【インターンズ活動報告】
「クラフトビール開発プロジェクト」
in 高知県四万十町

2023年度から活動が始まったTURNSの学生インターン。通称「インターンズ」。全国から学生が集まり、地域を元気にする活動を日々行っています。
今回は、インターンズの活動の1つである、「クラフトビール開発プロジェクト」について紹介します。

「クラフトビール開発プロジェクト」とは、地域の事業者を応援するオリジナルビールブランドを立ち上げるにあたり始まったプロジェクト。現地の人々と交流し、そこで出会った食材を使い、商品化をすることで、商品がたくさんの人々の手に渡り、地域を元気にすることをコンセプトにしています。

第1弾を高知県四万十町で実施し、現在インターンズが商品開発に奮闘中です。
今回は、実際に四万十町の事業者や生産者を訪ね、クラフトビールに使う食材探しを行った様子をお届けします。

 

高知カンパーニュブルワリー「TOSACO」

「TOSACO」は、高知の食材をうまく使い、商品開発ができることが強みであるブルワリーです。四万十町の魅力がつまったクラフトビールを作ることを目指していた私たちは、今回のビール開発のパートナーとして、このTOSACOを選びました。

高知空港から車で約30分。
香美市の山間部の中で物部川沿いに面した場所に、TOSACOはありました。
山間部にあるブルワリーですが、私たちの到着時にはビールを楽しむお客さんが既に何組かいました。

オーナーの瀬戸口さんによると、ブルワリーが完成した際に、数十メートル手前にあったバス停がブルワリーの目の前に移転になったそう。バスを使えば運転を気にせず、みんなでビールを楽しめますね。

続いて、瀬戸口さんにビール工場を案内していただきました。
TOSACO オリジナルのビール製造の工程やビールができる仕組みを説明していただき、 更にTOSACOへの思いが強くなっていきます。

オーナーの瀬戸口さんのビール造りのきっかけは、会社員として働いていたときのこと。 会社員時代にエンジニアとして働いていた頃、自身のできるものづくりについて考え直していた際に、「1から100 までやり通せること」「自分が本当にやりたいこと」をテーマにビール造りへの思いが芽生えたそう。

最初は、家庭菜園で大根の栽培から調理までやり通したことがものづくりの自信に繋がったことで、その後ビール製造の事業化に向けて全国のビール工場を回り、最終的には島根県 で2年間ビール造りを学びました。その後、高知県に移住し、ゆずや麹、しょうがなど、高知県産の食材を掛け合わせたビールを製造しています。

特に、「かやの森ヘイジーエール」は、最高級の碁盤に用いられるかやの木の実を掛け合わせて作ったビール。
絶滅の危機にあるかやの木を残すために、植木活動されている前川さんに心を打たれて、活用されていなかったかやの木の実を用いたビールを作ったそう。

写真の左から「赤しそサワーエール」「かやの森ヘイジーエール」「黒糖スタウト」をいただ きました。
「赤しそサワーエール」は、インパクトのある赤しその酸味と風味でビールの苦みも少なく 飲みやすいビールでした。
「かやの森ヘイジーエール」は、爽やかなかやの風味で、自然の力強さと大きな存在感を感 じました。
「黒糖スタウト」は、黒糖の甘さの中にビターな深みを感じる1品でした。

どのビールも、TOSACOオリジナルの特別な製造設備が、食材の風味を残しているように感じました。

TOSACO では、大阪から移住したオーナーの瀬戸口さんが高知県の食材を掛け合わせてク ラフトビールを作っています。

オーナーの瀬戸口さんのビールへの想いやこだわりをお聞きして、TOSACOの食材の風味を残した製法と、四万十町の生産者の食材や思いを掛け合わせてどんなクラフトビールができるかが、より一層楽しみになりました。

TOSACO : https://tosaco-brewing.com/

 

井上糀店

ブルワリーに訪れた後は、実際にビールと掛け合わせる食材を探しに、様々な生産者を回りました。その中でも、2つの生産者での様子を紹介します。

高知県高岡郡四万十町で文政元年に創業し、200 年以上昔ながらの製法を守り続けてきた「井上糀店」。
7代目の井上雅恵さんは、大学卒業後に大手の半導体企業に勤められ、お母様から店を継いで糀を作り続けています。

味噌はスーパーで気軽に買うことができ、酒造制限も緩和されていたため次第に糀屋は減少していきました。大学を卒業した雅恵さんは、大手半導体企業に勤め、家業を継ぐことはありませんでした。

しかし、祖父母の介護を機に店をたたむという話が上がり、勤めていた会社の早期退職制度の設立や娘の進学など、家業を継ぐ後押しとなるようなきっかけが重なったことで7代目を継ぐ決心をしました。

企業に勤めていらっしゃった時期にも、やはり雅恵さんの心の中には幼い頃から見てきた糀作りの様子や、糀を買っていくお客さんの様子が大切な原体験として残っていたのではないかと感じました。

雅恵さんが家業を継ごうと家に戻った時、日本は東日本大震災の衝撃の中にありました。 継ぐなら効率的に糀を作れるように改装しようと考えていましたが、自然災害はいつ来るか分からない。

これまでの形を守って小さくやっていくことで、災害時にもすぐに道具 を持ち出すことができ、炊き出しなどもできる。こういった考えから、馴染みのある建物と道具で昔からの製法を受け継いで糀を作っています。

実際に見せていただくと、壁も床も 道具も年季が入っていて、それでいて大切に使われてきたことが分かる綺麗さ。建物に入った途端分かるくらいに、糀の良い匂いが染みついていて、思わず深呼吸しました。

7 代目として、「うちの糀はこういうものです。よろしければどうぞ。」という姿勢で作り続けてきたという雅恵さん。根底には、地元に愛される商品を作り続けることで貢献したい という想いがあるそうです。

ご近所さんから電話で受けていた注文が少しずつ減ってネットからの注文が増えてきたり、コロナ禍を機にふるさと納税の注文が増えたりと、広い範囲に届くようになった井上糀店の商品。そんな今日でも、これまでやってきた製法や作る量を無理に変えることなく作り続けるまっすぐな姿勢に、雅恵さんのブレない強さを感じました。

「室の大きさとか、ここで一緒に働いているおばちゃんたち的にも、ちょっと働いたらその 後はみんなでゆっくりお茶しちゃったりしてね。」と楽しそうに話す雅恵さん。

周囲を笑顔にする明るさの中に、井上糀店の歴史を守る強さがある。馴染み深く体に良い糀が、雅恵さんの人柄と想いを知ったら、さらに身近であたたかいものに感じました。

井上糀店 : https://inoue-kouji.com/

 

みよしファーム

四万十町に位置する「みよしファーム」で、私たちは元美容師の三好永芳さんに出会いまし た。美容業界で28年間の経験を持つ一方で、自身の子供時代から抱いていた野菜栽培への情熱を追求するために、高知市から四万十町へと移住したそう。

「年取っても長く続けられると思って。」そう明るくおっしゃった三好さん。「釣りもできるしね。」と茶目っ気たっぷりに語ります。

9年目になる彼の生姜の栽培という挑戦には、驚くほど様々なこだわりと工夫がありました。

私達がみよしファームに訪れた時、ちょうど生姜の収穫時期で、畑は生姜の芳しい香りで満ちていました。

三好さんは現在、2種類の生姜を生産されており、最近は黄色生姜という珍しい品種にも挑戦しています。この黄色生姜は、通常の生姜よりも鮮やかな黄色をしており、その味わいも濃厚です。この新たな品種が、みよしファームの魅力の1つです。

高知県四万十町は、生姜の生産量が日本一多い地域の1つだそう。

その理由は、標高約 300 メートルの高低台地に位置し、昼夜の寒暖差が高く、濃霧地帯でもあるため。私自身初めての四万十町でしたが、朝外に出てうっすら霧がかった神秘的な街並みには驚きました。

また、四万十川という日本最後の清流が流れ、豊かな水と肥沃な土の自然環境が大ぶりの生 姜の育成に適しているそうです。

みよしファームで栽培される生姜は、無農薬栽培にこだわり、農薬や化学肥料は一切使用していません。

家畜糞なども使わず、三好さんは、やしがらや油カス、ぼかし肥料という特殊な微生物発酵肥料を使用し、生姜の品質と味に独自のアプローチを取っています。植物は怪我や病気になった時、自らを防御するためにサルベストロールという物質を出すそう。

この成分が健康に良いとされており、無農薬の食物には通常より多く含まれています。これが、三好さんが無農薬にこだわる理由の1つだと語ります。

また、生姜の収穫後は、横穴と呼ばれる防空壕のような山穴に保管され、適切な温度を保つことで長期間の保存が可能となり、通年出荷が可能だそうです。

生姜シロップの製作にも力を入れているという三好さん。生姜の旨味を存分に引き出すため、生姜シロップは、きび砂糖と水、そして生姜だけで作られています。このシロップも、 熱意とこだわりが宿る製品の一つです。

帰り際、「お土産にどうぞ。」そう言って抱えきれないほどの生姜をいただきました。薄く切 って紅茶に沈めて飲んでみると優しく、それでいて濃厚な香りが口いっぱいに広がり幸せ な気分にさせてくれました。

みよしファーム : https://miyoshi1.base.shop/

 

今回は、四万十町で実施している「クラフトビール開発プロジェクト」の食材探しの様子をお届けしました。紹介した生産者以外にも、複数の場所を訪ねました。どの生産者の方も食材へのこだわりや強い想いを持っていて、どんなビールにするのか、どんな食材を使うのか、まだまだ検討中です。

たくさんの人に愛される、四万十町らしいクラフトビールの完成を目指し、今後もプロジェクトに力を入れていきます。お楽しみに!

                   

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