都市と自然が融合する隠れ人気スポット、相模原!
中山間地域にスポットを当て、その魅力をツアーレポートでお届けします

豊かな自然と都市の利便性が共存する街、神奈川県相模原市。この街の魅力を広く知ってもらおうと相模原市は8月18日、メディア向けのプレスツアーを開催しました。このツアーの様子を写真とともにレポート。相模原の中山間地域の“旬”スポットをたっぷりご紹介します。

【ツアー内容】

1.  道志川リバートレッキング

2.  津久井の地産食材を詰め込んだわくわくバーガー

3.  藤野の特産品製造・販売をサポート「ゆずの里ふじの」

①地ビール醸造所「JAZZ BREWING FUJINO」

②風味豊かな「薬膳柚餅子」

③農家が引き継ぐ伝統の「佐野川茶」

4.地域を繋ぐ拠点「森のイノベーションラボFUJINO」

①シロップにこだわった「ヴィカのかき氷屋さん」

②余剰野菜で地域をつなぐ高校生の「野菜を労わるふりかけ 結ひ」

③相模原とアフリカが重なる「里山クラフトチョコレート」

相模原市は、神奈川県の北西に位置する政令指定都市。豊かな山々の恩恵を受け、山や川、湖など、色とりどりの自然を楽しむことができる中山間地域は観光地としても人気です。新宿から約1時間とアクセスが良く、週末にはキャンプやハイキング、登山を楽しむ家族連れが数多く訪れています。

人口は約72万人。南区、中央区、緑区の3区がありますが、今回のプレスツアーは、山梨県と接する緑区の藤野、津久井の2エリアにスポットが当てられていました。

道志川のリバートレッキングで自然を満喫した後、特産品の製造販売を支援する「ゆずの里ふじの」や交流拠点の「森ラボ」などを訪れ、地域の旬“スポット”や旬な“人”に出会うことができました。

ではここから、ツアーレポートスタートです!

 

都心から1時間!? 緑と清流に癒されるツアートレッキング

まず最初は、道志川の支流を歩くリバートレッキング。

相模原市には、相模湖や道志川などの雄大な自然を楽しめるキャンプ場が数多くありますが、リバートレッキングのスタート地点、青野原オートキャンプ場もその1つ。北丹沢の自然に恵まれた環境で、キャンプはもちろん、アユ釣りや川遊び、バードウォッチングなどが楽しめるそうです。

案内人「NPO法人 里山津久井をまもる会」理事長・安川源通さんのガイドで、丹沢の中で一番人気という牧馬大滝を目指しました。

想像以上に本格的なリバートレッキング。運動靴の参加者のために、川の中に大きな石を置き、道を作りながら進みました。

こちらは、牧馬沢の小滝。川の端にロープがありますが、岩は滑りやすいので注意が必要。安川さんに、天狗と天邪鬼の言い伝えや珍しい花や岩、断層などについて教えてもらいながら大滝を目指しました。

 

牧馬大滝。高低差は20メートル!断崖絶壁に囲まれた奥地にあり、差し込む陽の光が幻想的。マイナスイオンをいっぱい浴び、心も体もすがすがしい気分。

帰りもロープを使って慎重に下りました。

途中、2019年の東日本台風によって崩れた場所も目に。自然の偉大さと同時に、その怖さも体感しました。

「新宿から1時間でこんな緑豊かな自然に出会えるのか」と感動したリバートレッキング。靴がびしょ濡れになったり、岩で滑ったり、さらにはヤマビルに噛まれた参加者もいましたが、都会では味わえない緑の中で充実した時間を過ごすことができました。


津久井の地産食材を詰め込んだわくわくバーガー

リバートレッキングで普段使わない筋肉や体力を使い、おなかペコペコになった参加者を待っていたのは、津久井地区の地産食材をふんだんに使ったバーガーランチでした。

県内ブランド豚「やまゆりポーク」や「津久井ふるさと卵」、「幻の大豆」と言われている津久井在来大豆を使ったチリコンカンや味噌、野菜やブルーベリーが提供されました。藤野地区のゆずを使ったドレッシングのさわやかな香りもたまりません。

参加者それぞれが、バンズに好きな具材を詰め込んだ「わくわくバーガー」。みんな口いっぱいに頬張っていました。とても美味しかったです!!!

 

藤野エリアの特産品販売を支援する「ゆずの里ふじの」

満腹になり、相模原特産「佐野川茶」の茶畑をバスの車窓から眺めつつ向かったのは、陣馬山の麓にある「ゆずの里ふじの」。藤野商工会が協力し、地域の特産品を使った加工品などの起業支援や情報発信に努めています。

まず紹介されたのは、地元クラフトビールを製造販売している山口解さん。

豊かな子育て環境を求め都内から移住。2018年に商工会や地域の協力で同施設内に超小規模醸造所「JAZZ BREWING FUJINO(ジャズブルーイング藤野)」を立ち上げました。

発酵や素材にこだわった丁寧な製法で造られる無濾過・無清澄のクラフトビール。「小さい醸造所だからこそ、実験的な取り組みも可能」で、地元農家のホップやゆず果汁、佐野川茶を使ったビール造りにもチャレンジ。相模原や東京のレストランなどで隠れた人気を誇っています。

続いて、「NPO法人自然体験学校みどり校代表」の土屋拓人さんが登場。

自然体験学校では、竹を切り出すところから始める流しそうめんやゆずジャムづくり、手揉み茶体験など、子どもたちにさまざまな体験プログラムを開いています。

土屋さんも移住者で、体験学校のほかに自然エネルギーや地域通貨導入、ビオ市など、藤野の地域活性化のために幅広い活動に尽力しています。そんな土屋さんが新たに開発に乗り出したのが、ゆずを使った「藤野薬膳柚餅子(ゆべし)」。

くり抜いたゆずに八丁味噌と木の実を詰め、3カ月以上熟成させて作り上げる逸品。酒の肴や薬味としてオススメだそう。地元の旅館経営者とタッグを組み、商品化を目指しています。

最後に紹介されたのは、「佐野川茶」。

陣馬高原の麓で生産される佐野川の茶葉は、豊な香りと甘みのある強いコクが特徴で、足柄茶(神奈川県ブランド)として有名ですが、現在、佐野川で茶葉を生産している農家さんはなんと3軒のみ!

そのうちの1軒、宮本透さんは佐野川茶の栽培を始めるために移住。「なんとかこの産地を次の世代に引き継ぎたい」と奮闘しています。

一番茶の後の葉や茎を加工し、業務用の粉末パウダーやほうじ茶などに製品化。2018年からは、(足柄茶ではなく)「佐野川茶」の名で売り出しも始めました。

さらに地元の学校給食で使ってもらえるよう働き掛け、今年から相模原市内の小学校で煎茶パウダーを使った給食が提供されています。「給食への道はハードルが高かったが、願いが叶い感慨深かった」と宮本さんは話していました。

地域を繋ぐハブ「森のイノベーションラボFUJINO」

終目的地は、JR藤野駅近くの、「森のイノベーションラボFUJINO(森ラボ)」。「SDGs with ART」をコンセプトに、地域を繋ぐハブとなってイノベーションを生み出そうとしている施設です。テレワークやコワーキング拠点として人が集うほか、雇用や森の再生、地域活性化などの課題解決に向けた多くのプロジェクトが進行中です。

森ラボ到着後、暑さで疲れが見えてきた参加者にふるまわれたのは、「ヴィカのかき氷屋さん」のかき氷。リトアニア出身のヴィカさんが、無添加で白砂糖を使わないかき氷をふるまってくれました。

ヴィカさんも移住者。こだわりのシロップには、地元素材であるブルーベリーやゆず、桑の実、栗、イチジク、ハーブなどを使っています。都内や山梨県、藤野地区などで不定期に販売しているそう。やさしい甘さが口の中に広がりました!

いて、森ラボのコミュニティマネージャー高橋靖典さんが、地域活性化の取り組みを披露。高橋さんも移住者で、トランジションタウン活動に力を入れています。

藤野地区には古くから芸術家が多く、アーティストのまちとして知られているとのこと。高橋さんは、「アーティストつながりやシュタイナー学園の開校などに伴い、若年層を中心に移住者が増えてきている。移住者を含む地域住民の活動の後押しとなるよう、地域通貨や廃校の活用、起業プロジェクトなどを行ってきた。今後もさまざまな支援をしていきたい」と話していました。

そんな森ラボの支援を受け、余剰農産物を使ったふりかけを開発したのは、現役高校生の高橋かのんさん。

シュタイナー学園の高校生で、余剰野菜に付加価値を付けた加工品の開発について紹介しました。材料の人参やキュウリは地元農家から仕入れ、その乾燥を福祉施設に依頼。乾燥された野菜を津久井在来大豆やもろみを加え「野菜を労わる高校生のふりかけ 結(むす)ひ」に。「製品化する過程で、地域のつながりを感じた」と話していました。

最後の登壇は、クラフトチョコレートなどを販売する「藤野良品店」代表の柳田真樹子さん。

移住者である柳田さんが同店を始めたきっかけは、夫がアフリカのタンザニアで手掛けている無添加・無加糖のドライフルーツを販売するためでした。

輸入品販売からスタートしましたが、今ではタンザニアから購入した有機カカオ豆を、藤野産の炭で焙煎するクラフトチョコレートを製造。地域の人脈を通じて商品の幅が広がったそうで、「ゆずの里ふじの」の工房を紹介されたり、チョコレートやパッケージのデザインを地元アーティストが手掛けたりと、「この地域だから形になったと思っている」と柳田さんは話します。

お洒落なパッケージに包まれた芳醇な香りと味のチョコレートは通販などで大人気。藤野産のゆずやショウガ、ミカンなどの有機農産物を加えたチョコレートも好評だそうです。

さて、これでツアーは終了です。

本当に盛り沢山の相模原“旬”スポットツアーでした。

都心から1時間というアクセスの良さと、豊かな自然環境が魅力の相模原。距離的なハードルが低く、都会の人間にとって「ちょっと遠くへ引っ越しをする感覚で移住できそうだ」と感じられるのも高ポイント。若年層を中心とした移住者が多いことも、受け入れ態勢や環境が整っていることの証でしょう。もちろん、観光地としても魅力がいっぱい。みなさん、そんな相模原にぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。

追記:リニア新幹線の神奈川県駅が、JR橋本駅付近に建設され、2027年に完成の予定。品川から10分で結ばれることになります。現在、工事の真っ最中です。

(取材・写真/内田麻美 文/清家直子

                   

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