンプルパスタ」「ベビーホタテ&旬菜 クリームパスタ」「国産牛ボロネーゼ チーズたっぷり」と、どれも魅力的なラインナップ。
店内はベビーカーや車椅子でも通りやすい広々とした設計で、小さなお子さま連れや三世代での利用にも配慮されています。「家族みんなで楽しいひとときを過ごしてほしい」というオーナーの心遣いが感じられる、あたたかく居心地の良い空間でした。
13:00 島名・福田坪地区の分譲地「ブリージアつくば陣場」で暮らしをイメージ
午後は万博記念公園駅方面の島名・福田坪地区へ移動。豊かな自然に囲まれたこのエリアは、茨城県の土地区画整理事業による宅地開発が進む新しい住宅地です。こちらでは、全73区画の大型分譲地「ブリージアつくば陣場」で分譲住宅を見学し、つくばで実現できる住まいのイメージを掴みます。
「ブリージアつくば陣場」では、環境に配慮した先進的なまちづくりが行われています。その特徴は、大半の住宅が太陽光発電システムと蓄電池を備えたZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)仕様で、無電柱化により、空を遮るものがない美しい景観が形成されていること。高台に位置するため、筑波山への眺望も抜群です。
早速、ハウスメーカーの皆さんが分譲住宅を案内してくださいました。
こちらの2階建ては延べ床面積114.6㎡、4LDK+書斎+ウォークインクローゼットの間取り。1階の南側に明るいLDKが広がります。参加者たちは広々としたペニンシュラキッチンに釘付け。
続いて見学したのは、延べ床面積約112㎡の2階建て、リビングの南側にウッドデッキが続く4LDK+ウォークインクローゼットの間取り。キッチン、洗面脱衣室兼洗濯室、サンルーム、ウォークインクローゼットを回遊できるスムーズな家事動線が好評でした。
参加者からは、「キッチンの前に椅子を置いてダイニングとして使えば、空間を広々使えますね」「庭の緑を眺めながら暮らせるのは素敵ですね」など、実際の暮らしをイメージする声が次々と上がりました。
お値段は、1区画あたりの土地面積が180㎡以上で土地価格が平均1,900万円台。東京都内の同規模の土地と比べるとお手頃な価格です。建物には太陽光発電システム、蓄電池、家庭内のエネルギー消費量を管理するHEMSを搭載。年間エネルギー収支をゼロにすることを目指しており(使用環境等の条件によっては、エネルギー収支がゼロにならない場合があります)、光熱費が抑えられ、環境に優しい暮らしが可能となるほか、災害時の電力確保も可能となります。さらには、条件にもよりますが、国の補助制度や支援策も活用できるとのことです。
交通アクセスは、最寄りの万博記念公園駅まで車で4分(徒歩20分)。常磐自動車道の「谷田部IC」や圏央道の「つくばIC」にアクセスしやすく、遠出にも便利です。また、車で10〜15分の距離に大型ショッピングセンター「イーアスつくば」や「コストコ」があることも嬉しいポイントです。
いくつかの分譲住宅を見て回る中で、既に入居されているご家族の姿も見受けられました。ハウスメーカー担当者の説明によると、「自社所有区画の購入者は20〜30代の子育て世帯がほとんどで、県外から移住し、TXを利用して都内へ通勤されている方も多い」とのこと。住宅の建築が続々と進む中、同時期に入居する同世代の住民同士でコミュニティを形成しやすい環境にも魅力を感じました。
14:30 科学万博記念公園を散策。つくばならではの秋の絶景を堪能
この日“2軒目”の公園、「科学万博記念公園」では、参加者それぞれが自由な時間を過ごしました。つくば科学万博のメイン会場となったこの場所。日本パビリオンのシンボルタワーを再現した巨大な「科学の門」が設置されており、その足下には当時の会場マップが描かれています。
約6万㎡の敷地内には、芝生広場、修景池、アヤメ園、テニスコートなどがあり、開放的で1日のんびりと過ごすのに十分な広さです。レジャーシートやテントを広げてピクニックを楽しむカップルや家族連れの姿も。
芝生広場を囲むイチョウ並木は秋の絶景スポット。この日はまさに黄葉真っ盛り。鮮やかな黄金色に染まったイチョウのトンネルは、カメラを片手に散歩を楽しむ人たちでいっぱい。参加者たちもこの時期にしか楽しめない美しい光景を写真に収めて大満足の様子でした。
16:15 つくば発、滞在型スーパー「BLΛNDE」で特別なお買い物体験
茨城県TX沿線エリアには、1日遊べる大型商業施設から日常生活に欠かせないスーパーやドラッグストアまで、多彩なショッピング施設が揃っています。今回のツアーでは、「まるでデパ地下!」と地元で話題の食品スーパー「BLΛNDE(ブランデ) 研究学園店」で、お買い物を体験しました。
「BLΛNDE」はつくば市に本社を置く食品スーパー「カスミ」の新業態で、高品質かつ専門性の高い豊富な品揃えと滞在性を重視した店舗設計が特徴です。売り場だけではなく、居心地のいいカフェやテイスティングを楽しめるワインバー、シェフなどによる料理講座が行われるクッキングスタジオ、BLΛNDE Prime(ブランデ プライム)ゴールド会員専用のラウンジも併設されており、従来の“食品スーパー”のイメージを携えて訪れると、その先入観は覆されることに…。
まずは青果売り場をチェック。カスミのプライベートブランド「MiiL」や、栄養価が高く安全・美味しさにこだわって作られた「Vege Love」ブランドの野菜類が、まるで海外のマルシェのように陳列されています。トマトだけでワンコーナーを作れるほどの品揃えは圧巻。ヤシの実や青パパイヤ、タマリンド(そら豆のような形をしたマメ科のフルーツ)など、普段目にしないフルーツも並び、店内を華やかに彩っていました。
続いて酒類売り場へ。クラフトビールが4台の冷蔵庫にぎっしり。ワインの品揃えもピカイチです。バーカウンターではソムリエおすすめのお酒をテイスティング(有料)して、量り売りで好きな量だけ購入することもできます。
精肉・鮮魚・お惣菜売り場では対面販売も行われており、夕食の買い出しに訪れた多くの買い物客で賑わっていました。
約40分のお買い物タイムはあっという間に過ぎ、名残惜しさを感じながらBLΛNDEを後にしました。
17:15 先輩移住者が語る、茨城県TX沿線暮らしのリアルエピソード
つくば駅に戻ってきた参加者たちはバスを降り、最後の目的地「co-en」へ。ここは、つくばでの多様な働き方や活動をサポートする交流拠点施設。シェアオフィスやコワーキングスペース、会議室、カフェ、シェアキッチンなどの機能を備えており、自宅以外で快適に働ける環境を提供してくれるリモートワーカーにおすすめの場所です。
小泉さんに施設を案内していただいた後は、会議室をお借りして、先輩移住者2組との交流会を実施。茨城県TX沿線で暮らす魅力や子育て体験などについてお話を伺いました。
2019年に東京から夫の地元へUターンした山川さんは、現在2歳の娘さんを育てています。夫婦ともに東京の会社に勤めており、夫は完全リモートワーク、妻の空さんは週1〜2回の出社とリモートワークを組み合わせて働いています。
「茨城県TX沿線は公園が豊富で、子どもたちがのびのびと遊べる環境が整っています。都内では大きな公園に行くのも一苦労ですが、ここではその日の気分や目的に合わせて公園を選び放題です。週末には各公園で子どもと楽しめるイベントが開催されることも多く、こうした環境で子育てができるのは本当に恵まれていると感じます。今日も家族で、洞峰公園で開催されていた防災フェスを楽しんできました」と山川さん。
一級建築士の吉川さんは茨城県出身で、高校時代をつくば市で過ごし、神奈川県の大学へ進学。その後、東京で吉デザイン設計事務所を立ち上げました。2008年に住まいをつくば市に移し、現在はつくばと東京のオフィスを行き来しながら活動しています。
「移住当時、1歳だった双子の娘たちは高校3年生になりました。茨城県TX沿線で子育てをするメリットは、学校の学力水準の高さです。大学教授や研究者の子どもが多いなか、娘たちはクラスメイトの学習意欲に刺激され、学力を伸ばすことができました。優秀な先生も多く、誰もが質の高い教育を受けられる環境だと実感しています」と吉川さん。
このほか、「通勤時、つくば駅や研究学園駅からは確実に座れる」「週末のイベント情報収集は子育てママ向けのオープンチャットを活用している」「保育園の送迎は車通勤の途中に済ませると効率的」など、次々と語られるエピソードに参加者たちは興味津々。
質疑応答では、参加者から「保育園の受け入れ状況はどうですか?」「どのような特徴の保育園がありますか?」といった質問が寄せられました。
山川さんは自身の経験を交えながら次のように回答。
「娘は生後5ヶ月で保育園に入園しました。その当時は、0歳児の受け入れはほぼ確実で、1歳児は入園できる可能性は高いけれど、希望の園に入れるかはわからないと市役所で聞きました。しかし、最近は状況が変わってきているようです。特に新興住宅地のような開発が進んでいるエリアでは、保育園の数が追いついていないところもあるようで、自治体が整備に力を入れている印象です。
また、私立保育園の中には、どろんこ保育や英語教育など、特色のある保育方針を取り入れている園も多くあります。最近では、インターナショナルプリスクールも増えていて、それを目当てに移住してこられる方もいらっしゃるようです」
吉川さんには、「住居価格を抑えられる穴場のエリアはありますか?」という質問が。
「駅から少し離れると一気に価格が下がり、手ごろな物件が増えるため、予算に応じた選択がしやすくなります。一見不便に思われるかもしれませんが、つくば駅から各方面へ路線バスが出ていて運行本数も多いので、意外と便利な生活ができます。また、つくば駅を除けば駅周辺の駐車場料金が安いので、パーク&ライドもしやすいですよ」と吉川さん。
ここで、ツアーに同行していた茨城県立地推進部宅地整備販売課の担当者から、県による開発エリアの紹介がありました。
「今日ご覧いただいた万博記念公園駅周辺の島名・福田坪地区や上河原崎・中西地区では、県による区画整理事業の結果、新しい住宅の建設が活発に行われています。商業施設やインターチェンジ等の整備も見込まれており、さらに住みやすくなることが期待されている注目のエリアです」
実際に茨城県TX沿線で子育てをしながら暮らす先輩移住者から生きた情報が共有される中で、参加者たちの疑問や不安は徐々に解消され、移住後の生活をより明確にイメージできる貴重な機会となりました。
18:00 移住体験ツアーの振り返り
これにてツアーは終了です。盛りだくさんの内容だった1日を終えて、最後に参加者の皆さんからツアーの感想をひと言ずつもらいました。その一部を紹介します。
「実際に子育てを経験された移住者の方から教育環境について直接お話を伺え、とても参考になりました。特に、学校の学力水準が高いという点は、教育の面でも魅力的。息子にも良い刺激を受けながら意欲的に学んでほしいと考えているので、前向きに移住を検討してみたいと思います」
「公園で海外の方々がジョギングをしている姿を見かけ、国際色豊かな環境で子どもたちがさまざまな文化や価値観に触れながら成長できるのは素敵だなと感じました。また、モデルハウスを見学して戸建て住宅への憧れも強くなりました。今後も茨城県TX沿線エリアの情報収集を続けていきたいと思います」
「茨城県のイメージに反して、つくばは思っていたより都会でした。多くの魅力を備えたまちであり、住む価値のある場所だということを実感しました」
「開発ラッシュのまちの様子を見て、将来性を強く感じました。資産価値の観点からも魅力的なエリアだと思います」
茨城県TX沿線なら、理想的な環境で子育てができるかもしれない。そんな思いが、参加者たちの言葉から伝わってきました。
茨城県TX沿線エリアには、今回訪れた場所以外にも親子で楽しめる施設や公園がたくさんあります。「都心から近い場所で、子どもをのびのび育てたい」と考えている方は、今回のツアー内容を参考に、ぜひ一度現地を訪れて生活環境や子育て環境を確かめてみてはいかがでしょうか。TXを利用すれば、あっという間にアクセスできますよ!
茨城県TX沿線移住情報サイトの「新!つくば」で子育てや教育、移住に関する詳しい情報を見ることができます。ぜひチェックしてみてください。
茨城県つくばエクスプレス沿線移住情報サイト
「ブリージアつくば陣場」取材協力:茨城セキスイハイム株式会社
写真:内田麻美