地方と都会のあいだで、
暮らしかたをもういちど考える。

ここは、田舎でも都会でもないし、特別な地域でもない。
中途半端と言われればそれまでだけど、だからこそ、自分に合ったバランスを見つけて暮らす必要があるのかもしれない。

こだわりの食材が集まる、不思議なまち

この地域には、食にこだわった仕事をしているひとが、実は多い。

味噌に醤油、ソース、マヨネーズ、豆腐、パン…と挙げれば次々出てくるが、そのすごいところは、安心安全にこだわった無添加食材が揃っているということ。それだけの食材が1市2町に集まっているというのは、全国探しても珍しいことだと思う。

そういったこだわりかたは、特別なことのように思えるが、よくよく考えれば、特別なことではないと気づく。

もともとの素材のよさをいかすこと
自然環境に配慮すること
安心安全な顔が見える関係であること
その土地に根付く、風土や文化を大切にすること

この地域で出会った人々は、当たり前のように、この価値観を大切にしているひとが多い。食に携わる人だけでなく、工務店のひと、アーティストのひと、ものづくりをするひと、それぞれ分野は違うけど、根っこの部分が繋がっているように思う。

まさに、『farm to table』＝”顔が見える関係性” が根底にあるようだ。

地方にいくと、そういった地域に出会うことはあるけど、そんな場所が埼玉の端っこにもあったなんて、私もこのあいだまでは知らなかったのだけど。
でも、いちど知ってしまうと奥が深くて、ついつい引き込まれてしまう。そんな面白さが、この地域には広がっている。

ちょうどいいくらいの、歩幅で。

そんな「#ほぼ群馬」とハッシュタグを付けられる埼玉の端っこは、最近、まちづくりや市民活動、イベントも活発になってきている。

私が最初に、この地域に惹かれるきっかけとなった神川町にある工務店「カネザワ」では、毎年初夏に “暮らしマルシェ” というイベントを開催している。このマルシェのすごいところは、安心安全・無添加の美味しい食材が集まりすぎていることだ。

冒頭でも書いたように、このエリアは不思議と食に関する感度が高い。それを一堂に会して出会えるのが ”暮らしマルシェ” で、しかも東京のマルシェと違って、一軒一軒の出店者さんと顔が見える関係性で話せるのもまた、ちょうどよい規模感なのだ。

さらに、そんなマルシェを主催するのが、自然素材の家づくりを行う工務店となれば、このまちの暮らしが彩り豊かになるのは間違いないだろう。

また、もう少し市街地の本庄に目を向けると、思ったよりもチェーン店が少ないことに気づく。どちらかというと個人店が多い。しかも、昼間のまちからは想像できないが、本庄は飲み屋が楽しいと、お酒好きなひとは口を揃えて言う。

そして、もちろん空き家は増えているのだが、宿場町であった時代を匂わすような古建築と路地あるきは、なかなかの楽しさも秘めている。

というわけで、今回はそんな埼玉の端っこを巡りながら、改めて、顔が見える関係性を食や暮らしかたの観点から紐解いてみたいと思う。たぶん、普通にこのまちを訪れても、この魅力は絶対に伝えられない。

このまちの良さは、顔が見える関係性があってはじめて、成立するのかもしれない。だからこそ、知りたいと思ったひとは、この旅でのぞいてほしいと思います。いちど出会えば、次は顔の見える食と暮らしのつくりかたが少し分かってくるでしょう。

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このまちのひとと話していたときに、とても心に残っている言葉がある。

「家は建てたら、後は朽ちていくと言われがちだけど、本当は違う。本来の楽しさは、”経年変化” を楽しむことだ。」

きっと、まちも暮らしも人生も、経年変化を楽しめるかどうかに掛かっているのかもしれませんね。