大阪府 岬町 現役隊員
根田淳弘さん
活動内容:YouTubeチャンネル、SNS等を活用したPR・情報発信など
大阪の大学で演劇を専攻し、卒業と同時に上京し俳優活動をしていた根田さんは、40歳を超えた頃から故郷の和歌山に戻ろうかと漠然と考えはじめていたという。それを決定付けたのは、2020年の年末に新型コロナウイルスに感染し、さらに肺炎を併発したことだったという。
「ひとりで不安を抱えながら自宅療養の日々を過ごしたことを機に、故郷に帰ろうと決めました。何人か高校の同級生に相談したところ、友人から、岬町で地域おこし協力隊を募集しているという話を聞きました。」
大阪府岬町は根田さんの出身地・和歌山県和歌山市に隣接している。
「岬町なら友人もいて実家からも近く、なによりこの年齢で新しいことにチャレンジできることも魅力に感じられて応募を決めました。」
根田さんは2021年6月に岬町の地域おこし協力隊に着任。ミッションは、動画やSNS等による情報発信だった。根田さんは、面接を受けたとき、YouTubeチャンネルを立ち上げて岬町の魅力を発信するプランを語ったという。
「動画の配信は東京で芸能プロダクションに所属していたときに経験していました。もともと俳優活動をしていたこともあり、『みさきおこしチャンネル』というYouTubeチャンネルを立ち上げ、毎回企画を考えて、自分が出演して動画を配信することから始めようと思いました。岬町が誇れるものを動画で発信しようと、まずは1週間の釣り企画に挑戦しました。毎日アフター5に私が漁場に向かい、その日の酒の肴を自力で釣るというチャレンジ動画です。これが好評だったので、さらに、町内を走るローカル線と自転車で競争するという企画をやりまして、これも評判になりました。」
左)動画をより充実した内容にしたいと意気込む根田さん 右)好評だった1週間釣りチャレンジの動画
動画の配信を通して、地域との関わりが広がる
町役場の担当者は動画制作に対して好意的で、内容については基本的に根田さんに一任されているという。
「活動の一環で、大阪府立大学の留学生とサイクリングした際に、町内にある理智院というお寺の住職さんから『釣り企画の動画を観ましたよ。面白かった』と声をかけていただきました。まさか住職さんが見てくれているとは思わなかったので、すごく嬉しかったです。」
府立岬高校のピリカ部から誘いを受けて、海岸の清掃活動をしたこともある。「ピリカ」とは、アイヌ語で「美しい」という意味。ゴミ拾いを通じて、地域貢献や環境保全に努めているそうだ。
「ピリカ部では、海岸をきれいにしてSUP(スタンドアップ・パドルボード)をしたりします。私も高校生と一緒にビーチクリーンに参加して、その後でSUPも楽しみました。留学生とのサイクリング企画もそうですが、地域おこし協力隊として活動していく中で、地域の方と関われる機会が増えていることが嬉しいです。」
都会では常に新しい情報をインプットして、時代を追いかけながら生きてきたという根田さん。移住して地域での生活になじめるか、当初は不安もあったが、自分でも意外なほど地域の暮らしが性に合っていたという。
「毎日海を眺められるというのは、本当に贅沢なことだと感じます。自然に囲まれて、地域の人たちと交流しながら生活していると、少し前まで都会で時間に追われるように生きていたことが信じられなくなります。今は、朝は5時くらいに目が覚めるし、夜は10時くらいには寝ています。」
今後、『みさきおこしチャンネル』を、さらに充実した内容にしていきたいと語る根田さん。
「いずれは、町民全員にチャンネル登録してもらえるように、頑張ろうと思います。」と目標を語ってくれた。
左)高校生たちと一緒に行ったビーチクリーン 右)大阪府立大学の留学生と町内をサイクリングした
大阪府 岬町 現役隊員
根田淳弘さん1977年生まれ。和歌山県出身。大学で演劇を学び、卒業後に上京。俳優活動などを経て、芸能プロダクションに勤務。その後、里帰りを決意し、友人の薦めで実家にも近い大阪府岬町の地域おこし協力隊に着任し、YouTube動画制作・配信を中心に活動中。
みさきおこしチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCJD6IaDwaopXCpMv8RqYL2g
地域おこし協力隊とは?
地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に移住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。具体的な活動内容や条件、待遇は、募集自治体により様々で、任期は概ね1年以上、3年未満です。
地域おこし協力隊HP:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei
発行:総務省