【海士町求人情報 PART1】転職先は離島。島根県 海士町で島の暮らしを支える担い手を募集中:飯古建設(定置網事業部)

地方移住に心惹かれるとき。
都市部だからこそ得られる多くのものを引き換えにして、地方で何を得たいのだろうか。答えはそれぞれだろうが、少なくとも“都会では満ち足りない何か”があるはずだ。

寝食を削って働いて、大きな実績を出していても満足できないのなら、ひょっとしたらその人が欲しいのは、「自分が誰かに必要とされている手応え」かもしれない。

自分が社会の役に立っているという実感―いわゆるメンタル面での“働きがい”は、もちろん都会でも得られる。だが、人口が少なく、それゆえに個人に期待される役割が大きく、人と人との繋がりあいが目に見えやすい地方においては、より深く実感しやすい。都会とは違う“働きがい”を、確かに感じられるのだ。

島根県の離島、隠岐(おき)諸島のひとつ中ノ島にある海士町(あまちょう)は、全国各地から移住者が集まることで知られる。

養殖岩ガキ「春香」、黒毛和牛「隠岐牛」といった特産物のブランド化など、町ぐるみの挑戦を続けることで地場産業を盛り上げ、雇用を創出してきた。と同時に、教育の魅力化や、関係人口との交流を活性化することで移住者を呼び寄せ、今では人口約2200人のうち約2割がIターン者である。

Iターン者が増えて人口減少は下げ止まった。とは言え、第一次産業や島民の暮らしを支えるインフラ産業では、まだまだ人材不足・後継者不足が課題となっている。

そんな海士町で唯一の総合建設会社であり、主軸である建設業のほか、漁業と畜産業も手がけて島ならではの多角経営を行っているのが、飯古建設有限会社だ。飯古建設は1960(昭和35)年創業。以来60年以上にわたり、港湾や防波堤、橋、道路の建設など、島民の生活基盤を整える重要な役割を担い、この島になくてはならない存在となっている。

多角化が進んだのは、「海や山にまつわる地元の産業が元気だからこそ、自分たちの建設業がある」という想いが強かった前社長(故・田仲寿夫さん)の決断によるものだ。漁業に参入したのは1996(平成8)年。当時、定置網漁の経営が赤字で苦戦していた漁協から事業を買い取ってくれないかと要請され、引き受けた。社内に定置網事業部を立ち上げ、今も社員9人が定置網漁師として働いている。

さらに2004(平成16)年には、有限会社隠岐潮風ファームを100%出資で設立。当時、公共事業が大幅に削減された影響で売上が激減していた飯古建設は、自社を立て直し、かつ島全体の産業を盛り立てるべく、畜産業へ新規参入したのだ。この大胆な挑戦から、海士町のブランド黒毛和牛「隠岐牛」は生まれた。隠岐潮風ファームが仔牛の繁殖から肥育まで島内で一貫生産する隠岐牛は、今や東京食肉市場でも高い評価を得ている。

建設。定置網漁。畜産。飯古建設が手がけるこの3事業について、働く人へのインタビューを通じて、現場の魅力を伝えていきたい。

 

海のそばで暮らしたい、という思いから定置網漁師へ
大窪諒慈さん(28)/定置網事業部 副漁労長

定置網漁とは、沿岸部に巨大な漁網を仕掛けてそこに入ってきた魚だけを獲るという、日本の伝統的な漁法。大型漁船で魚を追って根こそぎ獲るのとは異なり、自然の流れにそった資源管理型漁業とも言われている。

海士町で最大の定置網は崎漁港の沿岸にあり、島では大敷(おおしき)と呼ばれている。大敷で水揚げされる魚の大半は箱詰めして出荷され、フェリーで境港(鳥取県)の市場へ運ばれて、翌日の競りにかけられる。また、島内の鮮魚店や飲食店、地元客などへの小売りと、水産物をCAS(※)で凍結して商品化する水産加工会社、株式会社ふるさと海士への卸しも行っている。

CAS:Cells Alive System。魚の細胞を壊さず生きたまま冷凍保存できる特殊な凍結技術。

大窪さんが働くのは、この崎の大敷だ。漁師9人が所属する、飯古建設定置網事業部で、漁労長を支えながら現場指揮などを行う副漁労長を務めている。

出身は石川県。海士町へ移住する前は京都で3年間、飲食店で接客の仕事をしていた。海が大好きで、海のそばで暮らしたいと考えるようになり、どうせなら離島がいいと移住先を探したところ、偶然見つけたのが海士町。そして飯古建設の定置網事業部の求人情報だった。

「会社員として漁師ができるなんて願ったり叶ったり!」とすぐさま応募して採用が決定。2013年に移住し、定置網漁師へと転身を遂げた。

「海の仕事はまったく未経験で、魚はブリしか知らなかったくらいですが(笑)。先輩から現場でいろいろ教わって知識を身につけていきました。2年目くらいからは他所の定置網との付き合いが増えて、多くを学ばせてもらっています」

好奇心や向上心が旺盛で努力家の大窪さんは、漁師仕事の技術もみるみる上達。自身がIターン者ということもあって外部との交流に積極的だったため、自分たちの改善点にもいち早く気付くことができたという。

「入社2年目くらいの頃から他所の漁労長さんと知り合って話すようになり、いろんな考え方を知るほど、大敷には多くの改善点があると思うようになりました。従来のやり方への固執、昔からの伝統とか先人達の教え通りやることが今の時代で正しいとは限らないですよね。『このやり方で本当に良いんだろうか?』『他はどうしてるんだろう?』と疑い、客観的に検証していくのが自分の役目なのかな、と考えるようになりました。職場環境をより良く整える旗振り役になろうと決めて、作業を効率化するための試行錯誤を続けてきたんです」


漁師として、人として、みんなで一緒に成長している

今では抜群のチームワークを誇る大敷のメンバーたちだが、8年前に大窪さんが入社した当時は、「気持ちがバラバラで離職率も高かった」と振り返る。

「仕事のやり方も人間関係もこのままではいけないと思い、2019年に『意識改革』を提案しました。スケジューリングや人員配置を見直したり、考え方の違いによるトラブルは放置せず、みんなで解決していく方向に変えたり。もちろんいっぱい喧嘩もしましたけど(笑)今はみんなが納得して、しっかり連携しながら無駄なく動けるようになった。連携が取れると生産性も上がる。この改革をしたことで、全員がチームワークの重要性を実感できたんじゃないかな。今は漁師として、人として、みんなで一緒に成長しているんだなって感じてます」

「今の社長(2019年就任)は従業員一人一人の意見をとても尊重してくれます。僕らを信頼して全部任せてくれているし、お願いしたことはちゃんとサポートしてくれる。プライベートへの配慮もあって残業も減った。結果的に、労働時間は減ったのにやれる作業が大幅に増えたんです。改革出来たのは、会社のトップの理解があったお陰ですね」

意識改革と併せて、設備面での増強も進んでいる。2021年に新網を導入し、それとともに漁の仕方を一から見直し、効率的な操業を目指した。これらが功を奏し、大敷の売上も回復の兆しを見せている。

縛ったロープの1つ1つが、島の食卓と結ばれているという実感

この大敷で働く上で、どんな想いを大切にしているのかを聞いてみた。大窪さんが指さした先には、手書きの標語があった。

『我々が海士の水産業を支えています。飯古定置は海士の基幹漁業です。新鮮な魚を流通させ、海士を離島らしくしているのです。縛ったロープの1つ1つが、島の幸せな食卓と結ばれています』

「私たち漁師は、魚を採ること自体が目的ではなくて、届けることでお金を貰っている。だから、島の皆さんに魚をお届けするんだ、地域の人と繋がっているんだ、という気持ちで仕事に取り組みたい。実際、この島の養殖を除いた天然魚介類の生産量の約6割を僕らが獲っている。生産金額だと3分の1だけど、生産量だと6割もあるんです。つまり大敷が無くなったらこの島からお刺身が消えるということ。お客さんが島に来ても、その日に取れた天然の新鮮な魚が食べられないなんておかしいですよね? だから、定置網事業をやめるわけにはいかない、なくしてはいけない。前社長はそんな思いでこの事業を買い取ったんですよね。その想いを受け継いで、僕らが海士の水産業を支えているんだ、と自覚していきたいんです」

小さい島だからこそ身に染みて感じられる、働きがい。大敷の漁師たちはこの標語を胸に刻んで漁に出る。

「例えば首都圏の漁港で定置網が生産量の約6割を超えているところもあるけど、定置網漁師がいっぱいいるので『自分たちが水産業を支えている』とは感じにくいと思う。大きな都会だとあまりにも歯車が多すぎて、実感できませんよね。田舎は僕ら一人一人にスポットライトを当ててくれているという感じかな。小さな島ならではのやり甲斐ですね」

プライベートでは地域の人との関わりが多いという大窪さん。住宅がある崎地区は、地元民も移住者もとても仲が良く、飲み会やイベントがしょっちゅうあるという。海士町の名物でもある綱引き大会(※コロナ禍の影響で近年は中止)の練習や、ソフトボール大会(※2022年久々に復活)の練習、さらに町で人気の崎バンドに参加するなど、大忙しのようだ。

「大敷の就労時間は6時から13時なので、その後は家に帰って呑むのも良し、夜の飲み会に備えて昼寝することもあります(笑)。夏は毎日潜りに言って、サザエやアワビを獲ります。僕は自分の船をもっていて、副業的に刺し網漁や延縄漁をしていた時もあります。ちなみに、船は島の人にタダでもらいました(笑)。仕事を含め、ここでの生活は今すごく充実している。思った以上に色んな人がいるし、みんな優しい。外部から来る移住者に対して、ここは日本で一番柔軟なんじゃないかと思ってます(笑)。僕も新しく来る人に楽しいことを伝えたり、連れて行ったりしてあげたいですね」

 

大敷の仲間になって一緒に働きたいという人へのメッセージ
「大敷はひとつのチーム。助け合いを重んじているので、遠慮せず頼ってくれると嬉しいですね。新鮮で美味しいお魚も食べられますし、移住を検討している人には、自然の中で汗を流す、その素晴らしさを体感してほしい。これから新しくチャレンジしたいことも多いので、刺激的な職場でもあります。一緒に成長していきましょう!」

実は、定置網事業部については、別の方に話を聞くはずだった。ところが、インタビューが、娘さんの部活の試合とバッティング。やっぱりどうしても応援に行きたいと、急遽インタビュー相手が大窪さんに変更になったのだった。可能な限り仕事よりも子どもの応援を優先するのが“島の常識”であり、家族との生活を大事にする海士町らしい文化だ。

ある意味、ゆるい。でも、とても人間らしい。そんな“島の常識”を目の当たりにした。

 

飯古建設は、離島のなかのさらに強固なコミュニティ

現在の代表取締役、飯古晴二社長はこう語る。

「海士町の第一次産業を盛り上げることが、建設の仕事にも、島の未来にも繫がるんだという前社長の“志”を大事にしています。社員の意見をできるだけ聞きながら、『やりたいことがあるならまずは自力でやってみろ!』と鼓舞しています。実際、経営が厳しい部門はあるけれど、なんとか持ちこたえて、これからもグループとしてやっていく。今が正念場なんです。そのためにも新しい仲間が欲しい。UターンはもちろんIターンも大歓迎です。社員が多いから目が届かないこともあるかもしれないけど、何か悩みがあったら俺んとこに相談に来いよ!という気持ちはいつもありますよ」

 

人情あふれる離島という小さなコミュニティ。

さらにその中にある、飯古建設という強固なコミュニティ。

社員想いの社長と、その下で働く多国籍軍(?)のような島民たち。彼らそのものが、会社の魅力でもある。

 

「あなたも島を支える一人です」(大江和彦海士町長の言葉)と言ってくれる町。

「自分たちは島に生かされている。だから、恩返しをする」という“志”を受け継ぐ会社。

身体をフルに使い、汗かいて働くことで、地域に貢献していると実感できる仕事。

 

地方移住と転職を考えるなら、そんな視点で選んでみるのもアリではないだろうか。

 

文・小坂まりえ

 

【PART2】工務部の求人情報を見る

【PART3】畜産部の求人情報を見る

                   
都道府県+市町村島根県 / 海士町
募集状況募集中
勤務地島根県隠岐郡海士町大字崎1512-7 崎漁港(定置網箇所での作業を行う)
募集職種定置網作業員
雇用形態正社員(中途採用)
給与基本月給180,000円~300,000円
※経験や年齢・扶養者の有無を考慮し、基本給を決定します。
福利厚生●賞与あり(年2回・2.0ヶ月/前年度実績)
●社会保険完備
●資格取得補助制度あり
●マイカー通勤可(駐車場あり)
仕事内容主に崎漁港にて出港し、定置網漁に係る海上作業等を行っていただきます。
●海上での網上げ作業
●魚の仕分け作業
●市場への出荷作業
●網の修繕作業 など
※海上作業にて危険を伴いますが、未経験の方にも丁寧に指導を行いますのでご安心ください。
勤務時間6:00~14:00(休憩60分)
※変形労働時間制(1年単位)
※基本7時間勤務/日ですが、荒天時は半日出勤等の場合あり
※時間外勤務は月8時間程度
休日休暇土曜日・その他、年間休日80日
※会社カレンダーによる
応募資格普通自動車運転免許(AT限定可)

人気記事

新着記事